平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書

平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書
平成28年7月
平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会
目
第1 はじめに
次
································································ 1
第2 平成28年度東京都立高等学校入学者選抜状況
······························ 2
第3 平成28年度東京都立高等学校入学者選抜の検証・検討
1
······················ 4
推薦に基づく選抜の改善
························································ 4
(1) 推薦に基づく選抜全般
························································ 4
(2) 集団討論・個人面接
(3) 小論文・作文
(4) 実技検査
·························································· 6
································································ 8
····································································· 9
(5) 文化・スポーツ等特別推薦
·················································· 10
(6) 平成29年度入学者選抜以降の基本的な考え方
2
学力検査に基づく選抜の改善
······························· 12
·················································· 12
(1) 学力検査の教科数及び学力検査の得点と調査書点の比率等の変更
(2) 制度変更による応募状況等への影響
(3) 分割募集
····································· 14
······························································ 20
(4) 男女別定員制の緩和
···················································· 22
(5) 一般の学力検査における外国籍の者の受検についての措置
3
その他の制度
·················· 23
·································································· 26
(1) 学力検査問題のグループ作成
(2) 学力検査等得点の本人への開示
(3) 答案の本人への開示
················································ 26
·········································· 32
···················································· 35
(4) 都立高等学校入学者選抜における不登校・中途退学対策の在り方
第4
おわりに
············· 13
············ 37
································································· 41
参考資料
1
平成28年度東京都立高等学校入学者選抜状況
2
平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会 設置要綱
················· 43
3
平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会 委員名簿
················· 44
4
平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会 特別部会委員名簿
5
平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会審議経過
※
································ 42
········· 45
·················· 46
本文中のグラフは、小数第2位の四捨五入の処理により合計が必ずしも 100.0%にならない。
第1 はじめに
平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会(以下「本委員会」という。)は、平成28年
度入学者選抜の検証を行う中で、これまでに導入してきた様々な入学者選抜方法の成果と課題を明らか
にするとともに、平成29年度入学者選抜以降の改善策等を検討することを目的として設置したもので
ある。
平成28年5月9日に本委員会第1回を開催し、計5回にわたって慎重に審議を行った結果、以下のとお
り報告をまとめた。また、本委員会第1回については、平成28年度入学者選抜において実施した、
マークシート方式による学力検査に基づく選抜の効果検証、改善点について各委員から意見聴取をす
る機会とした。
なお、平成28年度入学者選抜において改善を行った「一般の学力検査における外国籍の者の受検
についての措置」については、受検人員や合格人員の状況だけでなく、入学後の生徒の学習や生活の
実態等も踏まえて詳細に検証・検討を行うため、本委員会に特別部会を設置することとした。今後、
特別部会を4回にわたって開催して、外国籍の者の受検についての措置の在り方等についての方向性
を明らかにし、その内容を平成29年1月(予定)に改めて開催する本委員会第6回において、報告
することを確認した。
- 1 -
第2 平成28年度東京都立高等学校入学者選抜状況
平成28年度入学者選抜は、全日制高等学校173校、定時制高等学校55校、通信制高等学校3
校で実施した。
推薦に基づく選抜、第一次募集・分割前期募集、分割後期募集・第二次募集の概況及び総括は、以
下のとおりである。
1
推薦に基づく選抜
平成28年度入学者選抜における推薦に基づく選抜は、全日制高等学校173校中167校(島しょ
の6校は実施せず。)、定時制高等学校1校において実施した。
昨年度に比べ、全日制高等学校の推薦に基づく選抜の募集人員は55人増加し、受検人員は
582人減少した。受検倍率は3.03倍となり、昨年度に比べ0.08ポイント下降した。
入学者選抜年度
全日制受検倍率
入学者選抜年度
全日制受検倍率
2
6
7
2.95 3.25
18
19
3.05 2.98
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
2.61
2.63
2.63
2.79
2.86
2.87
2.76
3.42
3.25
3.13
20
21
22
23
24
25
26
27
28
2.88
2.94
3.03
2.91
2.88
3.21
3.23
3.11
3.03
第一次募集・分割前期募集
全日制高等学校の最終応募倍率は1.51倍で、昨年度に比べ0.01ポイント上昇した。受検倍率
は1.43倍であり、昨年度に比べ0.02ポイント上昇した。学区制度を廃止した平成15年度入
学者選抜以降、最終応募倍率は4番目に、受検倍率は3番目に高い値であった。また、不受検率は
5.3%となり、単独選抜が導入された平成6年度入学者選抜以降、最も低い値となった。
なお、合格者の入学手続辞退率は0.49%となり、昨年度に比べ0.02ポイント上昇した。
入学者選抜年度
最終応募倍率
入学者選抜年度
最終応募倍率
6
7
1.47 1.56
18
19
1.42 1.43
8
9
10
1.54 1.51 1.50
20
21
22
1.45 1.50 1.53
- 2 -
11
12
13
1.50 1.45 1.43
23
24
25
1.52 1.53 1.51
14
15
16
17
1.42 1.45 1.44 1.42
26
27
28
1.50 1.50 1.51
入学者選抜年度
全日制受検倍率
入学者選抜年度
全日制受検倍率
入学者選抜年度
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
1.14 1.24 1.25 1.22 1.24 1.27 1.27 1.26 1.26 1.33 1.33 1.32
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
1.32 1.33 1.35 1.41 1.44 1.43 1.44 1.43 1.42 1.41 1.43
15
16
17
21.9 20.3 18.9 19.1 17.5 15.3 12.5 11.8 11.1
8.6
7.9
7.4
入学手続辞退率(%)
4.5
3.4
3.8
2.8
2.2
2.0
1.9
1.7
1.6
1.3
1.22 1.28
入学者選抜年度
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
不受検率(%)
7.3
7.2
6.9
6.2
6.2
6.2
6.2
6.3
5.4
5.6
5.3
1.17 1.22 1.22 0.95 0.97
0.9
0.78 0.72 0.47 0.47 0.49
不受検率(%)
入学手続辞退率(%)
3
6
6
7
8
9
10
11
12
13
14
分割後期募集・第二次募集
全日制高等学校の募集人員1,228人(分割後期募集846人を含む。)に対し、1 , 4 2 5 人
が受検した。受検倍率は1.16倍であり、昨年度に比べ0.02ポイント下降した。
入学者選抜年度
全日制受検倍率
入学者選抜年度
全日制受検倍率
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
1.93 4.36 3.62 3.40 2.89 3.41 2.74 2.21 2.01 1.68 2.00 1.83
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
1.51 1.47 1.50 1.70 1.87 1.46 1.44 1.48 1.33 1.18 1.16
以上、平成28年度東京都立高等学校入学者選抜状況を総括すると、最終応募倍率及び受検倍率
は高水準を保っていること、不受検率及び入学手続辞退率も引き続き低水準で推移していることか
ら、受検者や都民の都立高等学校に対する期待は依然として高いと言える。
- 3 -
第3 平成28年度東京都立高等学校入学者選抜の検証・検討
本委員会では、平成28年度入学者選抜において実施した入学者選抜方法について検証し、平成29年度入学
者選抜以降における改善策等について検討した。
1 推薦に基づく選抜の改善
(1) 推薦に基づく選抜全般
平成28年度入学者選抜においては、全日制課程の高等学校の167校、定時制課程では新宿山吹高等学
校の1校、合計168校が推薦に基づく選抜を実施した。
推薦に基づく選抜の審議を行うに当たり、平成25年度入学者選抜から改善を図った選抜方法の趣旨の徹
底が図られているかなど、推薦に基づく選抜全般について検証を行った。
<推薦に基づく選抜の目的>
1 一般推薦
基礎的な学力を前提に、思考力、判断力、表現力等の課題を解決するための力や、自分の考えを相手
に的確に伝えるとともに、相手の考えを的確に捉え人間関係を構築するためのコミュニケーション能力
など、これからの社会にあって生徒たちに必要となる力を評価し、選抜する。
2 文化・スポーツ等特別推薦
各都立高等学校の個性化・特色化を推進するため、卓越した能力をもつ生徒の力を評価し、選抜する。
ア 高等学校長対象アンケート調査結果(回答数168)
(ア) 入学者選抜において、推薦に基づく選抜の目的を達成することができたと思うか。
37.7%
50.9%
34.9%
56.6%
47.3%
44.9%
10.2% 1.2%
平成26年度
5.4%
3.0%
平成27年度
6.6% 1.2%
平成28年度
0%
そう思う。
10%
20%
30%
40%
どちらかと言えばそう思う。
50%
60%
70%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
100%
そう思わない。
(イ) (ア)に関する高等学校長の主な意見
○ 集団討論・個人面接、作文を通して、受検者の自分の考えを相手に的確に伝える力やコミュニ
ケーション能力などを総合的に評価し、選抜することができた。
○ 毎年、様々な工夫・改善を積み重ねることで、受検者の学習経験に基づいたコミュニケーショ
ン能力や、思考力、判断力、表現力を評価する検査になってきている。
○ 集団討論・個人面接の評価方法をより適切なものとし、さらに評価する側の評価基準が一定と
なるよう、校内での研修会等を通じて徹底していくことが大切と考える。
○ 現在、総合成績に占める調査書点の割合の上限は50%に抑えられている。一般推薦の目的に
あるように、基礎的な学力を前提に、思考力や判断力等を評価するのであるからこそ、集団討論
や小論文などのテーマを一層工夫しないと、真に実力のある生徒の確保につながらないと考える。
- 4 -
(ウ) 推薦に基づく選抜で入学した生徒の様子に関する高等学校長の主な意見
○ 学校生活に意欲的であり、クラスの雰囲気を盛り上げている。また、次世代リーダー育成道場
等、学校外の教育活動にも興味・関心をもつ者が多い。
○ 学習活動だけでなく、部活動をはじめとした特別活動においても、推薦に基づく選抜の合格者
の方が、意識が高い傾向がある。
○ 推薦に基づく選抜で入学した生徒は、成績上位者と下位者の二層に分かれることが多い。学力
の面で不安がある生徒の場合、進級や卒業が危ぶまれることもある。
○ 推薦に基づく選抜で入学した生徒の中には、学力検査に基づく選抜で入学した生徒と比べて学
習への取組に対する熱心さに欠ける生徒もおり、学習の進度についてこられないことがある。
イ 中学校長対象アンケート調査結果(回答数53)
(ア) 一般推薦の改善と、これに伴う自校における指導の工夫により、生徒に変化はあったか。
4.0%
18.0%
28.0%
50.0%
平成26年度
44.0%
9.6%
7.7%
38.5%
平成27年度
17.3%
5.8%
36.5%
40.4%
平成28年度
0%
そう思う。
10%
20%
30%
40%
どちらかと言えばそう思う。
50%
60%
70%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
100%
そう思わない。
(イ) (ア)に関する中学校長の主な意見
○ 集団討論等、新しい選抜方法の定着により、普段の学習活動の中でも、自分の考えを積極的に
伝えようとする生徒の意欲を高めることにつながっている。
○ 日頃の学習指導の中でも、集団討論等の実践的な指導を計画的に行うことで、生徒がどのよう
にすれば自分の考えや意見、良さなどが相手に伝わるかを考え、実践できるようになった。
○ アクティブ・ラーニングが本格的に導入される中、生徒同士が互いに自身の考えをぶつけ合い
ながら課題解決能力を高めていく活動を取り入れることが求められており、実践を始めている。
その成果が都立高等学校の入学者選抜で評価されるのは良いことだと考える。
○ 集団討論や作文など、準備しなければならないことが増えることから、学力検査に基づく選抜
の準備に支障があると考えて、推薦に基づく選抜の受検を避ける生徒が増える傾向にある。
○ 集団討論・個人面接がどのように評価されているのか、観点だけでは分かりにくい部分があり、
不安な面がある。
(ウ) 推薦に基づく選抜の目的を踏まえて、今後、進路指導や学習指導等において工夫する点に関する中学
校長の主な意見
○ 生徒の思考力等を高めるために、アクティブ・ラーニングを取り入れた授業の実践を推進し、
自分の考えや意見を正しく相手に伝える表現活動を充実させる。
○ キャリア教育の視点から、
「自己理解・自己管理能力」
、
「キャリアプランニング能力」を身に付
けさせる指導を積み重ねる。
○ 自分の意見を論理的に述べ、意見の異なる相手との話し合いの進め方の指導を継続する。
- 5 -
審議の過程で、保護者からは「推薦に基づく選抜は、趣旨に沿った選抜へと改善が進んでいると考える。
大学入試においても、推薦に基づく選抜で評価しているコミュニケーション能力や表現力等を重視してきて
いる。実施に当たり、様々な課題はあると思うが、継続してほしい。
」という意見があった。
外部有識者からは「推薦に基づく選抜で入学した生徒の入学後の状況について十分に検証できていない。
入学後の成績や卒業後の進路等の分析を行い、現行の推薦に基づく選抜が機能しているかを検証する必要が
ある。
」という意見があった。その他、
「推薦に基づく選抜は受検者の意欲や表現力等をきめ細かく評価する
