油脂系廃棄物からビタミンB2製造技術 食品加工業や油脂製油工程において、大量の油脂精製廃棄物(以下廃白 研究の背景と目的 朴 龍洙 土)は未利用のまま焼却処分され、炭酸ガスの発生源となっている。そこで、 廃白土に残留する未精製油脂を油脂資化微生物の栄養源としたリボフラビン (ビタミン B2)の効率的生産及びその精製法に関して研究を行い、廃白土の再 利用方法を開発する。 グリーン科学技術研究所 教授 廃白土に含まれている廃油脂資源を栄養素として糸状菌 Ashbya gossypii ■ キーワード の培養を行ない、その微生物の高いリボフラビン生合成能力を引き出すこと でリボフラビンを効率的に生産する。A. gossypii のリボフラビン生産性を向上 ・ リボフラビン ・ 微生物発酵 ・ 植物油 ・ 廃油脂 させる為に、突然変異及び遺伝子工学技術を用いると同時に培養における 研究の概要 ・ Ashbya gossypii 培地成分の最適化を行う。現在はリボフラビン生産のモデルとして精製され た菜種油を用いてフラスコ及び3L バイオリアクターでの研究を行なっている が、最終的には菜種油を廃白土と置き換えたリボフラビン生産を50L 規模の パイロットプラントにまでスケールアップする。生産されたリボフラビンは廃白 ・ 廃白土 土に吸着され、それは家畜の飼料添加物としてそのまま利用することを目指 ・ ゼロエミッション す。 ・ バイオリファイナリー ◎研究段階…( 着想 ・ 基礎 ・ 応用 ・ 開発 ) ・ ■ 技術相談に応じられる関連分野 特筆すべき研究ポイント: 原料として廃白土などの油脂系廃棄物を用いる点。 ・ 昆虫を用いたヒト由来の高次 リボフラビン生産に微生物を用いる点。 タンパク質の生産 ・ セルロース資源の分解による ・ 原料として廃白土などの油脂系廃棄物を用いる点。 有用物質の生産 ディーゼル製造 ・ 微生物による有用物質の生 産 ・ 発酵工学 セールスポイント ・ 油脂系廃棄物からのバイオ 新規研究要素: (世界初あるいは日本初など) 不均衡突然変異法を用いたリボフラビン高生産株の分子育種。 ・ 従来技術との差別化要素・優位性: リボフラビン生産に廃棄物を利用する為、経済的かつ環境負荷が 軽減される点。 リボフラビン吸着廃白土は家畜飼料の添加物として未処理のまま 使用できる点。 ・ 特許等出願状況: リボフラビン製造技術(特許第3872759、ライセンス可) 油脂系廃棄物からリボフラビン生産技術 抽出 脱ガム 脱色 圧搾 脱酸 脱臭 脱ロウ <植物油製造工程> 充て ん、 出荷 精製 白土処理 汚い油の色素を吸着 廃白土 菌体が油を食べて ビタミンB₂を生産 1200 60 1000 50 800 40 600 30 400 20 200 10 0 0 1 2 3 4 5 残油量 (g/l) 培地 リボフラビン濃度(g/l) イメージ図 Ashbya gossypii 約40%の油を含む 油脂系廃棄物 0 6 培養時間(日) 図 リボフ ラビン濃度及び残油量の経時変化 家畜などの飼料添加物 ビタミンB₂を吸着した廃白土 応用、企業化 ・ 対象分野: 油脂製品 食品産業 今後の展望 ・ 企業化または商品化のイメージ: 廃油脂の高付加価値化 廃油脂の高度利用 油脂資化微生物の利用 再利用可能な資源のバイオリファイナリーモデルの確立 ・ 企業貢献度と内容: 廃油脂の高付加価値化及び二酸化炭素低減 有用炭素の高度利用 ■ その他の研究紹介 蚕を用いた有用高次タンパク質生産: 蚕はバイオテクノロジーのプラットフォームテクノロジーとして、有用タンパク 質の大量生産に用いられている。近年、蚕を用いて数々の高次タンパク質を発現し、タンパク質の糖鎖構造、結晶 解析を行っています。 廃バイオマス(古紙、パルプスラッジ、木材チップなど)による糖化用のセルラーゼの効率的生産: 強力なセルラー ゼを廃バイオマスから生産し、生産されたセルラーゼでバイオマスを糖化する、糖化とセルラーゼの生産を一体化す る研究を行っています。
© Copyright 2024 ExpyDoc