第3章 1 資格取得時決定 資格取得時決定とは 組合員の資格を新たに取得したときは、その資格を取得した日の現在の報酬の額により標準報 酬を決定します。この決定を「資格取得時決定」といいます。 資格取得時決定により決定された標準報酬月額は、組合員の資格を取得した日からその年の 8 月 31 日(6 月1日から 12 月 31 日までの間に組合員の資格取得した者については、翌年の 8 月 31 日)まで適用されます。(法第 43 条第 8 項、第 9 項、厚年法第 22 条) (1)対象者 資格取得時決定の対象者は、組合員の資格を取得した者(注)が対象になるが、以下に該当 する場合も資格取得時決定を行うこととなる。(運用方針第 43 条関係 1) ア 地方公務員共済組合の組合間で異動したもの(他の地方公務員共済組合から転入した場合) イ 国家公務員共済組合から引き続き地方公務員として採用され、地方公務員共済組合の組合員 となった場合) ウ 継続長期組合員から職場復帰し、継続長期組合員以外の組合員となった場合 エ 交流派遣職員から交流派遣職員以外の組合員となった場合 オ 法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律に基づき派 遣された職員(法科大学院派遣職員)から法科大学院派遣職員以外の組合員となったもの カ オリンピック・パラリンピック派遣職員からオリンピック・パラリンピック派遣職員以外の組合員となった場合 キ ラグビー派遣職員からラグビー派遣職員以外の組合員となった場合 注 組合員の資格を取得した者(法第 39 条) ・職員(法第 2 条第 1 項第 1 号に規定する職員をいう)となった者は、その職員となった日から 組合員の資格を取得する。 ・一の組合の組合員が他の組合を組織する職員となったときは、その日から前の組合の組合 員の資格を喪失し、後の組合の組合員の資格を取得する。 (留意点) ① 同一組合内や同一支部内で異動した場合 給与支給機関が異なることになっても、組合員資格を喪失して再び組合員資格を取得するものではない ことから、資格取得時決定の対象とはならない(給与体系が変更となる場合は、随時改定の対象とな る。)。 * この場合の取扱いは、「同一共済組合内で引き続き給与支給機関を異動した者に係る標 準報酬の取扱いについて」(H28.4.22 付け本部支部連絡調整室長から各支部事務局長あて 事務連絡)を参照。 第3章 資格取得時決定 -1- ② 定年等により退職し地方公務員法第 28 条の4第 1 項の規定により採用された場合(再任用 フルタイム職員) 組合員の資格得喪は発生しないが、資格取得時決定と同様の方法で保険者算定を適用する。 (総務省見解(地職 P36)) (参考)資格取得時決定とする理由 定年退職後に引き続き再任用フルタイム職員となった場合、通常であれば、随時改定 の対象となる。一方で、引き続かずに再任用職員に採用された場合や、厚生年金保険の 第 1 号被保険者や他の共済組合の組合員となった場合、資格取得時決定により採用され た月からその資格を取得した日の報酬に基づき標準報酬月額が決定されることになる。 同様の勤務形態にも関わらず、両者の間に不均衡が生じてしまうことから、引き続き 再任用フルタイム職員に採用された場合は保険者算定を適用し、資格取得時決定と同様 の方法により標準報酬月額を決定することができるものとされている(基礎届は「標準 報酬新規・転入基礎届」を使用。)。 ③ 出向等していた組合員が年度末の 3 月 31 日に元の組合に戻り(組合間異動により、組合員 資格取得)、同日に退職、4 月 1 日に資格喪失する場合も、資格取得時決定を行う。 (2)報酬月額の算定方法 資格を取得した日現在の報酬の額を「報酬月額」として、標準報酬を決定する。