ゴールデンウィークも終わって、緑のまぶし い季節です。そして私はいつも

 ゴールデンウィークも終わって、緑のまぶし
流れは、高齢化に伴う医療費抑制のためかもし
い季節です。そして私はいつもの五月病。毎年
れませんが、老老介護、介護離職、介護うつな
ってあり? 何をする気も起こらずダラダラ。
ど、問題は山積。在宅での看取りのために、介
中国の古典に、女性の体は7年周期で、
「7
護者の方が倒れてしまっては本末転倒です。
歳から始まって、49歳(天癸枯渇:運動能力が
高齢者の域に入ってきた私達もウカウカして
低下したり、生殖能力がなくなる)で終わり」
はいられません。年金を「もらう、もらわない
という話があるそうです。終わりと言われても
(もらえる、もらえない?)」
、介護施設の世話
って感じですが、この談でいけば五月病どころ
になるかなど話しは尽きず、親の介護から孫の
か、とっくに終わっています。とにかく気付け
世話まで私達世代は大忙しです。自分の子ども
ば、すっかり夏模様。取り敢えずストーブを片
には同じ負担をかけたくない。ひとり暮らしの
付けて、 それだけでぐったり。 やっぱり年で
方が幸せ度が高く介護度は低いなんて言われれ
す。
ば、なおさら頑張ってしまう大阪のおばちゃん
そういえば女子会の話題も、最近は孫でも子
です。しかし、いつまで頑張るのか、どこで見
どもでもなく、もっぱら介護と老後です。
「保
切りを付けるのか、なかなか結論は出ません。
育所落ちた。」で待機児童が問題になりました
施設の在り様も不安の種です。人は死ぬまで
が、介護施設に入れない待機老人はどうなるの
「生きがい」を求める存在。施設でやりたくも
でしょう。終末期医療を病院から在宅へという
ないイベントに参加させられる。そうかと思え
大阪府医師会報7月号
(vol.391)
続女子会から…高齢化
広報委員 泉谷 陽子
ば、できることまで時間がかかるからと世話を
一億総活躍時代と叫ぶ一方で、在宅介護・医
焼かれる。 こうなると介護ではなくお節介で
療が家族の絆のように言われても、その担い手
す。実際、私の患者さんの中にも「子ども扱い
の第一候補たる私達には辛いものがあります。
されて、あほらしくてやってられない」と行か
子どもも高齢者も社会全体が納得のいく受け皿
なくなった方もいらっしゃいます。
を作っていかなければ、日本自体が崩壊しそう
「ドイツの老人施設は街中にあり、それまで
です。
と同じ生活を送りながら死を迎える。施設での
「元気で頑張れるのもあと10年。やりたいこ
最期は自然で当たり前」と聞いたことがありま
とは今のうち」とばかり、やりたい放題するわ
す。日本でも、老人施設は辺鄙な場所にある印
けにもいかず…。 飲んで、 しゃべって、 呑ん
象はなくなってきましたが、社会との交流はま
で。 携帯のスケジュール帳もギッシリのはず
だまだという気がします。自宅での看取りは、
が、うっかり携帯不携帯。今日は何?
2世代、3世代が同居していた時代ならともか
祖母の口癖「私の年になったら分かる」。そ
く、今の日本社会で推し進めるのは難しい。施
れが母の口癖となり、そして私の。年寄り笑う
設に居ながらも社会から孤立することなく、人
な行く道だから。
としての尊厳を損なうことなく、施設で人生の
最期を迎えられるよう整備する方が、よほど現
実的だと思います。
大阪府医師会報7月号(vol.391)