鵜飼になる

新ヒラリ ズム
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鵜飼になる
陽羅
義光
まずは 『梁 塵秘抄 』より 。
【鵜飼は いと ほしや
万却 年経 る亀殺 し
また鵜 の首 を結ひ
く てもあ りぬ べし
後生わ が身を いか に せん】
【鵜飼は 悔し かる
何しに 急い で漁り け む
世はかく ても ありぬ べし
現世 はか
万却 年経 る亀殺 しけむ
現
後生わ が身 を いかにせ んず らむ】
この古 語の「いと ほしや 」は「かわ い そう」の意 、
「悔 しかる 」は「残
念だ」の 意。
つまり 鵜飼 に対す る「皮 肉」と「 揶揄」と、些 かの「 蔑視 」とが 在る。
ただ「 わが 身」と いって いる ので、 鵜 飼になっ た気 分で鵜 飼の立 場を
代弁して いる ともと れる。
「わしは 哀れ な鵜飼 じゃ。 現世 は罪深 い 仕事で何 とか 暮らせ ても、 来世
ではわし はど うした らええ んじゃ 」
という わけ で ある 。
鵜の餌 にす るため に、万 年も 生きる と いわれて いる 亀を殺 し、鵜 の首
を縄で縛 り、 鵜を酷 使して 、鵜 が苦労 し て分捕っ た魚 (主に 鮎)を 、鵜
の首を締 めて 己の獲 物とす る職 業は、 ま るで現代 のど こかの 企業の 経営
者そっく りで ある。
鵜飼は 今で は面白 い見世 物に 過ぎな い が、大昔 の鵜 飼は、 現代の どこ
かの企業 の経 営者と 同様に 、賎し い職 業 であった ので あろう 。
しかし いく ら賎し くても 、
「鵜飼 」は愉 しくて(飼育 する愉 しみ 、操縦
する愉し み、 搾取す る愉し み) 一度や っ たら病み つき になっ て、や めら
れんでし ょう な。
そうし てそ ういう 経営 者 は、
「職業 に貴 賎なし」と訓辞 をたれ つつ、本
音は賎し いと 思い込 んでい る「労 働者 諸 君」をこ きつ かうの である 。