山本先生分

2016 年 7 月 12 日
宇宙物理学 II(山本担当分)
レポート課題
注意事項
1.問題は 3 問ある。3 問すべてに回答すること。
2.回答には A4 レポート用紙を用い、第一面に専攻名、氏名、および学籍番号を記すこと。
3.レポートは理学部 1 号館2階の物理学専攻教務係に提出すること。締め切りは 8 月 1
日(月曜)午後 5 時とする。
4.郵送する場合は、封筒に「宇宙物理学レポート在中」と朱書きし、上記締め切り日時
必着で物理学専攻教務係に送付のこと。電子メール、ファックスによる提出は原則認
めない。
第1問
希薄な星間雲(Diffuse Cloud)と分子雲(Molecular Cloud)において、電離度がそれぞれど
のような典型的値をとるか。理由とともに答えよ。なお、希薄な星間雲の水素分子個数密
度は 100 cm-3, 星間分子雲の水素分子個数密度は 104 cm-3 とする。また、宇宙線イオン化
率ζは 1×10-17 s-1、電子との再結合の反応速度定数は 1×10-7 cm3s--1、CO 分子の水素分子
に対する存在比は 10-4 とせよ。
第2問
一般に化学組成が平衡に達する時間スケール  は下記の式で与えられる。
1


1 1

t f td
ここに、 t f 、 t d はそれぞれ分子の生成と破壊の典型的タイムスケールである。希薄な星間
雲において、平衡に達する時間スケールをこの式を用いて推定し、水素分子密度が 100 cm-3
のガスの自由落下時間と比較せよ。
第3問
星間分子雲において重水素はおもに HD の形で存在しており、[HD]/[H2] = 10-5 である。
しかし、重水素はより複雑な分子に濃縮される傾向がある。これを重水素濃縮と呼ぶ。そ
の引き金になるのが次の反応である。
H3+ + HD → H2D+ + H2
この反応は発熱反応(230K)なので、低温(10K)条件では逆反応は無視できる。そのた
め、重水素が H2D+として濃縮されることになる。生成した H2D+ は CO とのイオン分子反
応、または、電子との再結合で破壊される。これらの化学反応を考慮して、H2D+に関する
反応速度方程式を立て、定常状態を仮定して、[H2D+]/[H3+]の値を求めよ。ただし、密度は
104 cm-3、温度は 10 K、電離度は第 1 問で星間分子雲に対して求めた値を用いよ。また、
電子との再結合の反応速度定数は 1×10-7 cm3s-1、イオン分子反応の反応速度定数は 1×10-9
cm3s-1 を用いよ。