ことはできている。一方、ここ数年、入学者選抜方法を分かりやすくする方向で改善が進んだことから、入
学者選抜において学校の個性や特色を出しにくいという状況が生じている。そのため、都教育委員会の施策
として特色ある取組を行っている学校については、推薦に基づく選抜における募集人員の上限を例外的に増
やすことを検討してもよいのではないか。
」という意見があった。
本委員会では、推薦に基づく選抜の成果と課題を検証・検討するため、以下の各検査項目について、更に
検証した。
(2) 集団討論・個人面接
平成28年度推薦に基づく選抜において集団討論を実施した高等学校は163校、個人面接を実施した高
等学校は168校であった。
集団討論については、昨年度開催された平成28年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会において、
「分かりやすく簡単に結論を導くことができるテーマや抽象的で考えを出しにくいテーマでは活発な討論
にはならないだけでなく、論理的思考力など集団討論の中で評価すべき力を適切にみることはできない。そ
のため、受検者の実態を踏まえつつ、一層工夫する必要がある。
」と報告されており、本年度はその点につ
いて検証を行った。
ア 集団討論の実施状況
(ア) 集団討論のテーマ設定について、昨年度の実態を踏まえ工夫したか。
35.3%
64.7%
工夫した。
工夫していない。
(イ) 集団討論はどのような状況だったか。
38.9%
60.5%
0.6%
41.5%
57.9%
0.6%
平成27年度
平成28年度
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
どのグループも活発に活動できた。
活発に討論できたグループとそうでないグループがあった。
どのグループも活発に活動できなかった。
- 6 -
90%
100%
イ 集団討論のテーマ
推薦に基づく選抜における集団討論の目的は、次のように規定されている。
<集団討論の目的>
与えられたテーマについて自分の考えを明確に述べることができるか、受検者が協力して一つのテー
マに関して論理的に討論を行い妥当な結論を導くことができるか等を確認することを通して、個人面接
では把握しにくい、受検者のコミュニケーション能力、思考力・判断力・表現力、積極性及び協調性、
バランス感覚や傾聴力などを評価する。
アンケートの結果、64.7%の高等学校が集団討論のテーマ設定の工夫をしていると回答したにもかか
わらず、活発に討論ができたグループの割合は昨年度と比べてあまり増えていないことが分かった。これを
受けて本委員会では、昨年度と同様、高等学校長が捉えている集団討論の状況とテーマとの関連について着
目して検討した。具体的には、高等学校長が、
「全体として活発で、より掘り下げた討論が行われ、受検者の
力を十分に評価できた。
」と回答した学校のテーマと、
「掘り下げた討論まで発展しなかったことから、今後、
テーマの設定に改善が必要である。
」と回答した学校のテーマを比較した。
前者の例としては、次のようなテーマが設定された。
皆さんは、本校第1学年の同じクラスの生徒です。今度、アメリカから一人の高校生が、このク
ラスで1週間の体験留学をすることになりました。そこで、ホームルームでどのような歓迎会をす
るか、皆さんで考えて決めてください。
また、後者の例としては、次のようなテーマが設定された。
あなたは、伝統文化についてどう考えますか。
美化意識をもつためにはどのようなことが必要だと考えますか。
ウ 高等学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 集団討論及び小論文については、毎年、テーマについて様々な工夫・改善を積み重ねることで、
受検者の学習経験に基づいたコミュニケーション能力や、思考力、判断力、表現力を評価する検査
になってきている。
○ 集団討論では、グループによって討論が活発にならなかったことに加え、質的にも差が生じてし
まった点が課題であると考える。
○ 真面目で学習意欲も高いが、集団討論の中で自身の考えを表現することが得意でない受検者もい
る。内に秘めた考えを個人面接の中で評価できるよう、評価方法の更なる改善を図るとともに、教
員の力量を向上させていくことが大切である。
- 7 -
エ 中学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 集団討論のテーマは、各高等学校において相当工夫する必要がある。受検者にとって具体的なテー
マであれば、意見が言いやすく、議論も深まりやすい。漠然としたテーマでは、議論が深まりにくく
なるのは当然である。
○ 受検者一人一人のコミュニケーション能力等をしっかりと評価することができるよう、
どのような
姿が見られたら良いのかなど、高等学校の教員同士で研さんを積んでほしい。
○ 集団討論を主導する面接担当者が、
受検者一人一人に質問して順番に答えさせるだけで終わってし
まうなど、集団面接と変わらない状況になっている学校がいまだにある。
審議の過程で、高等学校からは「集団討論を通して、受検者の思考力・判断力・表現力を評価すること
については、各高等学校で改善を重ねて精度を高めている。
」
、
「集団討論の実施に当たっては、提示した資
料について自身の考えをもたせ、データを踏まえた上で自分の意見を発言させるという形式としたことに
より、受検者の思考力、コミュニケーション能力等を評価することができた。
」
、
「推薦に基づく選抜の目的
にある、
『基礎的な学力を前提に』という部分の共通認識が十分でないことが課題である。
」という意見が
あった。一方で、
「テーマを工夫しても、受検者の実態によっては集団討論を成立させること自体が困難な
学校もある。
」
「工夫を重ねても受検者の意見が出にくい学校では、
、
面接担当者が討論を主導する形式とし、
受検者を指名して発言を促すことになる。それが、受検者に『集団面接のようだった。
』という印象を与え
ているのではないか。
」という意見もあった。
中学校からは「中学校では学習指導要領に基づき、どの教科でも言語活動の充実に取り組んでいる。こ
れが集団討論にもつながっていると考える。
」という意見や、
「集団討論のテーマは、受検者にとって具体
的なものであると意見が言いやすく、議論も深まりやすい。
」
、
「スマートフォン等によるSNS(ソーシャ
ル・ネットワーキング・サービス)の利用をテーマにしている学校があった。スマートフォンを持ってい
ることが前提とされており、持っていない生徒は明らかに不利である。受検者の状況によって有利不利が
生じるようなテーマは避けるべきである。
」という意見があった。
(3) 小論文・作文
ア 小論文・作文実施校
平成28年度推薦に基づく選抜において小論文を実施した高等学校は30校、作文を実施した高等学校
は124校であった。
イ 高等学校長対象アンケート調査結果
(ア) 小論文のテーマについて、昨年度の実績を踏
まえ、工夫したか。
(イ) 作文のテーマについて、昨年度の実績を踏ま
え、工夫したか。
30.6%
69.4%
46.7%
53.3%
工夫した。
工夫していない。
- 8 -
工夫した。
工夫していない。
(ウ) 小論文のテーマ設定の工夫
○ 本校の特色を理解し、高等学校生活を具体的に考えているかどうかを問うテーマ設定となるよう工夫した。
○ 自分の体験を記入して終わるだけでなく、何を書くことを求められているかが分かるよう、問
題の中で段階を追って明示する形に変更した。
(エ) 作文のテーマ設定の工夫
○ 題意を的確に把握する力と、文章の構成力を評価できるよう工夫した。
○ 受検者の論理性や表現力を適切に評価できるよう、抽象的なテーマから具体的なテーマに変更
した。
(オ) 次年度以降に改善を要する点
○ 受検者にとって身近な問題であることに加えて、社会的事象に対する関心についても評価でき
るよう、テーマ設定を工夫する。
○ 入学後の高等学校での生活につながるテーマとなるよう工夫し、受検者が入学してからもテー
マを意識して生活をすることができるよう、現在の受検者の考えをしっかりと表現させたい。
ウ 中学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 特定の知識や経験がなければ書けないテーマ等、受検者の生活環境や興味・関心に依存したテー
マではなく、全ての受検者が書けるようなテーマを設定してほしい。
○ 各高等学校のホームページに掲載された得点の分布状況を見ると、得点が偏っていて、きめ細か
な評価となっていないと感じるものがある。テーマの設定とともに、受検者の評価についても一層
の工夫をお願いしたい。
審議の過程で、中学校からは「学力的に十分とは言えない受検者が推薦に基づく選抜で合格してしまうこ
とがあるという声がある。そうならないようにするためにも、小論文・作文を通して思考力等を評価するこ
とが大切だと考える。
」
、
「小論文・作文のテーマを見ると、工夫をしている高等学校とそうでない高等学校
とで大きな差があると感じる。各学校において、どのような生徒を選抜したいのかという観点からテーマを
検討したり、設定したテーマが適切であるかについて、シミュレーションをして判断したりするなどの工夫
が必要である。
」という意見があった。
(4) 実技検査
ア 実技検査実施校
平成28年度推薦に基づく選抜において実技検査を実施した高等学校は19校であった。
イ 実技検査のテーマ(例)
平成28年度推薦に基づく選抜では、次のような実技検査のテーマが設定された。
○ 専門学科で学習を行っていく上での適性や基礎的な力をみる課題を設定する。
・円周上に頂点がある正多角形を描き、頂点を線で結ぶ。
・指示書や参考図を基にして、工作用紙に展開図を作図し、切り取って立体模型を作製する。
- 9 -
○ 美術科は鉛筆による素描、舞台表現科は基本姿勢(立つ・歩く)
、言葉と身体による表現、台本によ
る表現など、科ごとに必要な能力をみる検査を実施する。
○ 中学校の授業や課外活動又は日常の生活などにおいて興味・関心をもったことについて、タイトル
を付けたプレゼンテーションシートを作成する。
ウ 実技検査を実施した高等学校長対象アンケート調査結果(回答数19)おける主な意見
○ 実技検査を通して、本校の学習で必要となる基本的な知識や技能の程度を評価し、選抜すること
ができる。また、入学後の指導にも役立てることができる。
○ 実技検査により完成した作品そのものだけでなく、取り組んでいる中で、ものづくりに対する姿
勢や意欲をみることができる。また、カッター、定規、テープ等の使い方をみることで、工業高等
学校で専門的な学習を進めていく上での適性も評価することができた。
○ プレゼンテーション能力を含め、受検者の力を総合的に評価することができる。
○ 4年目の実施となり、どのような内容で検査を行うのがふさわしいかが精査されてきた。また、
複数の科があるが、共通の内容の課題を設定することで、各科の受検者の状況を把握することもで
きるようになった。
エ 中学校長対象アンケート調査結果おける主な意見
○ 自分の将来を具体的に考えている受検者にとって、本人のもつ能力や適性を生かした進路選択に
つながるため、特に専門学科の高等学校については、今後も実技検査は継続してほしい。
○ 生徒一人一人の個性や能力は様々であり、集団討論・個人面接ではみることができない受検者の
能力を評価することができる検査として実技検査は必要だと考える。
審議の結果、実技検査については、入学後の専門的な学習に必要な力を、適切に評価することができるよ
う各学校が適切に検査内容を設定し、実施していくことを確認した。
(5) 文化・スポーツ等特別推薦
平成16年度入学者選抜から、文化・スポーツ等に卓越した能力をもつ生徒の個性を一層伸長させ、併せ
て各高等学校の個性化・特色化を推進することを目的として導入した。
平成28年度入学者選抜においては、推薦に基づく選抜の実施校168校中92校で実施し、実施種目数
は41であった。募集人員943人に対し、2,109人が受検した。応募倍率は2.24倍であり、昨年
度より0.02ポイント上昇した。
ア 高等学校長対象アンケート調査結果(回答数92)
(ア) 特別推薦は、学校の個性化・特色化につながるか。
8.1%
91.9%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
つながる。
60%
70%
つながらない。
- 10 -
80%
90%
100%
(イ) 特別推薦は、卓越した能力等をもつ生徒を選抜する制度として必要か。
89.5%
0%
10%
20%
30%
40%
10.5%
50%
60%
必要である。
70%
80%
90%
100%
必要ではない。
イ 中学校長対象アンケート調査結果(回答数53)
特別推薦は、卓越した能力をもつ受検者の力を評価し選抜する制度として必要か。
34.0%
0%
10%
そう思う。
20%
43.4%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
60%
9.4%
13.2%
70%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
100%
そう思わない。
ウ 高等学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 特別推薦の合格者はチームの中心人物として活躍しており、部活動の活性化に寄与している。ま
た、体育委員や体育祭実行委員として行事に深く関わり、成果を上げている。特別推薦で合格しな
かった受検者も一般推薦との併願や、学力検査に基づく選抜で合格し、部活動に積極的に参加して
おり、学校の教育活動を充実させる上で不可欠な制度であると感じる。
○ 特別推薦の合格者には、部活動のみならず学業をはじめ学校生活の全てで中心となることを求め
ている。これを特別推薦の合格者が実践することで、学校全体に良い影響を与えている。
○ 実技検査で高得点を取る受検者の中には、学力に課題がある生徒もいる。入学後、特別推薦の合
格者の学力向上に対して、学校全体で取り組むことが必要である。
○ 部活動のレベルや入学後の学習内容を理解しないまま受検し、入学後の部活動についていけず、
苦しむ生徒がいる。特別推薦の基準をしっかりと周知する必要もあるが、中学校においても体験入
部や学校説明会への参加を一層促してほしい。
エ 中学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 特定の能力に秀でた生徒には活躍できる場を与え、積極的にその力を評価して伸ばすことは必要だ
と思う。学力検査では測ることができない能力を評価し、進路に生かしていく機会は必要だと考える。
○ スポーツなど、特定の場面で活躍できる人材を育成していくことも教育として大切であり、その
一端を都立高等学校も担っていると思う。
○ 卓越した能力をもつ受検者の力を評価する点は良いが、入学後の学校生活に十分につなげられて
いるかどうかが心配である。入学後、部活動だけでなく学習との両立が大切なことから、十分な学
力が身に付いていない生徒については、学習面での支援をお願いしたい。
○ 特別推薦の受検希望者にとっては、志願する高等学校の体験入部などへの参加を促している。
しかし、体験入部に当たり、ケガや事故があったときの保険について、事前に十分な説明や手続が
なされていないことがあり、とても不安であった。特別推薦を実施する全ての高等学校において、
志願者への周知や対応を徹底してほしい。
- 11 -
審議の過程で、中学校からは「運動部の体験入部の際に、保険の加入をしていない高等学校がいまだに
ある。
」という意見があった。高等学校からは「体験入部への参加申込の方法、掛け捨て型保険への1日加
入について改善し、徹底をしていく。
」という意見があった。
審議の結果、次の点について本委員会において確認した。文化・スポーツ等特別推薦は、各高等学校の個
性化・特色化に大きく寄与し、教育活動を活性化させるために効果的であり、生徒の優れた能力や意欲等を
評価する制度であることから、引き続き実施する。また、入学後の生徒の状況について、各実施校は今後も
追跡調査を行うとともに検査得点の配点や検査内容について検証し、自校に合った受検者を選抜できる方法
を検討する必要がある。さらに、部活動体験等においては、特に運動部での活動における保険の扱いについ
て、全ての高等学校で徹底するとともに、中学生や保護者への事前の周知などの改善を行う。
(6) 平成29年度入学者選抜以降の基本的な考え方
○ 平成25年度入学者選抜に改善を行った推薦に基づく選抜は、平成28年度入学者選抜において4回目
の実施となり、趣旨の徹底が図られ、中学校において学習指導要領の目標を実現する教育活動を一層推進
することにつながっていることが改めて確認できた。また、平成28年度入学者選抜では、学力検査に基
づく選抜についても大幅な改善が図られ、二つの改善した選抜が初めて同時に実施された年となった。平
成29年度入学者選抜については、これらの選抜方法を継続し、その成果と課題を検証・検討することで
更なる改善を図っていく。
○ 推薦に基づく選抜における評価方法や評価基準の設定の仕方を検証するとともに、校内研修等の実施を
