IBM i インターネットセミナー IBM Systems Workload Estimator を使用

IBM i インターネットセミナー
IBM Systems Workload Estimator を使用した IBM i のサイジング
はじめに
IBM Systems Workload Estimator (以下 WLE)は、Web ベースのサイジング・ツールです。
WLE では、Power Systems, z Systems のサイジングを行うことができます。このセミナ
ーでは、WLE を使用して IBM i のサイジングを行う方法について解説します。
WLE について
WLE を使用することで、新規システムのサイジング、既存システムからのアップグレード・
システムのサイジング、複数システムを統合するサイジングを行うことができます。
Power Systems のサイジングでは、POWER8 のマシンのサイジングを行います。OS は、
IBM i , AIX, Linux に対応しており、LPAR 構成で複数の OS を含めることが可能です。ま
た、VIOS による仮想化構成のサイジングも可能ですが、IBM i ホストによる仮想化構成の
サイジングはできません。
また、WLE ではバッチジョブのサイジングはできません。
WLE の開始
WLE は、ブラウザーから以下の URL で開始します。
http://www-912.ibm.com/wle/EstimatorServlet
WLE を初めて開始した場合には、License Agreement の画面が表示されます。Yes I Agree
のボタンをクリックすると、User Demographic Information(ユーザー情報)を入力する
画面が表示されます。この画面で、国(Japan)、言語(Englis のみ)、数値フォーマット(Japan
Style)を選択して、User Type を選択します。
ユーザー情報を入力して次に進むと、以下の画面が表示されます。
WLE についてヘルプが必要な場合は、I’m new to Workload Estimator. Help me get
started. を選択することで、ヘルプ画面(英語)を表示することができます。
ヘルプ画面を表示せずに、WLE を開始する場合は、I know what I’m doing. Just take me
to the main WLE page ….を選択します。
WLE の初期画面が表示されます。
WLE の初期画面では、Solution Overview タブの画面が表示されます。Solution Overview
の MySolution ウィンドウで、サイジングを行うサーバーのタイプ、OS、ワークロードを
定義します。初期設定(ユーザー・オプション)によって、サーバーと OS が選択された状
態で表示されます。
ユーザー・オプションの設定
1. デフォルト OS バージョン、DBCS サポートの設定
WLE では、初期状態で OS は AIX 7.2 が選択されます。デフォルトの OS を変更するため
には、User Options から Power Systems Settings を選択します。
Power System User Options の General Options で、デフォルトの OS バージョン、DBCS
サポート、ハイパーバイザーの選択を行います。
Default OS for new Estimations のプルダウンから、デフォルトの OS バージョンを選択
します。
また、DBCS システムのサイジングを行う場合は、DBCS Support を Yes にします。
ハイパーバイザーは、デフォルトの PowerVM で設定します。
2. ディスク・オプションの設定
WLE では、ディスク構成を内蔵ディスク、外部ストレージ、HDD, SSD のいずれかでサイ
ジングを行うことができます。
どのようなディスク構成でサイジングを行うかは、ユーザー・オプションの Disk Options
で設定します。
Storage Recommendations のプルダウンから、内蔵ディスクか外部ストレージかを選択し
ます。下記からディスク構成を選択します。
・Internal Storage
・External Storage
・Internal CEC if it fits, else External Storage
・IBM recommendation based on model
Internal CEC if it fits, else External Storage は、ディスク数が CEC 内蔵で収まる場合は
内蔵ディスク、CEC 内では収まらない場合は外部ストレージでサイジングを行います。
IBM recommendation based on model は、エントリー・モデルは内蔵ディスク、ハイエン
ド・モデルでは外部ストレージでサイジングを行います。
内蔵ディスクでサイジングを行う場合に、HDD か SSD のどちらでサイジングを行うのか
は、次の Internal Storage Preference で指定します。
下記から選択します。
・HDD
・SSD
・HDD and SSD mixed
内蔵 HDD でサイジングを行う場合には、次の HDD Options (Internal Storage Groups)
で HDD 環境の設定を行います。
HDD Attachment Type では、SAS RAID アダプターを選択します。
IBM i ではキャッシュ付き SAS RAID アダプターを構成しますので、通常は Dual PCIe3
