飼料用とうもろこし不耕起栽培の可能性

16飼 料 用 と う も る こ し不 耕 起 栽 培 の可 能 性 (畜試 草 地 部 )
とうもろ こ しの不耕 揮栽培 は、省力的 な栽培法 であ り、収 量性等
か らみ て も耕起 に劣 らず した がって 経 営 等 の 条 件 に よ
って は効果
的 な技術 であ る。
(1)背 景 と特徴
乳牛 をは じめ、肉用牛 飼養 において も飼料用 とうもろ
こ しの栽培意欲 が高ま り、 そ の栽培 も
は場区画 の小 さい水回転 作 をは じめ 、機械作業 の 困難 な傾斜畑 まで作付
が進み つつ あ る。
)栽
こ う した ことか ら栽培 の省力化 をね らい と し、耕 転、整地 を省略 した不耕起 (簡易整地
の
に供 す る。
培 につ いて検討 した ところ、実用化 の可能 性が うかがれ たので普及上 参考
(2)技 術 の 内容
1)と うもろ こ し不耕起栽培 によ る生育特性
1)生 産性
一
の
が
不耕起栽 培区 は耕起区 に くらべ生育 の初期 に 時停滞す る ことが認 め られ る 、生育
中期以降、収穫 期 にお いては、ほぼ同 程度 の生育量 を示 した、 と くに出業数 、抽雄 期 、絹
糸抽 出期、成熱期 な ど、生育 の時期的経 過 において も、その差 はみ られ なか
った。
一方、千 魅年 における発芽勢 は不耕起 区 が と くによか った 。
2)収 量性
g、 2年 次 177,7∼ 171.7竹、
収量 を乾物総収量 でみ ると、初年 次 α当 り209.9∼ 252.4角
クの収量 が得 られ、耕起区、不耕期区 によ る差 は少 なか った 。
3年 次 147.8∼ 166.8角
ただ し、収穫 を雌穂重 で比較す ると不耕起区 か劣 る傾 向がみ られ た。 この原因と して生
一
育 の後半肥 料切 れ の現 象 がみ られ、 方耕起区 では中耕土寄 せ後肥効 の 持続 が うかがわれ
た。
3)不 耕期栽培 におけ る堆厩肥 の施肥法
不耕起栽培 にお いて播種後 の堆風肥表面施 用効果が認 め られ、堆 脇肥無施 用に対 し、耕
起施用区 の収量指数 111に 対 し、不耕起表面施用 の 108と 、堆 風肥 の施用効果 は大 きか っ
た。
4)除 草 体 系
不耕起栽培 における除草体系 として除草剤 (播種直後アフ ァロン水和剤309/2)の
散
布により雑革の柳圧が可能であった。
2 ) 栽 培 の省力性
とうもろ こ しの栽培 について、耕起 か ら中耕 、土寄作 業までの標 準所要時間 で比較す ると
約 4 3 % の 省力 とな った。 なお、融雪後春季の忙 しい時期 に天候 に大 き く左右 されず、不耕起
-295-
の まま播 種作業が可能 で あ り、適期作業上、 また労働配分上 、効果 的 で あ る。
( 3 ) 指 導上 の 脅意点
1 ) こ の技術 は、ト ラクタ ー等機械作業 の難か しいは場、あ るいは耕起 した上数 の エ ロ ージョ
ンがコ
じヽ
配 され る地 域 で とくに好適す る。 ただ し、重粘土壊地域で は注 意 を要す る。
2 ) 堆 厩肥 の 表酌施用 に 当 た り、 ア ール 当た り3 0 0 角ョでは効 果的 で あるか、6 0 0 角クで は播種 後
の種 子が堆 肌肥 の下敷等 によ り生育 不良かみ られ るので と くに注意 を要 す る。
3 ) 除 草体系 の うち、雑車 の多 いほ場 では、播種 直後 のほか生育期処理 も必要 で あ る。
t4〕 関連課題名
青 刈 とうもろ こ し不耕起栽培 によ る生育特性、5 3 ∼5 5 年 岩 手畜試
15) 主要成果 の具体的 デ ー タ
耕起 1
″ 2
不耕 3
″ 4
″ 5
″ 6
″ 7
数 (枚)
″ 6
″ 7
調査月 日
6
6.19
︲
︲′
、″ と、
″
′
ヽ
ヽ
︲
′F
・
一 一ヽ 一 一 一 ・
一︻
不耕 3
″ 4
〃 5
,
3, ︲︲
、
ヽ ︻ ︻ ,い ヽヽ く
●
‘
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ヽ﹁ ,
P ,卜ヽ ◆ヽ 屯 ′”H
耕起 1
″ 2
20
10
7.15
図 1 車 丈、葉数 の推 移
-296-
8.12
g/α 、%)
(単位 :角
年度
内
標
長
収
量
実 数
指 数
総 量
ナ
ltL穂
量
容
1 耕 起
標
肥
256.7
100.0
209.9
2
″
多
肥
247.4
96.4
257.
