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別紙
諮問第970号
答
1
申
審査会の結論
「配水小管布設替工事に関する施工代価表のうち内訳明細書及び代価表に記載されて
いる施工コードの内容を示す施工代価表以外」について、不存在を理由として非開示と
した決定は、妥当である。
2
審査請求の内容
(1)審査請求の趣旨
本件審査請求の趣旨は、東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号。以下「条
例」という。)に基づき、審査請求人が行った「平成27年○月○日開札、契約番号○
○。開札場所
水道局経理部契約課。件名『○○市○○町○○丁目○○番地先から同
市○○町○○丁目○○番地先間外1か所配水小管布設替工事』に関する、以下の金額
入りのもの。1
施工代価表(摘要欄に施工コードが表記されているものは、全て開
示願います(施工コードの重複を除く))」の開示請求(以下「本件開示請求」という。)
に対し、東京都水道局長が平成27年9月18日付けで行った非開示決定について、その
取消しを求めるというものである。
(2)審査請求の理由
審査請求書における審査請求人の主張は、以下のとおりである。
積算とは正に「積み上げ」であり、その積算・確認を行うためには「施工代価表」
の全てが必要である。
平成27年9月18日付けで行われた非開示決定通知に記してある根拠・理由では、工
事の設計が正しいものであるか、積算が正しいものであるか確認が出来ない。
施工代価表の各項目には、その下位部分にある施工代価表が存在して当然であり、
それが示されないのは不正が行われている証拠である。
- 1 -
よって、施工代価表に表示されている金額の根拠全てを、明確にする必要がある
と考えるため。
3
審査請求に対する実施機関の説明要旨
理由説明書及び口頭による説明における実施機関の主張を要約すると、以下のとおり
である。
(1)本件開示請求に係る工事について
本件開示請求に係る工事は、○○市○○町○○丁目○○番地先から同市○○町○
○丁目○○番地先間外1か所配水小管布設替工事であり、○○市○○町○○丁目○
○番地先から同市○○町○○丁目○○番地先間及び○○市○○町○○丁目○○番地
先から同市○○町○○丁目○○番地先間において、道路下に埋設されている水道管
を撤去し、新しい水道管(耐震継手管)に取り換える工事(以下「本件工事」とい
う。)であり、実施機関が発注したものである。
(2)工事系システムについて
工事系システムとは、水道工事の請負費の積算業務をシステム化したものであり、
実施機関の積算基準及び設計単価表に基づき構築されている。システムへの入力内
容は工事設計書に反映されるが、その構成は以下のとおりである。
ア
総括書及び工種別総括書
総括書及び工種別総括書とは、工事価格に消費税等相当額を加算して、請負費
を記載したものである。工事価格の内訳として「管路工」や「舗装工」などの最
上位の工種の合計金額及び諸経費が記載されている。
イ
内訳書
内訳書とは、総括書に記載された「管路工」などの工種の内訳、即ち「管路掘
削工」や「埋戻工」等の工種を計上し、当該工種に係る施工数量とそれらを足し
上げた合計額を記載したものである。
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ウ
内訳明細書
内訳明細書とは、内訳書に記載された「管路掘削工」などの工種の内訳、即ち「バッ
クホウ掘削積込み費(0.45㎥)」等の工種を計上し、当該工種に係る単価及び施工数
量とそれらを足し上げた合計額を記載したものである。
エ
施工代価表
施工代価表とは、内訳明細書に計上する工種の単価が設計単価表に設定されてい
ない場合に、積算基準に記載された計算式に従い算出した当該単価の内訳を記載し
たものである。
「バックホウ掘削積込み費」という工費を例に挙げると、施工代価表には「機械
運転費」、
「誘導する世話役」、
「作業員」の経費が記載される。これらの経費のうち、
世話役と作業員の単価は設計単価表に設定されているが、機械運転費の単価につい
ては、設計単価表に設定がなく、「軽油」、「運転手」、「機械損料」の経費の計算結
果が計上されることになるため、2層目以下の計算過程が存在することになる。し
かしながら、2層目以下の計算過程は工事系システムに保存されないことから、施
工代価表として記録されない。
これは、当該計算過程で用いられる計算式は全て積算基準に記載されており、各
単価は設計単価表から直接又は積算基準と設計単価表を用いた計算により導くこと
ができるため、必ずしも全ての計算過程を保存する必要はないとの考えに基づいて
いる。
なお、実施機関では、平成28年度以降に積算を行う工事案件について、2層目以
下を含む全ての計算過程も施工代価表として作成・保存されるよう、工事系システ
ムの改修を予定している。
(3)本件開示請求に係る公文書の存否について
実施機関では、本件開示請求に係る公文書の内容を「『○○市○○町○○丁目○○
番地先から同市○○町○○丁目○○番地先間外1か所配水小管布設替工事』に関す
る施工代価表」と特定し、このうち、
「内訳明細書及び代価表に記載されている施工
コードの内容を示す施工代価表」については、開示決定を行った。
一方、本件工事が工事系システムを利用して工事設計書を作成したものであり、
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「施工代価表のうち、内訳明細書及び代価表に記載されている施工コードの内容を
示す施工代価表以外」には工事系システムを利用した施工代価表作成における2層
目以下の計算過程が該当するが、計算結果を単価として反映した段階で当該データ