(法第 43 条第 8 項) 報酬は、 その者が月の初日に資格を取得したならば受けるべき報酬及び同様の職務に従事する 職員の報酬等を考慮した額とすること。(運用方針第 43 条関係 1) ※ 月額以外の場合(施行令第 22 条) ① 日額により支給される場合 組合員の資格を取得した日の属する月前一月間に同様の職務に従事し、かつ、同様の 報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額とする。 ② 週その他日及び月以外の一定期間により支給される場合 報酬の額をその支給される期間の総日数で除して得た額の 30 倍に相当する額が報酬 月額となる(除した際に生じた円位未満の端数は、その時点で切捨て)。 例:週給制の場合 報酬の額を 7 で除して 30 倍した額。 ※ 「日額により支給される場合」における報酬の算定において、「資格を取得した月前 1月間に同様の職務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均し た金額」を算定することが困難な場合、又は同様の職務に従事した者が受けた報酬の平 均額によると著しく不当であると判断される場合は、当該者が既に同様の業務に従事し、 かつ、同様の報酬を受けている場合は、その者の資格取得前1月間の報酬により標準報 酬を決定しても差し支えないものとする(非常勤職員が常勤職員について定められてい る勤務時間以上勤務した日が引き続いて 12 月を超えるに至り、引き続き当該勤務時間に より勤務することとなり組合員資格を取得する場合が想定される。)。 第3章 資格取得時決定 -2- (留意点) ○ 算定時の取扱い等 ① 固定的給与・非固定的給与の別に関わらず、その者が月の初日に資格を取得したならば受 けるべき報酬及び同様の職務に従事する職員の報酬等を考慮した額に該当するものは、標準 報酬の算定の基礎に含める。(総務省質疑応答集 2 問 2) 例 ・寒冷地手当 ・時間外勤務手当(時間外勤務が見込まれる場合には、見込額を算出して報酬に加 算する。) ※ ② 通勤手当、寒冷地手当の取扱いについては、第 1 章を参照。 月の途中に資格を取得した場合 扶養手当や住居手当など月の初日に資格を取得したならば受けることができたであろう手 当も含めて算定する。 ③ 組合間を異動した場合 異動後の組合では、資格取得時決定に当たり、異動前の報酬を把握する必要はない(異動前 の標準報酬については、後日、組合間の原票移管事務により把握することとなる。)。 (総務省見解(地職 p.13)) ※ 異動前の所属における実績給(時間外勤務手当等)が、異動後の報酬に含めて支給さ れている場合は、当該手当の額は資格取得時決定の際の報酬には含めない。 例:4 月 1 日に知事部局(地方職員共済組合)から教育委員会(公立学校共済組合)に 異動となり、知事部局時における 3 月分の時間外勤務手当が 4 月に支給された場合 当該手当の額は資格取得時決定の際の報酬には含めない。なお、異動後の所属にお いて時間外勤務手当があらかじめ見込まれる場合には、資格取得月(4 月)の報酬に 加算する。 ④ 資格取得が月の初日であるが、休職等の理由により、初日が「報酬の全部又は一部が支給 されない場合」であるとき 欠勤等がなかったとしたならば支給される報酬により決定する(資格取得と同時に分限条 例による研究休職となった場合等。)。 2 特別な算定方法(保険者算定) 組合員の報酬月額の算定が困難であるときや著しく不当であるときは、同様の職務に従事する 職員の報酬月額その他の事情を考慮して組合が適当と認めて算定する額をその組合員の報酬月額 として標準報酬を決定することになります。(法第 43 条第 16 項) * 再任用フルタイム職員の取扱いについては、1(1)②を参照。 