ハイブリッド･フィル･キャスティングによる ハイブリッド･フィル･キャスティング による厚 による 厚 肉 足 廻 り部 品 の鋳 造 宇 部 興 産 機 械 株 式 会 社 佐 々木 寛 人 シンプルかつコンパクトな設備で投影面積の大きい部材を鋳造する手段として、 、従 従来の低圧鋳造に精 密 ガ ス 加 圧 制 御 や ダ イ カ ス ト の ビ ス ケ ッ ト 加 圧 機 構 を 付 与 し た 新 し い タ イ プ の 鋳 造 プ ロ セ ス 、ハ ハイブリ ッ ド ･フ ィ ル ･キ ャ ス テ ィ ン グ を 考 案 し た 。 。本 本 稿 で は 、こ 、こ の 新 プ ロ セ ス の 概 略 な ら び に こ の プ ロ セ ス で 得 ら れ た ハ イ マ ウ ン ト ナ ッ ク ル 試 鋳 品 の 健 全 性 、各 部 の ミ ク ロ 組 織 な ら び に 各 部 よ り し た テ ス ト ピ ー ス の 引張特性について紹介する。 １．はじめに せる 油 圧 シリンダーを連 せる油 シリンダー を連 結 し、その反 力 を受 けるフレ ダ ダイカス ダイカスト品 イカスト イカス イカスト品 ト ト品 品の の価 価 格 競 争 が激 化 す するなか るなか るなか、より 、より 、よりコンパ コ ンパ ームを外 周 に配 置 した型 締 部 と、新 規 導 入 した低 圧 クトな設 備 で投 影 面 積 や流 動 長 の大 きい部 材 を生 産 鋳 造 用 保 持 炉 を主 要 構 成 とし、その他 これに付 帯 す することが求 められている。そのような要 求 に応 える為 、 る制 御 盤 、油 圧 ユニット、作 業 床 ならびに安 全 柵 から 筆 者 らは、 、可 可 能 な限 り りメ メタル ル圧 圧 を抑 えたダイ イカ カス スト ト技 ト技 術 なる。本 設 備 の主 要 仕 様 を表 を表 １ １に、 に、鋳 鋳 造 試 験 に用 いた を訴 求 してきた１)。しかしながら、従 来 のダイカス スト トの延 低 圧 鋳 造 用 保 持 炉 の構 造 を を図 図２ ２に示 に示 す。 長 線 上 からのアプローチでは からのアプローチ では では、要 、要 求 品 質 を確 保 しな しなが が 図 中 に示 すとおり、低 圧 鋳 造 保 持 炉 のガス加 圧 制 ら低 減 できるメタル圧 は限 られ、他 方 、高 圧 ・高 速 射 御 には精 密 かつ高 応 答 ガスサーボバルブを活 用 した 出 充 填 を前 提 とする限 り、設 備 の大 幅 なコンパクト化 精 密 レギュレータを、また、加 圧 室 蓋 の上 方 にはレー は困 難 である。そこで、筆 者 らは、設 備 はダイカストに ザーセンサを配 置 し点 検 窓 を介 して湯 面 変 位 を常 に 比 して簡 素 ながら、主 として厚 肉 の強 度 ・耐 圧 部 材 に 観 測 するよう するようにした。 にした。 適 用 されている低 圧 鋳 造 に軸 足 を移 し、それに精 密 ガ 表 １ 鋳 造 試 験 設 備 型 締 部 の主 要 仕 様 ス加 圧 制 御 やダイカストのビスケット加 圧 機 構 を取 り込 項 んだ 新 しい んだ新 しい鋳 鋳 造 プロセスを考 プロセス を考 案 した。 た。このプロセスは金 このプロセスは金 型締力 型 キャビティへの溶 湯 充 填 にガス加 圧 と油 圧 の双 双方の 目 型 開 閉 ｽﾄﾛｰｸ ソースを利 ハイ ソース を利 用 することから、Hybrid することから、 Hybrid Fill Casting ２ ) (ハイ 押出力 ブリッド・フィル・キャスティング)、略 プロセスと と ブリッド・フィル・キャスティング 、略 して HFC プロセス ｼﾘﾝﾀﾞｰ推 加 圧 ｼﾘﾝﾀﾞｰ 推力 づけた。本 名 づけた。 