発表資料

医薬品シードとして有用な
昆虫由来化合物の探索
東京農工大学・大学院農学研究院・生物生産科学部門
講師 天竺桂 弘子
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それらの資源を利用するための
“特別なシステム”を持つ
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植食性昆虫の食餌の特徴
単食性:1種類の植物を食べる
・カイコガ:桑のみ
狭食性:同じ科に属する植物を食べる
・アゲハチョウ:ミカン科
・オオニジュウヤホシテントウ:ナス科
広食性:様々な種類の植物を食べる
・ヨトウガなど
その他:コガネムシ:花
セミ:樹液
ハチ:蜜
*代謝物は植物の種類に依存する
昆虫が利用している寄主選択物質→
配糖体・タンニン・アルカロイド・精油・有機酸
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昆虫の特殊な消化・吸収機構
昆虫の消化は消化管内と中腸細胞内で行われる
*細胞外消化:水生昆虫は餌に消化酵素を注入して
消化されてから食べる
昆虫の消化液中プロテアーゼ→トリプシン型
*哺乳類はペプシン型
*特別な昆虫細胞外酵素
セルラーゼ、ペクチナーゼ、
コラゲナーゼ、キナーゼ、エステラーゼ
他の生物が利用できない資源を利用できる手段の1つ
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新技術の特徴と従来技術との比較
• 従来技術の問題点であった、昆虫資源の利
用を加速化できる手法を構築することに成功
した。
• 従来は莫大な種類の昆虫の中から医薬品
シードを発見できることは稀であったが、我々
が開発したデータベースにより、欲しいシード
を狙い撃ちできる可能性が広がった。
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想定される用途
• 本技術から得られた昆虫由来の医薬品シード
化合物をさらに構造変換することでより強力な
活性を持つ化合物に開発できる可能性がある。
• また、本技術において単離・構造決定できた
化合物は、抗癌活性および抗認知症活性を
併せ持つことから、本化合物を用いてアルツ
ハイマー病や癌への作用機序を詳細に検討
することにより、新たな病態進行メカニズムに
も迫ることができるかもしれない。
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実用化に向けた課題
• 今後、単離・構造決定した化合物についてさら
なる実験データを取得し、医薬品シードに適
用していく場合の検討をそれらの技術を有す
る企業とコラボレーションをする必要がある。
• 現在、データベースについてオンラインで検索
が可能なところまで開発済み。しかし、どこま
でコンテンツを充実させるかという点が未解決
である。
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企業への期待
• 昆虫資源から単離できる化合物は少量である
ため、有機合成技術を持つ、企業との共同研
究や医薬品の開発のノウハウを持つ企業との
共同研究を希望。
• 多様な薬用昆虫資源の発掘にあたり、癌・認
知症以外の疾患に対するスクリーニングを共
同で実施できれば、新たな薬用資源を探索中
の企業には、本技術の導入は有効であると思
われる。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :新規トリテルペン、その製造方法
及びそれを含有する組成物
• 出願番号 :特許出願済 未公開
• 出願人
:東京農工大学・明治薬科大学
• 発明者
:天竺桂弘子、高取薫、
福澤 侃
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お問い合わせ先
東京農工大学
先端産学連携研究推進センター
産学連携担当
T E L 042-388-7550
F A X 042-388-7553
e-mail [email protected]
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