インフラの存在を 意識させない

ストレージ+フォーラム2016
イベントレポート
「インフラの存在を
意識させない」
データ爆発時代における
ストレージの理想像とは?
米ブロケード
ソリューショニア
AJ・カサメント氏
UCLAバークレー校での研究によれば、過去1万年で生み出されたデータは12エクサバイトだが、2016年のたった1年だけで生み出され
たデータは8000エクサバイトにも及ぶという。データ爆発によってITインフラの役割がますます重要になっている中で、
アプリケーションを
支えるストレージやネットワークのあるべき姿とはどのようなものか。ストレージと、
それを支えるネットワークの技術革新とともに紹介する。
データ爆発が起こる中で、
ITインフラはますます重要に
フラッシュ/SSDのメリットを
本当に享受するためには
フラッシュ/SSDへの対応や、アプリケーショ
性能、可用性、拡張性、セキュリティが求められ
ン ニ ー ズ が め ま ぐ る し く 移 り 変 わ る 中 で、ブ ロ
るITインフラへのニーズに対して、カサメント氏は
ケードはストレージの柔軟性を確保する
「ファイバチャネルの導入」と「IPストレージ専用
「Software Defined Storage(SDS)」の考え方を
ネットワークの構築」が解決策であると提示した。
提唱し、ファイバーチャネル・ファブリックのソ
フラッシュ/ SSDを導入し、本当にこのテクノ
リューションを数多く提供してきた。
ロ ジ ー の ス ピ ー ド を 享 受 し た い な ら、フ ァ イ バ
同社はまた、ネットワークの監視や解析テクノ
チャネルの「16Gbps FC SAN」を備えてほしいと
ロジーにも力を入れている。可視化しないことに
いう。カサメント氏はそれをクルマの交通量に例え
は、そこで何が起こっているか、どう対策すべきか
を知りようがないからである。
て次のように解説した。
「帯域幅さえ確保すればいいのではありません。帯
「データ爆発が起きている中で、どのデータに注意
を払うのか、どのように処理するのか、どう使い続
けられるようデータを持つのか。よく考えなければ
ならない」と語るのが、
「ストレージ+フォーラム
2016」の 基 調 講 演 に 登 壇 し た 米 ブ ロ ケ ー ド ソ
リューショニア AJ・カサメント氏だ。
同氏は、現代の仮想化における進展にも言及し
本当にフラッシュのスピードを使いたいですか?
16Gbps FC SANを
ご用意ください!
IOPS Performance-All Flash Array vs. All HDD Array
10,000,000
1,000,000
IOPS
いい、フラッシュ/SSDも用途を問わず利用され
「アプリケーションオーナーのSLA要求は高まるば
1,000
かりだ。仮想化およびフラッシュ/SSDを積極的に
を100%活用している。これによってアプリケー
ション性能の50%向上、迅速なトラブルシュー
ティングによる稼動停止時間の極小化などといっ
た成果を得ている」
(カサメント氏)
100,000
10,000
るようになってきた。
取り入れている先進企業では、ファイバチャネル
小宮 崇博 氏
■オールフラッシュVSオールHDD
た。現在、40%の企業が40 ∼ 60%の、上位10%
の企業は90%以上の仮想マシンを利用していると
ブロケード コミュニケーションズ システムズ
The New IP推進室
Cloud Technology Officer
HDD
10 Drive LUN
20 Drive LUN
30 Drive LUN
7,200 PRM HDD
1,000
2,000
3,000
10,000 PRM HDD
1,500
3,000
4,500
15,000 PRM HDD
2,000
4,000
6,000
1,000,000
1,000,000
1,000,000
2TB Flash Array - 1 LUN
4GB Fibre Channel SANs have the capacity to support I/O to storage systems handling few thousand IOPS. 16Gb Fibre
Channel is needed to exploit the full potential of all storage arrays that can handle a milliom IOPS each.
