新潮45、2015年7月号「昆虫食の扉を開こう」

﹂
昆 虫食 2屏を 開 ソ
う
カ イコにイナ ゴ、セミ にハチ の子 、食 料 不 足 を 救 う のは
た のであ る。報生呈[
では、二〇五〇年 に
身 近 な 虫 た ち 。果 た し てそ のお 味 は︱ ︱ 。
本誌 二〇〇九年 八月号 の ﹁
達 人対談﹂
九〇億人 に達す ると予測される世界 の人
を費やしている。
る﹁
地球 に負荷 の少な い食料﹂として、
昆虫食が いかに優れ ているかに二〇〇頁
化するなか、温室効果ガ スの発生を抑え
口を養 い、温 暖化 による異常気象 が顕現
虫を食 べ て世界平 和P﹂と題 し、
で、﹁
昆虫食 の話をさせていただ いた。 この対
談 でビートたけ しさんが慧眼 にも ﹁
世界
にはまだ飢餓 で苦 しむ国があるから、国
連も昆虫食 に注目すれば いいのに﹂と述
だから、国連
べ、それを受け て筆者が ﹁
国連 の報告以降、世界が昆虫食 に熱 い
う ち や ま しょう
内山昭
昆 虫 料 理 研究 会 代 表
1950年長野県生まれ。昆虫料理研究
家。 NPO法人食用昆虫科学 研究会 理事。
著書 に ﹃
昆虫食 入門﹄、 ﹃
食 べられる虫 ハ
、共著 に ﹃
ンドブ ック﹄ ε一
人生が変
修︶
0﹂ など。
わる︱特選昆虫料理 5
会﹂も、昨年 一二月にNPO法人 の認可
を受け、今年は研究基盤を固め、本格的
な教育 o啓蒙活動を展開 しようとしてい
Z
つ。
本稿 では、多様な角度から昆虫食 に光
を当 て、明 日の食卓 に昆虫食が上るため、
客観的 で正確な全体像を浮き彫り にする
よう努めた い。
コ昼 示虫食 い フ ェステ イ バ ル﹂爺撚 響
年 に 一度 の昆 虫 食 の祭 典
のとなり つつある。 こうした気運を受け 、
筆者 が代表を務 める ﹁
昆虫料 理研究会﹂
視線を注 いでいる。先 の対談 が現実 のも
奇 しくも数年を経た二〇 一三年五月、
・が4フ ン。
フリ
﹁
虫 フ ェスし は昨年 一一月二四日 の開催
で五回目を迎えた。年 一回勤労感謝 の日
ってもらう こと が第 一な のだ から 。
の活動 の輪も大きく広 がり つつある。加
え て二〇 一一年五月 に発足した日本初 の
は、年を追うごとに盛況 で、昨年も 一五
﹁バグパ エリア﹂ ︵
トクノサトシ︶ ͡
写真
︻
調理法︼サ フラ ンで色付けした ハチ の
上︶
けられる。リ ッチ感 がある。パ エリアは
エビなど魚介類を使う のが基本だが、同
︻
講評 ︼ ベー スは伝統 の ハチ の子飯。ト
ッピ ングで季節 の虫などを のせ変化を つ
子飯を フライパ ンで炊き、炒めたア ルゼ
ンチ ンモリゴキブリとタイ ワ ンツチイナ
ゴを のせ、人を止め て蒸らす。
そば ﹂で ヽ
︱ ルワー ムと コオ ロギ と サ ク
ム スープ ﹂﹁カ イ コの フ ン茶﹂﹁タ ガ メ
多 い。 そ こで昨年 は ﹁カイ コガ の塩焼 き
酒﹂ と い った メ ニ ューを用意 した。 この
はそもそも収穫を祝う新嘗祭な のだが、
虫 フ ェスでは ﹁
虫たち の勤労 に感謝﹂と
毎回虫 フ ェスでは昆虫食 に限らな い多
ほか物販 コーナ ー では、地蜂 せん べ い、
スズ メバチ酒 、 コオ ロギク ッキ ー、イナ
ゴと カイ コガと ゴキブ リ の佃煮 など が好
評 だ った。
さら に虫 フ ェスに合 わ せ て フラ ンスか
ら食用昆 虫加 工販一
天 至性KIBo社 が来
惇 ︶
・入賞
﹁ミー ルワームとチ ーズ の春巻 き﹂︵
吉
じ節足動物 の昆虫を使うと いうアイデア
が秀逸。イナ ゴは江戸 のころ ﹁
陸 エビ﹂
と呼ばれた。
入 リド ライ フルー ツミ ック スナ ッツ﹂ が
日。ド ライ コオ ロギや コオ ロギパウダ ー
など の素 材 のほ か、﹁ワー ムと コオ ロギ
特 別ブ ー スに並 んだ。
日本 初 ﹁
昆 虫 料 理 コン アスト﹂!