第3章 資格取得時決定 -3- 3 資格取得時決定の見直し 資格取得時決定を行った後に、発令誤り等や手当等を遡及して支給すべきことが判明し、当該 資格取得時決定の算定の基礎となった報酬の額が誤っていた場合は、支給すべきであった正しい 報酬の額により再計算し、当該資格取得時決定の標準報酬を見直します。 ※ 給与改定が遡及して行われ、資格取得時の報酬の額が改定となった場合 標準報酬の見直しは行わず、給与改定後の報酬が支払われた月を変動月として随時改定に該 当するかどうか判断する。 (留意点) ① 4 月 1 日採用職員が住居手当の申請を申請期限内に行ったが、4 月の支給が間に合わず、5 月に 4 月分と 5 月分の 2 ヶ月分として支給された場合 4 月の報酬に住居手当の額を加算して資格取得時決定を見直す。 ② 通勤手当、扶養手当等が、資格取得時決定の時には確定していなかったが、後日、額が 確定した場合 資格取得時決定の訂正を行う。ただし、時間外勤務手当等の非固定的給与が当初見込んでい た額と増減が生じている場合の訂正は行わない。 ③ 通勤経路の変更により通勤手当が返納されたときの経過期間の標準報酬として算定されて いる通勤手当の額と実際に公共交通機関に支払ったこととなる返納後の通勤手当との差額に ついての見直しは行わない。 ④ 組合員資格の取得時に本人の申出がなかったことにより、住居手当、扶養手当等の固定的給 与が支給されない場合 支給された月を固定的給与に変動があった月として随時改定の対象になるかどうかを判断 する。 例:4 月 1 日に資格取得した者が、住居手当の申請を所定の期限後に行ったため、本来で あれば 4 月から支給されるはずが、4 月分は支給されず、5 月分から支給された場合 4 月の資格取得時決定の見直しは行わず、5 月から継続した 3 月間の平均の報酬月額に よる標準報酬の等級と資格取得時決定による標準報酬の等級に 2 等級以上の差があると きに随時改定を行う。 ⑤ 給与改定が遡及して行われた後に、更に支給誤りなどの理由により遡及して標準報酬を見直 す場合の算定基礎月となる各月の報酬は、給与改定後の報酬により算定して差し支えない。 例:H28.4 月 1 日に資格取得した者が、H28.12 月にH28.4 月に遡及する給与改定の実施が あり、H29.2 月に採用時の初任給の格付けが誤っていたことが判明した場合 H28.4 月に遡及して標準報酬を見直し、H28.4 月の報酬は給与改定後の額になります。 なお、この者に対する定時決定の見直しも行うことになり、算定基礎月である 4 月、5 月、6 月の報酬は正しい初任給の額及び給与改定後の額により算定する。 第3章 資格取得時決定 -4- 4 資格取得時決定の事務処理 (1)給与支給機関の事務処理 ① 新規採用者、転入者等が受ける報酬を固定的給与・非固定的給与に区分し、これを基に報酬 月額の算定、標準報酬等級表への当てはめを行い、「標準報酬新規・転入基礎届」又は当該基 礎届に係るデータを組合に提出する。(施行規程第 101 条の 2 第 2 項) なお、データにより提出する場合は紙による基礎届の提出の必要はない。 ② 併せて、組合における標準報酬の決定を待たずに、掛金等の徴収及び組合員への標準報酬の 通知を行う。 ③ 組合から基礎届に係るデータについて誤りの連絡があった場合は、当該データの訂正を行い、 再度、誤りのあった組合員に係る基礎届又は当初提出した当該基礎届に係るデータで修正後の ものを組合に提出する。 ④ 組合から標準報酬の決定の連絡を受けたのち、誤りのあった組合員に対して、すでに通知し た標準報酬の訂正を行い、次回の掛金徴収時に誤った分の掛金等を追徴・返戻を行う。 (2)組合の事務処理 ① 組合は、給与支給機関から提供された基礎届に係るデータを組合員情報管理システムに取り 込み、標準報酬の等級及び月額のチェックを行う。 ② チェックの結果、誤りがあった場合は、エラーリストにより給与支給機関に修正を依頼する。 ③ 給与支給機関から提供された修正後の基礎届に係るデータを、再度、組合員情報管理システ ムに取り込み、標準報酬の等級及び月額のチェックを行う。 ④ 標準報酬の決定を行い、給与支給機関へ決定の連絡を行う。 第3章 資格取得時決定 -5- ◇ 資格取得時決定の事務処理の流れ 第3章 資格取得時決定 -6- 第3章 資格取得時決定 -7- ⑪ ③ ⑪ ③ ⑪ ③ ⑪ ③ ⑪ ③ ⑪ ③ 支部コード 級 ⑯ 退 ⑰ ⑰ ⑯ ⑮ ⑭ ⑬ ⑫ ⑰ ⑯ ⑮ ⑭ 退 厚 短 退 厚 ⑫ 短 ⑬ 級 ⑯ 退 ⑰ 級 級 級 ⑥ 級 級 級 ⑥ 級 ⑭ 厚 ⑮ ⑥ 級 級 級 退 厚 級 ⑫ 短 ⑬ ⑰ ⑯ ⑮ ⑭ ⑬ ⑫ 短 級 ⑥ 級 ⑬ 短 ⑥ 従前の標準報酬等級 / 月額 ⑥ 基礎届種類 ⑭ 厚 ⑮ ⑫ ⑰ ⑫ ~ 組合員番号 従前の適用年月 共済組合コード 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 ⑳ ⑲ ⑱ ⑳ ⑲ ⑱ ⑳ ⑲ ⑱ ⑳ ⑲ ⑱ ⑳ ⑲ ⑱ ⑳ ⑲ ⑱ ㉔ ④ ㉓ 月 ㉓ 月 ㉒ 月 ㉑ 月 ㉓ 月 ㉒ 月 ㉑ 月 ㉓ 月 ㉒ 月 ㉑ 月 ㉓ 月 ㉒ 月 ㉑ 月 ㉓ 月 ㉒ 日 ㉖ 日 ㉕ 日 ㉔ ④ 日 ㉖ 日 ㉕ 日 ㉔ ④ 日 ㉖ 日 ㉕ 日 ㉔ ④ 日 ㉖ 日 ㉕ 日 ㉔ ④ 日 ㉖ 日 ㉕ 日 ㉔ ④ ㉖ ㉒ 支払基礎日数 ㉕ ㉑ 月 ㉑ 算定基礎月 組合員氏名 共済組合名 / 支部名 みなし 17日 性別 ㉙ ㉘ ㉗ ⑤ ㉙ ㉘ ㉗ ⑤ ㉙ ㉘ ㉗ ⑤ ㉙ ㉘ ㉗ ⑤ ㉙ ㉘ ㉗ ⑤ ㉙ ㉘ ㉗ ⑤ 平成 平成 平成 平成 平成 ⑦ ㉜ ㉛ ㉚ ⑦ ⑦ ⑦ ⑦ ⑦ 円 ㉜ 円 ㉛ 円 ㉚ 年 月 日 円 ㉜ 円 ㉛ 円 ㉚ 年 月 日 円 ㉜ 円 ㉛ 円 ㉚ 年 月 日 円 ㉜ 円 ㉛ 円 ㉚ 年 月 日 円 ㉜ 円 ㉛ 円 ㉚ 年 月 日 固定的給与 生年月日 所属所名 平成 平成 平成 平成 平成 円 円 円 年 月 日 円 円 円 年 月 日 円 円 円 年 月 日 円 円 円 年 月 日 円 円 円 年 月 日 非固定的給与 適用年月日 ㉟ ㉞ ㉝ ⑧ ㉟ ㉞ ㉝ ⑧ ㉟ ㉞ ㉝ ⑧ ㉟ ㉞ ㉝ ⑧ ㉟ ㉞ ㉝ ⑧ ㉟ ㉞ ㉝ ⑧ 平成 平成 平成 平成 平成 円 円 円 年 月 日 円 円 円 年 月 日 円 円 円 年 月 日 円 円 円 年 月 日 円 円 円 年 月 日 合 計 事由発生年月日 標 準 報 酬 新 規 ・ 転 入 基 礎 届 ㊳ ㊲ ㊱ ㊳ ㊲ ㊱ ㊳ ㊲ ㊱ ㊳ ㊲ ㊱ ㊳ ㊲ ㊱ ㊳ ㊲ ㊱ 修正平均額 平 均 額 報酬の総額 ㊷ ㊶ ⑨ 短 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 退 厚 短 ㊻ ㊺ ㊹ ㊸ ㊷ ㊶ ⑨ ㊻ ㊺ ㊹ ㊸ 退 厚 短 退 厚 ㊶ 短 ㊷ ⑨ ㊺ 退 ㊻ ㊸ 厚 ㊹ ㊶ 短 ㊷ ⑨ ㊻ ㊺ ㊹ ㊸ ㊷ ㊶ ⑨ ㊺ 退 ㊻ ㊴ ㊴ ㊴ ㊴ ㊴ 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 級 ㊵ ㊵ ㊵ ㊵ ㊵ 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 円 千 改定事由コード 標準報酬等級 / 月額 処理区分 ㊴ 算定コード ㊵ ㊸ 円 厚 ㊹ 円 ㊻ ㊶ ~ ⑨ 平 成 ㊿ 退 ㊾ 厚 ㊽ 介 ㊼ 短 ㊿ 退 ㊾ 厚 ㊽ 介 ㊼ 短 ㊿ 退 ㊾ 厚 ㊽ 介 ㊼ 短 ㊿ 退 ㊾ 厚 ㊽ 介 ㊼ 短 ㊿ 退 ㊾ 厚 ㊽ 介 ㊼ 短 ㊿ ㊽ ㊾ ㊼ 年 掛 金 額 月 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 円 日
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