Cached RAID SAS Adapter を選択します。
HDD Speed では、HDD の回転速度を指定します。通常は、15,000 RPM を選択します。
HDD RAID Support では、ディスクの保護レベルを指定します。
内蔵 SSD でサイジングを行う場合は、SSD Options (Internal Storage Groups)で SSD 環
境の設定を行います。
SSD Adapter では、SSD を構成する SAS RAID アダプターを指定します。
IBM i ではキャッシュ付き SAS RAID アダプターを構成しますので、通常は Dual PCIe3
Cached RAID SAS Adapter を選択します。
SSD Type では、構成する SSD のタイプ(世代)を指定します。通常は、最新の 4th gen.SSD
を選択します。
SSD RAID Support では SSD の保護レベルを指定します。
SSD と HDD が混在する場合には、Percentage of disk ops directed to internal SSD で
SSD にオペレーションされる割合を、Percentage of total storage capacity directed to
internal SSD で、SSD に保管される容量の割合を指定します。
外部ストレージでサイジングを行う場合には、DSS Options (External Storage Groups)の
設定を行います。
Disk Storage System では、サイジングを行う外部ストレージのモデルを指定します。
デフォルトは Any で、WLE が適切なモデルを選択します。
DSS Disk Capacity は、外部ストレージで構成されるディスク・ドライブのサイズを指定
します。デフォルトは Any で、WLE が適切なサイズのドライブを選択します。
オプションの設定が終了したら、ページの最下部までスクロールして、Save and Return を
クリックします。
サイジングの開始
1. LPAR と OS の設定
WLE の左ウィンドウの MySolution からの階層ツリーで、サーバーのタイプ、システム、
OS、ワークロードの定義が表示されます。
Tier #1 にサーバーのタイプ(Power System / z System)、System #1 にシステム、Main #1
に LPAR と OS バージョンが指定されています。
デフォルトでは、non-LPAR (Whole System), AIX 7.2 が指定されています。
OS を変更する場合は、Main #1 をクリックしてから、右側のウィンドウで Partition
Settings タブをクリックすると、以下の画面が表示されます。
Operating System Type のプルダウンから、OS バージョンを選択します。
LPAR の場合は、Partition Type のプルダウンから、LPAR タイプを選択します。
LPAR タイプは、プロセッサーの割り当て方法に応じて以下から選択します。
・Whole System
・LPAR Shared Processor Capped
・LPAR Shared Processor Uncapped
・LPAR Dedicate Proc
Non-LPAR の場合は、Whole System を選択します。
OS と LPAR タイプを選択したら、最下部までスクロールして、Save Changes をクリック
します。
【注】
Partition Settings には SMT Mode の設定がありますが、IBM i の場合は OS Default の
みの選択となります。POWER8 での OS Default の SMT モードは、以下になります。
IBM i 7.1 : SMT4
IBM i 7.2 : SMT8
IBM i 7.3 : SMT8
2. 区画の追加
区画を追加する場合は、System #1 でマウスを右クリックしてポップアップ・メニューを表
示します。メニューから Add Partition を選択します。
Add Partition を選択すると、Main #xx と区画が追加されます。追加された区画の OS は、
User Option で設定したデフォルトの OS バージョンが選択されています。
OS バージョンを変更する場合は、1. LPAR と OS の設定 の手順で変更します。
3. ワークロードの設定
次に、各区画のワークロードを設定します。
Main #xx をハイライトしてからマウスを右クリックしてポップアップ・メニューを表示し
ます。メニューから Add Workload を選択します。
現行の WLE で選択できるワークロードのタイプは、以下の 2 つです。
・Generic Workload
・Existing Workload
既存システムのパフォーマンス情報を元にサイジングを行う場合は、Existing Workload を
選択します。
Main #xx の下にワークロードが追加されます。Existing Workload を追加した場合は、
Workload – Existing #xx と表示されます。
ワークロードは、区画に複数追加することができます。複数システムを 1 台のシステムへ
統合する場合に、既存システム毎に区画を分けずに統合する場合などは、複数ワークロード
を指定します。
追加したワークロードをクリックすると、右のウィンドウに Workload Questions が表示さ
れます。この Go to this workload’s questions をクリックすると、ワークロードの設定画面