賞 メ ニューを紹介 した い。
●第 一回昆虫料理 コンテ スト ︵
二〇 一二
料理 コンテスト﹂を 三度行 っている。受
年︶
●第 二回昆虫料理 コンテ スト ︵
二〇 一四
︵
蓬 田至︶
﹁カイ コのニョッキ﹂ ︵
はやまあきふみ︶
﹁
石倉卓也︶
イナゴのおこわ﹂︵
﹁はん ぺんチーズ のミー ルワーム揚げ﹂
年︶
これま で虫 フ ェスの目玉として ﹁
昆虫
ト
昆虫食界 にと ってエポ ックメーキ ングな
事件が起きた。国連食糧農業機関 ︵
FA
でも、世界中 で昆虫を食 べようと いう普
及活動を、も っと積極的 にす べき です﹂
と答え ている。
―
=
ン
ラケ ム シ の フライ﹂﹁ハチ の子 のクリ ー
むろん虫食 が目的 の参加者 が圧倒的 に
イ
いう意味合 いもある。
〇人を超える人たちが集ま った。 この日
る
2015 212
Ju:ソ
213 昆虫食の扉を開こう
彩なゲ ストを招 いてトークしていただ い
ている。参加者 にまず は昆虫 に興味を持
第一回グランプリ「バグパエリア」
oグラ ンプリ
﹁ と モウ セ ンゴケ の薬膳 も っちり
蝉
殻
餅﹂ ︵
橋本愛子︶
︻
調理法︼蝉 の抜け殻 の粉末 、黒ごま、
ココナ ッツミ ルクを葛粉 で練 って葛餅を
作る。 モウ センゴケ、 ハイビ スカ ステイ
ー、 ローズ ヒ ップ、蜂蜜を混ぜたソー ス
をかける。
ラケムシをそれぞれ混ぜ込んだ四色 の炊
き込みご飯。
いて、初参加者 には困惑 の表情も見受け
られるが、揚げ物 の匂 いなどが漂 い出す
﹁
百聞 は 一食 にしかず﹂な のだ。食わず
嫌 いで評する のではなく、実際 に食 べて
実感 し、食 の幅を広げ てほしい。それは
と、次第 に食 べ物 に思え てくる。常連 の
﹁
昆 虫 試 食 会 〓 セミ 会 〓 バツタ 会 ﹂
﹁お いし い﹂と いう声 に、 いつの間 にか
毎月二回昆虫を食 べる会を開 いている。 つまみ食 いの輪 の中 に いたりする。
二〇〇六年九月に阿佐 ヶ谷 で始 めた ﹁
昆
虫食 のひるべ﹂は今年三 で 四
七
回
を
月
数
える。このところ の昆虫食 への関心 の一
局
﹁
雑食動物 であ る自分﹂を再発見す る こ
とでもある。
﹁セミ会﹂と ﹁バ ッタ会﹂は、昆虫料理
うイメージが強 い昆虫食だが、若 いグ ル
メな人たち にと っては、好奇心をそそら
して味わう ことができる。 これら野外イ
ベントは 一九九九年 に始まり、昨年十月
の ﹁バ ッタ会﹂ で四三回を数える。
研究会 が野外 で行う 二大イ ベントである。
参加者 が自分 の手 で採集 して調理し、そ
立派な薬膳料理。
・準グラ ンプリ
︻
講評︼蝉 の抜け殻 は漢方 で ﹁
蝉退﹂と
まりを受け、できるだけ昆虫を食 べられ
いう生薬 で、感冒や咽頭 の腫れに効果が
る場を増やした いと思 い、昨年 六月 に立
ある。痒 みにも用 いられる。食虫植物 モ
ち上げた ﹁
明大前虫食会﹂も、す でに 一′
ウ センゴケ の葉 の粘液 にも咳止め効果が
○回実施 し てきた。
あると いう。作者 が夏風邪 で喉が痛 い時
参加者 は二〇歳 から三〇歳代 の若 い男
に思 いついた レシピ。やさし い味と食感 。 女が多 い。年配 の人たち には代用食 と い
﹁ホ ワイ トデ ユビ ア入 リ ア ヒージ ョ﹂
