今後の戦略的な創薬研究の推進方策について(最終とりまとめ)(概要) 創薬に関する研究開発の推進方策の概要及び現状 ●我が国では、健康・医療戦略推進本部の下、アカデミアで発見された創薬標的について臨床試験 までの創薬プロセスをシームレスに支援する体制を構築 「オールジャパンでの医薬品創出」の創薬支援基盤=「創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業」、「創薬支援ネットワーク」 ●創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業(平成24年度~平成28年度) 「タンパク3000プロジェクト」等から創出された高度な技術や施設・設備を、ライフサイエンス分野の 幅広い研究者が共同利用できる体制を構築し、創薬プロセスのアーリーステージである基礎生命 科学研究を振興することにより、創薬・医療研究開発の強化を図る <3つの拠点> 「解析拠点」:タンパク質の構造と機能を「解析」及びタンパク質構造に基づく薬剤設計を支援 「制御拠点」:タンパク質の機能を「制御」する化合物の探索と改変を支援 「情報拠点」:ゲノムとタンパク質の配列及び構造の「情報」を、創薬に役立てることを支援 <主な成果> ・支援件数940件、原著論文723報、特許出願85件、産業移転12件 等 ・臓器の線維化に関わるタンパク質「オートタキシン」発見→阻害する化合物を合成し企業へ導出 ・放射光ビームラインの測定条件自動決定システムなど、支援技術の高度化 ⇒ 研究者におけるアカデミア創薬に対する意識を飛躍的に高めることに貢献 創薬に関する研究支援基盤の重要性 ●基礎研究は、新規創薬標的分子の発見など創薬に結びつく多数の成果を上げるとともに、非連続 の新規創薬アイデアが生み出されることもあるため、幅広い基礎生命科学を振興するための研究 支援基盤を提供していくことは重要 ●一企業で持つことが困難な最先端設備やアカデミア独自の最先端技術を、積極的に整備及び外 部開放を進めることで、アカデミアや製薬企業等の創薬研究開発を効率的に進めることが可能 ●アカデミア発の有望な創薬アイデアを発掘し、産業移転するまで連続的に支援するためには、臨 床有用性の検証や企業にも通用する信頼性を保証する仕組みが必要 資料2-2-1 (創薬等支援技術基盤プラット フォーム事業のイメージ) 創薬基礎研究 基礎的ライフサイエンス研究 支援 高度化 (Effort 50%以上) (支援基盤の例) 制御拠点 解析拠点 Spring-8など の放射光施設 等 情報拠点 化合物ライブ ラリー 等 タンパク質統合 DBの構築・公開 等 (支援成果例:慢性腎臓病薬の新薬候補) ①標的分子の同定 ・オートタキシンの結晶化 ・オートタキシン構造解析 ②ヒット化合物の発見 本事業の化合物ライブラ リーから発見 ③リード化合物の創出 ・オートタキシンと化合物複 合体の構造解析 リード化合物を企業へ導出 オートタキシンと 化合物の複合体構造解析 創薬に関する研究支援基盤における課題 ●臨床有用性、既存の医薬品との差別化、再現性など、企業が求める評価基準と不一致のことが多い ●創薬目標に応じたライブラリーの質的・量的向上に加え、インシリコ科学術や薬効評価技術等の更なる技術開発 ●アカデミアの成果を創薬プロセスの幅広い段階で企業につなげる仕組み 今後の創薬研究の推進の方向性 (1) アカデミア創薬の研究領域と技術開発の方向性 ●アカデミア創薬には産学官の連携した取組が必須であり、製薬企業や臨床研究者などが抱えている課題を共有することが重要 ●最新型クライオ電子顕微鏡、生体試料分析(Wet)と計算機(Dry)の融合などの革新的な立体構造解析法、高い効率と精度のインシリコ創 薬(創薬標的探索や薬効、毒性及び動態予測)などアカデミアの最先端科学の応用 ●疾患モデル動物やヒト検体を用いた臨床有用性の評価系構築、リバース・トランスレーショナル・リサーチ(臨床検体のオミクス解析による病 態関連分子探索)、化合物ライブラリー・スクリーニングの更なる高度化や非臨床試験支援など臨床や企業を巻き込んだ研究 ●希少疾患や革新的医薬品(核酸医薬、遺伝子治療、細胞療法等)など、企業では開発リスクが高い課題をアカデミアが先導 (2) 研究支援基盤の在り方 ➀期待される役割 ・高度な共用ファシリティーを整備し、幅広い分野のライフサイエンス研究者の支援と企業等とのオープンイノベーションの場を提 供し、先端的なライフサイエンス研究の振興に貢献 ・基礎研究の支援を通じて革新的な創薬アイデアの涵養や創薬標的候補分子を発掘し、各ファシリティーを連携させて創薬シー ズへと価値を高めて企業等へつなぎアカデミア発創薬に貢献 ・保有する設備や技術の継続的な高度化研究を行うことにより、創薬等に資する革新的な技術開発を推進 ➁期待される機能 ・前述の役割を果たすために必要な共用ファシリティーの機能 (例) ・タンパク質構造・機能解析、化合物ライブラリー・スクリーニング、有機合成、構造インフォマティクス・インシリコ技術、臨床有用性の検証、 非臨床試験支援、生命情報・構造生命科学データベースの統合・分析 ・上記と一体となった支援と解析技術の高度化 ・事業全体を俯瞰しマネージメントするヘッドクォーター機能 (例)・共用ファシリティー間の連携・資源配分・改編、企業等ニーズ調査やオープンイノベーションの場の提供など企業連携、知財管理や導出に関 する相談や支援、実現性の高い創薬標的候補分子を創薬支援課題として設定し重点支援 など
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