第14回地盤工学セミナー 県地質調査業協会 リサイクル材料 による地盤技術 原理事長 末次佐賀大准教授 松尾氏 佐賀県地質調査業協会(原裕理事長)は 15 日、2016 年度 1 回目の第 14 回地盤工学セ ミナーを佐賀市のアバンセで開催した。建設会社やコンサル技術者、自治体担当者など約 70 人が参加。テーマは『地盤工学の新材料と地盤技術の新しい領域』で、石炭灰や砕石 副産物、ガラス廃材などのリサイクル材料による公共事業での成果などを披露した。 講師は、佐賀大学低平地沿岸海域研究センターの末 次大輔准教授と、日本建設技術㈱企画開発戦略本部技 術研究所の松尾保成副所長の2氏。 末次氏は『地盤工学におけるリサイクル材料の利用 と研究開発の動向』の演題で講演。同氏は、石炭火力 発電所から出る石炭灰を有効利用した石炭灰混合材料 (セメント、水、土砂、石膏等を混合固化させた地盤 材料)と、砕石副産物を活用した軟弱地盤対応型道路 材料の開発事例を紹介。 石灰添加砕石微粉末(改良材:LSP)に切込ずり を混合した材料(LSPM)を、佐賀大と大坪石材㈱、 才田砕石工業㈱、ニチレキ㈱佐賀営業所の産学で共同 開発。『HC複合路床材』としてNETISに登録。 04 年から 15 年 7 月の間に、道路の路床材や護岸の基盤材、 防波堤の被覆工などで、国県市町など県内 206 件、福岡 県 11 件の施工納入実績を上げている。 末次氏は、LSPMの耐久性について「F e 石灰処理工 法と弾性係数は同等で、舗装構成は剛性の高い層で挟む構 成を維持しサンドイッチ工法に分類されるF e 石灰処理工 法と同じ性能を持つ」と評価。今後の課題を「母岩の違う 材料を使った検証や路盤材等へのアップグレード技術の開 発」などを挙げた。 一方、松尾氏は『廃ガラスを再資源化した多目的環境材 料の応用と展開』の演題で講演。ガラス再資源化は、容器 包装リサイクル法(1997 年)に始まり、家電リサイクル 法(2001 年)、建築リサイクル法(02 年)など各種リサ イクル法に関連した廃ガラスが対象。リサイクル率の高い びんガラスでも色つきびんのマテリアルリサイクルは難し く、建築板ガラス・自動車ガラス、DP液晶ガラス、太 陽光パネルについては、大半が廃棄されているのが現状。 ガラス瓶のリサイクル製品の内訳は、ガラス瓶が 71.8%、 次いでグラスウールのガラス短繊維 10.4%、舗装用骨材 1.5%、軽量発泡骨材 0.4%など。 日本建設技術㈱が開発・製品化した発泡廃ガラスの多目 的環境材料のミラクルソルは、非吸水性材料を環境土木工 法、緑化工法、吸水性材料を水環境工法に使用。軟弱地盤 上における軽量盛土や岩盤斜面の緑化、屋上緑化、屋内庭 園等や水質浄化、ビオトープなどの施工実績を紹介した。 【7 月 19 日HP掲載】
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