は削除されてしまうため、存在しないことを確認した。
さらに、実施機関では、2層目以下の計算過程を示す参考資料となる公文書につ
いて保有していないかの確認も行ったが、そのような公文書は存在しなかったため、
非開示決定を行ったものである。
4
審査会の判断
(1)審議の経過
審査会は、本件審査請求について、以下のように審議した。
年
月
日
平成27年11月
審
6日
議
経
過
諮問
平成27年12月21日
新規概要説明(第165回第二部会)
平成28年
2月12日
実施機関から理由説明書収受
平成28年
2月18日
実施機関から説明聴取(第167回第二部会)
平成28年
4月27日
審議(第168回第二部会)
平成28年
6月
審議(第169回第二部会)
1日
(2)審査会の判断
審査会は、実施機関及び審査請求人の主張を具体的に検討した結果、以下のように
判断する。
ア
工事系システムについて
工事系システムとは、水道工事の請負費の積算業務を電算システム化したもので
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あり、実施機関の設計単価表及び積算基準に基づき積算される仕組みになっている。
実施機関の説明によると、設計単価表は、材料費・労務費・機械経費の単位数量当
たりの価格を表にしたものであり、積算した年月、施工地域、昼間・夜間等の項目
ごとに設定されていることから、数万種類のデータから構成されている。一方、積
算基準は、工事を単位数量施工するために必要な経費の組み合わせとその数量であ
り、設計単価表と積算基準は別のデータベースとして格納されている。
工事系システムを使った積算は、工事の内容に応じて、工種及び数量と施工条件
(機械の規格、材料の種類、施工地域、施工環境、積算年月等)を決定し入力する
ことで行われ、工事設計書に反映される。
工事設計書は、水道工事の請負費を算出するための文書であり、主に「単価」に
「施工数量」を乗じて算出した金額を、工種ごとに足し上げた内容及び諸経費等が
記載されるもので、総括書、工種別総括書、内訳書、内訳明細書及び施工代価表か
ら構成されている。
イ
本件請求文書について
本件開示請求は、「平成27年○月○日開札、契約番号○○。開札場所
水道局経
理部契約課。件名『○○市○○町○○丁目○○番地先から同市○○町○○丁目○○
番地先間外1か所配水小管布設替工事』に関する、以下の金額入りのもの。1
施
工代価表(摘要欄に施工コードが表記されているものは、全て開示願います(施工
コードの重複を除く))」である。
実施機関では、本件開示請求に係る公文書の内容を「『○○市○○町○○丁目○
○番地先から同市○○町○○丁目○○番地先間地外1か所配水小管布設替工事』に
関する施工代価表」と特定し、このうち、「内訳明細書及び代価表に記載されてい
る施工コードの内容を示す施工代価表」については、工事系システムにデータとし
て保有している施工代価表を対象公文書として特定し、開示決定を行った。
しかし、「施工代価表のうち内訳明細書及び代価表に記載されている施工コード
の内容を示す施工代価表以外」(以下「本件請求文書」という。)については、工
事系システムを利用した施工代価表作成における2層目以下の計算過程(以下「施
工代価表の計算過程」という。)が該当するが、計算結果を単価として反映した段
階で当該データは削除されてしまうため、実施機関ではデータとして保有していな
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いとして、不存在を理由とする非開示決定を行った。
ウ
本件請求文書の不存在の妥当性について
実施機関の説明によると、施工代価表は、内訳明細書に計上する工種の単価が設
計単価表に設定されていない場合に、積算基準に記載された計算式に従い算出した
当該単価の内訳を記載したもので、当該単価の内訳とは、単位当たりの施工に必要
な「機械経費」、「労務費」、「材料費」及び「別工種の費用」の足し上げのことであ
り、ここで言う「別工種の費用」とは、設計単価表に設定されていない経費である
ことから、当該費用の算出に当たっては、さらに施工代価表の計算過程が存在する
ことになるとのことである。
また、施工代価表で用いられる計算式は積算基準に記載されており、単価につい
ても設計単価表に設定されている単価をそのまま用いるか、又は積算基準と設計単
価表により算出した単価を用いるものであることから、施工代価表の計算過程を保
存する必要はないとの考えに基づき、当該計算過程はデータとして保存されない仕
組みとなっているとのことである。
審査会が、前記アの工事系システムにおける工事設計書のデータの構成及び帳票
の出力画面を見分したところ、総括書、工種別総括書、内訳書、内訳明細書及び施
工代価表についてはデータとして保存されるが、施工代価表の計算過程は保存され
ないこと、また、当該計算過程を記録した帳票の出力はできないことが確認できた。
以上のことから、本件請求文書については、実施機関で採用している工事系シス
テムにおいてデータとして保有しておらず、公文書として作成及び取得していない
という実施機関の説明に不自然・不合理な点は認められず、他に本件請求文書の存
在を認めるに足りる事情も見当たらないことから、実施機関が本件請求文書につい
て、不存在を理由として非開示とした決定は、妥当である。
よって、「1
審査会の結論」のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
横山
洋吉、中村
晶子、野口
貴公美、山田
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洋