デ ュビアジ t ハン︶
︵
れる魅惑的な食材 に思えるようだ。参加
﹁セミ会﹂は八月上旬 に二度開かれ、合
者 の男女比はほぼ半 々である。虫 であろ
わせて 一〇〇人ほどが参加する。都内某
うが美味 しければなんでも食 べてみた い、 所 に夕方集まり、明る いうちに成虫を捕
と いう女性が目立 つ。
り、暗くなる七畦 頃から羽化 のため穴か
この会は昆虫を食 べるだけ の催 しでは
ら出 てくる幼虫を捕 る。そ の後 近くに借
脱皮直後 の白 く て柔 ら か いデ ュビ ア
︵
ア ルゼ ンチ ンモリ ゴキブリ︶だけを使
う のがポイ ント。
りた調理施設 へ移動 し て、捕 れた て新鮮
な獲物を調理する。成虫は素揚げか天ぷ
らに塩 が合う 。サ ックリとした香ばしい
れた漢方 の生薬だが、そ の代表種が スジ
な い。 スタ ッフが季節感を取り入れ て当
月 のメ ニ ューを考え、参加者 が分担 して
料理を作る。並んだ食材 には生きた虫も
・KIBO社賞 ﹁
昆虫 のにぎやか歌声集
会﹂︵
糸川 マコト︶
コオ ロギ、 コチ ニー ル、タガメ、サク
地 方 にも 広 が る 昆 虫 食 の輪
地方 ではどんな昆虫食イ ベ ントが行わ
れ ているだろうか。まず 二〇〇八年から
やはり昨年 の九月 には二日間 にわた っ
て福岡 の博多と糸島 で昆虫食イ ベントが
行われた。イ ンドカ レー屋 マノ マを会場
食感が売りだ。肉 の詰ま った幼虫は燻製
に人気 が集まる。ビー ルを片手 にあ っと
続く ﹁
園 山セミ会﹂が挙げられる。東京
のセミ会 に大阪から参加 した人が、園 山
に﹁
むしもぐ P博多﹂は開 かれ、筆者 の
昆虫食 トークと虫料理が提供された。二
アカク マゼミな のだ。そ の苦味はひょ っ
として薬効成分な のかもしれな い。
いう間 に皿が空 になる。
﹁バ ッタ会﹂はトノサ マバ ッタが句を迎
でもやりた いと企画した のがはじまり で
あ る。二〇 一 一年 から は ﹁
関西 虫 フ ェ
かな糸島 のカ フ ェワ ルツを
日目は自ス菫塁
える十月半ば に開かれる。
こちらは多摩川 の川原が会場となる。
虫取り網を持 って集ま った数十人 の男女
が、幼少 に返 って川原を駆け回る。仮面
ライダーのモデ ルだけあ ってなかなか捕
むしもぐ P糸島﹂が開 かれ、採
会場 に ﹁
集 から調理と いう昆虫食 の醍醐味を体験
した。
ス﹂も登場 している。
自然 で安全な ﹁
食﹂を求める若者たち
にも昆虫食 のエコな側面が注目された。
二〇 一三年 八月 に熊本県宇城市三角町 の
まらな い。苦労 の末 に巨大な パ ッタが網
に収ま った時 の本能的 な喜び は替 え難
い。
イ ルド全国大会が開かれた。これは環境
教育指導者 の全国大会 で、 ここでは ﹁
虫
って、ホ ントにお いし いの?﹂と いうテ
やはり 一月 に大阪 でプ ロジ ェクト ・ワ
今年 一月 には京都 の京 エ コロジ ー セ
ンターで、 エコを テー マに昆虫料理を食
べる会が開かれ、小学生を含 む三〇人ほ
どが参加 した。
マゼ ミを採 って食 べる ﹁セミ会 m金 沢﹂
が開かれた。中国大陸が主な生息地 の本
やがてにわか狩人たちが、意気揚 々と
三角 エコビ レッジサイ ハテで実施された
﹁
収獲物を持ち寄り、草むら にシートを敷
熊本虫 フ ェス むしたべよ﹂はそう した