通して、教員一人一人の評価能力の一層の向上を図る。また、受検者にとってより明確で十分に説明責任
を果たせる選抜方法になるよう一層の工夫を行う。
○ 受検者の多様な能力を評価し、これからの社会に求められる力を有した受検者や、自校の特色に合致し
た受検者をより適切に選抜できるよう、各検査のテーマ設定や内容について一層の工夫と改善を図る。
2 学力検査に基づく選抜の改善
学力検査に基づく選抜については、平成26年1月に公表された「東京都立高等学校入学者選抜検討委員会
報告書」において、平成28年度入学者選抜以降における改善の方向性が、次のとおり示された。
○ 高等学校入学時に求められる中学校で身に付けるべき「基礎的・基本的な知識・技能」や「課題を解決
するために必要な思考力・判断力・表現力等」を的確にみることができる選抜となるように選抜方法、選
抜尺度の改善を図る。
○ 選抜の目的が明確に伝わるように、これまで各学校に委ねていた具体的な選抜方法について、課程や学
科等に基づき共通化・簡素化を図るとともに、中学生にとって分かりやすい制度にする。
○ 学校の設置目的に応じて、適切な選抜方法、選抜尺度となるよう改善を図る。
この方向性に基づき、平成28年度入学者選抜から次のように変更した。
- 12 -
(1) 学力検査の教科数及び学力検査の得点と調査書点の比率等の変更
ア 学力検査の教科、学力検査の得点と調査書点の比率
(ア) 全日制課程
全日制課程の第一次募集・分割前期募集において、原則として、5教科の学力検査を実施すること、
学力検査の得点と調査書点の比率は7:3とすることとした。また、分割後期募集・第二次募集におい
ては、原則、全ての高等学校で3教科の学力検査を実施すること、学力検査の得点と調査書点の比率は
6:4とすることとした。
(イ) 定時制課程
定時制課程の第一次募集・分割前期募集において、原則として、5教科の中から3教科を下らない範
囲での学力検査を実施すること、学力検査の得点と調査書点の比率は7:3又は6:4から学校が選択
することとした。また、分割後期募集・第二次募集においては、原則、3教科を実施すること、学力検
査の得点と調査書点の比率は6:4又は5:5から学校が選択することとした。
なお、定時制課程については、第一次募集・分割前期募集、分割後期募集・第二次募集のどちらにお
いても、面接を必ず実施することとした。
課程・募集の別
全日制課程
定時制課程
昼夜間定時制
課程
第一次募集・
分割前期募集
分割後期募集・
第二次募集
第一次募集・
分割前期募集
学力検査の教科
学力検査の得点と
調査書点の比率
5教科(国・数・英・社・理)
7:3
3教科(国・数・英)
6:4
備考
5教科(国・数・英・社・理)
の中から3教科以上
7:3又は6:4
面接を必ず実施
分割後期募集
3教科(国・数・英)
6:4又は5:5
面接を必ず実施
第二次募集
5教科(国・数・英・社・理)
の中から3教科以上
6:4又は5:5
面接を必ず実施
※ 学校によっては、学力検査に加え、面接、小論文又は作文、実技検査を実施する場合がある。
イ 調査書点の算出方法
調査書点は、学力検査を実施する教科の評定は1倍、学力検査を実施しない教科の評定は2倍して点数
化することとした。
学力検査の教科
1倍
5教科(国・数・英・社・理) 国・数・英・社・理
3教科(国・数・英)
国・数・英
2倍
評定の満点
音・美・保体・技家
65点
社・理・音・美・保体・技家
75点
ウ 特別選考
平成26年1月に公表された「東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書」において、中学校で身
に付けるべき力を学力検査の得点と調査書点によりみることとする、今回の学力検査に基づく選抜の改善
の趣旨とは異なるため、廃止することが望ましいとされていた特別選考は、廃止することとした。
学力検査の教科数及び学力検査の得点と調査書点の比率の変更の検証については、変更前の平成27年度入学
者選抜の実施状況との比較や平成28年度入学者選抜で行ったアンケート調査結果を基に行うこととした。
- 13 -
(2) 制度変更による応募状況等への影響
平成27年度の中学3年生を対象に実施した都立高校全日制等志望予定(第1志望)調査〔東京都中学校
長会進路対策委員会〕の結果、普通科について、男子の志望倍率が1.37倍、女子の志望倍率が1.47倍
となり、学区制度を廃止した平成15年度入学者選抜以降、最も高い結果となった。特に普通科女子につい
ては、昨年度に比べ0.05ポイント上昇した。一方、工業科は、0.97倍と平成15年度以降、最も低く、
商業科は、0.93倍と2番目に低い結果となった。
志望予定調査の結果、顕著な変化がみられた普通科女子、工業科、商業科を中心に、選抜方法の改善の影
響という観点から、検証・検討を行った。
ア 全日制普通科及び全日制各専門学科(工業科・商業科)の応募倍率及び受検倍率等の推移
(ア) 普通科(男女別)
平成27年度入学者選抜における学力検査実施教科数等
1.65
1.60
1.60
1.56
1.55
1.55
1.55
1.55
1.50
学力検査を実施
学力検査 学力検査の得点と
しない教科の
実施教科数 調査書点の比率
評定の扱い
1.62
1.61
1.54
1.53
1.54
1.53
1.42
1.35
28普通科(男子)
受付2日目
27普通科(男子)
最終応募倍率
-
2(2)
5:5
1.3 倍
8
2(2)
1.42
7:3
-
-
-
6:4
1.2 倍
2
2(0)
5:5
1.2 倍
4
4(2)
3教科
受検倍率
28普通科(女子)
63
31
1.41
受付1日目
1.3 倍
1.3 倍
1.37
志望予定調査
7:3
6:4
5教科
1.45
1.40
面接実施
校数
1.50
1.54
1.47
学校数
27普通科(女子)
※ ( )の数値は、平成28年度入学者選抜における面接実施校数
<平成15年度入学者選抜以降の志望予定調査の結果>
平成15年度入学者選抜以降、志望倍率は、男子よりも女子の方が高い状況が続いている。女子の志
望倍率は平成23年度入学者選抜の1.45倍以降、低下傾向にあったが、平成28年度入学者選抜で上
昇した。
<平成27年度入学者選抜との比較>
平成27年度入学者選抜における学力検査実施教科数ごとに分析すると、5教科7:3の学校では、
大きな変化は見られない。3教科6:4の学校2校のうち1校は男女共に受検倍率が上昇し、1校は下
降している。また、3教科5:5の学校4校のうち3校の受検倍率は、男子は上昇し、女子は下降して
いる。残りの1校は男女共に下降している。
(イ) 工業科
平成27年度入学者選抜における学力検査実施教科数等
1.20
1.18
1.15
1.15
1.17
1.13
1.12
1.10
1.15
学力検査を実施
学力検査 学力検査の得点と
しない教科の
実施教科数 調査書点の比率
評定の扱い
1.14
1.14
5教科
1.05
1.02
1.00
0.95
3教科
0.97
志望予定調査
受付1日目
受付2日目
28工業科
最終応募倍率
受検倍率
学校数
面接実施
校数
7:3
-
-
-
6:4
1.3 倍
5
-
5:5
1.3 倍
1
-
7:3
-
-
-
6:4
1.2 倍
1
1(0)
5:5
1.2 倍
7
7(1)
※ ( )の数値は、平成28年度入学者選抜における面接実施校数
27工業科
<平成15年度入学者選抜以降の志望予定調査の結果>
平成15年度入学者選抜以降、志望倍率は上昇、下降を繰り返していたが、平成24年度入学者選抜
- 14 -
の1.17倍を境に下降傾向にあり、平成28年度入学者選抜では0.97倍となった。
<平成27年度入学者選抜との比較>
平成27年度入学者選抜における学力検査実施教科数ごとに分析すると、3教科の学校8校のうち応
募倍率や受検倍率が下がったのは2校で、5教科5:5の学校は、平成27年度入学者選抜まで応募倍
率及び受検倍率が1.4倍程度であったが、平成28年度入学者選抜では1倍程度に下がっている。5
教科6:4の学校は、大きな変化はなかった。
(ウ) 商業科
平成27年度入学者選抜における学力検査実施教科数等
1.25
1.21
1.20
1.19
1.16
1.15
1.15
1.17
1.19
5教科
1.10
1.05
学力検査を実施
学力検査 学力検査の得点と
しない教科の
実施教科数 調査書点の比率
評定の扱い
1.04
1.07
1.06
1.00
3教科
0.95
0.93
0.90
志望予定調査
受付1日目
受付2日目
28商業科
最終応募倍率
受検倍率
学校数
面接実施
校数
7:3
-
-
-
6:4
1.3 倍
3
-
5:5
1.3 倍
4
-
7:3
-
-
-
6:4
-
-
-
5:5
1.2 倍
3
3(0)
※ ( )の数値は、平成28年度入学者選抜における面接実施校数
27商業科
<平成15年度入学者選抜以降の志望予定調査の結果>
平成16年度入学者選抜、平成17年度入学者選抜では、1.1倍を超える志望倍率となっていたが、
その後は1倍辺りで上昇、下降を繰り返し、平成28年度入学者選抜で0.93倍となった。
<平成27年度入学者選抜との比較>
平成27年度入学者選抜における学力検査実施教科数等ごとに分析すると、5教科の学校7校の応募倍率
及び受検倍率は上昇又は同倍率である。3教科5:5の学校3校のうち2校は応募倍率及び受検倍率が下降
している。
志望予定調査の結果、応募倍率及び受検倍率等の推移から、全日制課程については、原則として5教科の学
力検査の実施及び学力検査の得点と調査書点の比率を7:3としたことで、受検者は検査教科数等に左右され
ず、自身が行きたいと考える学科や高等学校を選択したと考える。商業科については、このことが特に顕著に
表れ、志望予定調査の結果は0.93倍と低かったが、入学願書の取下げ・再提出後の最終応募倍率では、
1.21倍まで急上昇するという変化につながった。
審議の過程でも、外部有識者から、
「学力検査の得点と調査書点の比率が、原則7:3に統一されて、受検
者が行きたい学校を選ぶ傾向が強まっている。女子については、普通科を第一志望としていたが、応募倍率を
見て、より応募倍率の低い商業科に志願変更している傾向がみられる。
」といった意見があった。
イ 高等学校長対象アンケート調査結果(回答数全日制168、定時制50)
(ア) 今回の制度変更により、実際の受検者について、これまでの選抜と変化があったと思うか。
11.6%
0%
10%
そう思う。
31.9%
20.8%
20%
30%
40%
35.7%
50%
どちらかと言えばそう思う。
- 15 -
60%
70%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
100%
そう思わない。
<「そう思う。
」
、
「どちらかと言えばそう思う。
」と回答した高等学校の状況>
○ 学校説明会に参加する受検者や保護者が増えるとともに、昨年度と異なり、選抜方法が統一
された影響なのか、例年以上に説明会の話を真剣に聞いている様子が見られた。
○ 例年、学校説明会の全体の部だけに参加する受検者や保護者が多かったが、今年度は個別相
談にも引き続き参加する受検者や保護者が増えた。
○ 個別相談で、調査書点の換算方法など変更された点について確認する受検者や保護者が多く
いた。選抜方法等が変更になり、進路先をどのように決めようかと迷っている様子が見られた。
(イ) 一般選抜により、求める生徒を選抜することができたと思うか。
① エンカレッジスクール及びチャレンジスクールを除いた都立高等学校全体
22.2%
0%
10%
20%
そう思う。
15.5%
59.4%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
60%
70%
80%
2.9%
90%
どちらかと言えばそう思わない。
100%
そう思わない。
この「一般選抜により、求める生徒を選抜することができたと思うか。
」という質問に対し、都立高等学
校全体の81.6%の学校が肯定的な回答をしている。本質問について、さらに、平成27年度入学者選抜
における学力検査実施教科数等ごとに、回答の状況を分析した。
② 平成27年度入学者選抜における学力検査実施教科数及び学力検査の得点と調査書点の比率別の比較
※ 新宿山吹高等学校(学力検査と調査書の比率20:3)を除く。
<学力検査を5教科で実施していた学校>(全日制148校、定時制1校)
34.7%
58.3%
24.5%
63.3%
4.2% 2.8%
比率が7:3だった学校
12.2%
0.0%
比率が6:4だった学校
6.3%
6.3%
18.8%
68.8%
比率が5:5だった学校
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
<学力検査を3教科で実施していた学校>(全日制20校、定時制41校)
25.0%
25.0%
50.0%
0.0%
比率が7:3だった学校
9.5%
57.1%
33.3%
11.8%
58.8%
23.5%
0.0%
比率が6:4だった学校
5.9%
比率が5:5だった学校
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
<学力検査の代わりに面接・作文による検査を実施していた学校>(定時制7校)
16.7%
学力検査の代わりに
面接・作文による検査
を実施した学校
0%
そう思う。
10%
0.0%
20%
66.7%
30%
40%
どちらかと言えばそう思う。
- 16 -
50%
16.7%
60%
70%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
100%
そう思わない。
③ 「どちらかと言えばそう思わない。
」
、
「そう思わない。
」と回答した学校の選抜内容について(39校)
12.8%
5.1%
15.4%
5教科・7:3
5教科・6:4
5教科・5:5
12.8%
30.8%
3教科・7:3
3教科・6:4
3教科・5:5
2.6%
面接・作文による検査
20.5%
④ 「どちらかと言えばそう思わない。
」
、
「そう思わない。
」と回答した高等学校長の主な意見
○ 募集人員と受検者数に違いがなかったため、ほぼ全員の受検者を合格させることになった。受検
者数が増えるよう、中学生や保護者、中学校に対する広報活動を充実させる必要がある。
○ 教育活動や特別活動など、学校の特色を十分に理解した受検者を選抜できていないと感じる。そ
のため、中学生や保護者に対し、一層周知していきたい。また、求める生徒を選抜するため、第一
次募集でも面接の実施を検討したいが、採点・点検にかかる時間を考えると難しい状況がある。
○ 応募倍率が低いため、専門学科の高等学校に入学して頑張っていきたいという強い思いをもって
いる生徒を選抜できていない状況がある。選抜方法が学科や学校にかかわらず共通になったことか
ら、より一層募集対策に力を入れ、将来に生かすことができる専門学科の特徴を十分に理解した生
徒の受検を促し、応募倍率を上げていく必要がある。
○ 学ぶ意欲を評価するという目的から、これまで定時制課程では学力検査に代えて作文と面接によ
り選抜を行うことができた。実態に応じて学力検査を行わない仕組みも必要ではないかと考える。
ウ 高等学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 学力検査を行う5教科は、総合成績に占める割合がどうしても高くなる。そのため、実技教科の
学習に一生懸命に取り組んで成果を上げている中学生にとって、調査書点の中での割合を高めた
今回の変更は良いものと言える。入学した生徒の今後の状況を、これまでの入学者と比較していき
たい。
○ 実技教科の評定の扱いが変わったことで、実技教科を得意とする受検者の入学者選抜に対する
モチベーションが高まったと考える。
○ 学校説明会において、中学校での学習の成果である調査書と学力検査の得点とを、バランス良く
みることについて、丁寧に説明をしてきた。そのため、受検者や保護者が不安なく学校選択できた
と考える。
○ 5教科の学力検査に加えて個人面接を実施したため、受検者の負担は大きかったと考える。今後
も、本校の特色である面接について、3教科実施から5教科実施に変わっても継続する理由を志願
者や保護者に対して説明し、理解を求めていきたい。さらに、学力検査日に実施できていた面接が
翌日となることで、採点・点検業務を並行して進めなければならないため、教員の負担が増えた。
- 17 -
エ 中学校長対象アンケート調査結果(回答数53)
(ア) 学力検査の教科数を全日制では原則5教科にすると変更したことにより、進路指導に影響はあったか。
7.8%
0%
10%
20%
影響があった。
51.0%
27.5%
13.7%
30%
40%
50%
どちらかと言えば影響があった。
60%
70%
80%
どちらかと言えば影響はなかった。
90%
100%
影響はなかった。
(イ) 学力検査の得点と調査書点の比率を変更したことにより、進路指導に影響はあったか。
27.5%
9.8%
0%
10%
20%
影響があった。
23.5%
30%
40%
50%
どちらかと言えば影響があった。
39.2%
60%
70%
80%
どちらかと言えば影響はなかった。