3 不 耕
標
肥
260.4
101.4
252.
4
″
少
肥
252. 1
94.4
237.
5
〃
多
肥
246.7
96.1
271.
6
〃
多
肥
252.0
98.2
240.
7
″
多
肥
249.5
97.2
249.
218,4
100.0
総 重
雌穂重
88.7
100.0
100.0
00.7
122.6
113.5
oo.7
120.2
135.5
密
79.3
110.5
89.4
85.2
114.7
96. 1
530株
78.6
119.ユ
88.6
660
159,1
82.3
100.0
1 0 0 。0
1 1 1 . 1
108 4
9
〃
〃
3
229.2
104.9
177.7
89.2
3
″
〃
6
244.2
1 1 1 . 8 155,8
78.0
97.9
94.8
150.6
72.1
94.7
87.6
108.0
94.7
95.5
87. 1
4 不
耕
5
〃
6
″
207.8
95.1
3
222.8
102.0
171.7
77.9
6
229.4
105.0
151.9
7 1 . 7
248.9
100。0
147,8
69.5
100.0
100.0
247.7
99.5
143.4
61.1
97.0
87.9
3
2 5 2 . ユ 101.3
166.8
67.3
1 1 2 . 9
96,8
6
246.4
99,0
150.6
65.2
101.9
93.8
0
〃
〃
〃
2 不 耕
3
〃
〃
〃
4
〃
〃
0
度
103.6
2
1 耕 起 歴 肥 3
55
数
9 1 , 9 113,3
9 8
54
4 8
1 耕 起 歴 肥 0
2
53
理
処
ヒ日
表 1 と うもろ こ し不耕起栽培試験 、調 査成績
660株
5
″
標 肥 密
269.9
108.4
159.3
65.1
107.8
93.7
6
″
多 肥 密
280.2
112.6
188.9
72.5
127.8
104.3
660
7
″
多 肥 密
284.2
114.2
179,2
72.6
121.2
104.5
660
表 2 飼 料用 とうもろこ し栽培 の所要労力比較
耕起
擁
耕起、整 地法
3.1
砕土
播種 卿
中耕
覆七 散 布
整 ■悔
作条
施肥
2.0
2.0
3.1
6.0
0.3
2.0
3.1
6.0
0.3
不 耕 起 法
2.0
培土
計
2.0
19,9
11.4
表 3 発 芽調 査 (5月 25日 )
区 分
数
発 芽
4
4
8
1
4
4
7
2
1
総 株
44
41
数
発 芽
率
40.9 %
6 1 . 4
2
3
93.2
4
44
40
90.9
5
44
40
90.9
6
48
42
87.5
7
60
52
86.7
-297-
摘
要
指 数 100、 中耕培土
57、 (72)
r″麓⑥
前年古株
ト
′
―
一
畦
―
一
―
一
一
一
巾
―
十
+
―
図 2 不 耕起栽培 の作業手順
8.2伽
OOO
6 4 2 ︵
長
3,7例
2.2餌
2.2伽
O O O
耕起 区
不
図 4 節 間伸長比較
標 多 標 少 多 多 多
図 3 土 壊深 と硬度
-298-
耕起 区