新形態の営業部隊 「シンジケート・セールス・フォース」

新形態の営業部隊
「シンジケート・セールス・フォース」
欧米発CSOサービスモデルの国内展開に大きな手ごたえ
スペシャリティ領域へのシフト
れている製薬企業にとって同様の課題
設定されるため、コストを抑えながら
への対策が急務となっている。
もカバレッジを保ったプロモーション
が可能となる。さらに、製品数や活動
製薬業界におけるスペシャリティ領
域製品へのシフトはますます明確に
なっている。2012年ごろからその兆
の割合は、参画する製薬企業間の合意
シンジケート型ソリューションの誕生
があれば柔軟に設定できるという。
候はあり、2014年にはFDAが新たに
欧米の製薬企業ではこうした課題に
製品ライフサイクルのステージや季
認可したもののうち、スペシャリティ
対応するため、主要品目ではない先
節性、競合状況などに応じ、それぞれ
領域の製品数がその他の製品数を超
発品や長期収載品についてグローバ
の製品のニーズに合わせてディテーリ
え、この傾向は確実なものとなった。
ルCSO企業に対し、より柔軟でコス
ングの割合や内容は設定される。図で
しかし一方で、一時代を築いたプラ
トパフォーマンスの良いサービスの
示すとおり、D1ポジションでは詳細
イマリー領域の製品は現在でも製薬企
提案を求めた。そのひとつの回答が
な薬剤・臨床効果の説明が可能であり、
業における売上の多くを占めており、 「シンジケート・セールス・フォース」
製品ライフサイクルの導入期から成長
日本市場においては医薬品売上総額の
である。ヨーロッパ最大のCSO企業
期に対応できる。D2ならば簡単な薬
約70%がスペシャリティ領域以外の
Ashfield Healthcareが提供している
剤・臨床効果の説明に向いているため、
製品である。
スタンダードモデルの場合、CSO企
ある程度の認知があり継続的なSOV
オンコロジーや免疫疾患、ウイルス
業の単一のプロジェクトとして、異な
が必要な主力製品などに適している。
性肝炎、膠原病などのスペシャリティ
る3社の製薬企業における競合しない
D3では、長期収載品などで安定的な
領域疾患の治療に対する期待が高まる
複数製品のプロモーションを完全業務
売上の継続のために、シンプルなブラ
今、限られた予算の中で既存のプライ
委託形式で請負う。メインに据えた製
ンドメッセージを伝えるには十分な効
マリー製品がもたらす売上を確保しな
品を「D1」と呼び、ディテーリング
果が期待できる。
がら、どのようにスペシャリティ領域
時間のうち60%を、次ぐ「D2」の製
こうしたシンジケート型モデルを活
に焦点をシフトするかが製薬企業に
品 に は30%、「D3」 に は10%、 と 割
用することによって、製薬企業は主要
とって大きな課題となっている。
合を事前に定め、MRは施設訪問の際
品目以外のMR活動に自社リソースを
国外に目を向けると、販売総額の成
に毎回全ての製品について情報提供を
投入することなく、主力製品やスペ
長率においてスペシャリティ領域製品
行う。業務委託費はこの割合に応じて
シャリティ領域の製品に対する戦略、
の割合は、北米では53%、ヨーロッ
パにいたっては94%と一層顕著であ
る。そのため両地域では、収益確保と
スペシャリティ領域へのシフトという
大きな課題に対する取り組みが既に何
ディテール 60%
詳細な薬剤・臨床効果の説明
簡単な薬剤・臨床効果の説明
ディテール 30%
シンプルなブランドメッセージ
ディテール 10%
年にもわたって行われている。
日本国内でも、先発品のうちスペ
広域の
カバレッジが必要
な成長製品群
シャリティ領域の製品が占める割合が
2015年では30%、2020年には42%
にのぼると予想されており、様々な環
境変化や新しい医療制度の対応を迫ら
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Monthly ミクス2016年8月号
製品のライフサイクル
シンジケート・セールス・
フォースにフィットする
製品プロファイル
新たに
上市された製品・
上市後の製品
プロモーションに
対応する成熟期
の製品群
季節性のある製品
継続的なSOVが必要な主力製品
長期収載品
特許切れ製品
提供:シミック・アッシュフィールド株式会社
優先度の高い重要ターゲットへの集
合併喘息などの呼吸器疾患、皮膚疾患、
展開すべく、国内マーケットにおいて
中が可能となる。製薬企業にとって、
ワクチンや抗生物質など、10以上の
このモデルが機能するのかどうか、3
自社MR部隊よりコストを抑えながら
疾患領域で様々な形態のシンジケート
社の製薬企業(内資系・外資系混合)
も、プロモーションを維持しSOVを
型プロモーション活動を行っている。