90%
100%
影響はなかった。
(ウ) 調査書点を算出する際、学力検査を実施しない教科の評定を2倍すると変更したことにより、進路
指導に影響はあったか。
28.3%
3.8%
0%
10%
影響があった。
41.5%
26.4%
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えば影響があった。
60%
70%
80%
どちらかと言えば影響はなかった。
90%
100%
影響はなかった。
(エ) 学力検査を実施しない教科の評定を2倍すると変更したことにより、日常の学習活動や評価に影響は
あったか。
32.7%
5.8%
0%
10%
影響があった。
20%
25.0%
30%
40%
50%
どちらかと言えば影響があった。
36.5%
60%
70%
80%
どちらかと言えば影響はなかった。
90%
100%
影響はなかった。
オ 中学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 選抜制度の変更については、中学1年生の段階で明らかになっていたことから十分な周知期間が
あり、生徒や保護者に対して早い時期から説明会等で話をしてきた。また、今回の変更で全ての高
等学校が原則5教科の学力検査を実施することになり、社会、理科の授業に対する生徒や保護者の
関心が高まった。
○ 学力検査を実施しない教科について、評定を1.3倍から2倍にして調査書点を計算することにな
り、算出も簡単で生徒や保護者にとっても分かりやすくなった。
○ 5教科の学力検査を実施する場合には、調査書点を算出する際に実技教科の評定が2倍となる。
これにより、実技教科の授業だけでなく、実技教科の評定に対する生徒や保護者の関心が高くなっ
た。学校として生徒の評価・評定に対する説明責任が、より一層重くなったと感じた。良い意味で、
教員の評価に対する意識も向上すると思える。
○ 学力検査の得点と調査書点の比率が7:3となったことで、昨年度よりも学力検査の得点が取れ
ないと志望する高等学校に入れないのではと不安になった生徒や保護者がいた。また、5教科の学
習に自信のない生徒が、都立高等学校を諦め、第一志望を3教科で受験できる私立高等学校に変更
するというケースがあった。
- 18 -
カ 高等学校一年生対象アンケート調査結果:387名抽出(10校各1クラス)
(ア) 今回の入試から原則5教科で学力検査を実施したり、学力検査の得点と調査書点の比率を7:3に
したりするなど、入試制度を変更したが、高等学校の選択に影響はあったか。
29.3%
影響があった。
影響はなかった。
70.4%
(イ) 影響があった人は、どのような影響があったか。
(複数回答可)
※ (ア)で「影響があった。
」と回答した生徒対象
教科の得点と調査書点の割合などが共通化
されたことで、学校を選択しやすくなった。
実技教科(音楽、美術、技術家庭、体育)の授業
を、以前よりも真剣に取り組むようになった(取
り組む人が増えた。)。
27.2%
46.9%
教科の得点と調査書点の割合などが共通化さ
れたことで、学校を選択しづらくなった。
23.1%
その他
2.7%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
45%
50%
<その他の具体的な内容>
・ 志望した学校では、学力検査の得点の割合が高くなったので、調査書点が低くても、当日
の学力検査で良い得点が取れれば合格できると思った。
・ 調査書点の割合が減ったため、第1希望の高等学校を変更することになった。
審議の過程で、学力検査を原則5教科としたことに対し、保護者からは「社会、理科を得意とする受検者
にとってはよかったが、教科数が増えたことにより受検の準備について負担が増した面もある。
」という意
見が、高等学校からは「都立高等学校を目指す子供たちに対するメッセージとなっている。学力検査に基づ
く選抜であるからこそ、学力検査でしっかりと学習の成果をみるのは良いことである。全校で学力検査を実
施しているのではなく、都にはエンカレッジスクールやチャレンジスクールのような学力検査を課さない学
校などもあり、生徒の様々な状況に対応することができていることからも、原則5教科の学力検査を課すこ
とは適切である。
」という意見があった。
調査書点の算出の際、実技教科の評定を2倍することについて、外部有識者からは「実技教科の評定を2
倍にして扱うことについて、中学校には周知されているが、小学校の先生は知らない。受検教科でなくても
しっかり学習することは、小学校の段階でも大切であり、周知することも必要である。
」
、
「実技教科は非常
勤講師が担当していることが多く、評価に関する研修を充実させていく必要がある。また、相対評価からい
わゆる絶対評価に変更になった頃は、区市教育委員会等により評価についての研修が盛んに実施されていた
が、最近はあまり行われていないことが心配である。
」という意見があった。
また、全日制課程の高等学校における都外からの受検に関する応募資格について、外部有識者から「実施要
綱では『保護者と共に入学日までに都内に転入することが確実な者』としているが、一家転住を基本とする応
募資格は課題があるのではないか。近年、家庭の在り方も多様になっている。様々な理由で両親と共に都内に
- 19 -
転居することが難しい家庭もあるだろう。他道府県からの転居の場合を含め、全日制課程の高等学校への応募
資格について検討する必要があるのではないか。
」という意見があった。
キ 今後の取組の方向性
学力検査に基づく選抜の改善について、アンケート調査結果や委員からの意見を基に、以下のように今
後の取組の方向性をまとめた。
○ これまで具体的な選抜方法を各学校に委ねていたことにより、複雑化していた選抜制度が、中学生
にとっても保護者にとっても、分かりやすいものとなった。また、選抜方法の改善により、生徒の実
技教科の学習に取り組む姿勢や、教員の意識にも変化が表れた。
新たな選抜方法での1年目の実施であることから、中学生や保護者に対し、引き続き改善の趣旨に
ついて周知を進め、より一層定着を図る必要がある。
○ 受検者全体の応募状況については、大きな影響はみられなかったが、商業科など、中学生のニーズ
が志望倍率に表れている学科もある。今後、選抜制度の共通化に伴い、どの高等学校においても学校
の特色化を進め、より一層学校の特色を受検者や保護者に周知していく必要がある。
○ 各高等学校の求める生徒を選抜する上で、改善した選抜方法はおおむね適切と考えられるが、希望
する高等学校が面接や作文等の検査を実施できるだけの時間を確保できるよう、採点についても一層
の効率化を進める必要がある。
(3) 分割募集
学力検査に基づく選抜の募集人員をあらかじめ分割し、分割前期募集と分割後期募集の2回に分けて選
抜を実施することにより、受検者に複数の受検機会を確保し、異なる方法や尺度による入学者選抜を推進す
るため、平成10年度入学者選抜から導入した。
平成28年度入学者選抜においては、全日制高等学校22校(分割後期募集の募集人員は846人)
、
定時制単位制高等学校5校(分割後期募集の募集人員は606人)
、合計27校(分割後期募集の募集人員
は1,452人)で実施した。
ア 分割募集実施校における高等学校長対象アンケート調査結果(回答数27)
(ア) 分割募集は受検機会の複数化に寄与しているか。
40.7%
51.9%
0%
10%
そう思う。
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
60%
70%
3.7% 3.7%
80%
90%
どちらかと言えばそう思わない。
100%
そう思わない。
(イ) 分割募集を実施することで、自校の期待する生徒を選抜することができたか。
44.4%
29.6%
0%
10%
そう思う。
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
- 20 -
60%
18.5%
70%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
7.4%
100%
そう思わない。
イ 中学校長対象アンケート調査結果(回答数53)
募集人員をあらかじめ前期・後期に分割して検査を行う分割募集は、受検機会の複数化に寄与しているか。
34.0%
47.2%
0%
10%
そう思う。
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
60%
70%
9.4%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
9.4%
100%
そう思わない。
ウ 高等学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 分割後期募集で合格した生徒は、学習意欲の高い者が多い。また、家庭の経済的な理由から都立
高等学校以外の高等学校への進学が難しい受検者にとって、必要な制度だと感じる。
○ 分割後期募集では、学力が高く学習面で他の生徒に良い影響を与えるだけでなく、生徒会活動に
も積極的に参加するなど、中核として活躍する生徒を選抜することができている。
○ 本校の特徴を十分に理解しないまま、単なる「残された受検機会」として受検し入学する生徒が
いる。説明会など事前の広報活動を十分に実施するとともに、教育活動の質を高めることが課題で
ある。
エ 中学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 家庭の事情などにより都立高等学校しか受検できない生徒や、インフルエンザや風邪などで第一
次募集を受検できなかった生徒にとって、複数回の受検の機会があることはとても重要であり、な
くてはならない制度である。分割募集実施校が更に増えると、進路選択の幅が一層広がると考える。
○ 第一次募集において上位校にチャレンジしたい生徒はもちろん、自分の実力に合った学校を受検した
が、思うような結果が出なかった生徒にとっても、分割募集は受検機会を確保する上で必要である。
○ 分割募集実施校は地域的に偏りがある。居住する地域によって受検機会に偏りが出ないよう、少
しでも多くの学校に分割募集を検討してもらいたい。
審議の過程で、高等学校からは「分割募集により受検の機会が増えることは良いことであるが、分割後期
募集を受検するに当たり、受検者が十分吟味せずに学校を選択することがあるので、中学校側で志望動機等
を確認するなど十分に指導する必要があると考える。
」
、
「第一次募集・分割前期募集の発表後、初めて説明
会に参加し、翌日に出願するという状況の生徒もいるため、学校の特徴を理解しての志願とは思えない。
」
という意見があった。また、中学校からは「経済的な理由で私立高等学校を受検できず、都立高等学校しか
受検できない生徒がいる状況から考えても必要である。
」という意見があった。
外部有識者からは「全日制課程や昼夜間定時制課程の高等学校が分割募集を実施することで、定時制高等
学校に進学し、中途退学するかもしれない生徒を救うことができると考える。
」という意見のほか、
「分割募
集実施校の中には、前期募集の定員を減らし、学力検査等の結果で上位の生徒を選抜できるというメリット
があって始めたところもある。異なる尺度や方法により、多様な生徒を選抜できるという目的は理解できる
が、受検者が真に希望する学校を選択しているかという点で課題がある。また、分割前期募集で不合格とな
った者が、どれだけ分割後期募集を受検しているのかという点からも検証し、必要に応じて定員の割合を変
更することも必要である。いずれにしても受検者側に立って見直す必要がある。
」という意見があった。
- 21 -
オ 今後の取組の方向性
これらの意見を踏まえて検討した結果、分割募集について、以下のように今後の取組の方向性を確認し
た。
○ 受検機会の複数化の観点から平成29年度入学者選抜以降も継続して実施するが、受検者への進路
指導の在り方や前期と後期の募集人員の割合などについては、今後検討する必要がある。
(4) 男女別定員制の緩和
男女別に募集人員を定めている高等学校において、男女間の合格最低点における著しい格差を是正するた
め、募集人員の9割に相当する人員を男女別の総合成績により合格候補者として決定した後、募集人員の1
割に相当する人員を男女合同の総合成績の順に合格候補者として決定する制度として、平成10年度入学者
選抜から導入した。
平成28年度入学者選抜では、31校で実施した。
ア 男女別定員制の緩和実施校における高等学校長対象アンケート調査結果(回答数31)
男女別定員制の緩和は、受検者の男女間の合格最低点における著しい格差を是正できたか。
0%
10%
十分是正できた。
20%
30%
3.1% 0.0%
40.6%
56.3%
40%
50%
どちらかといえば是正できた。
60%
70%
80%
どちらかといえば是正できなかった。
90%
100%
是正できなかった。
イ 中学校長対象アンケート調査結果(回答数53)
男女別定員制の緩和の制度は必要か。
49.1%
17.0%
0%
10%
必要だと思う。
20%
30%
40%
18.9%
50%
どちらかといえば必要だと思う。
60%
70%
15.1%
80%
どちらかといえば必要だと思わない。
90%
100%
必要だと思わない。
ウ 高等学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 総合成績の差を是正することで、学力が高く、面接においても良好な生徒を男女関係なく選抜す
ることができている。
○ 男女間の合格最低点の差という不平等感を解消することができていると考える。
○ 学力差を是正できたことで、学力や学習意欲の高い生徒を選抜でき、授業や学校行事への取組に
も良い影響が出ている。
○ 男女緩和枠を拡大すれば学力差を効果的に是正できるが、男女間の人数のアンバランスが生じ、
学級編成等に配慮が必要になることも考えられる。
エ 中学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 男女の合格最低点の差から生じている不公平感を解消することで、意欲や学力の高い生徒が男女
の区別なく都立高等学校に入学するようになっていると感じる。
○ 男女別定員制の緩和実施校では、女子の合格者数が増加し、男子の合格者数が減少することが多
い。あまりに多くの学校で実施されると、男子の進学先の確保が課題となる。
- 22 -
○ 性別によって入学者選抜に不公平が生じるのは問題であるが、緩和枠を拡大しすぎると生徒の男
女比が偏ってしまい、高等学校の教育活動や施設面で悪影響がでる。
○ 発達段階の差もあるが、緩和枠を拡大することにより、男子で潜在能力の高い生徒が進学しにく
くなることもあると考える。緩和の実施は真に必要な学校に限定して実施することが必要と考える。
審議の過程で、中学校からは「本来、男女別に定員を設定している学校では、募集人員どおりに選抜するこ
とが基本であると考える。そのため、男女別定員制の緩和は効果の高い学校に限定して実施すべきである。
」と
いう意見があった。高等学校からは「必要とする学校が実施を希望することになっているが、年度により受検
者の状況も多少異なるため、3、4年分のデータを基にして実施の必要性を判断する必要がある。
」
、
「男女別に
選抜を行うことで、男子の合格者よりも総合成績が20点も高いのに不合格になっている女子がいるという実
態がある。入学者選抜として、性別による不平等感をなくし、公正・中立であるために必要である。
」という意
見があった。
オ 今後の取組の方向性
これらの意見を踏まえて検討した結果、男女別定員制の緩和について、以下のように今後の取組の方向
性を確認した。
○ 男女別定員制の緩和については、現行どおり、真に必要と認められる高等学校のみを対象とする。
なお、男女別定員制から男女合同定員制への移行の可能性については、今後も、男女別定員制の緩
和を実施してきた成果や近年における受検者の動向などの資料を基に現状を分析するなどして、引き
続き検討することが望ましい。
(5) 一般の学力検査における外国籍の者の受検についての措置
学習意欲がありながら日本語に十分習熟していない外国籍の者の進路実現を図るため、学力検査に基づく
選抜の学力検査問題(第一次募集・分割前期募集及び全日制の分割後期募集・第二次募集における学力検査
問題の共通問題)及び在京外国人生徒対象の入学者選抜で使用する問題にひらがなのルビを振る措置を平成
20年度入学者選抜から導入した。
平成26年1月に公表された「東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書」において、平成28年度
入学者選抜から、第一次募集・分割前期募集における学力検査が原則として5教科となることで、日本語に
十分習熟していない外国籍の者については、全日制課程の高等学校への進学が困難になることが想定される
せっ さ たく ま
ため、日本人と切磋琢磨し、積極的に学ぼうとする外国籍の者に対して何らかの特別措置を検討していくこ
とが望ましいとされていた。そのため、平成28年度入学者選抜では、一般の学力検査における外国籍の者
の受検に対する措置内容を、次のように変更して実施した。
