一般財団法人松井文庫 企画展示 平成 28 年 7 月 27 日(水)~10 月 2 日(日) め 花を愛でる [解説シート] くに し て い めいしょう しょうひんけん ひ ご はなしょうぶ 国指定 名 勝「松浜軒」は、門外不出の肥後花菖蒲で知られる庭園です。5 月末から 6 月上旬、 つきやま ちゃしつ 園内に植えられた菖蒲が池や築山、茶室などとの調和のなかで、美しく花を咲かせます。庭園に ふじ すいれん は、他にも藤、コウホネ、睡蓮など、四季折々の花を愛でることができ、都市化が進んだ八代の 中心部にあって、樹々に囲まれた園内は市民のオアシスとなっています。また、旧八代城主・松 井家に伝来する文化財のなかに、江戸時代の博物学ブーム、園芸ブームの影響を受けて描かれた 絵巻があります。 あさがおせいしゃ ずかん 朝顔生 写図巻 江戸時代の園芸ブームが生んだ傑作! 江戸時代後期(19 世紀) 紙本著色 巻子装 全 3 巻 とよとみひでよし せんのりきゅう ろ じ つ 豊臣秀吉を茶席に招くことになった千 利 休 は、当日の朝、露地に咲いた朝顔の花をすべて摘み 取り、朝顔の花一輪のみを茶室に飾りました。群れて咲き誇る華やかさもさることながら、一輪 の花の気品あふれる美しさに気づかせてくれるエピソードです。 約 1200 年前、薬草として日本に伝えられた朝顔は、江戸時代後期に始まる園芸ブームの花 へ ん か あさがお 形となりました。色や形が変化しやすいことから 400 品種を超える「変化朝顔」が生み出され、 だ い ご み たんのう 武士から庶民に至るまで園芸の醍醐味を堪能することができたからです。 あさがおせいしゃずかん 旧八代城主・松井家伝来の『朝顔生写図巻』 (松井文庫所蔵)は、全 3 巻の絵巻に 225 種もの 「変化朝顔」が描かれています。いつ誰が描いたものかは不明ですが、原種に近い丸い花びらが 多いことから園芸ブームが最初に興った文化・文政期(1804~30)頃の作と推定され、確かな ずかん けっさく 描写は写真以上のリアリティをもって朝顔の魅力を伝えます。まさに「朝顔図鑑」の傑作です。 一般財団法人松井文庫 〒866-0865 八代市北の丸町 3-15 ℡0965-33-0171
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