製錬技術を用いた廃棄物の無害化及び 資源化 分 野 リサイクル工学 キーワード 廃棄物、磁気分離、資源、スラグ、ダスト、レアメタル 研究概要 １．磁気分離を用いた有価資源の回収 磁気分離はエネルギー消費量が少なく、2次廃棄物が発生しないクリーンな技術である。 鉄スクラップやスチール缶の選別では昔から使われているが、粉砕方法、磁性を持たせる前処理、分離方 式を工夫することによって、これまで有効利用されてこなかった廃棄物中の資源を回収することが可能で ある。 代表著作：久保裕也、松八重（横山）一代、長坂徹也：マルチフェーズ脱リンスラグ からのリン濃縮相の磁気分離、鉄と鋼、Vol.95（2009）、No.3、pp.300-305. ◉応用例１：製鋼スラグ リン資源は良質な鉱石が枯渇傾向にある。一方、 鉄鋼製錬の副産物であるスラグには、大量のリン が含まれている（日本が輸入しているリン鉱石中の リンの量に匹敵する）が、現状ではリンの回収は行 われず土木資材としての利用に留まっている。スラ 磁気分離実験の一例 グはリンが濃縮した相と鉄を含む相から構成され ているため、粉砕・磁気分離することによりリン資 ◉応用例２：重金属含有ダスト 製錬工程では亜鉛、カドミウム、鉛などの揮発し 源として利用可能である。 やすい重金属を含有するダストが発生する。 リン 鉄 ダストは酸化鉄相を比較的高濃度で含有するため、 磁気分離によって鉄濃縮物を分離すれば廃棄物量 の削減、処理・リサイクルの効率化が可能である。 磁石につかない 重金属濃縮物 鉄濃縮物 磁石につかない 磁石につく 磁石につく EPMA（電子線マイクロアナライザ）による観察 （明るい箇所が高濃度） 2．レアメタルの回収 物理選別、乾式製錬、湿式製錬など各種製錬技術を用いて廃棄物や未利用資源のリサイクルについて、 研究を進めている。 利点・特徴 単に回収率が高い ベストな 技術ではなく、コスト、2次廃棄物、回収物の需給 などトータルでバランスが取れた ベターな 技術の開発 応用分野 廃棄物からの資源回収、未利用資源の活用、プロセスの効率化 16 生命環境科学科 工学部 生命環境科学科 准教授 久保 裕也
© Copyright 2024 ExpyDoc
