JET SKI - 川崎重工業株式会社

時
代を
切 り拓
く
初期段階から製造を担う部門も開発に
ように取り 付けられる。そのため設 計の
らかにし、溶 接できるかできないかなど
て は 本 末 転 倒 だ 。﹁ 各 種 の 制 限 事 項 を 明
維 持 で き る こ と は 、船 主 に 燃 料 代 の 削
た 。本 来 、悪 化 す る は ず の 燃 費 効 率 を
ると自負しています。
N
O
x
削 減 技 術 と は 異 な り 、高 価 な
り 、多 くの 船 が 3 次 規 制 に 対 応 す る 必 要 が ありま す 。そ の な か で
「 K-ECOS 」は、船主の皆様から最も熱い視線が注がれている製品であ
減 と い う メ リ ッ ト を も た ら す 。ま た 、他
格 化してくると予 測しています。北 米 大陸 沿岸が 規制区域になってお
水冷 4ストローク4気筒エンジン(1498cc)
に 、低 回 転 域 から 高 い 過 給 圧 を 発 生 する
ルーツ式スーパーチャージャーを搭載。最高
出力は245馬力。3人乗りのウルトラスポー
ツモデル。
の
IMO の NOx3次規制に対応した新船の建造は、2018 年ごろから本
合わせを重ねました﹂︵山本基幹職︶。
たれるお客様のご要望にもお応えできる体制を整えつつあります。
JET SKI ULTRA 250X
の製造課題も考えながら設計者と擦り
に、
「K-ECOS」の新バージョンの開発を始めており、初期費用に関心を持
加わっていた。
初期費用に関心を持たれるお客様が増えるのも事実です。私たちはすで
13
触媒の定期交換や還元剤が不要であ
とができるのです。一方で、燃料価格が下がるとランニングコストよりも
製造を担った山本繁 樹基幹職は、﹁K ‐
り、船の航行距離が長くなればなるほど、お客様にメリットをもたらすこ
ECOSの全 体 像 を捉 えながら、エンジ
剤を使用していないため、メンテナンスコストの低減が可能です。つま
り 、ラ ン ニ ン グ コ ス ト に お い て 非 常 に
減が可能で、燃費コストの削減をもたらします。また、高価な触媒や還元
この間、 年9月には
﹁ DRIVE GREEN
2007
NOx3 次規制対応技術に比べ、燃費性能を悪化することなくNOxの削
期間は数 年ですので、以後の収 益性も高
98 年モデルから適用された米国環境規制に
対応すべく開発された2ストローク、ダイレク
ト・インジェクション(燃料直噴 方式)エン
ジンの搭載モデル。規制値を大きくクリアし、
既存機種の販売継続にも貢献した。
航コスト全般を削 減でき、その費用回収
JET SKI 1100 STX D.I.
「K-ECOS」の最大のセールスポイントも、やはりそこにあります。他の
優 れ た 経 済 性 を 発 揮 す る 。﹁つま り 、運
2000
それが燃費効率の維持とNOxの削減の両立であったのです。
﹂
への採用が決定した。
営業担
HIGHWAY
当の池田稔基幹職は、﹁川崎汽船様では、
の視点が擦り合わされ、めざすべき開発の目標点を明確にできました。
同 型のフラッグ シップ を 4 隻 造 る 計 画
体になって開発されたことです。私たちが持つ専門的な視点と、お客様
注 ぎ ま し た 。ま た 、従 来 に は な い 構 造 物
もう一つ、川崎重工らしさがあります。最終ユーザーである船主様と一
ンの 組 立 工 程 に ど の よ う に K E
‐COS
の 構 成 機 器 を 組 み 込 んでいく か に 力 を
合の思想が今、
結実しているのです。
であり 、製 造上の安 全性と製 品としての
JET SKIの2ストロークエンジン史上最強の
145馬力を発生する強力パワーユニットを
搭載した2シータースポーツ。強力な加速と
水面を切り裂くような旋回性能はまさに異
次元のものだった。
境規制への対応のキーワードになると考えていました。そうした協力、複
いのです﹂︵池田基 幹 職 ︶
。
Ultra150
どの基礎研究を進めてきました。当時から「複合」が年々厳しさを増す環
