7.終わりに

7.終わりに
-より良いプライベートバンカーを目指して
プライベートバンカーに求められる知識やノウハウは無限であるかも知れませんが、人
の能力は有限です。当協会の PB 教育プログラム、資格試験制度は、人の能力との関係では
かなり幅広いものとなっていますが、それでもこれらは PB としては最低限の基礎的なもの
に止っているといえます。従って、PB を目指す方々にとっては「不断の学習」が欠かせま
せんし、この点は資格取得後も全く変わらない、というよりもより一層重要性を増します。
当協会が実施している PB 関連の各種セミナーや PB スクールへの出席、講演録の閲覧など
は、受験のための学習、資格取得後の継続学習の両面で、大いに活用すべきでしょう。
各々の皆さんの置かれている立場は異なり、PB の観点からすれば、定期的な人事異動が
頻繁で顧客との良好な関係が築けない、各種の業法や資格の制約があり活動が制限されフ
ィーの授受もままならないといった問題があることも承知しています。しかし、まずはここ
での学習を済ませ、実践の場において、例えばチームを組む、ネットワークを作るといった
工夫も混じえつつ、応用動作に入っていく必要があると思います。ここでの学習はその上で
もヒントや成果をもたらすでしょう。
そして、この教育プログラムは、実践的な知識やノウハウ、考え方を身につけていくこと
を主たる目的にしていますが、さらに、このプログラムに共通して流れる精神ないし心を汲
み取っていただきたいと考えています。ここでの学習は必要条件であって、十分条件ではあ
りません。何よりも大切なのは、顧客の立場に立って、総合的かつ中長期的なサービスを提
供していくことです。これは職業倫理のキーワードである「Fiduciary Duty」を持ち出す以
前の問題であり、
「自社の金融商品の売込みばかりだ」とか「手数料稼ぎが見え見えだ」と
いった顧客の批判に答えることにもつながります。別の表現をすると、PB に求められるの
は「部分最適ではなく顧客にとっての全体最適」なのです。
PB という職業と関わりなく自らのためにあるいは家族のために学習されている方々にと
っては、こうした事情はやや異なるかも知れませんが、実践的な知識やノウハウは色々な場
面で役立つ筈です。
この PB 教育プログラムはわが国初の試みであり、協会としては、内外の環境も時代も変
わっていく中で、随時プログラムの一層の充実、手直しを進めていくつもりです。
皆さんが自らを高めつつ、このプログラムで得たものを実践の場で最大限に生かし、顧
客の満足度を高め、延いては日本経済の活性化に貢献していかれるよう、願っています。
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