外国籍を有し、入国後の在日期間が入学日現在原則として3年以内の者で、外国籍の受検者に対する
特別措置を希望する者は、在京外国人生徒の都立高等学校受検に対する学力検査等実施上の措置申請書
により、入学願書提出時に志願する都立高等学校長へ申請する。
措置申請者には共通問題にひらがなのルビを振る措置に加えて、辞書の持込み(電子辞書を除く。
)を
一部認めることとする。ただし、国語の学力検査については辞書の持込みを認めない。また、辞書の持
込みに伴う検査時間の延長については、各教科で10分とする(国語を除く。
)
。
- 23 -
持ち込める辞書は、希望する外国語について、日本語に対する当該外国語の訳が記載されている辞書
1冊、当該外国語に対する日本語の訳が記載されている辞書1冊の合計2冊を原則とする(例:日中辞
典と中日辞典)
。ただし、辞書に書込みがある場合など、志願先の都立高等学校長の判断により、提出し
た辞書が使用できないことがある。
ア 課程別の受検状況等
全日制課程
最終応募人員
男
女
受検人員
計
男
女
合格人員
計
男
女
入学手続人員
計
男
女
計
ルビのみ
2
8
10
2
6
8
1
3
4
1
3
4
ルビ及び
辞書持込み
10
31
41
9
25
34
5
16
21
5
15
20
計
12
39
51
11
31
42
6
19
25
6
18
24
定時制課程
最終応募人員
男
女
受検人員
計
男
女
合格人員
計
男
女
入学手続人員
計
男
女
計
ルビのみ
12
7
19
12
6
18
12
6
18
12
6
18
ルビ及び
辞書持込み
18
16
34
18
16
34
18
16
34
18
16
34
計
30
23
53
30
22
52
30
22
52
30
22
52
定時制課程
単位制
最終応募人員
男
女
受検人員
計
男
女
合格人員
計
男
女
入学手続人員
計
男
女
計
ルビのみ
4
2
6
4
2
6
4
2
6
4
2
6
ルビ及び
辞書持込み
7
3
10
7
3
10
7
3
10
7
3
10
計
11
5
16
11
5
16
11
5
16
11
5
16
イ ルビ(辞書持込み含む。
)申請者数別の学校数
1人
2人
3人
4人
5人
6人
7人
8人
9人
10 人
全日制課程
10
4
2
2
-
-
-
-
-
1
42
定時制課程
11
3
2
1
-
1
-
-
1
1
52
-
1
-
16
定時制課程
2
-
-
-
1
-
-
単位制
※ 定時制課程単位制は、一橋、新宿山吹、浅草、荻窪、砂川の5校
計
ウ 高等学校長対象アンケート調査結果(回答数231)
平成28年度入学者選抜において、新たに導入した「辞書の持込み」及び「辞書の持込みに伴う時間延
長」の措置は、措置を希望する外国籍の受検者にとって、効果があったか。
0%
10%
そう思う。
12.7%
59.8%
13.2%
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
- 24 -
60%
70%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
14.3%
90%
100%
そう思わない。
エ 高等学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 辞書の持込みは、日本語での会話がある程度できても、読み書きに不安のある受検者にとっては
意味があった。
○ 入学後も、辞書を用いて学習を進めることができる力があれば問題はないという考えの下での措
置と考えれば、必要なものと判断できる。
○ 辞書の持込みによる検査時間の延長を申請した受検者が、他の受検者と同じ時間にリスニングテ
ストを受けるためには休憩時間を短縮せざるを得ない。このことが、受検者には負担となった。
○ 志願者の中には、ルビ振り等の措置について知らない者がいた。そのため、受検者が申請可能な
措置について一層周知する必要がある。本校では、来年度、入学願書を取りに来た生徒に措置申請
の全書類を渡すことを検討している。
オ 中学校長対象アンケート調査結果(回答数53)
(ア) 平成28年度入学者選抜において、新たに導入した「辞書の持込み」及び「辞書の持込みに伴う時間
延長」の措置は、措置を希望する外国籍の生徒にとって、効果があったか。
0%
10%
そう思う。
4.3%
58.7%
23.9%
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
60%
70%
80%
13.0%
90%
どちらかと言えばそう思わない。
100%
そう思わない。
(イ) 日本語に十分習熟していない外国籍の生徒がいるか。
64.2%
35.8%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
いる。
60%
70%
80%
90%
100%
いない。
(ウ) 当該生徒に対して、授業や定期テスト等において特別な対応をしているか。
21.1%
78.9%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
特別な対応をしている。
60%
70%
80%
90%
100%
特別な対応をしていない。
カ 中学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 辞書を持ち込むことによって、言語運用能力のハンディを一定程度カバーできることから、外国
籍の生徒の受検に対する不安が少しでも解消したと考える。
○ ルビ振りや辞書持込みは日本語の習得が十分でない生徒にとって大きな効果があると考える。今
後も日本語指導が必要な外国人生徒の受検は増えると考える。
○ 本措置を外国籍の生徒に限定していることに課題があると考える。日本国籍を取得して間もないなど、
日本語を十分に習得していない受検者もいるため、申請の条件に関して更なる改善が必要である。
○ これまでのルビ振りのみの措置に加えて、ルビ振りと辞書持込みの措置も可能となったが、導入
1年目でもあることから、この方法を継続しつつ、外国籍生徒に対する配慮として適切なのかどう
かについて、今後も検討する必要がある。
- 25 -
審議の過程で、中学校からは「日本語の習得が十分でないにもかかわらず、日本国籍をもっているために
特別措置を受けることができない点で、現行の制度には課題があると考える。
」という意見があった。
平成28年度入学者選抜において新たに導入した辞書の持込み、学力検査時間の延長の措置については、
平成29年度入学者選抜においても、同様の方法で継続して実施する。また、本措置における成果と課題に
ついては、入学後の生徒の学習や生活の状況等を確認するとともに、公平性や専門的な見地から検証・検討
する必要があるため、本委員会に特別部会を設置し、平成30年度入学者選抜に向けて引き続き検討するこ
ととした。
なお、特別部会は以下のとおり4回の予定で開催し、検討結果については、平成29年1月に開催予定の
本委員会第6回にて報告することとした。
【特別部会の開催予定及び検討内容】
回
開催予定
1
8月
2
9月
3
10月
4
12月
検討内容
○ 現在の外国人生徒の状況
◆ 一般入試の特別措置
・都立高等学校入学者選抜における現行の在京外国人生徒に対する特別措置の制度について
・学力検査に基づく選抜における在京外国人生徒の受検状況(措置申請受検者)
● 在京外国人生徒対象の入試
・在京外国人生徒対象の受検状況
◆ 一般入試の特別措置
● 在京外国人生徒対象の入試
・受検資格について
・入学した生徒の状況
・都立高等学校に在籍する外国籍の生徒に対するアンケート調査
◆ 一般入試の特別措置
● 在京外国人生徒対象の入試
・都立高等学校に在籍する外国籍の生徒に対するアンケート調査結果
・学習実態、学習方法の課題からの検討
・追跡調査の方向性について
○ 特別部会のまとめ
◆ 一般入試の特別措置
・今後の外国人生徒への措置の在り方について
● 在京外国人生徒対象の入試
・今後の選抜方法及び措置の在り方について(学力検査の実施等)
【第6回入学者選抜検討委員会における報告】
開催予定
1月
検討内容
○ 入学者選抜検討委員会への報告
3 その他の制度
(1) 学力検査問題のグループ作成
学力検査問題の自校作成は、
「中学校学習指導要領に示されている基本的な内容について、知識・理解だ
けでなく、特に思考力、判断力、応用力、表現力をみることに重点を置いた問題を作成することや、学力検
査問題の作成を通して、求める生徒の能力・適性を示し、特色ある学校としての校風や伝統を広く都民にメ
ッセージを送ること」を目的に、平成13年度入学者選抜から導入した。その後、自校作成は平成22年度
入学者選抜までに、15校まで拡大した。
平成26年度入学者選抜から、グループでの共同作成を行うことで、
「学力検査問題の質の向上」
、
「結果
分析の精度向上」
、
「教員の専門力の向上」
、
「中学生の志望校の選択幅拡大」が期待されるとし、これら15
校を三つのグループに分けることとなった。
- 26 -
実
施
校
○3グループ(15校)
<進学指導重点校グループ> 7校:日比谷、戸山、青山、西、八王子東、立川、国立
<進学重視型単位制高校グループ> 3校:新宿、墨田川、国分寺
<併設型高校(中高一貫教育校)グループ> 5校:白鷗、両国、富士、大泉、武蔵
作
成
教
科
○各グループで国語、数学、英語の問題を作成する。
※ 学校ごとに、一部、学校独自の問題と差し替えるなど弾力化を認める。
※ 社会、理科については、都の共通問題を使用する。
ね
ら
い
1 各校で選ばれた問題作成に関して高い能力をもつ教員が集まって共同作成することにより、学力検査問題の質の
向上が期待できる。
2 各校における結果分析に関するノウハウを持ち寄り、分析の手法を改善することで結果分析の精度が向上し、入学
時の生徒の学力を一層的確に把握することが期待できる。
3 作問及び教科指導に関する優れた実践等の情報の共有化を通して教員の教科専門力の向上を図るとともに、その
情報を所属校に還元することにより、国語、数学、英語の教科指導の充実が期待できる。
4 グループ共通の問題にすることにより、中学生が各グループ内の高等学校を選択しやすくなる。
導入後3年が経過した学力検査問題のグループ作成について審議を行うに当たり、導入の趣旨やねらいが
達成されているかなどについて、調査結果を踏まえ、検証することとした。
ア 各学校の選抜における検査問題の実際及び学力検査問題の差し替え状況
(※ ●:大問1題の差し替え ◆:大問1題の差し替え + 小問一部の差し替え ▲:小問一部の差し替え)
<進学指導重点校グループ及び進学重視型単位制高校グループ>
○ 問題の一部差し替えを最大限行っている状況
同一グループであっても受検者の学力の実態は異なるため、グループで作成した共通問題では、受
検者の学力をきめ細かく評価することが十分にできず、1教科につき大問1題は学校独自の問題へ差
し替えが可能というルールを、多くの学校が活用している。
<進学指導重点校グループの差し替え状況>
日比谷
国 数 英
国
西
数
英
戸山
国 数 英
八王子東
国 数 英
青山
国 数 英
立川
国 数 英
国立
国 数 英
平成28年度
入学者選抜
◆ ● ● ● ● - ● ● ● - - ● - - - - - - ◆ ● ●
平成27年度
入学者選抜
◆ ● ● ● ● - ● ● ● - - ● - - ● - - - ● - ●
平成26年度
入学者選抜
● ◆ ● - ● - - - - - - - - - - - ● - - ▲ -
※ 全教科の全大問において、A問題、B問題の2種類を作成。各学校が大問ごとにA問題又はB問題を選択
<進学重視型単位制高校グループの差し替え状況>
国
新宿
数 英
国
国分寺
数 英
国
墨田川
数 英
平成28年度
入学者選抜
▲ ● ◆ - ● - ▲ ● ▲
平成27年度
入学者選抜
▲ ▲ ◆ - - - ▲ ▲ ▲
平成26年度
入学者選抜
▲ ▲ ● - - - ▲ ▲ ●
- 27 -
<併設型高校(中高一貫教育校)グループ>
○ 差し替えを行うことなく、5校全てが同一の問題で選抜を実施
併設型高校は、中高一貫教育校という共通性をもつことなどから、差し替えを行っている学校はな
い。そのため、中高一貫教育校で学びたいと考える中学生にとっては、選択という面でメリットがあ
る。また、附属中学校の適性検査問題の作成業務があることからも効率化につながっている。
<併設型高校(中高一貫教育校)グループの差し替え状況>
白鷗
両国
武蔵
富士
大泉
国
数
英
国
数
英
国
数
英
国
数
英
国
数
英
平成28年度
入学者選抜
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
平成27年度
入学者選抜
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
平成26年度
入学者選抜
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
イ 入学願書再提出における同一グループ内からの再提出人員の状況(平成25年度入学者選抜~平成28
年度入学者選抜)
進学指導
重点校
グループ
進学重視型
単位制高校
グループ
併設型高校(中
高一貫教育校)
グループ
グループ
全体
平成28年度入学者選抜
平成27年度入学者選抜
平成26年度入学者選抜
再提出
人員
同一
グループ
内からの
再提出
人員
再提出
人員に
対する
割合
再提出
人員
同一
グループ
内からの
再提出
人員
再提出
人員に
対する
割合
再提出
人員
同一
グループ
内からの
再提出
人員
平成25年度入学者選抜(参考)
再提出
人員に
対する
割合
再提出
人員
同一
グループ
内からの
再提出
人員
再提出
人員に
対する
割合
161
35
21.7%
194
26
13.4%
154
47
30.5%
158
54
34.2%
90
1
1.1%
91
1
1.1%
88
3
3.4%
71
3
4.2%
84
4
4.8%
77
5
6.5%
78
11
14.1%
77
9
0.1%
335
40
11.9%
362
32
8.8%
320
61
19.1%
306
66
21.6%
ウ グループ作成実施校の高等学校長対象アンケート調査結果(回答数15)
(ア) 平成26年度入学者選抜からグループ作成を導入して以降、願書再提出の際、同一のグループ内からの再
提出が増加するなどの変化はあったか。
16.7%
0%
10%
そう思う。
50.0%
33.3%
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
60%
70%
0.0%
80%
90%
どちらかと言えばそう思わない。
100%
そう思わない。
(イ) 問題作成の経験豊富な教員とそうでない教員が作業を通して、作問への資質の向上を図るとともに、
問題の素材を多様化させるだけでなく、各学校での指導方法等の工夫を共有することで、学力検査問題
の質の向上につながったと思うか。
30.8%
46.2%
0%
10%
そう思う。
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
- 28 -
60%
0.0%
23.1%
70%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
100%
そう思わない。
(ウ)作成委員として参加した教員にとっては、他校の教員との協働により、教科の専門性や作問能力の向
上につながったと思うか。
46.2%
38.5%
0%
10%
そう思う。
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
60%
0.0%
15.4%
70%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
100%
そう思わない。
(エ) 各グループがほぼ同一の問題により選抜を行うことで、各校に入学する生徒の実態や違いが明らかと
なり、結果分析の精度が向上したことから、共同作業の際、問題の難易度設定等の様々な工夫に生かす
ことができたと思うか。
0%
10%
そう思う。
61.5%
15.4%
15.4%
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
60%
7.7%
70%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
100%
そう思わない。
(オ) 一部の学校で問題を差し替えているが、共通問題の導入によって受検準備がしやすくなったなど、
受検者の負担軽減につながったと思うか。
0%
46.2%
23.1%
7.7%
10%
そう思う。
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
60%
23.1%
70%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
100%
そう思わない。
