− 本格的スイッチ教材シリーズ4 − 傑作スイッチ&リレーボックス⑩ 県立ゆきわり養護学校 教諭 東海林 (1) スイッチ編 (以下傑作スイッチ&リレーボックス①に収録) ① フィルムケーススイッチ…ナースコール型のスイッチが簡単にできる ② カセットケーススイッチ…手頃な大きさの万能スイッチ (以下傑作スイッチ&リレーボックス②に収録) ③ 極薄CDスイッチ…厚さ 4 ㎜の極薄スイッチ ④ AGFスイッチ…ターゲットは大きいのに異次元の軽さ ⑤ ペットボトルスイッチ…粗大な動きにも耐える「かかって来い!」型スイッチ (以下傑作スイッチ&リレーボックス③に収録) ⑥ フワフワスイッチ…360度どの方向に傾けてもスイッチオン ⑦ コロスイッチ…手のひらだけでなく肘や足も使える ⑧ 呼気スイッチ…息を吹きかけて操作するスイッチ (以下傑作スイッチ&リレーボックス⑤に収録) ⑨ 簡単スイッチ…部品が少なく、配線が少なく、故障も少ない傑作スイッチ ⑩ スーパーひもスイッチ…思い切り引いても壊れないひもスイッチ ⑪ 2回路切り替えスイッチ…A or B、スイッチで二者択一できます。 (以下傑作スイッチ&リレーボックス⑥に収録) ⑫ 簡単スイッチW(ダブル)…簡単、コンパクトでゲーム用として最適。 ⑬ 2回路切り替えシーソースイッチ…一人で二つのスイッチをコントロール ⑭ ズラスイッチ…指先でターゲットをズラせばON。微細な動きに対応する。 (以下傑作スイッチ&リレーボックス⑨に収録) ⑮ マワスイッチ…つまみをちょっとまわすと、左右それぞれのスイッチが入る ⑯ タオスイッチ…軽いタッチですうっとレバーが倒れてスイッチオン ⑰ 4キーボード…10(テン)キーならぬ、4(ヨン)キーボード登場。 ⑱ (傑作スイッチ&リレーボックス⑩に収録) ボイスイッチ… 手を使わず、声でスイッチを入れることができる。 (2)リレーボックス編 (以下傑作スイッチ&リレーボックス④に収録) ① 3VDCパワーサプライ…乾電池等の電源を使いたいとき 簡易タイマー付き ② 100Vパワーサプライ…家庭用コンセントの電源を使いたいとき (以下傑作スイッチ&リレーボックス⑦に収録) ③ 電流反転型3VDCパワーサプライ…模型用モーターの正転、逆転を制御 ④ 瞬間電流型20VDCパワーサプライ…一瞬だけ大電流を流してストップ (以下傑作スイッチ&リレーボックス⑧に収録) ⑤ 3VDC パワーサプライ・スタンダード…リレーボックスの基本。ほぼこれで、用は足りる。 ⑥ 3VDC パワーサプライ・デラックス…2ボタンで3出力!欲張りリレーボックス ⑦ (傑作スイッチ&リレーボックス⑩に収録) 12VDCパワーサプライ(4芯電話線プラグ対応4出力)…直流12V出力。車載用パーツも使える。 -1- 忍 (1) スイッチ編 ⑱ ボイスイッチ 以前、呼気スイッチを紹介した。簡単な仕組 みで手を使わずに息を吐き出してスイッチ操作 ができるものだった。さて、今回は呼気ではな く声に反応するスイッチを考えてみたい。声で スイッチを入れると、周りの人も 、「ああ、○ ○君が声で操作してるな 。」と、よくわかり都 合のよいことがある。ただ、電気を使うとして、 声の微弱な交流電気信号を数ボルトの直流電気 信号に変えないとスイッチの操作はできない。 ゼロから設計するのは大変。そこで、参考になる過去技術はないかと検索する。最 先端の技術ならば声はおろか言葉まで理解するが、声(音)でいい。少し昔、昭和の .01μF C DC9V ボイスイッチの回路図 ⑤ ② リレーボックスへ B E E B C E 220μF E ④ ⑥ C B .01μF 1μF ③ 47μF C B ① 33kΩ 82kΩ 1MΩ 2.2μF .04μF MIC 2kΩ 470kΩ 47μF 3kΩ 技術がよろしい。ややっ、古いラジコンに使われていた回路の一部が使えそうだ。 トランジスタはすへて2SC1815 効率のよいコンデンサーマイクを使いたいが、身の回り品で代用する。引き出しを 探ると壊れたヘッドフォンを発見。スピーカーはマイクになる。片側を切り落として 使うことにした。これに100円ショップで手に入れたフレキ管を取り付けた。こう すると、容易に口の高さに合わせられる。市販のスタンド付きのマイクのように仕上 った。 使い方はいつものスイ ッチのようにリレーボッ クスにつないで使えばよ い。違うのはボイスイッ チ内部に電源があるので スイッチを入れて使うと リレーボ ックスへ つなぐ端 子(裏) ちょん切った ヘッドフォン 自由に曲がる フレキ管 ころだ。使える状態か確 スイッチ かめられるように発光ダ イオードのパイロットラ ンプも装備した。 