豊能郡環境施設組合によるダイオキシン類含有廃棄物搬入事案

豊能郡環境施設組合によるダイオキシン類含有廃棄物搬入事案の概要
1. 当該廃棄物の搬入発覚に至る経緯
平成 25 年 10 月 23 日~
豊能町旧消防本部倉庫(豊能郡豊能町東ときわ台)にて保管
平成 27 年 8 月 6 日
三池製錬㈱(福岡県大牟田市)における外部処理委託が決定
(約 1 億円の処理費の予算議決)
平成 27 年 8 月 10 日~
三池製錬㈱へ搬入
住民の反対等により、処理がなされないまま同施設で継続保管
平成 28 年 2 月 3 日
品目を一般廃棄物から産業廃棄物へ変更
(組合内部決裁にて意思決定)
平成 28 年 2 月 9 日
組合、仲介業者(2 者)、中間処理業者の 4 者で覚書を締結
組合と中間処理業者とで産業廃棄物処分委託契約を締結
平成 28 年 2 月 11 日
組合と運搬受託者とで車両賃貸借契約を締結(同じ頃、組合、
仲介業者(1 者)、運搬受託者の 3 者で覚書を締結)
平成 28 年 2 月 15 日
三池製錬㈱より搬出
平成 28 年 2 月 16 日~
関西環境建設㈱産業廃棄物中間処理施設(神戸市西区岩岡町)
へ搬入、同施設にてコンクリート固化処理
平成 28 年 2 月 23 日
コンクリート固化処理後の廃棄物を㈱環境保全センター産業
廃棄物最終処分場(神戸市西区神出町)へ搬入、即日埋立処分
平成 28 年 7 月 6 日
組合職員が説明のため神戸市役所に来庁、市内での処理が発覚
2. 廃棄物の性状・搬入の流れ
(1) 廃棄物の性状について
○ 組合は、当該廃棄物について「目視で 8 割が解体廃棄物であったため、産業廃棄物
として判断した」としているが、その根拠となる写真はなく、割合を算出するため
の計量などを行った事実もなし
○ 組合から提出された廃棄物の一覧表や、平成 17~18 年当時、組合がダイオキシン類
濃度の調査を実施した際のドラム缶内部の写真では、焼却灰やばいじんのみのドラ
ム缶が相当数あり、解体がれき等は写真では明確に確認できず
○ 実際に分析用のサンプルやドラム缶の中身を見た仲介業者や中間処理業者は、
「黒っ
ぽい土のようなものだった」
「コンクリートとの混練機に入らないような大きな塊は
なく、問題なく粉砕できるものであった」と証言
○ 焼却灰・ばいじんのダイオキシン類濃度の調査については、ドラム缶 16 本分(その
うちのドラム缶 3 本又は 5 本の平均値,サンプルとしては 4 検体)しか実施しておら
ず、全ての濃度については不明
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(2) 廃棄物の搬入の流れについて
○ 産業廃棄物管理票(マニフェスト)には、排出場所として「旧消防倉庫(豊能郡豊
能町東ときわ台)
」と記載されていたが、実際は、福岡県大牟田市にある三池製錬㈱
から直接、神戸市西区岩岡町にある関西環境建設㈱の中間処理施設に搬入
3. 契約関係
(1) 廃棄物処理について
○ 組合と、実際に処理を行った関西環境建設㈱とは、形式上、産業廃棄物処分委託契
約書を締結しているが、全て仲介業者を通じて書類をやり取りしており、両者は全
く面識がなかった
○ 委託契約書とは別途締結した下記の 4 者による覚書により
①組合 → ②仲介業者(㈱環境テクノロジー) → ③仲介業者(㈱新生興業)
→ ④中間処理業者(関西環境建設㈱)
以上の流れの廃棄物処理業務に関する報酬の支払いについて定められており、それ
ぞれの仲介業者を通じて契約書類等のやり取りを行った
○ 組合は、当該廃棄物を一般廃棄物から産業廃棄物に品目を変更したのは「組合の責
任で行った」と証言しており、今回関与した仲介業者や中間処理業者は、一貫して
「産業廃棄物」の処理として依頼があったと証言
(2) 収集運搬について
○ 三池製錬㈱から関西環境建設㈱への当該廃棄物の運搬に関して、当初、マニフェス
ト等からは組合による自己運搬としていたが、実際は、牧野運送㈱と締結した車両
賃貸借契約の中で外部の運転手を調達しており、組合職員は運搬車両には同乗せず、
別途乗用車で搬入先への伴走のみを行った
○ 運搬を受託した牧野運送㈱は、仲介業者より「ドラム缶を運搬するだけの仕事」と
聞いており、中の廃棄物については知らなかったと証言
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4. 処理料金等の流れ
(1) 廃棄物処理について
○ 下記の 4 者による覚書により
①組合 → ②仲介業者(㈱環境テクノロジー) → ③仲介業者(㈱新生興業)
→ ④中間処理業者(関西環境建設㈱)
以上の流れの廃棄物処理業務に関する報酬の支払いについて定められており、㈱環境
テクノロジーには組合より 9,650 万円、㈱新生興業には㈱環境テクノロジーより仲介
者A氏を通じて 500 万円、関西環境建設㈱には㈱新生興業より 294 万円が支払われた
○ 仲介者A氏については、今回の件に関して、報酬は支払われていない
○ ㈱環境テクノロジーは、今回の契約に関し、自身に示された㈱新生興業の見積書に
ついては、組合側に提示していない
○ ㈱環境テクノロジーから組合側に提示された関西環境建設㈱名義の処理単価 3,000
円/kg の見積書については、関西環境建設㈱より、様式や印影が異なり、自社作成の
ものではない旨、本市に対して申し立てあり
○ この件について、㈱環境テクノロジーは、関西環境建設㈱に近しいと自称する知人
のB氏に見積書の作成を依頼したものであり、関西環境建設㈱の担当者から直接受
け取ったものではないことを認めた
○ ㈱環境テクノロジーは、当該見積書は組合側から求められたが、当初より 9,650 万
円の予算ありきでの処理委託であり、これまでの数年にわたる当該廃棄物の処理委
託先の仲介業務等を含めた報酬であると証言
(2) 収集運搬について
○ 下記の 3 者による覚書により
① 組合 → ②仲介業者(㈱環境テクノロジー) → ⑤運搬受託者(牧野運送㈱)
以上の流れの車両賃貸借料の支払いについて定められており、牧野運送㈱への報酬
108 万円は、組合から㈱環境テクノロジーへの廃棄物処理業務に関する報酬 9,650 万
円の中から支払われた
以上
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