第一回 「日本の科学者」懇話会 題目: 報告: 日時: 場所: 21 世紀の経済と社会―長期経済統計から見た展望と課題― 八尾 信光 氏 (鹿児島国際大学名誉教授) 11 月 7 日(金)18:00~19:30 (報告 45 分+討論 40 分+次回の打合せ) 鹿児島大学中央図書館、31 号グループ学習室 (3 階 北西隅) レジュメ: 最近 10 年ほどの間に、世界中の国と地域の実質経済規模と実質平均所得に関する 包括的な長期推計が複数提供されるようになりました。それらを用いて従来の先進資本主義国と、 それ以外のすべての国々(「新興諸国」)での実質平均所得の増加過程を調べてみると、近代資 本主義システムの形成と発展は、先進資本主義国の実質平均所得を今日までに近代以前と比べ て数十倍に増加させましたが、最近の 50 年間にはその経済成長率が逓減傾向を示し、高成長か ら低成長に向かいましたので、今後の数十年間には順次ゼロ成長に向かうと見られます。 他方、「新興諸国」の大部分は最近までに高成長の軌道に乗りましたが、それは、「先進諸国」 の後を総平均で数十年遅れながら追いかけているのですから、今後の数十年間には高成長から 中成長を経て低成長に向かうことになるでしょう。 このような長期趨勢からすれば、日本を含む「先進諸国」の今後の課題は、すでに達成された 高度の富裕化を基礎にして、誰もが安心して人間らしく仕事をして生活できる社会を実現すること であり、それによって後を追う国々に立派な模範を示すことであると考えられます。 報告では、長期統計図表を示しつつ、これらのことについての卑見を述べ、みなさまのご意見を お聴かせいただきたいと思っております。 主な関連著作(八尾): 拙著 『21 世紀の世界経済と日本―1950~2050 年の長期展望と課題―』晃洋書房、2012 年 拙稿「長期経済統計からみた 21 世紀の世界経済」経済理論学会『季刊経済理論』第 51 巻第 1 号、 2014 年 4 月 「21 世紀社会の長期展望と課題」東京農大『オホーツク産業経営論集』第 21 巻、2013 年 3 月 「社会経済学の課題」『立命館経済学』第 61 巻第 6 号、2013 年 3 月 「アソシエーション社会の可能性について」『経済学科学通信』第 115 号、2007 年 12 月 「資本主義発展の諸段階をどう捉えるか」経済学教育学会『経済学教育』第 26 号、2007 年 12 月 「書評 鶴田満彦著『グローバル資本主義と日本経済』」『政経研究』第 93 号、2009 年 11 月 「書評 日本科学者会議 21 世紀社会論研究委員会編 『21 世紀社会の将来像と道筋』」公益財団 法人 政治経済研究所 『政経研究』第 98 号、2012 年 6 月
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