7 多目的ホールにおいて必要とされる音響用常設回線の種類と数量を

多目的ホールにおいて必要とされる音響用常設回線の種類と数量を以下に提示いたしま
す。
公共施設としてのホールで大ホールと呼ばれる施設の客席規模を 800~1200 席と仮定した
場合の必要設備を想定しています。
ホールの形状としてプロセニアムで区切られ舞台と客席が分離された形状の施設を想定し
ています。
クラシック専用の音楽ホールや、稼働舞台形式のホールの場合は設備設計が変わるので以
下の回線案は適用できなくなります。
また回線の形態としてアナログ・デジタルどちらの場合でも必要回線数はほぼ同じになり
ます。
デジタル回線については後述いたします。
大ホール用入力回線
場所・設備
回線数
備考
音響調整室・調整卓
最低入力数24ch
ステレオチャンネル含まず
舞台周辺
袖用回線16ch×2
袖用コンセントが客席内に
(下手・上手)
渡れるマルチ回線が必要。
舞台奥用×8
客席内回線×8
その他の場所
別施設との渡り回線×2
その他の場所は裏方作業を
ロビーホワイエ×4
行う場所になる。
照明室×2
映写室については映写機お
映写室×8
よびプロジェクター装置が
ピンルーム×2
設置された場合による。
フロント・シーリング
大ホール用出力回線
場所・設備
回線数
備考
舞台袖
スピーカー出力×8
常設スピーカーの回線は含
舞台奥
スピーカー出力×4
まない。
上記の回線数はホールとしての最低回線数としています。
一部の回線数を減じても運用を行うことは可能ですが、対応できない催し物が発生する場
合があります。
次ページに大ホールにおける音響回線の設置分布を明記します。
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ホール内回線図(入力用)
ホール内回線図(出力用)
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ホール音響回線図(入力用)解説
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舞台袖に設置される回線は上手・下手共に16回線ずつ必要になります。
この回線は舞台側ではそれぞれ独立していますが、マルチケーブル用のコネクターを使用
して客席内の32回線とそれぞれが接続できる仕様が好ましい。
舞台奥用の8回線について、設置場所は舞台の壁面もしくは床面コンセントとして
2回線ずつ4か所に分散して設置してもかまわない。
客席内回線として客席前方の左右と客席後方の左右の壁面にそれぞれ2回線ずつ用意され
ているのが好ましい。
客席内中央の32回線については舞台袖の回線でも触れたとおり、袖の16回線と接続し
て使用する回線となっている。
ホール内の回線は以上ですがホール周辺の部屋への回線が多数必要になります。
照明室回線×2
映写室回線×8
投光室(ピンルーム)回線×2
フロント室×4(上手下手) シーリング回線×2
ホワイエ回線×2
別施設接続回線×2
楽屋回線(楽屋の数分)
親子観賞室回線×4
上記の表はホール内以外の部屋と音響室を結ぶ回線の例になります。
この回線は運営用スピーカー回線ではなく音響機材を接続するための回線になります。
ホール施設の規模によっては上記表に記載の回線が必要ない場合があります。
ホール音響回線図(出力用)解説
出力用回線はスピーカーを接続するための回線なので舞台以外では必要がありません。
舞台前方に設置される回線は上手・下手それぞれに4回線ずつあれば問題ありませんが、
上手下手の両方に8回線ずつ並列接続で設置されると利便性が上がります。
舞台奥の回線も同様で4回線が上手下手で並列接続によって設置されるのが最適です。
舞台奥の回線についてはフロアコンセントとして舞台床面に設置されても構いません。
出力用の回線はスピーカーのコネクターとなるので施設に設備されたスピーカーに合わせ
たコネクターの設置が必要です。
現在はノイトリック社製のスピーカーコネクターの採用が多い状況となっています。
デジタル回線について
昨今の音響用機器は急速にデジタル化への移行が行われています。
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現状として新規に導入される音響機材はほとんどがデジタル機器になっており、コスト的
にも従来のアナログ機器に比べて安価な場合があります。
音響調整卓やアンプ等にデジタルに対応した製品が入る場合、音響用の回線もデジタル化
された物が入る場合があります。
アナログ回線を敷設する場合、音響室と舞台周辺の音響回線を結ぶために回線数に応じた
電線を敷設する必要があります。実際には8本もしくは16本が束になったマルチケーブ
ルと呼ばれる電線を使用します。
対してデジタル回線の場合は音響室と舞台周辺の回線間はのデジタルケーブル1本の敷設
で済みます。しかし舞台側にデジタルに対応した変換機等の機材が必要になります。
また、舞台⇔音響室以外の回線についてはアナログ仕様の物が必要であり、故障の場合に
備えた保険として舞台と音響室の間に少数でもアナログ回線を敷設しておくのが得策と考
えます。
デジタル回線のメリットは音質の劣化や不要ノイズの混入が抑えられることです。
しかしシステム全体の管理がアナログに比べて複雑になるため、音響専門の係員が必要と
なります。
現在のホール運営の現状としては、アナログとデジタルが混在した環境で使用者が使いや
すい環境を構築するのが最適と考えます。
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