で、
その一番船にK E
‐COSが採用され
ました。環境を重視するお客 様の戦略に
その運動性能の高さからJET SKI
の世界的なブームの火付け役に。
1 人 乗りの立ち乗りタイプ で、世
界 20 万台以上を販 売した不朽の
ベスト&ロングセラーモデル。
当社は1990 年代初頭から水エマルジョン燃料とEGRの組み合わせな
安 全性を確 保する方 策も詰めなくては
JS550
1999
このような協力はできなかったでしょう。
海から地球を守る取り組みに大きな
1982
十分にお応えでき、経 済 的なメリットも
の実現をめざしてきたのです。総合技術力のある川崎重工でなければ、
なりませんでした。﹂と語る。
ざまな蓄積をベースに、各カンパニー、ビジネスセンターが協力して技術
前 提 を 示 し た 川 崎 重 工 。そ の 優 れ た 実
「K-ECOS」の開発は、川崎重工らしい仕事でした。技術開発本部のさま
JET SKIとしては初めて3気筒エンジンを
搭載したラグジュアリーモデル。最高出力
100馬力。船底も全面塗装され、レッドと
ライムグリーンの2カラーが用意された。
証 成 果 は 、そ の ま ま 地 球 環 境 の 明 日 の
900ZXi
技術シナジーを結集した
川崎重工ならではの
複合低環境負荷システム「K-ECOS」
高いとの評 価をいただきました﹂と振り
初代
モデル
返る。
1995
Hideaki Sakurai
K E
‐COSが 取 り 付 け られてエンジ
ン全 体が大きくなり 、そのために他のス
川崎重工が世界で初めて開発し、
まったく新しいレジャースタイルを提案した
「JET SKI
(ジェットスキー)
」
それは、新しいライフスタイルを創造する乗り物だった。
桜井 秀明
希 望 へ と つ な が る も の だっ た 。
JET SKI®
ペースが 削 られるな ど、トレードオフの
川崎重工業株式会社
ガスタービン・機械カンパニー
機械ビジネスセンター 理事 副センター長
K E
3次規制海域における
‐COSは、
燃費効率の維持とNOx削 減 を 両 立 し
【vol.009】
解消が別の経済効率の低下につながっ
Leader’s
Voice
Epoch
Maker
完成後に行われる試験運転(左)
神戸工場のエンジン組立ライン。
自走式のラインで 8 日毎に完成する(下)。
翌 73 年には世界初となる商用機「400」を発売。アメ
リカを中心にPWC(パーソナル・ウォーター・クラフト)と
呼ばれる新市場が誕生する。水の上を自由に動き回れる
PWCは、またたく間にレジャーとして定着し、早くも78 年
には競技団体が設立された。川崎重工は「JET SKI」を登
録商標。
今やJET SKIが PWCの一般名詞にもなっている。
当初は、立ち乗りタイプが主流だったが、90 年代になると
座ったまま運転するタイプ(ランナバウト)へとシフト。初号機は
排気量 398cc 、26 馬力のスノーモービルのエンジンを流用したも
のだったが、90 年代以降は厳しい環境規制をクリアしながら大排
1 な記事が載った。「その小型艇にまたがり、バイクのようなハン
ジンが主力だ。
ドルの後ろに陣取り、新型のウォータースクーターのように水面を
ジェットスキーの歴史や生活への影響を分析した著作のタイトルの
進む」。これが米発明家ジェイコブソンのアイデアから川崎重工が
副題に、
『Life, Liberty, and the Small-Bore Engine』
とあるように
試作したジェットスキーだった。
川崎重工のジェットスキーは、
新しいライフスタイルを創造したのである。
972 年10月、米地方紙『サン・ディエゴ・ユニオンズ』に次のよう
気量・高馬力化が進展。今や4ストローク1498cc 、310 馬力のエン
※「 JET SKI 」、
「 JET SKI ULTRA 」
は、川崎重工業株式会社の登録商標です。
09
Kawasaki News 183
※「 K-ECOS 」
は、川崎重工業株式会社の登録商標です。
Kawasaki News 183
08