No.192(通算507号) 平成28年8月12日(隔週発行) ザ・オフィス せき 関 洋一 (携帯 090-2791-0005) FAX:0191-88-0066 ご挨拶:経営者の皆様の多くが、腑に落ちないと思われるような事柄を、明快に論じることを目指します。 ご迷惑な向きは、ご面倒ながら当方までご一報下されば、次回からはメール致しません。 この通信全体のバックナンバーURL は、http://www.kurikoma.or.jp/~sekiyan/content4.htm、 「経営の腑」の狙いは、http://www.kurikoma.or.jp/~sekiyan/news063.htm#n315 です。 セールスマンの生態を知れ 一倉定著「市場戦略・市場戦争」(社長学シリーズ第8巻:1985年刊)より セールスマンというものは、得意先の重要度も売上高もあまり関係なく、万遍なく訪問しようとする 習性をもっているものなのである。 次いでB社とC社を見よう。何とA社と全く同じパターンで訪問を行っていることがお分かりいただけると思う。 このことは、業種・業態・規模の相違があっても、そんなことは関係なしに全く同じ行動をとるものであるという ことを我々に示しているのである。そして、その効率の悪さは目を覆いたくなるほどである。 一日当たりの訪問回数は社長の期待よりも遥かに少なく、その少ない訪問回数で、効率の悪い訪問をして いるのである。これが紛れもなく日本中のすべての無方針、無指導会社のセールスマンの行動様式である。 「餅は餅屋に任せる」という考え方がいかに間違っているかお分かりいただけたと思う。 セールスマンこそ、会社の中の人的資源の最大のムダである、と私が主張するのはこのような実態を見 せつけられるからである。これはセールスマンが悪いのではない。無方針、無指導の社長こそ全責任を負う べき大問題なのである。 喰うか喰われるかの販売戦争において、こんなことでどうして勝利を収めることができよう。 ここで考えていただきたいのは、こんな非効率極まる行動をとっていても、現在の売上を実現しているとい う現実である。だから、このセールスマンを有効に使ったら、大きな売上増大を期待することができる、という ことである。 私の経験では、一人一日当たりの訪問回数は少なくともこの3~5倍は可能である。私のぶつかった最高 は 1 日25社、1カ月540社という個人記録がある。1カ月2百社以上なんか珍しくとも何ともない。いや2百社 ではむしろ少ない方だというのが優れた会社の実績である。 このような訪問回数を実現すれば、そしてその回数を有効に利用すれば、業績の向上は間違いなく実現 する。 それには、社長自らの意思で樹立した市場戦略に基づく計画的訪問の実施である。セールスマンの自 由意思に基づく訪問は長篠の戦いにおける武田勝頼軍であり、計画的訪問はまさに信長の鉄砲隊である。 信長の鉄砲隊――それはまさしく近代的市場戦略の象徴である。そして、それはセールスマンの計画訪 問であることを、社長は肝に銘じてもらいたいのである。相手は勝頼軍のような個人プレーのセールスマンで あるならば、戦いの帰趨は自ら明らかなのである。 セキやんコメント 指摘の通り「営業部隊に任せる」というのは、単なる放任だ。任せられて成果が出せる ような営業マンであれば、とっくの昔に独立して好業績の会社の社長になっているからだ。普通の営業マン で成果を出す唯一の方法は、全社的なコンセンサスのもとでの忠実な訪問実行なのである。
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