診療科名:救急総合診療科

関東労災病院 内科専門医プログラム
診療科名:救急総合診療科
指導体制:
(診療科の特色、スタッフや診療実績など)
当院の理念における基本方針の一つに、『地域における救急・急性期医療の実施』
を掲げている。また、当院は川崎市中南部を中心とした医療圏において、地域医療支
援病院や災害拠点病院に認定されておりその果たす役割は大きい。当院がこれらの責
務を果たすべく、当科は地域における救急患者さんの受入れを積極的に行うように心
掛けている。
1. 当院は一次から三次までの(多発外傷など外因性三次症例を除く)様々な患者を
24時間、365日受け入れている。年間救急搬送件数は2015年度で6531台、救急外来
受診者数は15988人(救急搬送含む)であり、多様な救急症例を経験できる。
2. 平日日中のほとんどの内因性症例については、救急総合診療科にて初期診療を行
い、必要に応じて各専門科へ引き継ぐといった診療体制をとっている。
3. 心肺停止・ショック・急性呼吸不全・敗血症などといった重篤な症例について
は、当科が主科となり全身管理を中心とした集中治療(ICU入院加療)を行ってい
る。年間入室患者数はICU300件・HCU917件であり、選択ローテーションでICU研修
を選択すると、内因性・術後含めた症例を経験でき、人工呼吸器管理・NPPV・循
環作動薬などの使用に関して習熟できる。
4. 感染症や不明熱、呼吸器疾患、電解質異常を中心に、総合内科的な視点が必要な
症例の病棟管理も行っている。2015 年度総入院患者数は 396 人であった。
5. 当科のスタッフは様々なサブスペシャリティ(医療マネージメント、腫瘍・緩和
ケア、感染症、医学教育、救急など)を持った総合内科医から教育を受けること
ができる。
指導スタッフ:8名(非常勤2名含む)
部長:小西 竜太
医員:遠藤
大塚
拓郎
名倉 功二 横須賀 公三 高橋 直樹 吉井
肇
葵 星 加奈子
総合内科専門医2名、認定内科医6名、病院総合診療学会認定医3名
一般目標(GIO:General Instruction Objects)
内科専門医として全人的な医療を実践できるために、必須の基本的臨床能力(知識・
技能・態度)と救急・集中治療の基礎的知識・技能を習得する。
行動目標(SBO:Structural Behavior Objects)
PGY-3(後期研修 1 年次)の目標 総合内科病棟の研修
1. 患者-医師関係
1.1
患者、家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握できる。
1.2
医師、患者・家族がともに納得できる医療を行うためのインフォームド・コ
ンセントが実施できる。
1.3
守秘義務を果たし、プライバシーへの配慮ができる。
2. チーム医療
2.1
指導医や専門医に適切なタイミングでコンサルテーションができる。
2.2
上級及び同僚医師や他の医療従事者と適切なコミュニケーションがとれる。
2.3
同僚及び後輩へ教育的配慮ができる。
2.4
患者の転入・転出に当たり、情報を交換できる。
2.5
関係機関や諸団体の担当者とコミュニケーションがとれる。
3. 問題対応能力
3.1
臨床上の疑問点を解決するための情報を収集して評価し、当該患者への適応
を判断できる(EBM = Evidence Based Medicineの実践)。
3.2
自己評価及び第三者による評価を踏まえた問題対応能力の改善ができる。
3.3
臨床研究や治験の意義を理解し、研究や学会活動に関心を持つ。
3.4
自己管理能力を身に付け、生涯にわたり基本的臨床能力の向上に努める。
4. 安全管理
4.1
医療を行う際の安全確認の考え方を理解し、実施できる。
4.2
医療事故防止及び事故後の対処について、マニュアルなどに沿って行動でき
る。
4.3
院内感染対策(Standard Precautionsを含む)を理解し、実施できる。
5. 症例呈示
5.1
症例呈示と討論ができる。
5.2
臨床症例に関するカンファレンスや学術集会に参加する。
6. 医療の社会性
6.1
保健医療法規・制度を理解し、適切に行動できる。
6.2
