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平成 28 年度
分子生物学再試験 (4 年、5 年) (平成 28 年 8 月 8 日、担当:荒牧・高露・岡﨑)
学番
氏名
得点
問1. 原核生物におけるプライマーの除去について説明せよ。
DNA ポリメラーゼⅠが5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を使って RNA プライマーを除いた後に、同じ酵素が合成活性に
より DNA に置き換え、最後にリガーゼがニックを結合する。
問2. 塩基置換変異に関して、変異の種類3つとそれらのアミノ酸の変化について表にせよ。
サイレント変異
塩基が置換してもアミノ酸が変わらない変異
ミスセンス変異
塩基の置換によって他のアミノ酸に変わってしまう変異
ナンセンス変異
ミスセンス変異の中でも、終始コドンに変わってしまう変異
問3. 大腸菌 RNA ポリメラーゼによる一般的プロモーターの認識機構について説明せよ。
大腸菌の一般的 RNA ポリメラーゼであるσ70 から成るホロ酵素は,一般的プロモーター配列に結合することで転写が
開始される.具体的に示すと、 mRNA の転写開始点を+1 で表すと,その上流 35 塩基と 10 塩基付近にそれぞれ,5′
-TTGACA-3′と 5′-TATAAT-3′によく似たコンセンサス配列が存在する。これらの配列をホロ酵素のσ70 サブユニ
ットが認識することで転写が開始される。
問4. ジャコブとモノ―が提唱したオペロン説を説明せよ。
以下、4 点示す。①遺伝子は発現単位であるオペロンで構成されており,オペロンは 1 個または複数の遺伝子から成
る,②オペロンの発現はトランスに働くリプレッサーにより負の制御を受ける,③リプレッサーはオペロンの特定部位で
あるオペレーターに作用する,④リプレッサーは誘導物質(インデューサー)により不活化されオペロンの発現の抑制
が解除される.
問5. 原核生物における翻訳過程での開始複合体の形成を説明せよ。
開始複合体の形成には、リボソーム、開始tRNA、mRNA の他、いくつかの開始因子が必要である。まず、三つの開始
因子(IF-1, IF-3)のリボソーム 30S サブユニットへの結合によって開始される.次に、IF-2 が 30S サブユニットに結合し、
翻訳開始のホルミルメチオニル tRNA の結合を促進し、mRNA のシャインダルガーノ(SD)配列と開始コドンを認識して、
30S 複合体・開始複合体を形成する。
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平成 28 年度
分子生物学再試験 (4 年、5 年) (平成 28 年 8 月 8 日、担当:荒牧・高露・岡﨑)
学番
氏名
得点
問6. ヒストンの修飾による転写活性への影響について、1 例を挙げて説明せよ。
脱アセチル化されているヒストンのリシン側鎖はメチル化を受ける。メチル化された部位にヘテロクロマチン形成を促
進するタンパク質が結合し、転写が不可能な凝集した構造になるため転写活性は抑制される。
問7. 機能性 RNA の一種である miRNA についてその機能を説明せよ。
miRNA は~22 ヌクレオチドの小分子 RNA である。核内で転写されたのちに酵素によって切り出され miRNA として核外
へ移行し、タンパク質との複合体を形成して標的 mRNA の 3’末端に相補的に結合する。結合の際に完全に対合した
場合には mRNA の分解が生じるが、基本的な作用は翻訳の阻害である。miRNA による mRNA を介した目的遺伝子の
抑制を RNA 干渉(RNAi)と呼ぶ。
問8. ヒトゲノム中の一塩基多型のうち、a. スペーサー領域、b. エキソン、に生じた多型の名称と考
えられる影響を答えよ。
a. genome SNP (gSNP): 影響を与えることはほとんどない。
b. coding SNP (cSNP): アミノ酸配列の変異を生じる。
問9. RNA を検出する方法の内、逆転写酵素を用いる方法の名称とその原理を答えよ。
名称: RT-PCR 法
原理: 逆転写酵素により目的の RNA から cDNA を合成する。合成した cDNA を鋳型として、プライマーと DNA ポリメ
ラーゼを用いた連鎖反応により目的の遺伝子を増幅し、得られた生成物をアガロース電気泳動で分離し、EtBr で染色
して検出する。より定量的な方法として増幅を経時的に観察できるリアルタイム PCR 法を用いることもできる。
問10. ウエスタンブロット法の目的と実験操作を説明せよ。
ウエスタンブロット法は抗原抗体反応を利用してタンパク質の発現を検出することを目的とする。
実験操作は大きく 3 つのステップから成り、① タンパクサンプルを SDS-ポリアクリルアミドゲルで分離する ②転写装
置を用いて分離されたタンパク質をニトロセルロース膜や PVDF 膜に吸着させる ③目的のタンパク質に対する抗体
(一次抗体)を反応させたのち、これに反応する抗体(二次抗体)を作用させる。
二次抗体は酵素を結合させたものや放射性ラベルされたものを用いることで検出することができる。
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