が表示されます。
ここで、既存システムのパフォーマンス情報を入力します。
1. Existing Model : 既存システム・モデルを。プルダウンから選択します。
2. Existing system OS : 既存システムの OS バージョンを選択します。
3. CPU Utilization to the existing system partition : 既存システムの区画での CPU 使用
率を入力します。
4. Interactive Utilization existing system partition : 既存システムの区画での対話型
CPU 使用率を入力します。
5. Processor Cores Activated for the entire system : 既存システム全体のアクティブ・コ
ア数を指定します。
6. 既存システムが LPAR の場合は、Yes を選択します。
LPAR の場合は、区画に割り当てたプロセッサー・コア数を指定します。
7. Memory (MB) for the entire existing system 既存システム全体のメモリーを指定しま
す。
8. Existing partition Disk I/O Data : 既存システムのディスク保護、容量と、パフォーマ
ンス・データを入力します。
Disk Group Name : ディスク・グループ名、もし同一区画内に異なるタイプのディス
クを構成している場合は、それぞれのディスクをグループとして指定します。
Storage Protection : ディスク保護レベルを選択します。
Storage (GB) Consumed : ディスク容量を指定します。
Read Ops Per Second (read IOPS) : 1 秒あたりの読み込み回数
Bytes Per Read Op : 1 回の読み込み時の平均データ量
Write Ops Per Second (read IOPS) : 1 秒あたりの書き込み回数
Bytes Per Write Op : 1 回の書き込み時の平均データ量
9. Do you want to add journal with commitment control ? : ジャーナルを使用している
か
10. Network Ops per Second for the existing system partition : 1 秒あたりのネットワー
ク・オペレーション
11. Network Throughput (MB) per Second for the existing system partition : 1 秒あたり
のネットワーク・スループット(MB)
12. Will this workload be changed to use WebFacing or HATS Support? : WebFacing や
HATS の使用
必要な項目を入力して、画面下の Continue をクリックすると、サイジングが行われます。
既存システムの CPU 使用率やディスクのパフォーマンス情報は、既存システムで収集した
パフォーマンス・データの値を使用してください。
WRKSYSSTS や WRKDSKSTS コマンドを使用して上記のデータを入手することもできま
すが、コマンドを実行した一時点でのデータであり、システムのピーク時のパフォーマン
ス・データを入手できる保証はありません。
ディスクのパフォーマンスは、収集したパフォーマンス・データを Performance Tools for
i で資源報告書を印刷して入手します。
資源報告書のディスク使用率要約から、平均読み取り/秒、平均書き出し/秒、平均 K/入出力
の値を WLE のディスク・ワークロード項目に入力します。
・Read Ops Per Second に平均読み取り/秒の値を入力します
・Write Ops Per Second に平均書き出し/秒の値を入力します
・Bytes Per Read Op と Bytes Per Write Op に平均 K/入出力の値を入力します。
サイジング結果の表示
サイジングの結果は、Sizing Report タブで確認できます。
サイジングされたモデルを変更したい場合には、Solution Overview の画面に戻ります。
左のウィンドウにある System #xx をクリックすると、右のウィンドウに Selected Systems
が表示されます。
ここで、Immediate System と Growth System が、プルダウンリストから変更できるよう
になります。
サイジング結果について、ディスク構成を変更(HDD から SSD、内蔵から外部など)した
い場合には、ユーザー・オプションの Power Systems Settings から Disk Options の設定
を変更することで、異なるディスク構成のサイジングを行うことができます。
サイジング情報、結果の保管
WLE でサイジングを行うために入力したパフォーマンス情報は、ファイルに保管すること
ができます。
Solution Overview タブの画面で、File メニューから Save Solution を選択すると、WLE
に入力されたパフォーマンスの情報が XML ファイルで保管されます。
XML ファイルで保管した WLE の情報は、File メニューの Load Solution を選択して、
WLE へ読み込むことが可能です。
File メニューの Export to External Tools を選択すると、サイジング結果のシステムを econfig や System Planning Tool (SPT)の形式で出力することができます。