エ グループ作成実施校の高等学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ グループ作成による問題作成を通じて学んだことは多く、授業の内容にも少しずつ変化が現れた教員も
いる。学力検査問題を作成できる教員の育成という観点では意味があったと考える。
○ 自校作成の形で行っていたときは、問題検討のために校内の担当者が時間の都合をつけて打合せを設
定することができたが、他校との共同作成では、簡単に集まることもできず、問題について全体での検
討不足を感じている。
○ グループの作成委員として問題作成に関わった教員の資質は向上しているが、毎年どうしても経験豊
富な教員に限定して委員を委嘱することになる。そのため、校内で差し替え問題を担当する教員の問題
作成技術の向上にはつながっていない。
○ グループ内の学校で、問題の難易度をどのように合わせるかが最も大きな課題となり、問題の質的向
上にはあまりつながらなかった。
○ 求める生徒を獲得するとともに、学校の特色を発揮するために、A・B問題の選択や学校独自の問題
の差し替えを行わざるを得ない状況である。そのため、一概に共同作業を問題作成の様々な工夫に生か
すことができたとは言えない。
○ 受検者の志望する学校は、グループ内の学校で一貫しているわけではない。それは、グループ作成を
導入する前と比べて、同一グループ内で志願変更をする受検者数にほとんど変化はないことからも明ら
かである。また、多くの学校で問題の差し替えを行っていることから、同一の問題による選抜とは言え
ず、同一グループ内で志願変更をしても、受検者には新たな準備が必要になる。
- 29 -
オ 中学校長対象アンケート調査結果(回答数53)
(ア) グループで共通問題を作成することで、受検者の負担軽減につながったと思うか。
40.4%
17.3%
0%
10%
そう思う。
20%
30%
30.8%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
60%
70%
11.5%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
100%
そう思わない。
(イ)グループ作成の導入により、同一グループ内の別の学校へ進路変更する生徒が増えたと思うか。
5.9%
0%
13.7%
10%
そう思う。
47.1%
33.3%
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
60%
70%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
100%
そう思わない。
カ 中学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 問題の一部について差し替えを行う学校はあるが、グループ共通の問題が基本になっている。そのた
め、希望進学先をグループ内で変更する受検者にとって、多少ではあるが、負担軽減にはなっていると
考える。
○ 併設型の高等学校については、中高一貫教育校という共通性がある。そのような環境の中で、高等学
校生活3年間を送りたいという生徒にとって、この5校のグループ化には意味があり、選択する上でメ
リットはあると考える。
○ 問題の差し替えが多いということは、グループ共通の問題では受検者の学力をきめ細かくみることが
できないことを表していると考える。受検者の負担軽減ということではなく、受検者の学力を各学校が
しっかりと評価できる方がよい。
○ 生徒は行きたい学校だから受検するのであって、グループ共通の問題であるということが進路選択の
要因になるとは思わない。中学校では、生徒の「入りたい高等学校はどこなのか。どうしてなのか。
」を
大切にして進路指導をしている。
審議の過程で、中学校からは「グループ共通の問題にすることにより、中学生が各グループ内の高等学校
を選択しやすくなったということはない。また、中学生は学校の特色等を調べた上で志望校を決めるため、
グループ共通の問題であるという理由から、グループ内で学校の選択を変えることもない。
」
、
「併設型中高
一貫教育校は、中高一貫教育校という共通性から、グループで学力検査問題を作成する意義はあると考える。
しかしながら、進学指導重点校や進学重視型単位制高校は、差し替え問題の多さから、自校作成方式に戻し
た方が効果的である。
」という意見があった。
また、外部有識者からは「グループ共通の問題にすることで、中学生が各グループ内の高等学校を選択し
やすくなるということはない。
」
、
「実際には差し替え問題が多く、受検者の負担軽減にはなっていない。ま
た、自校作成方式に戻すに当たっても、グループ作成を導入した際の背景や自校作成とグループ作成それぞ
れのメリット、デメリットを考えなければならない。さらに、社会と理科においても自校による作成を取り
入れることを認めるといった、各学校の課題やニーズに応じた自校作成体制を作る必要もあると考える。
」
という意見があった。
- 30 -
キ 今後の方向性
学力検査問題のグループ作成を導入して3年が経過したが、当初のねらいについて一定の成果はあるも
のの課題も生じている。検証の結果、ねらいの一つである「教員の教科専門力の向上」については進路指
導研修会等の機会で十分に対応できること、また、併設型高校(中高一貫教育校)のような共通性をもっ
たグループの学校以外の多くの学校で、学校の特色や求める生徒に合わせて問題の差し替えを行わざるを
得ない状況になっており、共同作成の効果が十分に発揮できていないことが明らかとなった。
さらに、何よりもグループ共通の問題にすることにより、期待された「中学生の志望校の選択幅拡大」
かい り
については、中学校における進路指導との乖離が生じていることなどを踏まえ、今後の方向性を次のよう
に整理した。
○ 進学指導重点校グループ及び進学重視型単位制高校グループ
従来の自校作成の形に戻し、学校の特色や求める生徒を選抜できる検査問題を作成していく。
○ 併設型高校(中高一貫教育校)グループ
グループ作成による効果やメリットを生かし、今後も継続していく。
なお、中学生等に対する周知期間を確保するため、実施形態の変更は平成30年度入学者選抜からとする。
また、東京都教育委員会においては、平成30年度入学者選抜からの変更がスムーズにできるよう、関係する
学校と共に準備を進める。あわせて、安定的かつ継続的に問題作成が可能となるよう、問題作成にかかる十分
な時間の確保及び必要な予算措置などの対応も行っていく必要がある。
今回、学力検査問題のグループ作成の検討・検証と併せて、東京都中学校長会進路対策委員会の志望予定調
査の時点で、併設型高校(中高一貫教育校)グループの各学校の志望倍率が低い状況になっていることについ
て検討した。
<併設型高校(中高一貫教育校)グループの状況>
平成28年度入学者選抜における都立高等学校全日制志望予定(第1志望)調査では、併設型高校(中高
一貫教育校)グループの学校5校のうち、3校において男女共に志望倍率が1倍を割る結果となった。また、
他の2校についても女子の志望倍率が1倍を割る結果となった。そして、実際の選抜においても、推薦に基
づく選抜では、1校で男子の受検倍率が1倍を割り、学力検査に基づく選抜では、1校で男女共に受検倍率
が1倍を割り、第二次募集を実施するという結果となった。
<中学校長対象アンケート調査結果(回答数53)>
① 都立高等学校全日制等志望予定(第1志望)調査結果では、併設型中高一貫教育校の志望倍率が他の高
等学校に比べて低い傾向があるが、これは、受検者が中高一貫教育校に対して魅力や期待をあまり抱いて
いないためと考えられるか。
0%
10%
そう思う。
26.9%
25.0%
28.8%
20%
30%
40%
50%
どちらかと言えばそう思う。
- 31 -
60%
70%
19.2%
80%
どちらかと言えばそう思わない。
90%
100%
そう思わない。
② 中学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 附属中学校から進学してきた生徒に対し、高等学校段階から入った生徒が引け目を感じる点はあると
思う。また、中学生は、高等学校を新たな環境でのスタートと考えており、一緒に学ぶこととなる同級
生と高等学校から同一のスタートを切りたいと考えている。
○ 中高一貫教育校の魅力は、高等学校の学習内容を前倒しで実施できる6年間の教育課程であって、途
中からの入学では、そのメリットを受けることができないと考えている生徒、保護者が多い。
○ 高等学校から受検すると外部からの途中入学になってしまうため、3年間、先に学習していた生徒に
ついていけないのではとか、人間関係ができあがっているため、うまく学校になじめないのではとか、
中学生にとって不安があると考える。
○ 附属中学校から進学してくる生徒の方が人数が多いため、受検する生徒にとっては、高等学校に「編
入」するような疎外感を味わってしまう部分がある。
審議の過程で、中学校からは「併設型中高一貫教育校は、募集人数が少ないことや、既に形成されている
人間関係に入ることへの不安から、志望する生徒が少ない傾向にある。
」という意見があった。また、外部
有識者からは「併設型中高一貫教育校については、高等学校から入学することは、中学生にとってかなり抵
抗があると考える。
」というような意見があった。
(2) 学力検査等得点の本人への開示
入学者選抜における透明性を担保するとともに、公平性・公正性を確保するために、学力検査の得点だけ
でなく、自己PRカード点、小論文・作文点、面接点及び実技検査点についても、平成16年度入学者選抜
から開示することとした。また、平成21年度入学者選抜から、中学校卒業者に対して、中学校で調査書を
発行する際に調査書の各教科の評価及び評定を記載した調査書記載成績通知書を発行するとともに、学力検
査を実施した後、学力検査等得点表を送付することにより、入学者選抜に使用した各教科の評定を受検者に
周知することとした。さらに、平成22年度入学者選抜から、学力検査を実施した後、入学者選抜に使用し
た各教科の評定を加えた学力検査等得点表を中学校に送付することにより受検者に周知することとした。
ア 中学校長対象アンケート調査結果
学力検査等得点表の開示は、入学者選抜の透明性を担保し、公正性の観点から有効か。
13.2%
84.9%
0%
10%
有効だと思う。
20%
30%
40%
50%
どちらかといえば有効だと思う。
60%
70%
80%
どちらかといえば有効だと思わない。
90%
0.0% 1.9%
100%
有効だと思わない。
イ 高等学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 学力検査等得点表について、送付した中学校から交付されることを知らない受検者や保護者が依
然としている。受検者の利便性の観点から、積極的に周知してほしい。
○ 学力検査等の得点は個人情報であることから、中学校へ送付するに当たっても、慎重に扱わなく
てはならない。送付先を間違えないよう注意を払っているが、心配な業務である。
- 32 -
ウ 中学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 学力検査等得点表が届くのが卒業式の直前となってしまっている。請求のあった生徒に対する開
示を考えると、中学校への送付をできるだけ早くしてほしい。
○ 得点表を取りまとめる中学校への送付が期限を過ぎている高等学校が一部にあった。中学校での
学力検査等得点表の開示に支障が出るので、期限を守るようにしてほしい。
○ 細い短冊状の学力検査等得点表は扱いにくい。受検者一人の得点表のサイズを変更してほしい。
審議の前に、
「学力検査等得点の本人への開示」と「答案の本人への開示」について、導入の経緯や開示
の仕組み等の確認を行った。
「学力検査等得点の本人への開示」は、都立高等学校入学者選抜の透明性の確保と利便性の観点から、中
学校を介して受検者に学力検査等の得点を返す仕組みとして早くから取り入れられ、これまで継続して実施
してきた。その間に、東京都個人情報の保護に関する条例等の整備が進むとともに、採点誤りに関する再発
防止・改善策を受け、セーフティネットとしての「答案の本人への開示」が平成27年度入学者選抜から取
り入れられた。
本委員会においては、学力検査等の得点が個人情報に当たること、また、高等学校が請求者に対して直接
開示している「答案の本人への開示」とは異なる開示の仕組みとなっていることから、両者の開示の方法に
ついて整理することとした。
学力検査等得点の本人への開示
答案の本人への開示
「学力検査等得点表」
「答案」
高校
中学
受検者等
過年度の
受検者等
※過年度の受検者全てに対して、
学力検査等得点表を通知
高校
受検者等
※様式を用いて高等学校に直接、開
示を請求する。
審議の過程で、都民から「不合格だったので、子供は学力検査などの得点を知りたいと思っていなかった
が、中学校の先生は受検した生徒全員に得点表を配布した。どういうことか。
」
、
「学力検査などの得点を中
学校に送付して受検者に開示する方法に問題はないのか。
」という問合せがあったことが報告された。
中学校からは「これまで学力検査等得点表は、受検者本人に結果を開示することに加えて、高等学校が選
考に使用した各教科の評定に誤りがないかを確認することに利用してきた。さらには、進路指導の重要な資
料として活用している実態もあった。個人情報保護の観点から整理することは大切なことであると考えるが、
法に沿った形で受検者の学力検査等の得点を把握できるようにしないと、進路指導に影響が出る。
」という
意見があった。また、高等学校からは「東京都個人情報の保護に関する条例では、本人の同意があれば個人
情報を第三者へ提供することができる。学力検査等の得点の中学校への情報提供について、出願時に同意の
可否を確認する方法ではどうか。
」という意見があった。
一方、外部有識者からは、
「中学校が生徒や保護者に対して学力検査等得点表を積極的に渡すことは、
『中
学校で開示できるのに、それを知らず高等学校へ請求してくる生徒がいるので十分に周知してほしい。
』と
いう高等学校からの強い要望などがあってのことである。しかしながら、請求をしていない受検者に対して
も学力検査等得点表を渡すことが適切なのかどうかは疑問である。
」
、
「学力検査等の得点に関する情報は中
- 33 -
学校の進路指導において重要であり、これを活用できなくなると外部業者への依存度が高まってしまう。
」
、
「東京都個人情報の保護に関する条例等の法令を遵守しつつ、中学校が学力検査等の得点を進路指導に活用
できる仕組みを作るべきである。
」
、
「在籍者数の少ない学校では、受検者の情報が限られる。情報を何年間
か蓄積する方法もあるが、効果的な進路指導のためには、例えば、域内の中学校の中で、個人情報に配慮し
た形で情報を共有することも考えられる。
」という意見があった。また、保護者からは「保護者の多くは、
得点表により中学校へ学力検査等の得点が送付されているということを知らないのではないか。
」
、
「中学校
での進路指導が適切に行われるためにも、法令に則した仕組みが必要である。
」という意見があった。
エ 今後の取組の方向性
(ア) 本人得点の開示の方向性について
学力検査等の得点については、
実施機関である高等学校が受検者又は保護者から直接的に請求を受け、
開示することが基本である。中学校は得点を開示する実施機関ではないことから、東京都個人情報の保
護に関する条例に照らして、開示の方法を「答案の本人への開示」と同様、受検者又は保護者からの請
求により、実施機関である高等学校が個別に直接開示する仕組みに変更する。
また、これまで過年度の受検者全てに対し、実施していた学力検査等得点表の送付を取りやめ、全て
の受検者等が、直接高等学校へ請求する仕組みに一本化する。
(イ) 高等学校から中学校への調査書記載内容の確認資料の送付について
「学力検査等得点表」を中学校に送付することは、開示を簡便にするだけでなく、高等学校が調査書
点を算出する際に使用する各教科の評定を間違えたり、他の受検者の評定と取り違えたりするようなこ
とがないかを、調査書を発行した中学校において確認できるという役割もあった。
入学者選抜における公正性の担保のためにも、中学校によるチェック機能を維持する必要がある。そ
のため、選考に使用した各教科の評定等を確認できる資料を、区市町村別送付先の中学校長宛に簡易書
留郵便で送付し、送付先の中学校長から関係の中学校長に発送する仕組みは残す。
(ウ) 進路指導資料のために受検者の学力検査等の得点を中学校へ送付することについて
中学校の進路指導において、受検者の学力検査等の得点を活用する意義は大きいが、個人情報の保護
の点から適切に行われなくてはならない。そのため、本人から同意を得ることができれば、中学校に保
有個人情報である学力検査等の得点を提供することが可能であることから、
「東京都個人情報の保護に関
する条例」に則し、次のように整理した。
1 学力検査等の得点の中学校への提供に関する受検者等の同意に基づき、同意した受検者の得点等
を、都立高等学校長から中学校長に提供する。
2 提供する学力検査等の得点については、高等学校から区市町村別送付先の中学校長宛てに親展扱
