医薬品シードとして有用な 昆虫由来化合物の探索 東京農工大学・大学院農学研究院・生物生産科学部門 講師 天竺桂 弘子 1 2 3 4 5 それらの資源を利用するための “特別なシステム”を持つ 6 植食性昆虫の食餌の特徴 単食性:1種類の植物を食べる ・カイコガ:桑のみ 狭食性:同じ科に属する植物を食べる ・アゲハチョウ:ミカン科 ・オオニジュウヤホシテントウ:ナス科 広食性:様々な種類の植物を食べる ・ヨトウガなど その他:コガネムシ:花 セミ:樹液 ハチ:蜜 *代謝物は植物の種類に依存する 昆虫が利用している寄主選択物質→ 配糖体・タンニン・アルカロイド・精油・有機酸 7 昆虫の特殊な消化・吸収機構 昆虫の消化は消化管内と中腸細胞内で行われる *細胞外消化:水生昆虫は餌に消化酵素を注入して 消化されてから食べる 昆虫の消化液中プロテアーゼ→トリプシン型 *哺乳類はペプシン型 *特別な昆虫細胞外酵素 セルラーゼ、ペクチナーゼ、 コラゲナーゼ、キナーゼ、エステラーゼ 他の生物が利用できない資源を利用できる手段の1つ 8 9 新技術の特徴と従来技術との比較 • 従来技術の問題点であった、昆虫資源の利 用を加速化できる手法を構築することに成功 した。 • 従来は莫大な種類の昆虫の中から医薬品 シードを発見できることは稀であったが、我々 が開発したデータベースにより、欲しいシード を狙い撃ちできる可能性が広がった。 10 想定される用途 • 本技術から得られた昆虫由来の医薬品シード 化合物をさらに構造変換することでより強力な 活性を持つ化合物に開発できる可能性がある。 • また、本技術において単離・構造決定できた 化合物は、抗癌活性および抗認知症活性を 併せ持つことから、本化合物を用いてアルツ ハイマー病や癌への作用機序を詳細に検討 することにより、新たな病態進行メカニズムに も迫ることができるかもしれない。 11 実用化に向けた課題 • 今後、単離・構造決定した化合物についてさら なる実験データを取得し、医薬品シードに適 用していく場合の検討をそれらの技術を有す る企業とコラボレーションをする必要がある。 • 現在、データベースについてオンラインで検索 が可能なところまで開発済み。しかし、どこま でコンテンツを充実させるかという点が未解決 である。 12 企業への期待 • 昆虫資源から単離できる化合物は少量である ため、有機合成技術を持つ、企業との共同研 究や医薬品の開発のノウハウを持つ企業との 共同研究を希望。 • 多様な薬用昆虫資源の発掘にあたり、癌・認 知症以外の疾患に対するスクリーニングを共 同で実施できれば、新たな薬用資源を探索中 の企業には、本技術の導入は有効であると思 われる。 13 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :新規トリテルペン、その製造方法 及びそれを含有する組成物 • 出願番号 :特許出願済 未公開 • 出願人 :東京農工大学・明治薬科大学 • 発明者 :天竺桂弘子、高取薫、 福澤 侃 14 お問い合わせ先 東京農工大学 先端産学連携研究推進センター 産学連携担当 T E L 042-388-7550 F A X 042-388-7553 e-mail [email protected] 15
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