き、揚げ鍋 に火を入れる。生き の良 いバ
背景を持 つ。
ッタは素揚げか天ぶらが定番 メ ニ ューだ 。
昨年 八月に金沢 で、外来種 スジ アカク
エビに似た風味が鼻をくすぐ る。サクサ
クした食感を楽 しみ、滲 み出るタ ンパク
種 は、日本 では金沢だけ で確認され てい
夏 の公園 でごちそうが歌 い、秋 の川原
﹁
食 べ て駆除す る﹂会 が開 かれた。参加
者 の話 によると他 のセミに比 べてやや苦
現代では昆虫は普段 の食卓に登場しな
な ぜ 食 べる? な ぜ食 べない?
ー マで講演 した。
味を感じたと いう。岬 の抜け殻 は先 に触
る外来種 で、駆除 の取り組 みが進められ
ている。外来種問題を考える 一環として
質 の旨味をかみ締 める。
で別 のごちそうが飛び跳ねる。われわれ
がプチジビ エと称する昆虫採集 の食体験
は、﹁
生き るとは他者 の命を いただく こ
と﹂を実感 できる学習 の場 でもある。
Juiv 2015 214
215 昆虫食の扉を開こう
い。食品 への虫 の混入が大事件 になるく
ら いだ。かたや昆虫を食 べることにそれ
ほど抵抗を感じな い、むしろ楽 しむ人た
ちも 一定数存在する。そこで食 べる理由
と食 べな い理由を聞 いてみた。
わ いた い のだ 。
昆 虫 の栄 養 はど のく ら いあ るの?
﹁カイ コ蛹 二個 で鶏卵 一個分 の栄養﹂と
言われ てきた。本当だろうか? タ ンパ
殖 が推奨 され て いる。
昆 虫 には、 カ ルシウ ム、 マグネ シウ ム、
リ ン、銅 、亜鉛 など ミネ ラ ル分 も豊富 に
こう し て見 てみると、昆虫 は他 の動物
含 ま れ て いる。
ク質と脂肪 の含有率を比 べてみた。乾燥
性食品 に匹敵す る高栄養食 品 と言 ってい
3ヽ い。
重量 ︵
%︶ でタ ンパク質 はカイ コ蛹が 6
0、鶏
鶏卵が 5. 。5。脂肪 はカイ コ蛹が3
食 べる時 の注 意 点
卵が 3 ・loカイ コ蛹 は鶏卵よリタ ンパ
4
昆虫を安全 に食 べるために次 の四 つの
ク質 がやや多く、脂肪がやや少な い。
・食 べる理由
て食 べて当然
カイ コ蛹 に含まれる ヒトの必須 アミノ
点 に気を つけた い。
酸 では、 ロイ シンだけが不足しているが、
りとして取り入れた い/好奇心から挑 み
た い/慣れれば食 べられる/雑食者 とし
昆虫自体 に興味がある/食文化 の広 が
o食 べな い理由
いまま での食習慣から食 べられな い/
人を通す ことによ って細菌 による食中
︵
2︶必ず加熱する
べるキ ョウチクトウ スズ メなどが いる。
チ ハンミ ョウ、キイ ロゲ ンセイなど であ
る。有毒植物を餌 にしている昆虫も注意
した い。例えばキ ョウチクトウ の葉を食
主な種類は マメ ハンミ ョウ、 マルクビ ツ
る。代表的な種類は ツチ ハンミ ョウ科 の
仲間 で、加熱 しても分解されな いカ ンタ
リジ ンと いう物質を体液 に含 んでいる。
︵
1︶有毒昆虫を食 べな い
それほど多くはな いが有毒な昆虫も い
ロイ シンは主食 の米など に多く含まれる
ので補う のは容易だ。脂質を見ると多価
。そ のた め国連 によリ ロ
′
含む種類が多 い。例えばイナゴはタ ンパ
6 ・8で脂肪 が 5 ・5と一
局タ ンパ
ク質が 7