本 稿 では、この HFC プロセスの概 プロセス の概 略 ３ ） 4 ) ５ ） と、 このプロセスで試 鋳 した厚 肉 の自 動 車 足 廻 り部 品 であ るハイマウントナックルの るハイマウントナックル の健 健 全 性 、各 部 の ミ ク ロ 組 織 、 29ton 30ton 30 ton 最 大 ﾒﾀﾙ圧 90MPa MPa ２．実 験 方 法 ２．１ 試 験 設 備 上 述 の要 素 技 術 を具 現 化 した鋳 造 試 験 設 備 の外 １に示 観 を図 を図 １ に示 す。 ２．２ 鋳 造 動 作 備 考 型 開 閉 ｼﾘﾝﾀﾞｰ推 力 29ton を含 含む 1105mm 100mm 100 mm 介する。 1 150ton 0ton ｾﾝﾀｰﾋﾟﾝｽﾄﾛｰｸ 採取したテストピースの引張特性等について紹 ユニット 試 験 設 備 は既 は 既 存 の型 の 型 開 閉 ユニッ トに型 型 締 力 を発 生 さ 定 格 湯 口 閉 塞 ｽﾄﾛｰｸ 40mm mm ｾﾝﾀｰピン 径 φ80 ｾﾝﾀｰピン径 φ 0 湯口径 φ φ50 図 ３に本 プロセスの一 連 の動 作 を溶 湯 の動 きを中 心 に模 式 図 にて説 にて 説 明 する。 ①窒 窒 素 ガスセパレータ、精 密 レギュレータを介 して して加 加圧 室 に窒 素 ガスを導 入 し加 圧 室 の湯 面 を押 し下 げる。 湯 面 変 位 は常 時 レーザーで監 視 し金 型 への溶 湯 充 填 状 況 をモニターする。②加 圧 室 の湯 面 を下 げること で注 湯 室 の湯 面 が上 昇 し金 型 への溶 湯 充 填 が始 まる。 ③ガス圧 ガス圧 をさらに増 大 し溶 し 溶 湯 を金 型 に充 填 する。 ④レーザーセンサにて金 型 に溶 湯 が充 たされたことを 検 知 した後 、センターピンを下 降 させて湯 口 を閉 塞 す る。湯 口 閉 塞 後 はガス加 圧 を止 め、湯 口 付 近 の溶 湯 を速 やかに注 湯 室 に戻 す。 ⑤センターピンをさらに下 降 させて させて湯 湯 溜 り部 を加 圧 し金 型 内 の溶 湯 にメタル圧 を 伝 える。 える。湯 湯 溜 りから離 れている厚 肉 部 位 に には必 は必 要 に応 じてスクイズピンによる 局 部 加 圧 を行 う。⑥ じてスクイズピンによる局 う。 ⑥凝 凝固完了後、 セ セン ンター ーピ ピ ピン ンとス スク クイ イズ ズピ ピン ンを原 位 置 に戻 す。⑦型 を開 いて製 品 を取 り出 す。保 す。 保 持 室 の炉 床 のタップ弁 を開 い て注 注 湯 室 と加 圧 室 に次 に 次 のショットの溶 湯 を補 給 する する。 は φ 50 と し 、 セ ン タ ー ピ ン が 40mm 前 進 し た と こ ろ で 湯 口 を閉 塞 し、湯 溜 り部 の加 圧 すなわちキャビティ部 へ のメタル圧 付 加 がなされる仕 組 みとした。センターピン 、局 以外の のメタル圧 メタル圧 付 加 手 段 として として、 局 部 加 圧 (スクイズ スクイズ )ピ スクイズ) φ40) ンを のハブ部 0)、な らびに ン を厚 肉 の ハブ 部 中 央 (ピン ピン 径 φ 、な ら びに 製 品 ゲ ートから最 も離 れた位 置 にある天 側 のブッシュ(同 φ φ 15)に配 同 φ15) 20)、 20) 、地 地 側 に位 置 する二 股 先 端 部 (同 に配 置 した。 なお、キャビティ内 のエアについては、最 終 溶 湯 充 填 部 位 付 近 となるアーム部 の左 右 にベントランナーを、 溶 湯 が垂 れ落 ちる天 側 ブッシュの先 端 にはオーバーフ ロー を配 、溶 の際 際 キャ ビテ ィ ィに ロ ーを 配 置 し、 溶 湯 の最 終 充 填 の に残 留 するエアがそれ それらから するエアが らから排 らから 排 出 される される方 方 案 とした。 ２.