いの簡易書留郵便で送付し、送付先の中学校長から各区市町村の中学校長に配布する。
3 提供する情報は、受検番号、氏名、中学校名、調査書の評定、学力検査の得点、集団討論・個人
面接等の得点、小論文・作文点、実技検査点、学校設定検査の得点及び志願申告書の得点とする。
4 提供する学力検査等得点の利用の範囲を明確に示す。
また、学力検査等得点の本人への開示制度の変更に伴い、受検者等からの同意書の提出状況、中学校
における学力検査等の得点の活用の状況や情報管理についての調査を行う必要がある。
- 34 -
受検者等
※ 進路指導のために学力検査
※ 「同意書」の様式を定め、受検者
等得点の提供を必要とする中
等が何に同意をしたかについて、
学校は、進路説明会等で、受
明確に確認できるようにする。
検者と保護者に、使用目的の
説明と提供の依頼をする。
中学校
高等学校
送付先中学校
③「学力検査等の得点」の提供
(3) 答案の本人への開示
採点誤りに関する再発防止・改善策の一環として、平成27年度入学者選抜から、受検者又は保護者から
請求があった場合には、身分証明書等で受検者又は保護者であることを確認して答案を開示することとした。
答案の保存期間については、東京都教育委員会文書管理規則を改正し、全日制課程については3年、定時
制課程及び通信制課程については4年とした。請求期間は、合格発表日から答案保存期間終了日までとし、
答案開示を受けた受検者から採点について疑義の申出があれば、当該高等学校で再点検を行うこととした。
また、平成28年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会において、答案の開示請求については初めて
の取組のため、開示請求の状況等、今後の推移を注視する必要があるという意見があったことから、1年間
の開示請求件数の状況を調査することとした。
ア 平成27年度入学者選抜における答案の開示請求の月別件数について
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
合格者
247件
221件
119件
48件
5件
9件
4件
不合格者
126件
18件
4件
2件
0件
0件
0件
計
373件
239件
123件
50件
5件
9件
4件
10月
11月
12月
1月
2月
総計
合格者
0件
3件
0件
3件
3件
662件
不合格者
3件
0件
3件
5件
1件
162件
計
3件
3件
3件
8件
4件
824件
イ 合格者・不合格者別の開示請求状況(各年度末時点)
平成28年度入学者選抜
平成27年度入学者選抜
合格者
165件
247件
不合格者
103件
126件
計
268件
373件
3月末までの開示請求件数は、平成28年度入学者選抜では合格者と不合格者を合わせて268件、平成
27年度入学者選抜では373件であった。合格者からの開示請求は両年度共に60%を超えており、不合
格者に対するセーフティネットという本来の目的とは異なる請求が多いことが明らかとなった。
- 35 -
ウ 平成28年度入学者選抜における答案の開示請求の開示請求件数別学校数(平成28年3月22日まで)
件数
1件
2件
3件
4件
5件
6件
校数
15校
9校
8校
10校
5校
3校
計
15件
18件
24件
40件
25件
18件
9件
10件
11件
13件
15件
19件
3校
1校
4校
1校
1校
1校
61校
27件
10件
44件
13件
15件
19件
268件
総計
エ 中学校長対象アンケート調査結果(回答数53)
答案の開示について、生徒に周知を図ったか。
17.0%
9.0%
生徒全員に周知した。
答案の開示を求めた生徒にのみ周知した。
答案の開示を求める生徒がいなかったため、周知していない。
74.0%
オ 答案の開示についての高等学校一年生対象アンケート結果:387名抽出(10校各1クラス)
(ア) 答案の開示制度を知っていたか。
(複数回答可)
(イ) 答案の開示を請求するか。
29.8%
30.5%
42.6%
54.8%
14.6%
20.6%
7.0%
中学校の先生から教えてもらって知っていた。
保護者から教えてもらって知っていた。
学習塾の先生などから教えてもらって知っていた。
答案の開示制度を知らなかった。
既に答案の開示を請求している。
これから答案の開示を請求する予定である。
答案の開示を請求しない。
(ウ) なぜ答案の開示を請求したのか(請求する予定なのか。
)
。
6.5%
8.9%
答案に自分で書いた内容が気になったから。
学校がどのように採点しているか知りたかったから。
自己採点と中学校の先生などから開示された得点
の結果に違いがあったから。
その他
18.5%
66.1%
※ その他の理由
・学習塾の先生に教える必要があったから。
- 36 -
カ 高等学校長対象アンケート調査結果における主な意見
○ 答案開示については、デジタル採点の導入により、マークシートの答案用紙の画像と併せて簡単
に出力できるようになり、請求に対してすぐに対応でき、内容も分かりやすいものになった。
○ 高等学校同士の相互点検が終了していない段階で開示請求を受けることは不安があるが、採点誤
りに伴う合否の入れ替りを防ぐため、高等学校だけでなく、受検者も自身の答案や採点結果を確認
できるのは良いと思う。
○ 万が一、採点誤りによる合否の入れ替りが生じたとしても、入学前までに対応できるという点か
ら、3月中は不合格者からの請求が優先されるべきであると考える。中学校においても、その趣旨
について、生徒や保護者に対して一層周知してほしい。
審議の過程で、高等学校からは「答案の開示請求は、受検者本人や保護者が採点の状況を確認したいとい
うよりも、学習塾が受検者に対して依頼をしているというのが現状である。
」という意見があった。外部有
識者からは「情報収集の目的は、進学指導重点校等のグループ作成問題の部分点の基準を把握するためと思
われる。また、答案の本人への開示請求は、平成27年度の状況から分かるように、学習塾とのつながりが
ある5月までに行われることが多い。経営企画室の業務にも支障が出ているため、合格者の答案の開示請求
については7月以降に遅らせる等の対応ができないか。
」という意見があった。また、中学校からは、
「生徒
や保護者が真に希望をしての開示請求だけではないのであれば、開示の必要性や開示方法の在り方について、
改めて検討する必要があると考える。
」という意見があった。
一方で、都民からの「答案は開示してくれたのだが、高等学校から採点結果についての質問には一切答え
ることができないと言われてしまった。採点誤りへの対応として答案開示が始まったのだから、採点結果に
ついて責任をもった説明をしてほしい。
」という意見があったことが報告された。
キ 今後の取組の方向性
答案の本人への開示について、アンケート調査結果や委員からの意見を基に、今後の取組の方向性を以
下のようにまとめた。
○ 答案開示の様式をデジタル採点システムに組み込んだことにより、
高等学校の負担軽減に寄与した。
また、答案の本人への開示については、入学者選抜の透明性の担保からも、また、採点の誤りがあっ
た場合のセーフティネットという役割からも必要であることから、現行の制度を継続していく。
○ 答案の開示だけでは入学者選抜の透明性の担保やセーフティネットの役割を果たしたとは言えず、
受検者から採点結果について疑義の申出があった場合、高等学校には受検者等に対して採点基準に基
づき、十分に説明する責任がある。
(4) 都立高等学校入学者選抜における不登校・中途退学対策の在り方
東京都教育委員会は、都内公立学校における今後の不登校・中途退学対策の在り方を検討するため、平成
27年5月に「不登校・中途退学対策検討委員会」を設置した。平成28年2月、小・中学校及び高等学校
における不登校の未然防止、不登校の児童・生徒に対する支援等の在り方や高等学校における中途退学の未
然防止、生徒の中途退学後の就労や就学に向けた支援等の在り方などについての検討結果が報告された。
本報告の中の具体的な方策の方向性に、再チャレンジのための教育機会の充実として「都立高校への転編
- 37 -
入学制度等の改善」
が示されていることなどから、
現行の制度は十分に対応しているかを検討することとした。
ア 不登校・中途退学の現状
※「不登校・中途退学対策検討委員会 報告書」(平成28年2月)より
都内公立中学校の不登校児童・生徒
小学校
中学校
小学校率
中学校率
8000
は7,514人(平成26年度)で、
7000
平成25年度から増加傾向にある不登
6,978
3.07
2.93
6000
校生徒の割合は中学校3.17%で、
1校当たりの平均不登校者数は、小学
2.76
6,469
3.03
3.17
4.0
3.5
3.0
5000
2.5
4000
2.0
3000
2000
校2.0人、
中学校は11.9人である。
7,514
7,164
6,801
1000
1,936
2,015
1,912
2,366
0.34
0.36
0.34
0.43
2,565
0.46
1.5
1.0
0.5
0.0
0
22年度
23年度
24年度
25年度
26年度
児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(文部科学省)の都内公立学校分
イ チャレンジスクールの開設状況
な じ
東京都では、主に小・中学校で学校に馴染めず不登校の経験があったり、高等学校で長期欠席等が原因
で中途退学を経験したりした生徒を対象としたチャレンジスクールを設置している。
○桐ヶ丘高等学校 ○世田谷泉高等学校 ○大江戸高等学校 ○六本木高等学校 ○稔ヶ丘高等学校
○八王子拓真高等学校(チャレンジ枠)
ウ チャレンジスクールにおける選抜方法
チャレンジスクールでは、学力検査や中学校からの調査書によらず、生徒の学習意欲を重視した入試を
行っている。
(ア) 検査内容
・面接及び作文を実施する。
(イ) 選考
・第1学年相当
志願申告書、面接及び作文を総合した審査結果、入学願書による志願及び都立高等学校長が必要と
する資料により行う。
・第2学年相当以上
高等学校単位修得証明書・成績証明書、審査結果、入学願書による志望及び都立高等学校長が必要
とする資料により行う。
エ チャレンジスクール全体の応募倍率等の推移
第一次募集
選抜
中学校長会進路対策委員会
による志望予定調査
最終応募倍率
受検倍率
平成25 年度入学者選抜
1.25
1.70
1.63
平成26 年度入学者選抜
1.28
1.76
1.68
平成27 年度入学者選抜
1.30
1.66
1.59
平成28 年度入学者選抜
1.27
1.57
1.51
- 38 -
オ 中途退学者数及び中途退学者の推移(都立高等学校)
※「不登校・中途退学対策検討委員会 報告書」(平成28年2月)より
2学年
34.8%
1学年
54.3%
全日制
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
3学年
10.9%
70%
80%
90%
100%
平成26年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(文部科学省)の都立高校分
カ 中途退学の理由
※「不登校・中途退学対策検討委員会 報告書」(平成28年2月)より
家庭の事情2.4%
問題行動等2.4%
病気・けが・死亡3.9%
進路変更
33.0%
学校生活・学業不適応
35.6%
全日制
学業不振
19.4%
進路変更
32.6%
学校生活・学業不適応
45.1%
定時制
経済的理由0.3%
その他
2.9%
その他
1.6%
学業不振
9.8%
経済的理由1.4%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
病気・けが・死亡3.3%
家庭の事情3.3%
100%
問題行動等2.8%
(注)
「学校生活・学業不適応」
:もともと高校生活に熱意がない、授業に興味が湧かない、人間関係がうまく保てない、
学校の雰囲気が合わない、交友関係やアルバイト等による生活の乱れ等
「進路変更」
:在籍している高校以外の進路を積極的に希望(別の高校への入学を希望、専修・各種学校への入学を希望、
就職を希望、高卒認定試験受験を希望、結婚等)
「学業不振」
:高校入学後、学力不足のために授業の進度についていけない
平成26年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(文部科学省)の都立高校分
キ 中途退学者が退学した高等学校を志望していた状況
※「不登校・中途退学対策検討委員会 報告書」(平成28年2月)より
(イ) 都立高校在校生
(ア) 中途退学者
無回答 2.6%
未回答等 0.6%
まったく
志望して
いなかった
19.3%
あまり志望し
ていなかった
21.4%
とても
志望していた
23.6%
第一志望では
なかった
26.5%
第一志望だった
71.0%
まあまあ
志望していた
35.1%
都立高校中途退学者等追跡調査(東京都教育庁)
(平成24年)
(注)都立高校在校生(2学年の生徒)へ調査
都立高校生意識調査(東京都教育庁)
(平成23年)
- 39 -
審議の過程で、不登校対策について、高等学校からは「保護者の中には、エンカレッジスクールと
チャレンジスクールの特色を混同している現状がある。
」
、また外部有識者からは「不登校生徒の数が多
いことから、対応できる学校数がもう少し増えるとよい。
」という意見があった。
中途退学対策について、中学校からは「中学校でも『東京都立高等学校に入学を希望する皆さんへ』
を活用して、進路説明会などで、補欠募集の仕組みについて周知するようになってきた。
」
、
「高等学校
に進学した後、
『辞めたけれどどうしよう。
』と相談にくる生徒がいる。高等学校においても、転学や編
入学について、より一層周知する必要がある。
」という意見があった。高等学校からは、
「今年度始まっ
た取組のため、まだ成果は出ていないものの、中途退学の防止のために関係者の会議を定期的に開催し
ている。また、都でも自立支援の事業として、スクールソーシャルワーカーを派遣している。
」
、
「義務
教育課程での転学とは異なり、高等学校の転学・編入学には検査がある。学力が十分に身に付いていな
い状況で補欠募集を受検すると、厳しい結果が出てしまう。
」という意見があった。
また、外部有識者からは「補欠募集の合否の現状について、非常に厳しい状況がある。また、必履修
科目等の単位修得の問題もあり、ある学校では、
『情報』を1学年で履修するため、当該教科を履修して
いないのであれば、2学年相当の補欠募集に出願できないと対応されたという話を聞いたことがある。
この補欠募集については、受検者や保護者に対して少しでも多くの情報を提供できるようにするなど、
より丁寧な対応をお願いしたい。
」
、
「生徒の修得単位の状況によっては、2学年相当である生徒であって
も、1学年の授業を受けるなど、柔軟に対応していくことが大切と考える。また、補欠募集を改善する
けんいん
には、高等学校に任せるだけでなく、都教育委員会が牽引する必要がある。
」という意見があった。
ク 今後の取組の方向性
不登校や中途退学対策に対する現在の状況について検討を行い、今後の取組の方向性について以下のこ
とを確認した。
○ チャレンジスクール全体の受検倍率は年々下がっているが、依然高い傾向にある。中学校において
は、チャレンジスクールの特色等を受検者や保護者にしっかりと伝え、設置目的に合った生徒が受検
できるようにすることが大切である。
○ 中途退学率は年々低下している状況はあるものの、平成26年度の都立高等学校の中途退学者は
2,754人となっており、中途退学の理由には、
「学校生活・学業不適応」等だけでなく、
「進路変
更」のような積極的なものもある。高等学校だけでなく中学校においても、高等学校入学後の中途退
学を防止できるよう、進路指導の一層の充実を図るとともに、転学・編入学を希望する生徒にとって
補欠募集制度を活用しやすい仕組みとすること、高等学校に在籍する生徒に対しても、補欠募集制度
を周知する機会を設けることが大切である。
- 40 -
第4 おわりに
東京都教育委員会は、これまで、各高等学校の個性化・特色化の推進に資する入学者選抜を行うた
め、学力検査を実施する教科数、学力検査の得点と調査書点の比率など、選抜方法の多様化、選抜尺
度の多元化を図ってきた。しかしながら、その一方で、選抜方法が複雑化したため、受検者、保護者
及び中学校にとって分かりにくいという課題も生じた。
そのような中、平成25年度に設置された「東京都立高等学校入学者選抜検討委員会」において、
中学校で身に付けるべき力を評価し選抜するという、入学者選抜の基本的な考え方に基づき、具体的
な選抜方法について共通化、簡素化を図り、受検者にとって分かりやすい制度とするという方向性が
示され、平成28年度入学者選抜から学力検査に基づく選抜を改善した。
本委員会においては、平成29年度入学者選抜の実施に当たり、改善後4年を経過した推薦に基づ
く選抜、平成28年度入学者選抜から全面実施となったマークシート方式の効果や、学力検査の得点
と調査書点の比率の改善の影響について検証・検討を重ねてきた。また、導入後3年を経過した学力
検査問題のグループ作成、学力検査の得点開示と答案の開示方法についても、更なる改善に向けて検