パイロットランプ -2- 逆さにした タッパー ボイスイッチの実体配線図 マイク (ヘッドフォン) リレーボックスへ の出力用モノラル イヤホンジャック 発光ダイオード 乾電池との 接続には専用 コネクタを使 うこと 極性あり K A 3KΩ トグルスイッチ 電界コンデンサ 47uF 9V + マイナス の目印 2.2μF B 1μF C E B .04μF F 1μ 0 . C B E C .01μF E 33kΩ 82kΩ 1MΩ 470kΩ 4.7kΩ 極性あり ⑥ ④ ③ ② ① 47μF 2SC 1 1815 ECB ③ NPNトランジスタなら なんでもよい。増幅率h FE の高いものを使って いる。 トランジスタは3本足。Eはエミ ッタ、Cはコレクタ、Bはベースで す。左からエクボと覚えましょう。 220μF E ① ⑤ ⑥ ④ リレー B C ほとんどのパーツはコード配線する のではなく、基板上に取り付ける。 ⑤ 使用したリレーの図 ⑤ ⑥ ③ ① ④ ② ② 通常①⑤間は開放、②⑥間は閉鎖。③④が通電 すると①⑤間は閉鎖、②⑥間は開放となる。⑤ ⑥間は常につながっている。 部品点数がやや多いので、どうやってそろえればいいのだと悩むのであれば、適当 なキット製品を購入するのもよいだろう。また、感度を上げたいならコンデサマイク を使う。そのときは回路図の点線の抵抗を必ず加えること。コンデンサマイクには電 源が必要で点線の抵抗を介して供給するが、抵抗値により若干感度が変わるのでいろ いろと挑戦してみるとよい。 -3- (2)リレーボックス編 ⑦ 12VDCパワーサプライ(4芯電話線プラグ対応4出力) カー用品店に行くと、自動車に関わる商品 の豊富なことがよくわかる。中でも電飾アク セサリーのコーナーにはいったい何のため に?ここはカラオケボックスか?と思うよう なムードたっぷりな仕掛けも売っている。こ れらが全て直流12Vで動作する。家庭用電 源よりずっと低い電圧だから、自作教材化し やすい。これを利用しない手はない。 さて、今回は4芯コードを使ってスイッチからの信号を受け取られるようにした。す ると、最大4つのスイッチからの情報が識別可能になる。つまり、このリレーボックス は4つのスイッチそれぞれに対応して直流12Vを出力できるようになっている。 製作にあたり、どのようにしてそれぞれのスイッチの開閉を識別するのか。次に、対 応する出力端子にどうやって12Vを送るのかを理解しておこう。 A S3 S1 S2 S4 B イ ロ スイッチ側の図 12V A O1 B O2 イ O3 ロ O4 出力側の図 まず、S1が閉じると電流はA→イを通 過する。S2が閉じるとA→ロ、S3なら B→イ、S4ならB→ロとなる。だから、 A、B、イ、ロにリレーをおけば電流の通 過を認識し、他の回路の開閉をコントロー ルできる。なお、一度に二つのボタンを押 すと全てのリレーに電気が流れてしまうこ とがあるのも理解しておこう。 次に、出力側の図を見てみよう。A、B、 イ、ロが電流通過で閉じるリレーだ。S1 が閉じれば、A、イも閉じ、出力端子O1 に 12Vが発生する。S2以下が閉じた ときも同様だ。ダイオードは機器をつない だときの逆流防止用である。 なお、この理屈ならば6芯コードで9個、8芯コードならなんと16個のスイッチの 開閉状況を判断できる。身近に8芯のコードなんてあるだろうかと首をひねる方もいる かもしれないが、LANケーブルがそれにあたる。学校には不要ケーブルが結構あるの ではないかな。100円ショップに行っても関連した品物が容易に手に入る。 + 1 + 2 スイッチ 1 2 1 3 4 5 − 4芯 − 6芯 -4- 3 4 6 − 6 4 + 5 4 3 2 7 8 8芯 ① ③ ⑤ ③① ⑤ ⑥ ④ ⑥ このリレーボックスの電源は、家庭用コ ンセントの交流100Vを使用する。手っ ④② 取り早く12Vまで下げるため、使わなく なった電化製品のACアダプターを流用す ② る。日頃からすぐ捨てないように。ただし、 通常①⑤間は開放、②⑥間は閉鎖。③④が通電 すると①⑤間は閉鎖、②⑥間は開放となる。⑤ ⑥間は常につながっている。③④にかけられる 電圧は3∼24V。 12V用のパーツと言えども多くの電流を 流すものもある。それが4出力なのだから 今回使用したリレーの図 十分な容量のあることを確かめて使用する。 4芯コードのジャックは電話線を延長するパーツがホームセンター等には必ずあるか らこれ利用すればよい。500円前後だ。 + ロ 電話用4芯 ジャック B A − 実体配線図 イ 12V出力 RCA ピンジャック Rイ RA ダイオード RB Rロ リレー基板裏面 リレーをユニバーサ ル基板に固定し、実態 図の通りに配線する。 後から動作不良の原因 を特定するのは難しい ので、部品の動作を確 4芯コードのプラグとジャック 配線の終わった基板(表) 認しながら配線する。 4つの機器のON、OFFがやりやすいように独立した出力端子を設けた。構造上、 4つの出力の−側を束ねることはできない。しかし、2つずつなら+側も束ねること は可能。応用するときは回路図をよく見てからにしよう。 -5-
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