IBM Navigator for i との連携
これまで、既存システムのパフォーマンス情報を WLE へ入力してサイジングを行う方法に
ついて説明してきましたが、IBM Navigator for i から WLE を起動してサイジングを行う
こともできます。
既存システムのパフォーマンス・データからサイジングを行う場合に、IBM Navigator for
i を使用することで既存システムのマシン・モデルの情報やパフォーマンス情報を WLE へ
入力することなくサイジングが可能になります。パフォーマンス・データからサイジングを
行う場合には、IBM Navigator for i からのサイジングをお勧めします。
IBM Navigator for i からサイジングを行うには、IBM Navigator for i のメニューの「パ
フォーマンス」→「データの調査」→「収集サービス」から、サイジングの元にするパフォ
ーマンス・データを含む収集ライブラリ、収集名を選択して、その収集を表示します。
「リソース使用率のパーセンテージ」または「リソース使用率」のグラフにある「アクショ
ンの選択」から「次期アップグレードの見積もり」を選択します。
次期アップグレードの見積もりの画面が表示されます。この画面の下にある OK をクリッ
クすると、WLE が開始されます。
WLE には、IBM Navigator for i で選択した収集名でワークロードが設定されています。
IBM Navigator for i で選択した収集から、既存システムの情報とワークロードが設定され
ています。
ここで Sizing Report タブを選択すると、サイジング結果が表示されます。
VIOS ホストによる仮想化構成のサイジング
WLE では、VIOS ホストの仮想環境のサイジングも可能です。
1. VIOS 区画の追加
VIOS ホストの仮想環境でサイジングを行うためには、VIOS 区画を追加します。
Solution Overview のタブの左ウィンドウの階層ツリーにある System を選択すると、右の
ウィンドウが System Details になります。
System Details の System Setting タブをクリックします。Storage Settings の下にある
VIOS Settings をクリックします。
Workload Questions タブに切り替わり、システムの VIOS 設定状況が表示されます。
ここで Add New VIO Server をクリックすると、VIOS 区画が設定されます。
VIOS 区画は、デフォルトで VIO Partition #1 と、Redundant VIO Workload #1 の 2 つの
区画が設定されます。
2. VIOS 区画の設定
VIOS 区画(VIO Workload #1)の LPAR タイプをプルダウンから選択します。
・LPAR Shared Processor Capped
・LPAR Shared Processor Uncapped
・LPAR Dedicate Proc
Redundant VIO Workload #1 は、VIO Workload #1 と同一の設定となりますので、
Redundant VIO Workload #1 には設定はありません。
Redundant VIO Workload #1 が不要の場合は、VIO Workload #1 で VIOS Pair を No に
変更します。
VIOS 区画を更に追加する場合は、再度 Add New VIO Server をクリックします。
3. VIOS 区画とクライアント区画の関連付け
次に、仮想ディスク、仮想 Ethernet について、VIOS 区画とクライアント区画の関連付け
を行います。
VIOS 区画の設定を行った Workload Questions の画面で、システムと区画の仮想ディスク、
仮想 Ethernet を指定します。
システム全体、あるいは個々の区画に対して、仮想ディスク、仮想 Ethernet を提供する
VIOS 区画を選択します。
仮想化を行わない(物理 I/O)とする場合は、Physical (No VIO)を選択します。
System #1 で仮想ディスクを VIO Workload #1 区画にする場合
Main #1 区画の仮想ディスクを VIO Workload #1 区画にする場合
設定が完了したら、画面下にある Save and Return をクリックします。
MySolutions の階層ツリーで、System #1 に VIOS 区画(VIO Partition #1, Redundant
VIO)が設定された状態になります。
この状態では Main #1 にワークロードが設定されていませんので、ワークロードを設定し
ます。
ワークロードが設定されて、各区画のワークロードにチェックマークが表示されたら、
Sizing Report タブをクリックすることで、サイジング結果を確認できます。
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その他の関連によって、いかなる損害が生じた場合も、IBM は責任を負わないものとします。
本資料で言及している製品リリース日付や製品機能は、市場機会またはその他の要因に基づい
て IBM 独自の決定権をもっていつでも変更できるものとし、いかなる方法においても将来の
製品または機能が使用可能になると確約することを意図したものではありません。
(2016 年 8 月 5 日公開)