4.事業創出活動 4 事業創出活動 ❏産業振興分野 女性のための創業カレッジ 2014 年全国平均の開業率は 4.9%、廃業率は 3.7%である。滋賀県は開業率 4.5%、廃業率 3.9%で平均に比べる と開業率、廃業率共にやや悪いと言える。 平成 25 年閣議決定された「日本再興戦略‐JAPAN is BACK-」において、 10%の開業率を目指すとして産業競争力強化法における市町村による創業支援のガイドラインが示され、大津市・ 草津市は平成 26 年 6 月に創業支援事業計画の認定を受けた。その認定連携創業支援事業者の一つとして本学が 加わっている関係から、「女性のための創業カレッジ」は大津市・草津市の認定連携創業支援事業の認定創業セミ ナーとなり、修了者で大津市・草津市で開業する場合には、創業・第二創業補助金の申請ができ、株式会社の登録 免許税の軽減などのメリットがある。 【 開催日時 】 平成 27 年 6 月 20 日(土)、27 日(土)、7 月 4 日(土)、11 日(土)各日 午前 9 時 30 分‐11 時 30 分 【 会 場 】 滋賀大学大津サテライトプラザ 参加者は、大津市 2 名、草津市 2 名、東近江市 1 名、湖南市 1 名、栗東市 1 名、京都市 1 名の計 8 名で、すでに 創業されている参加者が 5 名、創業予定者が 3 名であったが、2015 年度中に 1 名が飲食店を開店された。 全国で数多くの創業セミナーが開催されているが、事業計画や資金計画などをスクール形式で学んでも、事業が 計画通り進むことは少ないために計画が無駄になる場合がある。このために事業を進めるための考え方を身に付け ることを重点的に、創業支援事業の科目である「事業計画」「資金計画」「販路開拓」「人材育成」を、「ペルソナマーケ ティング」や「エレベータピッチ」などワークショップ形式で学ぶプログラムを中心に、「考える力」を身に付けることにポ イントをおいて進めた。 創業予定者や開業後間もない経営者にとっては、グループで学ぶことが創業前後の悩みを相談できる仲間作りに もなる。また、京都信用金庫の女性職員が交代で参加したことで、気軽に融資相談が出来たとの声もあった。 厚生労働省の調査では、個人事業者の 1 年後の生存率は 60%強というデータがあるが、せっかく創業しても十分 な準備・計画が無ければ、途中で運転資金がなくなり廃業する場合が多いためだと思われる。このため、創業支援と 共に創業後のサポートも必要があると考えている。 (文責 特任教授 近兼 敏) 4.事業創出活動 女性のための創業カレッジ “ 魅力いっぱい! 語ります ” 各地で開催される手作り市が増えインターネットでも簡単に販売出来るようになって、手作りの小物やクッキーな どの加工食品などを個人で作り販売し始めたのが切っ掛けで、創業を考えていく人が多くなってきた。こうした女性 が創業セミナーの受講やインキュベーターに入居して創業を準備するケースも少なくない。 しかし、よく似た商品・サービスが満ち溢れる世の中で、商品の良さを PR し、ファンを増やしサポーターとして SNS などで情報を発信されるため、顧客に選ばれる商品とはどういったものか、さらにその商品をどうして情報発 信してもらえるのかを考える必要がある。 今回の講演者は、遠方からも泊りがけで来るような熱心なサポーターが数多い阪急うめだ本店「英国フェア」の 担当者である桑原渉氏である。西日本を代表する阪急うめだ本店で、「英国フェア」は同店を代表する催事で長い 歴史を持っている。当初は文化的なイベントとしてスタートし、販売する商品はタータンチェック柄のファッション製品 などが主で、英国料理に関係する食品は紅茶ぐらいだった。この中で、桑原氏は食品の比重を上げて顧客を呼び 込むという試みを始めた。 「英国フェア」は、10 月頃に開催されるが、英国の出展者の交渉は 3 月から始まる。阪急うめだ本店の HP には同 氏のブログがあり週 1 回更新されるが、そのスタートは 3 月の英国の出張日記になる。桑原氏は、本物をそのまま 日本に持ってくることが人気の秘密だと語っていたが、スタッフだけでなくほとんどの材料が英国から運ばれ、本物 の英国の商品が英国フェアで味わえる。その交渉からブログは始まるが、店のある地域の天気、町並みなどの情 報も商品と共に紹介され、その食べ方、味なども疑似体験をすることが出来る。但し、ブログによる疑似体験の情 報が SNS で拡散することはない。だからこそ、桑原氏は本物に拘り、疑似体験を「英国フェア」で実際に体験するこ とが出来る。ブログで見たスタッフが、英国の材料を使い、目の前で作る。食べ方や味などの疑似体験が実体験に なることで、SNS で情報が拡散されていくのである。英国フェアに参加する英国人は数十人にもなるが、まさに阪急 うめだ本店の催事場は英国になる。 小さく事業を始めた人にとって、手作りや材料に拘りのある人は多いが、サポーターを作るまでは少し時間がか かる。国内第 2 位の売上高がある阪急うめだ本店を代表する催事でさえ、拘りと弛まぬ努力を継続的されているこ とがわかり、事業を継続する難しさがわかったという声もあった。 【 開催日時 】 平成 28 年 2 月 13 日(土)午後 1 時 30 分~3 時 30 分 【 会 場 】 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 小ホール 参加者 26 名 桑原 渉 氏 (阪急うめだ本店 販売促進部部長) 著書に「阪急英国フェアの舞台裏」 (文責 特任教授 近兼 敏)
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