ク低脂肪 である。 コオ ロギはタ ンパク質
6 ・6で脂肪 が 2 olと栄養 バラ ンス
が6
2
カイ コ蛹三個は いささか誇張 だが、同
量 で比 べると鶏卵 に匹敵する栄養素を持
っている。昆虫全般 にタ ンパク質を多く
不飽和脂肪酸 のリノ レン酸を多く含 んで
いる。
理屈抜き で拒否する/餓死 しても食 べた
くな い/変な味や臭 いがしそう/姿 o形
がグ ロテスク
昆虫を食 べる人 でも興味内容 は 一様 で
はな い。
狩猟採集活動としての昆虫食
グ ルメとしての昆虫食
エンターテイ ンメ ントとしての昆虫食
科学としての昆虫食
昆虫食 には怖 いも のみたさと いう面も
あ る。﹁
虫 が怖 いので来 た﹂と いう参 加
フ
フ ハ﹂
る。
︱ギ キヽ
︲ ハ﹂
﹁
和食 日本人 の伝統的な食文化﹂が ュ
国一
撞鋳碧曇け7文化揉誦り の缶彩
ヽ
不ス コ ︵
﹁
和 食 ﹂にこそ 昆 虫
強 い。
アナ フィラキシーシ ョック症状 を起 こす
ども加熱 で分解され毒性 がなくなる。調
幼虫︶
第 4位 アプラゼミ ︵
場合もある。
理前 の手洗 いも重要 である。
揚げ るとナ ッツ味。燻製 はさ っぱり し
以上が主な注意点 であ る。昆虫に限ら
︵
3︶甲殻類 ア レルギーに注意
た鶏肉風味。
品を 口にする時 は、 二定の
ず初 め ての食一
エビ ・カ ニなど甲殻類 ア レルギー体質
幼虫 ・通
第 5位 モンク ロシャチホ コ ︵
リ スクを意識 し、少量 で試 して体調 に変
の人は気を つけよう。原因物質 とされる
称 サZ フケ ムシ︶
化がな いかを見極める ことが重 要であろ
ト ロポミオシンは昆虫 にも含まれ ている
。
り。
葉
の
香
ラ
の
サ
ク
ノ
>
ヘ
ため、同様な症状を起 こす人も いる。
成虫 ・特 にオ
第 6位 タイワ ンタガメ ︵
︵
4︶体調が悪 いときは食 べな い
筆 者 の選 ん だ 美 味 し い虫 ベスト 0
ー
ス︶
風邪を引 いたり して体力が落ち ている
洋ナ シの香り。
虫 の味 はす べて同じようなも の、と 一
時など、昆虫を食 べ慣れな い人 の中 には、
成虫︶
第 7位 トノサ マバ ッタ ︵
般 には思われ ている。だが虫は種類 が多
エビに似た味。揚げ ると淡 いピ ンクに
く味も多彩 である。変態す るため卵、幼
染まる。
虫、蛹、成虫 で味も食感も異なる。虫に
卵︶
第 8位 カイ コ ︵
よ つては フンま で使える。次 に筆者 の選
噛むとプ チプ チ弾ける食感 が絶妙。
美味し い虫と、そ の味 の特徴を挙げ
んだ¨
幼虫︶
第 9位 クリ シギゾウ ムシ ︵
ておこう。
甘く てクリーミー。
幼虫 o写真上︶
第 1位 シ ロスジカミキリ︵
蛹︶
コクがあリクリーミー。バターの風味 。 第 0
1位 ヤ ママュ ︵
焼くと香ば しく、豆腐 に似た濃厚な旨
味。
。
マグ ロのト ロの味﹁
第 2位 オオ スズメバチ 全即り
甘味 と旨味 が濃厚。鶏肉や硬め の里腐
の食感。
嶋︶
第 3位 ク ロスズ メバチ 全
ウナギと良く似た味。小粒だが旨味が
Ju:Y2015216
217 昆虫食の扉を開こう
(幼 虫)
シロスジカミキ リ
0% 以上 が
昆 虫は総 じ て乾燥重 量 の6
タ ンパク質 であり、脂質も体 に良 いとさ
れる不飽和脂肪酸を含む種が多 い。ミネ
