「ギヤ(歯車)の予備知識」 News No. 63-11 ギヤ(歯車)とは殆どの場合ギヤ中心で軸とつながり、軸の回転をギヤ同士で噛み合う歯を通して 別の軸へ伝達する役割を担っています。 身近には大小様々なギヤが使われています。 自転車・オートバイ・自動車・時計・機械設備・エレベータ・ホイスト・水門・建機・etc。 自動、手動に関わらず何かを動かす際には必ず働いている部品と言っても良いでしょう。 自転車の場合、ギヤと言っても厚み(幅)が薄く人力によるチェーンの駆動を伝えるのみ です。こういったチェーン駆動のギヤはスプロケットと呼ばれます。 変速機付き自転車の後輪を見ると右写真のようにスプロケットの径の大きなもの と小さなものが組み合わされているのが解ります。 ペダルを回す根元部分の大きなスプロケットは大抵1枚で、人間がペダルを 踏む力は動き出す瞬間に一番力が必要となります(この力をトルクと言います)。 後輪に多段スプロケットを組み、径の大きなスプロケットで動き出すように すれば軽い力でも楽に動けます。が、なかなかスピードは上がりません。 そこである程度動き出したら小径側のスプロケットへチェーンを移動させることに よってより早くタイヤを回すことが出来るのです。 左写真はウォームギヤです。シャフト側を回転させ、ねじのような歯で噛み合う ギヤへ動力を伝達します。 動力を伝達する軸が直角に位置するような場合に用いますが、ウォームは シャフト側を仮に高速回転させたとしても構造上ギヤ側はあまり早く回りません。 従ってウォームギヤは軽いトルクでゆっくりとギヤを回したいときなどに 使用されます。 右写真はラック&ピニオンです。殆どの使い方としては丸いギヤ側の回転を 直線状に歯が切られたラックに伝え、左右にラックを移動させます。 代表的な使われ方は自動車のステアリングでしょう。 自動車カタログの諸元を見ると操舵方式の欄に「ラック&ピニオン」と記載されて いるのを見たことがありませんか? これは左右に動かすハンドルの動きを、丸いギヤを介してラックに伝え タイヤの向きを機械的に変えているわけです。 最近ではハンドルの動きを電気的に読み込んで、ラックに相当する部品を アクチュエータで左右に動かすという技術も出てきているようです。 左写真は傘歯(かさば)歯車です。 ウォームギヤと同じように動力を伝達する軸が直角に位置するような場合に 使用します。 こちらはウォームギヤと違って高速回転をそのまま伝達できるのが特徴です。 歯切り加工 では歯切り加工はどのように行われているのでしょうか。 まず工具は右の写真のような「ホブ」と呼ばれるシェルタイプの 回転するカッタが主に使用されています。 写真のホブにはねじれが付いている為、工具が回転しながらワークも 規則正しくゆっくり回転する切り方になります。 左写真のようにシャフトの端に直接ギヤを切ったり (スプライン)するときにもホブを用います。 スプラインで歯のピッチが小さい場合はホブの ような刃物ではなく転造ローラーを使う場合も あります。 一般的に歯の加工が終わった後は熱処理して硬度を上げ、仕上げを行って完成となります。 ホブそのものはHSSで作られている為、切削条件は V=40~60m/min(モジュール 2~2.5)となります。 正面 圧力角 モジュール(m) モジュールとは歯の大きさを表しており m = d/z で算出されます。 d : ピッチ円直径、 z : 歯数 歯厚 s = 約1.6m(モジュール) インボリュート インボリュートとはインボリュート曲線で 形成された歯形を表します。 インボリュート平歯車各部の名称
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