フラグメント解析における シグナル強度のバランス

遺伝子解析システム
CEQ / GeXP
Application Information No.6
フラグメント解析における
シグナル強度のバランス
フラグメント解析において、シグナル強度のバランスは重要です。サンプルピークが強すぎるとサイズスタンダード
が検出されなかったり、過剰なプライマーが存在するサンプルではプライマーが優先的にキャピラリーに取り込ま
れ肝心のサンプルがインジェクトされなくなったりします。過剰プライマーとシグナル強度についての影響について
検討しました。
過剰なプライマーの泳動への影響
過剰量のプライマーはサンプルのキャピラリーへの取り込みを抑制し、結果としてシグナルの強さを抑制します。
Fig.1 過剰な残存プライマーの影響
(左)0.5µM/10µL PCR 反応の PCR 産物の泳動 Raw data
(右)左と同条件の PCR 産物に 10pmole の過剰なプライマーを PCR サンプルに加えて泳動したときの Raw data
・サンプルは 0.25µL 400base size standard/30µL SLS に 1µL の 10 倍希釈した PCR 産物を使用
・泳動メソッド Frag-3 で泳動
PCR 後に過剰なプライマーを取り除くことは非効率的です。PCR 条件を決定する際、サンプル中に多量のプライ
マーが残らないようにプライマーのタイトレーションを行い使用する濃度を決定することをお勧めします。プライマー
のピークが 1 本の細いピーク(可能ならばテストピークのシグナルより低く)となり、テストピークのシグナル強度が
十分得られるプライマー濃度を選択します。
過剰なプライマーのサイズスタンダードへの影響
過剰なプライマーは、サイズスタンダードのシグナル強度の不均衡を引き起こす可能性があります。
過剰プライマー存在下
適正プライマー存在下
A:Raw data
B:Raw data
C:Analyzed data
D:Analyzed data
Fig.2 過剰プライマーのシグナル強度への影響
A, B: Raw data, C,D: 解析データ、A, C: 過剰プライマー存在下、B,D: 適正プライマー量
過剰なプライマーはサイズスタンダードのシグナル強度に不均衡を引き起こす可能性があります。
サイズのコールは正確ではありますが、ピークレシオや LOH 解析といったシグナル強度を元に解析を行う結果は、
不正確なデータとなってしまいます。
過剰なプライマー解析データへの影響
サンプル中の過剰プライマーは、解析データにアーティファクトとして現れ、データの解析を困難にします。
適正プライマー存在下
過剰プライマー存在下
Fig.3 過剰プライマーの解析への影響
(左)過剰プライマーなし;(右)過剰プライマーが存在
過剰プライマーが存在する場合、Fig.1(右)に見られるように(左)に比べ太く大きなピークが検出されます。この幅
のあるピークは何らかのピークとして解析され Fig.3 の解析データ上に不可解なアーティファクトとして観察されます。
このようなアーティファクトは解析を困難にし、サイズによっては解析に必要なピークの検出を妨げることがありま
す。
シグナルの強さの解析への影響
シグナルは弱いより強い方がよいのですが、検出限界を超えてしまうと正確なデータが得られません。検出限界を
超えてしまったピークは、たとえ 1 本のピークであっても解析結果で複数のピークとして現れることがあります。
Fig.4 シグナル強度の飽和
(左)Raw データ;(右)解析データ
Raw データにおいてシグナルの強さが検出限界を超えてしまうと、ピークの頂上がフラットになってしまいます。解
析結果を見るとシグナルとして検出されていますが、1本のピークではなく 2 本のピークとして解析されてしまい正
確なデータを得ることができません。このような時は、サンプルを希釈してインジェクション量を減らし、ピークが振
り切らないように調整してください。
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