昆 虫 はタ ンパク 質 供 給 の 切 り 札
は ﹁スズ メバチと カイ コさなぎ の虫雑
煮﹂﹁
タ ガ メ風味 のアリ の子 き ん と ん﹂
﹁ハチ の子 のうまき風﹂などを作 って好
評だ った。
昆 虫 食 を科 学 す る
・
の水 で飼育 できる。
︵
4︶土地や水 の節約
本畜に比 べてはるかに狭 い土地と少量
一
に多く含まれる。
やア ンモニアの排出が少な い。メタ ンは
牛など草食動物 の腸内発酵 によるげ っぷ
文化遺産 に登録された。伝統的な食文化
と旨味が同居 している﹂と評価 している。 てる ことができる。例えば廃棄される生
ゴミが半減する。
と いう範疇 に昆虫食も入 るのではな いか。
昆虫料理研究会 でもおせちメ ニューな
どを開 している。今年 一 の
昆虫は遥か昔から人類 が日常食 べ続け て
会で
︵
3︶地球温 暖化 の抑制
発
試
食
月
メタ ンや二酸化炭素など温室効果ガ ス
きた究極 の伝統食 であ る。
一九 一九 ︵
大
正八︶年 の全国的な調査 でも五五種類 の
昆虫が食 べられ ている。今 でもイナゴは
日本人 の多くが 一度 は 口にした ことがあ
り、 ハチ の子も長野など中部地方を中心
に根強 い人気がある。ちなみに長野県南
ラ ルや食物繊維的機能を持 つキチ ンも豊
部を流れる天竜川 で捕 れるザザムシが ス
ロー フード にコ鸞疋され ている。
日本 の四季を彩 る副菜や汁物として昆
冒頭 でも触れたが、 これま で任意団体
だ った ﹁
食 用 昆 虫 科 学 研 究 会﹂︵
通称
食品メーカー社員など多彩 で、多面的な
昆虫食 へのアプ ローチが期待される。筆
啓発活動を展開 しようとしている。メ ン
パーは大学院生、国際 NGO職員、教員 、
﹁
少な い次 の四点を挙げ、昆虫が今後 の食
食昆研し が、昨年 一二月 にNPO法人
料 として優れ ていることを強調 している。 の資格を取得 し、本格的な昆虫食研究 ・
富 である。 FAO報告 では、環境負荷 の
虫 の利用価値は大き い。そ の意を強くし
た のが、和 の鉄人 ・道場六三郎さんに作
っていただ いた創作昆虫料理 である。持
ち込んだ昆虫は スズメバチ、カイ コ、カ
ミキリムシ、セミ、バ ッタ、イナゴ、ポク
トウガなど。道場さんは ﹁
初め て出会う
食感だね﹂と言 いながら、次 々と見た目
も美 しい六皿に仕上げ ていく。とりわけ
者も理事 として料理研究を中心 に関わ っ
ている。研究会 の結成 の目的を設立趣旨
書 はこう謳 っている。
されたりす る。住民が共同 で行う里山 の
下草刈りや田植え前 の堰掘り、ある いは
四季 の恵 みを楽 しむ山菜やき のこ採めな
ど が該当す る。﹁
イナ ゴ採 り﹂や ﹁ハチ
追 い﹂も この概念 に相当する。参加者 が
情熱を燃やす楽 し い遊び の要素 に加え、
コミ ュニケーシ ョンを深める場 でもあり 、
伝統技術を継承する機会 ともな っている。
昆 虫料 理研 究 会 が催 す ﹁セミ会﹂や
﹁バ ッタ会﹂も この範疇 に入 ると言うと
言 い過ぎ だろうか。旬 の昆虫を採集 し、
調理 し、食 べることで、食 の原点 に立ち
返 ることができる。人間も食物連鎖 の構
極地を除く地球上に遍く存在 している。
成員 である ことが自ず と理解される。
﹁