の協力の下、同じ診療科、ターゲット
施設でありながら競合しない製品を選
高めるひとつの選択肢となるだろう。
このモデルはヨーロッパ各国とア
メリカの製薬企業においては有用性
国内での実証プロジェクト
定してパイロットプロジェクトとして
の運用を行なった。
が証明されており、前述のAshfield
2015年、国内でCSO事業を行うシ
実際にチームを率いた同社の営業統
Healthcareは同様のサービスを15年
ミック・アッシュフィールドはシンジ
括部長新谷隆氏にその成果を聞いた。
前より展開している。糖尿病、COPD
ケート・セールス・フォースを国内で
新谷氏⃝パイロットプロジェクトを開始す
医師がディスカバリーチームによる情報提供の有用性を一般
るにあたって私たちはMR部隊を組織し、
的な製薬企業のMRと同等もしくはそれ以上と評価してくだ
3製品に対する特別な研修を行いました。
さったのです。プロジェクト実施に向けたトレーニングと高
そして、チームへの期待をこめて「ディス
度なマネジメントが求められるプロジェクトでしたが、MR
カバリーチーム」と名付けてエリアへと送
はコール実施のたびに担当3製品について情報提供を実際に
り出しました。
行いました。それだけではなく、活動実績面でも今回のプロ
ディスカバリーチームは6ヶ月にわたって神奈川と大阪の
ジェクトのKPIに設定していた新規口座数と売上成長率の目
2つのエリアで稼動しました。当社のMRは製薬企業名が入っ
標値を、大きく上回ることができたのです。
た名刺ではなく、“シミック・アッシュフィールド” の名刺
このパイロットプロジェクトを通じて、シミック・アッシュ
を携え、当社のプロジェクト戦略のもとで、ターゲットとなっ
フィールドはシンジケート・セールス・フォースモデルが日
た1000軒を超えるGP施設を訪問対象として活動しました。
本国内においても非常に効果的かつ効率的であることを証明
―― パイロットプロジェクトの検証ポイントは
できたと考えています。
新谷氏⃝3つありました。果たして製薬メーカーのMRでは
―― 製薬企業のどのような営業戦略に適しているのか
れていただけるのか、MRは訪問のたびに3製品全てをディ
あります。そして有用性も実証もされました。製薬企業様の
なく、CSO企業である当社のMRによる訪問を医師に受け入
新谷氏⃝このモデルには、活動にも費用にも柔軟な選択肢が
テーリングできるのか、そしてシンジケート・セールス・
戦略において自社MR部隊を強化してカバレッジを拡大する
フォースの活動が全て製品の業績に良い影響を与えられるの
場合でも、MR活動を主力製品に完全シフトする場合でも、
か、の3点です。
様々な戦略と並行してSOVを維持・向上するための選択肢と
これらを検証すべく、事前に製品それぞれに合意したKPI
して捉えていただければと思います。シンジケートモデルが
に対して責任を持ってプロジェクトの運営を行いました。
効果を発揮する製品はたくさんあると感じています。
―― シンジケートモデルの有用性を示す成果は
当社にはパイロットプロジェクトを通じて、実際に運営し
たからこそ知りうる、各ポジションに適した製品のタイプ、
新谷氏⃝ディスカバリーチームは精力的にターゲット施設に
複数社の製品を扱うマネジメントのあり方、業績における
訪問し、3製品の情報提供を行い、活動は随時当社のCRMに
確かな結果を残す方法といったノウハウがあります。私たち
入力を行ないました。そして、6ヶ月後のパイロットプロジェ
のソリューションがきっとお役に立てると確信していますの
クトが終了したとき、その成果を見て私たちは確信しました。
で、多くの製薬企業様にシンジケート・セールス・フォース
まず96%の医師が当社のMRの訪問を受け入れてください
の詳細をお伝えし、発展させたいと考えています。
ました。そして訪問を受け入れていただいた施設の93%の
シンジケート・セールス・フォースに関するお問い合わせは
Tel:03-6779-8141
[email protected]
データ出典:
PwC Health Research Institute
Evaluate Pharma World Preview 2015
IMS Health “Global Medicines Use in 2020”, November 2015
IMS Institute for Healthcare Informatics “Global Outlook for
Medicines through 2018”, November 2014
IMS Health “Global Medicines Use in 2020”, November 2015
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