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メディアアート原論 11547033 高橋 春陽
どのような表現がメディアアートと呼ばれているかについては、これが明確な定義がされにくいもの
なため一概に表すのは難しいが、およそ一般的には何かしらのメディア自体が作品の素材として
用いられている、またコンピュータ技術などの新技術といったそれまでの美術とは違う新しい媒体
を使った表現方法を用いているなどが挙げられる。
メディアアート全体にある特徴として形式に縛られないということやメディア自体の技術的進歩に
よって作品もさまざまにそのかたちを変えていくなどがあると思う。
メディアアートの一例であるビデオアートは展示に映像機器、記録の媒体にビデオテープおよび
DVD 等の電磁記録媒体を用いる。その中でも映像を特殊処理するなど加工を行い視覚効果に
訴える作品やコンピューターグラフィックスを使用するもの、設置したカメラなどのリアルタイム映像
を使った体験型のパフォーマンス的なもの、ドキュメンタリー的要素をもつものなど。映像に縛られ
ずそれを取り巻く環境自体を作品としたりする場合もありその表現方法は多種多様である。また、
ポータブル VTR や小型カメラが発売されたのをはじめ、カラー化、テープのカセット化などの技術
革新に伴い生み出される作品も同様に変化している。
もうひとつのメディアアートの特徴として複数のメディアなどいくつもの要素が絡み合い融合を果た
している作品などが多いことがあると思う。サウンドアートは音楽ではない音を使用するアートだが、
視覚芸術を出自とするサウンドアートは、自ら音を発する、あるいは作品を叩いたりすることで音を
発生させる彫刻である音響彫刻、環境・空間の音響を作品として提示するサウンドインスタレー
ションなどはすでに存在する視覚芸術に音という構成要素をあたらしく追加することで成立してい
る。とくにサウンドインスタレーションはさらに映像・造形物等さらに他のメディアが追加要素として
盛り込まれていたりする。美術と音楽の境界を越えるサウンドアートは、パフォーマンス、インスタ
レーション等を含むさまざまなジャンルを横断しクロスカルチュラルな表現となっている。また、90
年代以降のコンピューターの急速な高性能および小型化はラップトップパフォーマンスやインター
ネットを活用したネット・パフォーマンス、インターフェイスデバイスや電子回路を駆使する自作の
楽器、既存の玩具等を改造するサーキットベンディングやハードウェアハッキング、リアルタイムで
プログラミングを行うライブコーディングなどの新たなオーディオビジュアル・パフォーマンスのスタ
イルを可能とし、横断的な広がりだけでなく技術的進歩による表現の幅の大きな拡張も見せている。
観客を何らかの方法によって作品に参加させるインタラクティブアートは、作品に触れたり上を歩
いたりする彫刻であったり、コンピューターを用いたセンサーなどが観客に反応する作品、あるい
はインターネットアートなど特にデジタル・アナログを問わず様々な媒体を用いている作品が多く、
また他ジャンルの作品の中にインタラクティブアート的要素を取り入れているものもある。
今後技術の発展による新たなメディアの台頭などがあった時なども、メディアアートは縦横無尽に
さまざまなメディアを横断しながらその進歩とともに表現の新たな可能性を開拓していくだろうと思
う。
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