電気回路学I及び演習 (第 14 回)(2016-07-19) quiz–A–14 【小テスト (その 09) 解答】 ☆☆問題 図の回路について,以下の各値を求めなさい.ただし,E , I は実効値を基礎とするフェーザであり,E = 100 [V] とする. I 1. 電流 I(直交形式: x + jy) 4 [Ω] 2. 複素電力 Pc (直交形式) E 3. 実効電力 P j3 [Ω] 4. 無効電力 Pr 5. 皮相電力 Pa 図 6. 力率 (解答例) 交流電源の電圧 E が直交形式で与えられていることに注意して,問題を解く. 1. 回路の合成インピーダンスを Z [Ω] とおくと, Z = 4 + j3 [Ω] したがって,求める電流 I は, I= 100 E = = 16 − j12 [A] Z 4 + j3 ··· ( 答) 2. 複素電力 Pc は, Pc = EI = 100(16 − j12) = 1600 + j1200 [VA] = 1.6 + j1.2 [kVA] ··· 3. 実効電力 P は,複素電力の実部であるから, P = RePc = Re {1600 + j1200} = 1600 [W] = 1.6 [kW] ··· (答) 4. 無効電力 Pr は,複素電力の虚部であるから, Pr = ImPc = Im {1600 + j1200} = 1200 [var] = 1.2 [kvar] 無効電力は,1.2 [kvar](遅れ) である. ··· (答) 5. 皮相電力 Pa は,複素電力 Pc の大きさであるから, Pa = |Pc | = |1600 + j1200| = 2000 [VA] = 2.0 [kVA] ··· 6. 電圧に対する電流の遅れ角を θ とおく.力率 cos θ は, cos θ = P 1600 = = 0.8 = 80 [%] Pa 2000 ··· (答) (答) (答) 電気回路学I及び演習 (第 14 回)(2016-07-19) 補足 quiz–A–15 回路の計算には,いろいろな方法がある.以下に,別解を示す. 3. 実効電力 P は,回路の抵抗分 R [Ω] で発生するから, 2 2 P = R |I| = 4 |16 − j12| = 1600 [W] = 1.6 [kW] ··· (答) 4. 無効電力 Pr は,回路のリアクタンス分 X [Ω] で発生するから, 2 2 Pr = X |I| = 3 |16 − j12| = 1200 [var] = 1.2 [kvar] 無効電力は,1.2 [kvar](遅れ) である. ··· (答) 5. 皮相電力 Pa は,電圧の実効値と電流の実効値の積であるから, Pa = |E| |I| = |100| |16 − j12| = 2000 [VA] = 2.0 [kVA] 補足 ··· (答) この回路のリアクタンス率は,次のように計算される. リアクタンス率 sin θ は,無効電力と皮相電力の比で表されるから, sin θ = Pr 1200 = = 0.6 = 60 [%] Pa 2000 次のように力率から求める方法もある.リアクタンス率 sin θ は, √ √ sin θ = ± 1 − cos2 θ = ± 1 − 0.82 = ±0.6 問題の回路は誘導性であるから,遅れ角 θ > 0.したがって,リアクタンス率は,sin θ = 0.6 = 60 [%].
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