医療保険、公費負担医療を理解し、適切に診療できる。
6.3
医の倫理・生命倫理について理解し、適切に行動できる。
6.4
医薬品や医療用具による健康被害の発生防止について理解し、適切に行動で
きる。
PGY-5(後期研修 3 年次)の目標 ICU も入れた研修内容
PGY-3(後期研修 1 年次)の目標に加えて、下記を行動目標とする。
・ 日常診療はスタッフとほぼ同様に行う。
・ ICU 研修では指導医とチームを作り、ICU/HCU 入室患者の診療を主担当医として関
わり、治療方針を決定することができる。
・ 動脈圧測定カテーテル・中心静脈カテーテル挿入、気管挿管の適応を判断し、処置
を単独でできるようになる。
・ 人工呼吸器の適応を判断し、初期設定から調整、離脱までを、指導医のサポートを
受けながらできるようになる。
・ NPPV の適応を判断し、初期設定から調整、離脱までを指導医のサポートを受けなが
らできるようになる。
・ 鎮静・鎮痛剤・循環作動薬などの適応を判断し、薬剤の選択・使用を指導医のサポ
ートを受けながらできるようになる。
・ ICU/HCU に入室する症例(内因性、術後含めて)を指導医のサポートを受けながら
管理できるようになる。
研修内容(LS:Learning Strategy)
PGY-3(後期研修 1 年次)総合内科病棟の研修内容
1. 2カ月間のローテート期間中は病棟研修を基本とし、週に3〜4コマは救急外来研
修を行う。
2. 毎朝夕のカンファレンスで受け持ち症例のプレゼンテーションを行い、看護師や
他科医師を含めたチームでの情報共有と治療方針の検討を行う。
3. 救急外来を受診した患者の初期診療を行い、指導医やその他の医療スタッフから
指導を受ける。また救急総合診療科をローテーションしている初期臨床研修医の
診療指導も合わせて行う。
4. 専攻医は入院患者の主担当医となり、上級医の指導を受けながら、自ら診察・検
査・治療の立案・実施を行う。
5. 担当患者の退院時には、退院時のサマリーを作成し、積極的に症例報告会・学会
での発表を行う。
6. 内科・救急に関する基本的な文献検索、データ解析、プレゼンテーション能力を
培う。
PGY-5(後期研修 3 年次)ICU 研修の内容
1.
2カ月間のローテート期間中はICU病棟研修を基本とする。
2.
毎朝夕のカンファレンスで受け持ち症例のプレゼンテーションを行い、看護師や
他科医師を含めたチームでの情報共有と治療方針の検討を行う。
3.
専攻医はICU/HCU入室患者の担当医となり、上級医の指導を受けながら、自ら診
察・検査・治療の立案・実施を行う。
4.
救急総合診療科のICUローテーションをしている初期臨床研修医の診療指導も合
わせて行う。
5.
積極的に症例報告会・学会での発表を行う。
6.
内科・救急・集中治療に関する基本的な文献検索、データ解析、プレゼンテーシ
ョン能力を培う。
週間スケジュール
PGY-3(後期研修 1 年次)総合内科病棟のスケジュール例
7:30
午
月
火
水
木
金
7:45〜8:45
7:45〜8:45
7:30〜8:15
7:45〜8:45
7:45〜8:45
カンファレンス
カンファレンス
内 科 医 局 会
カンファレンス
カンファレンス
前 病 棟 研 修 救急外来研修 病 棟 研 修 救急外来研修 病 棟 研 修
12:15〜13:00
午
昼レクチャー
昼レクチャー
感染症カンファ
放射線カンファ
昼レクチャー
後 病 棟 研 修 病 棟 研 修 救急外来研修 病 棟 研 修 病 棟 研 修
17:00〜 申 し 送 り 申 し 送 り 申 し 送 り 申 し 送 り 申 し 送 り
研修評価(EV:Evaluation)
1. 研修期間中においては、受け持ち患者や救急外来受診患者に対する診療姿勢や診
療内容、プレゼンテーション能力を、指導医が中心となって観察・評価し、その
内容をフィードバックする。
2. 研修終了時において、自己評価項目について指導医と指導責任者による評価を行
う。
3. 研修終了時において、当院規定の評価表に基づいて看護師からの評価を受ける。
4. 研修医は、研修診療科および指導医を評価する。