４ ２ ４ 試 験 合 金 および鋳 造 条 件 ハイマウントナックルの鋳 ハイマウントナックル の鋳 造 には市 販 のAC4CH の AC4CH合 AC4CH 合 金 を使 用 し、前 述 の低 圧 鋳 造 炉 保 持 室 及 び注 湯 室 の 溶 湯 温 度 が 700 ℃ と な る よ う 付 帯 の 浸 漬 ヒ ー タ ー の 設 定 を調 整 して保 持 した。金 型 離 型 剤 には㈱ ２．３ 試 験 金 型 MORESCO 社 製 の グ ラ フ ェ ー ス GT － 400 を 希 釈 率 30 図 ４に市 販 部 品 の形 状 を参 考 に製 作 したハイマウ 倍 で用 い、金 型 温 度 については 型 温 が低 下 し易 いア ントナックル金 ントナックル 金 型 キャビティ図 キャビティ 図 を示 す。 製 品 外 形 寸 法 は 510mm( 長 さ ) × 195mm( 幅 ) × ーム先 端 部 周 辺 に油 温 調 ラインを配 し熱 媒 体 油 を循 145mm( 高 さ ) 、 最 小 肉 厚 お よ び 最 大 肉 厚 は そ れ ぞ れ 環 させることで型 温 を維 持 すると共 に、型 温 が上 昇 し 10mm、35mm 35mm である。左 りとした場 金型キ 10mm 35mmである。 である。 左 右 ２個 取 り とした場 合 の の金 易 い湯 口 周 辺 には水 には 水 冷 却 ラインを設 けてサイクル毎 けてサイクル 毎 に ャ ビ テ ィ の 投 影 面 積 は 939cm 939 cm 、 製 品 の ゲ ー ト 寸 法 は 一 定 時 間 通 水 を行 うことで金 型 温 度 の安 定 化 を図 っ 0mm( 幅 ) × 19..5mm( 51..0mm( 5mm( 厚 さ ) 、 製 品 重 量 は 単 品 で の離 た。上 た。 上 記 操 作 により連 により 連 続 鋳 造 中 の 離型剤塗布後の の型 kg 、 ラ ン ナ ー 、 オ ー バ ー フ ロ ー 、 湯 溜 り を 含 む 全 鋳 2.5kg 2.5 温 は 表 面 温 度 で 上 型 が 140 ～ 160 ℃ 、 下 型 が 180 ～ 込 み 重 量 は 5.8kg 5.8 で あ る （ 製 品 部 歩 留 り 約 86 ％ ） 。 湯 となっている。 230℃となっている。 230 2 口 ならびにセンターピン加 圧 がなされる湯 溜 りは左 右 金 型 内 に溶 湯 を充 填 するガス加 圧 については、溶 の中 、湯 口 径 製品の 中 央 に配 置 し、センターピン径 はφ φ80 80、湯 湯 が 湯 口 に 到 達 す る 圧 力 で あ る 8kPa kPa か ら 製 品 キ ャ ビ -2- ティ の溶 湯 充 填 が概 ね完 了 する ティの溶 する14 14kPa kPaまでは までは まではエア巻 エア巻 込 みを抑 制 しながら6.5 しながら 6.5秒 秒 をかけて緩 やかに圧 力 を上 げ げ、 、 14kPa kPa に 到 し した た 後 は 圧 力 を 一 気 に 80kPa に 増 大 さ せ る 設 定 とした。 センターピンは上 センターピンは 上 述 のガス圧 の ガス圧 が が80kPa 80kPaに 80kPa に達 達 した した1.5 1.5秒 秒 後 か ら 前 進 動 作 を 開 始 し 、 湯 口 が 閉 塞 さ れ る 40mm ス ト ロ ー ク を 通 過 す る 50mm 0mm ス ト ロ ー ク ま で は 駆 動 用 油 圧 シリンダーに最 大 圧 を付 加 して最 大 速 度 で前 進 させ させる る が、それ以 降 は油 圧 を圧 力 制 御 に切 換 え、湯 溜 り部 に に付 付 加 され される る るメ メタ タル タル圧 ル ル圧 圧 が 40MPa 40 MPa と な なる るよ よう圧 う圧 力 を を調 調整し た。センターピンは製 品 部 の凝 固 収 縮 量 に見 合 う溶 湯 を供 給 した後 、湯 溜 り部 の凝 固 とバランスする位 置 で停 停 止 する。 