討を行った。
平成28年度入学者選抜は、推薦に基づく選抜、学力検査に基づく選抜の双方が改善後、初めて同
時に実施された年である。そのため、平成29年度入学者選抜以降、この形を継続する中で、入学し
た生徒の実態を把握しつつ、改善を重ねていくことが大切である。
先行して改善した推薦に基づく選抜については、一般推薦の改善により、中学校における各教科の
言語活動の一層の充実等、授業改善につながっていることが明らかとなっている。また、中学校にお
ける授業改善に伴い、自分の考えを積極的に伝えようとしたり、相手に合わせて効果的に話したりす
るなど、生徒の様子にも年々変化が表れてきている。このことは入学者選抜の改善がもたらした成果
であり、高等学校においても、中学校における学習の連続性を踏まえた系統的な取組が望まれるとこ
ろである。
今後、各高等学校においては、入学後の教育活動の中で、中学校で身に付けた思考力、判断力、表
現力等の課題を解決するための力やコミュニケーション能力などを一層伸長させる取組が必要であり、
そのために各教科において、グループ・ディスカッションやディベート、グループ・ワーク等の生徒
の主体的な学習に取り組み、積極的な授業改善を進める必要がある。
以上、本委員会の検証・検討結果に基づき、平成29年度入学者選抜以降も厳正かつ公平・公正な
入学者選抜が実施されるとともに、今後も継続的に課題の把握や検証を行っていくことで、一層改善
の趣旨に沿った入学者選抜となることを期待する。
- 41 -
- 42 -
平 成 2 8 年 度
(
(
小 計
総 合 学 科
小 計
209 ) (
41,985 ) (
42,259
女
37,862 ) (
37,816
2 )(
5
0 )(
0
0 )(
1
39,663 ) (
39,713
3 )(
7
0 )(
0
0 )(
1
3 )(
6
2 )(
39,660 ) (
4
39,706
622 ) (
621
1 )(
0
19 ) (
24
602 ) (
597
23,308 ) (
23,739
1,394 ) (
1,355
3,107 ) (
3,009
18,807 ) (
19,375
15,730 ) (
15,346
1,461 ) (
1,344
2,644 ) (
2,397
11,625 ) (
11,605
37,860 ) (
37,811
887 ) (
828
3 )(
0
127 ) (
157
757 ) (
671
24,505 ) (
24,715
960 ) (
940
4,093 ) (
4,140
19,452 ) (
19,635
12,468 ) (
12,268
660 ) (
610
2,413 ) (
2,311
9,395 ) (
9,347
男
最 終 応 募 人 員(B)
77,525 ) (
77,529
5 )(
12
0 )(
0
0 )(
2
5 )(
10
77,520 ) (
77,517
1,509 ) (
1,449
4 )(
0
146 ) (
181
1,359 ) (
1,268
47,813 ) (
48,454
2,354 ) (
2,295
7,200 ) (
7,149
38,259 ) (
39,010
28,198 ) (
27,614
2,121 ) (
1,954
5,057 ) (
4,708
21,020 ) (
20,952
計
35,981 ) (
36,079
2 )(
5
0 )(
0
0 )(
1
2 )(
4
35,979 ) (
36,074
847 ) (
813
3 )(
0
121 ) (
154
723 ) (
659
22,684 ) (
23,016
916 ) (
903
3,840 ) (
3,939
17,928 ) (
18,174
12,448 ) (
12,245
659 ) (
608
2,410 ) (
2,307
9,379 ) (
38,773 ) (
38,818
3 )(
7
0 )(
0
0 )(
1
3 )(
6
38,770 ) (
38,811
600 ) (
614
1 )(
0
18 ) (
23
581 ) (
591
22,452 ) (
22,861
1,368 ) (
1,331
2,954 ) (
2,898
18,130 ) (
18,632
15,718 ) (
15,336
1,461 ) (
1,344
2,643 ) (
2,397
11,614 ) (
11,595
女
受 検 人 員(C)
9,330
男
入 学 者 選 抜 状 況
計
74,754 ) (
74,897
5 )(
12
0 )(
0
0 )(
2
5 )(
10
74,749 ) (
74,885
1,447 ) (
1,427
4 )(
0
139 ) (
177
1,304 ) (
1,250
45,136 ) (
45,877
2,284 ) (
2,234
6,794 ) (
6,837
36,058 ) (
36,806
28,166 ) (
27,581
2,120 ) (
1,952
5,053 ) (
4,704
20,993 ) (
20,925
1.78 ) (
1.77
0.02 ) (
0.06
0.00 ) (
0.00
0.00 ) (
0.05
0.03 ) (
0.07
1.79 ) (
1.78
1.19 ) (
1.16
4.00 ) (
0.00
0.76 ) (
0.91
1.26 ) (
1.21
1.42 ) (
1.43
1.39 ) (
1.34
1.24 ) (
1.24
1.46 ) (
1.48
3.11 ) (
3.03
2.94 ) (
2.67
2.44 ) (
2.28
3.35 ) (
3.32
(C/A)
受検倍率
20,868 ) (
21,210
2 )(
5
0 )(
0
0 )(
1
2 )(
4
20,866 ) (
21,205
520 ) (
499
1 )(
0
84 ) (
98
435 ) (
401
16,158 ) (
16,424
662 ) (
682
3,193 ) (
3,249
12,303 ) (
12,493
4,188 ) (
4,282
138 ) (
155
997 ) (
1,055
3,053 ) (
3,072
男
21,184 ) (
21,155
3 )(
7
0 )(
0
0 )(
1
3 )(
6
21,181 ) (
21,148
442 ) (
477
1 )(
0
15 ) (
17
426 ) (
460
15,880 ) (
15,848
997 ) (
1,009
2,301 ) (
2,236
12,582 ) (
12,603
4,859 ) (
4,823
582 ) (
577
1,067 ) (
1,012
3,210 ) (
3,234
女
合 格 人 員(D)
(
21,134 ) (
21,097
4 )(
7
0 )(
0
1 )(
1
3 )(
6
21,130 ) (
21,090
440 ) (
476
1 )(
0
15 ) (
17
424 ) (
459
15,831 ) (
15,791
996 ) (
1,007
2,294 ) (
2,225
12,541 ) (
12,559
4,859 ) (
4,823
582 ) (
577
1,067 ) (
1,012
3,210 ) (
3,234
女
充足率(E/A×100)
20,755 ) (
21,102
3 )(
5
0 )(
0
1 )(
1
2 )(
4
20,752 ) (
21,097
511 ) (
497
1 )(
0
84 ) (
98
426 ) (
399
16,053 ) (
16,318
659 ) (
680
3,180 ) (
3,219
12,214 ) (
12,419
4,188 ) (
4,282
138 ) (
155
997 ) (
1,055
3,053 ) (
3,072
男
9,047 )
9,105
720 )
732
2,064 )
2,067
6,263 )
6,306
計
100.33%
100.25% )
41,889 )
42,199
7 )
12
0 )
0
2 )
2
5 )
10
41,882 )
42,187
951 )
973
2 )
0
99 )
115
850 )
858
31,884 )
32,109
1,655 )
1,687
5,474 )
5,444
24,755 )
24,978
入 学 手 続 人 員(E)
(参考資料1)
※ 4月募集は含まない。
42,052 ) (
42,365
5 )(
12
0 )(
0
0 )(
2
5 )(
10
42,047 ) (
42,353
962 ) (
976
2 )(
0
99 ) (
115
861 ) (
861
32,038 ) (
32,272
1,659 ) (
1,691
5,494 ) (
5,485
24,885 ) (
25,096
9,047 ) (
9,105
720 ) (
732
2,064 ) (
2,067
6,263 ) (
6,306
計
(1) 募集人員は転勤者生徒特別枠、転入学者特別枠、在京外国人生徒対象並びに海外帰国生徒対象(現地校出身者)の9月募集及び国際バカロレアコースの9月募集を除いた数である。
(2) 募集人員の総計欄は平成27年10月に決定された募集人員であるため、推薦、第一次募集・分割前期募集、分割後期募集・第二次募集の募集人員の合計とは一致しない。
(3) 第一次募集の数は、普通科は、島しょ、コース制、単位制の高校、連携型入学者選抜、在京外国人生徒対象及び海外帰国生徒対象(帰国及び引揚)、専門教育を主とする学科は、
連携型入学者選抜、在京外国人生徒対象、海外帰国生徒対象(帰国)及び国際バカロレアコースを含んだ数である。
(4) ( )の数は、前年度の数である。
(
(
209
20 ) (
20
総 合 学 科
(
41 ) (
41
148 ) (
(
主とする学科 (
専門教育を
41,776 ) (
148
42,050
1,219 ) (
1,230
1 )(
0
183 ) (
195
1,035 ) (
1,035
31,881 ) (
32,101
1,640 ) (
(
(
(
主とする学科 (
専門教育を
普 通 科
小 計
(
1,668
総 合 学 科
5,493
24,745 ) (
24,940
9,050 ) (
9,105
720 ) (
5,496 ) (
(
(
(
732
2,067 ) (
2,067
6,263 ) (
6,306
(A)
募集人員
東 京 都 立 高 等 学 校
主とする学科 (
専門教育を
普 通 科
小 計
総 合 学 科
総 計
4月募集
(
主とする学科 (
専門教育を
普 通 科
区 分
推薦、第一次募集・分割前期
募集、分割後期募集・第二次
募集・第三次募集計
普 通 科
第二次募集
・
第三次募集
及び
分割後期募集
分割前期募集
及 び
第一次募集
推 薦
学 科 等
< 全日制課程 >
(参考資料2)
平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会 設置要綱
(設 置)
第1 平成28年度東京都立高等学校入学者選抜における問題点を明らかにし、平成29年度東京都立高
等学校入学者選抜に対する改善策について検討するため、平成29年度東京都立高等学校入学者選抜
検討委員会(以下「委員会」という。
)を設置する。
(検討事項)
第2 委員会は、次の事項について検討し、その結果を東京都教育委員会教育長に報告する。
(1) 平成28年度入学者選抜結果について
(2) 平成29年度入学者選抜方法について
(3) 外国籍の受検者に対する特別措置について
(4)その他
(構
第3
(1)
(2)
(3)
成)
委員会は、別表1に掲げる職にある者をもって構成し、委員長及び副委員長を置く。
委員長は、教育庁教育監をもって充てる。
副委員長は都立学校教育部長とし、
委員長を補佐し、
委員長が不在の場合は、
その職務を代理する。
委員は、委員会名簿に掲げる職にある者をもって構成する。
(招集等)
第4 委員会は、委員長が招集する。
2 委員長は、必要に応じて委員以外の出席を求めることができる。
(特別部会の設置)
第5 第2(3)で掲げる検討事項について、詳細な検討を行うため、委員会に特別部会を設置する。
2 特別部会は、別表2に掲げる職にある者をもって構成し、部会長を置く。
(1)部会長は、都立学校教育部長をもって充てる。
(2)委員は、特別部会名簿に掲げる職にある者をもって構成する。
3 特別部会は、部会長が招集する。
(幹事会)
第6 委員会に幹事会を置く。
2 幹事会は、委員会の求めに応じ、検討事項の資料を調査、作成し提供する。
3 幹事会は、別表1に掲げる職にある者をもって構成する。
4 幹事会には幹事長を置く。
5 幹事長には、教育庁都立学校教育部入学選抜担当課長の職にある者をもって充てる。
6 幹事長は、幹事会を招集し、主宰する。
(設置期間)
第7 委員会の設置期間は、設置の日から平成29年3月31日までとする。
(会議及び会議記録)
第8 委員会の会議は、原則として非公開とする。ただし、委員会の会議要旨及び会議資料については、
原則として公開するものとする。
(事務局)
第9 委員会に事務局を置く。
2 事務局は、委員会に係る庶務を担当し、教育庁都立学校教育部高等学校教育課においてこれを処理
する。
(その他)
第 10 この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に関する事項は、委員長が定める。
附 則
この要綱は、平成28年5月6日から施行する。
- 43 -
(参考資料3)
平成29年度 東京都立高等学校入学者選抜検討委員会 委員名簿
区分
氏 名
平松 享
外部有識者
備 考
職 名
安田教育研究所副代表
関本 惠一
元帝京大学教授
公益財団法人 日本進路指導協会理事
熊谷 恵子
品川区教育委員会事務局指導課長
宮田 正博
町田市教育委員会事務局指導室長兼指導課長
岩田 暁
東京都公立中学校PTA協議会 会長
高田 教子
東京都公立高等学校PTA連合会 副会長
伊東 哲
教育監
委員長
都立学校教育部長
副委員長
区市
保護者
早川 剛生
教育庁
初宿
(~6月30日)
和夫
(7月1日~)
出張 吉訓
指導部長
増田 正弘
教育改革推進担当部長
常盤 隆
立川市立立川第二中学校長
神田 正美
小金井市立緑中学校長
茅原 直樹
江戸川区立小岩第四中学校長
井上 貴雅
北区立赤羽岩淵中学校長
上村
都立墨田川高等学校長
中学校
肇
金澤 利明
都立大森高等学校長
上野 勝敏
都立富士高等学校長
大塚 雅一
都立淵江高等学校長
星 政典
都立学校教育部高等学校教育課長
平井 邦明
都立学校教育部入学選抜担当課長
髙木 和美
都立学校教育部高等学校教育課統括指導主事
長谷 克己
都立学校教育部学校経営指導担当課長
曽根 稔
都立学校教育部都立高校改革企画調整担当課長
冠木 健
指導部指導企画課長
榎並 隆博
指導部企画推進担当課長
大和 義行
指導部義務教育指導課長
藤井 大輔
指導部高等学校教育指導課長
高校
事
務
局
幹
事
- 44 -
幹事長
(参考資料4)
平成29年度 東京都立高等学校入学者選抜検討委員会 特別部会委員名簿
区分
氏 名
外部有識者
伊東 祐郎
備 考
職 名
東京外国語大学留学生日本語教育センター長
早川 剛生
教育庁
(~6月30日)
都立学校教育部長
初宿
和夫
部会長
(7月1日~)
茅原 直樹
江戸川区立小岩第四中学校長
市場陽一郎
八王子市立打越中学校長
森本 耕司
江戸川区立小岩第四中学校主任教諭
大貫真由美
大田区立蒲田中学校教諭
岡田 正治
都立飛鳥高等学校長
栃倉 和則
都立田柄高等学校長
中学校
高校
- 45 -
(参考資料5)
平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会審議経過
日
時
検
討 事 項
第1回
5月 9日(月)
○ 再発防止・改善策
・ 再発防止・改善策に基づく採点・点検等の取組
第2回
5月23日(月)
○ 推薦に基づく選抜
・ 推薦選抜における選抜方法の改善
・ 文化・スポーツ等特別推薦
6月 6日(月)
○ 学力検査に基づく選抜
・ 学力検査の教科数及び得点と調査書点の算出方法等
○ その他の制度
・ 学力検査問題のグループ作成
6月20日(月)
○ その他の制度
・ 本人得点の開示及び学力検査における答案の開示
○ 学力検査に基づく選抜
・ 外国籍生徒の受検についての措置(辞書持込み及び時間延長)
7月 4日(月)
○ 学力検査に基づく選抜
・ 分割募集
・ 男女別定員制の緩和
○ その他の制度
・ 都立高等学校入学者選抜における不登校・中途退学対策の在り方
○ 報告書(案)
第3回
第4回
第5回
- 46 -
平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書
平成28年7月発行
東京都教育委員会印刷物登録
平成28年度
第64号
編集・発行 東京都教育庁都立学校教育部高等学校教育課
〒163-8001
東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
電話 03(5320)6745