虫 の惑星﹂と言われるよう に、昆虫は
日本 に生息す る昆虫 の種類 は十万種と言
か﹂と の電話を いただ いた。 これま で昆
虫は駆除する対象と考えられ、実践的な
遊び 仕事﹂と訳
念が注目され て いる。﹁
で育 ¨ ﹁世 界 に と っ
︵1︶飼料変換効率 の良さ
gの餌
例えば牛肉を 1聴増やす のに0
1k
が必要だが、 コオ ロギだと2 gの餌 です
k
0%
む。さら に コオ ロギ の可食部 率 は8
と高 く、可食部率を換算 した場合 の変換
2倍 と驚異的 であ る。
効率 は牛肉 の1
2︶環境汚染 の低減
︵
﹁
珍ルい食感と香り2甘味 人間や動物
カイ コの卵 のプチプ チした食感 に驚 いた
様子 で、﹁カイ コの卵ふりかけ ハモしん
じ ょ﹂が最初 にできた 一皿だ った。道場
さん
子や孫 のために食 べられる虫を飼えな い
立 つよう にな ってきた。例えば最 近昆虫
築す るかは焦眉 の課題 です。昆虫は食料
食 に興味を持 つ中学生 二人 に出会 ってい
問題や環境問題 に対す る有望な生物資源
る。
一人は将来研究者 になり昆虫食 の普
として、栄養、文化、生産効率 の観点 で
一
及 に貢献 した いと いう夢を熱く語り、
専門家からも注目され ています。そうし
た社会的気運 のなか、私たちは二〇 一一 人は昆虫食を テー マにし っかり した学期
末 レポ ートを仕上げ ている。
年五月、昆虫食を研究 テー マとする大学
虫を養殖す る仕事をし
ある男性 から ﹁
院生、東南 アジア昆虫食研究者を中心 に、
た いのでアドバイ スしてほし い﹂と いう
日本 で唯 一の食用昆虫学を研究す る学術
機関として本研究会を結成 しました﹂
月例会や講演 、論文発表 のほか、主な
活動として ﹁サイ エンスアゴラ﹂ への参
養殖研究 はまだまだ緒 に就 いたばかり で
ある。今後 このような飼育を希望する声
同まりが十分予想される。われわれが
2口
内容 のメー ルが届 いた。八〇歳 近 い女性
からも ﹁
百坪ほど の菜園 がある のだが、
加がある。 このイ ベ ントは、年 一回日本
科学未来館を中心会場 に実施される日本
最大級 の科学 の祭典。我 々は ここで広く
一般を対象 に啓発活動を行 っている。そ
の実績が認められ、二〇 一三年 には優れ
手乗り家畜 と呼ぶ養殖昆虫 の選定と飼育
ま で堪能す ることができる。
的 で心ときめく昆虫料理 の数 々を心ゆく
一歩外 に出れば多種多様な
われ ている。
︿
食材 ﹀に出会 う ことが でき る。先入観
自然 の巨大な
や固定観念 の殻 を脱 ぎ、﹁
レストラ ン﹂ の扉を開け てみよう。刺激
技術 の確立 は急務 と言えよう。
食 材 ︶の宝 庫
ま と め︱ 自 然 は ︿
﹁
有望な食料 ﹂ とは別 の役割 も昆 虫 は担
って いる。自然 から の乖離 が著 し い今 、
自然 と人間 の関係 を修復 す る上 で マイナ
ーサブ シ ステ ンスと いう文化人類学 の概
Ju:v2015218
219 昆虫食の扉を開こう
た団体 に贈られるサイ エンスアゴラ賞を
受賞 した。
養 殖 技 術 の確 立 が 急 務
これまで述 べてきたよう に、昆虫は次
世代 の有望な食料として注目を集 め てい
る。FAO報告から約 二年 が経過 し、 こ
れまでなか った具体的な問 い合わせが目
国