部 分 加 圧 ピン 制 御 に につ つ つい い いて て ては は は、製 、製 品 ゲー ゲートか ゲートから ゲート ト トか か から ら ら最 最も 離 れた位 置 にある天 側 ブッシュや地 側 に位 置 する二 股 の先 端 部 はセ セン ンターピ ピン ン動 作 と同 じ じタ タイミングで、ハ ブ中 中 央 部 はセンター はセンターピン動 はセ ンターピン動 ピン動 作 開 始 から3. から 3.5秒 秒 遅 れて れて駆 駆 動 を開 開 始 する設 定 とした。上 とした。 上 述 の部 分 加 圧 ならびに ならびにセ セ ンターピン ンターピン加 加 圧 を含 むチルタイム むチルタイム(型 型 内 冷 却 時 間 )は は40 40 秒 としたが、製 品 取 出 しと金 型 への離 型 剤 スプレーを 手 作 業 で実 施 したことから全 体 の鋳 造 サイクルは約 5 分 となっている。 上 述 のガス加 圧 、センターピン加 圧 ならびに３箇 所 の部 分 加 圧 の制 制 御 パターンを パターンを図 図５ ５に示 に示 す。 もエア巻 込 みによる気 泡 状 巣 や引 け巣 の発 生 は認 め られ ていない。このように られてい ない。このように X 線 検 査 巣 の無 い健 全 な鋳 物 が得 られるのは、精 密 レギュレータを介 したガス加 圧 やセ セン ーピ 充填制御や セ ンター ピンに加 えて複 数 個 所 の部 分 加 圧 のタイミングや動 作 速 度 を最 適 化 した結 果 と言 える。 即 ち、センターピン動 作 については、ガス加 圧 工 程 に て製 て 製 品 キャビティや湯 溜 り部 に に溶 溶 湯 が充 満 するタイミン やかに加 うこと、部 グで速 やかに 加 圧 動 作 を行 うこと 、部 分 加 圧 動 作 につ いては、各 部 位 の凝 固 開 始 時 期 に合 わせて開 始 タイ を計 るとともに 、凝 固 の進 行 が が緩 やかなハブ 中 央 ミングを計 ミング 緩 やかなハブ中 について については、周 は、周 辺 の凝 の 凝 固 収 縮 挙 動 に見 合 うように加 圧 ３．鋳 造 試 験 結 果 及 び考 察 が必 ピンの動 作 速 度 を調 整 すること することが 必 要 である。 である 。 ３．１ 鋳 造 サンプルの外 サンプル の外 観 ３．３ 鋳 造 サンプルのミクロ組 織 ６に、 、上 図６ 上 述 の鋳 造 条 件 で得 られたサンプルの外 図 ８に、上 述 のハイマウン す。精 、セン セン 観 を示 す 精 密 レギュレータによるガス加 圧 制 御 、 トナックル鋳 造 サンプルの５ ターピン加 圧 と複 複 数 の部 分 加 圧 の効 果 にてキャビティ にて キャビティ 箇 所 の 断 面 、 PartA 、 PartB Part 、 になされるとともに 金型離 への溶 への 溶 湯 充 填 はほぼ は ほぼ完 完全に されるとともに、 されるとともに 、金 PartD D、Part Part 、Part PartC、 PartE Part におけ 型 剤 が鋳 物 全 体 に良 に 良 く転 く 転 写 された外 された 外 観 を呈 している。 る上 る 上 型 側 および下 型 側 表 層 ３．２ 鋳 造 サンプルの健 全 性 の ミ ク ロ 組 織 を 示 す。 初 晶 α 図 ７に、上 述 のハイマウントナックル鋳 造 サンプルの 相 はいずれの部 位 も微 細 な 内 部 巣 の発 生 状 況 を X 線 にて確 認 した結 果 を示 す。 デ ン ドラ イ ト (樹 枝 状 晶 )を 呈 製 品 肉 厚 の大 きい中 央 ハブ部 、天 側 ブッシュの付 け しており、センターピン加 圧 根 、地 、 地 側 の二 二 股 部 先 端 、ならびにアーム部 、 ならびにアーム部 のいずれに で付 加 されたメタル圧 によっ -3-
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