個人目標2015 -試料断面分析の新手法と新規導入装置の知見

個人目標 2015
-試料断面分析の新手法と新規導入装置の知見機器分析系・菊地 理佳
1. 個人目標の設定
機器分析系では、学内外からの多様なニーズに応えるため、新規導入装置の操作技術取得はもちろ
んのこと、既存の装置に関する新手法の技術発信も行う必要がある。今後の研究に役立てるため、使
用者への講習や共用大型分析装置の能力の生かし方を模索し、来年度に向けて周知できるよう、実際
に行った分析例をいくつか報告する。
2. IM 用クーリングブロックを使った断面試料作製
2012 年 3 月に導入された IM4000(日立ハイテク社製)は,断面試料作製装置として非常に稼働率の
高い装置である。装置にセットできるものであれば、金属や半導体、紛体など様々な試料の断面を出
すことができる。しかし、やわらかい繊維や高分子材料、融点の低い材料については、イオンビーム
照射時の熱で変性することが多く、観察しても本来の形状とは異なる可能性がある。今年度は改善策
としてクーリングブロックを導入し、来年度からの貸出に向けて冷却 IM の効果を検証した。
3. 新規導入装置(TOF-SIMS)とその知見
飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF-SIMS)とは、試料に一次イオン(Bi)を照射し、表面から放出
する二次イオンを飛行時間差 (Time-Of-Flight)で質量分離することができる。試料極表面 1nm 以下
のイオン種を検出し、スペクトル、イメージマップ、スパッタイオン銃(O2,Cs)を用いることで深さ方
向分析が得られる。有機・無機物、導電・絶縁物に関わらず、材料表面の化学組成や微量成分の同定、
微小領域における定性分析や特定のイオン種の分布観察など様々な目的に応用できる。今年度は操作
技術習得とともに様々な材料を分析、本装置の特性を把握し、来年度へ向けて技術レポートの作成を
検討している。