Frank Berry, ITBrand Pulse
域幅は単に車線数です。一方、IPOS性能は時速何
画できないスピードでますます高速化していくで
kmで何台のクルマがどれだけの車間距離を保って
しょう。その中で当社は、新しくて、シンプルで、
走るかを意味します。オールフラッシュとオール
効果的なプロトコルをファブリック全体で実現し
HDDではIPOS性能が大きく開くのです。このイン
ていきます」と語り、基調講演を締めくくった。
フラなら、月、日、曜日、時間帯によってまったく
異なるネットワークのワークロードにスムーズに
対応することが可能です」
共有ネットワーク環境は、ワークロードの衝突
ストレージをめぐる風景を変革する
新しい勢力
が起こるために性能的な観点で大きな影響を及ぼ
ストレージ+フォーラム 2016では、エンタープ
してしまう。専用ネットワークであれば、1分あた
ライズ・ストレージ・ソリューションに関するパ
りのオペレーションが20%増加し、ネットワーク
ネルディスカッションも行われた。モデレータを務
遅延問題を1/10に縮小できるという。
めたブロケード コミュニケーションズ システムズ
最新トレンドとニーズに対応する
ブロケード製品
ニュータニックス・ジャパン
シニアSEマネージャー
露峰 光 氏
The New IP推 進 室 Cloud Technology Officer
小宮 崇博氏は、パネリストそれぞれに所属する企
業とともに、提供しているソリューションのアド
バンテージ紹介を促した。
カサメント氏は、ネットワークインフラをめぐ
トップバッターは、ティントリジャパン 技術本
ビリティを上げることに注力している。カサメント
る 劇 的 な 変 化 と ニ ー ズ に 対 応 す る も の と し て、
部長 村山 雅彦氏だ。同社は米国を本社とし、仮想
氏は「Gen6製品ではSCSIコマンドも、トランザク
「Brocade 7840 エクステンション・スイッチ」
と
化環境、クラウド環境に特化したストレージを提
ションがどうなっているかといったこともわかり
「Brocade G620スイッチ」を紹介した。
供している。
ます。
VM-IDの導入により、アプリケーションオー
Brocade 7840エクステンション・スイッチは、
仮 想 化 技 術 の 進 化 に よ っ て、コ ン ピ ュ ー タ リ
ナーに適切なI/Oプロファイル情報を提供するこ
FastWriteによる同期および非同期のスムーズな
ソース側ではハイパーバイザーがリソース分配で
とが初めて可能になります」と、ファブリックテク
レプリケーションを行うIPエクステンションとい
きるようになった。ティントリのストレージは、リ
ノロジーをリードする能力があるということを強
う機能を持ち、性能を目的に構築されたわけでは
ソース分配をストレージ側でも適切に制御するテ
調した。
ない低コストイーサネットポートであっても、確
クノロジーが採用されている。村山氏は「ティント
かなレプリケーションを実現する。
リのストレージは、そのI/Oがどの仮想マシンから
開発から長い年月が経っているがまだまだ現役
のものかを判断して動作します。そのため、仮想マ
というアプリケーションは、情報システム環境で
シンの動きを可視化したり、QoSの制御、リソース
はよくあるものだ。しかし、そうしたアプリケー
分配などが可能です」と強みを説明した。
ションが実はネットワークに混雑を生み出してい
ニュータニックス・ジャパンからは、シニアSE
立場上、企業のCIOと話す機会が多いというカ
るかもしれない。計測を実施することで貧弱な性能
マネージャー 露峰 光氏が登場した。ニュータニッ
サメント氏。そうした場でよく話題にあがるテーマ
フローを特定でき、これを”スローレーン”に分離
クスは2009年に創業した米国企業で、サーバとス
して重要なフローを保護することができるという。
トレージを一体化させた「ハイパーコンバージド
「どんなに収益を向上させるアプリケーションを開
2016年4月にリリースされたばかりのBrocade
イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ」と 呼 ば れ る 新 し い 統 合
発しても、アクセスできなければ存在しないも同
G620スイッチは、32および128 Gbpsの高速性
サーバを提供している。
然です。アプリケーションが日々充実し、ストレー
やがてファブリックは
ユーティリティになる。
変化を先取りしよう
が「ストレージの接続性」についてだ。
を持ち、1Uに64ポートを備える。
周囲からは"ここ
「ストレージはもはや仮想化環境を前提に考えるべ
ジが拡張していく中で、その都度ネットワークの
までは必要ないのでは"という声も聞かれるという
きです。仮想化環境構築にあたっては、これまで数
コンフィギュレーションに数時間もかけたい方は
が、アプリケーションは常にそれ以上要求する、と
年先の利用を見越して最初に結構な投資を強いら
いらっしゃるでしょうか。ファブリックを持つこと
いうのはカサメント氏の長い経験からの確信だ。い
れました。しかし、Nutanixならスモールスタート
によって真にスケーラブルな環境が手に入ります。
まや映画コンテンツをレンタルではなくストリー
でビジネスの成長に合わせてシステムを拡張可能
ブロケード製品なら、そこに変更管理の自動化、監
ミングで見られるようになったのも、インフラの
で、性能もリニアに上げられます。運用性も高く、
視といった機能も享受できます。今後、ファブリッ
整備によって実現した変化であることは言うまで
もはやストレージを管理するという概念はありま
クがユーティリティとして利用されるときが来る
もない。
せん」
(露峰氏)
ということを私は予言しておきます」
最後にカサメント氏は「この先、ストレージは計
ストレージ管理の理想像は
「インフラの存在を意識させない」
最後に小宮氏は「ITをめぐる世界が変貌し続けて
います。この場でお伝えしたかったのは『それなら
変化を先取りしてしまいましょう、ファブリック
で』ということです。ブロケードのソリューション
基調講演から引き続いて登壇したカサメント氏
は、顧客、ソリューションプロバイダー、販売パー
は「露峰氏がストレージを管理する概念はないと
トナー、ブロケードの"四方良し"を特長としていま
おっしゃいましたが、これは『インフラの存在を意
す。ぜひ皆さまにも積極的にご参画いただきたいと
識させなくする』ということ」であると指摘した。
思います」と語りかけ、セッションを終了した。
「17年前に当社の経営層が決断したことのひとつ
は、当社の管理インタフェースに顧客を閉じ込め
ないということでした。そのため、ニュータニック
ス の ハ イ パ ー バ イ ザ ー か ら、わ れ わ れ の イ ー サ
ネットファブリックのコンフィギュレーションが
ティントリジャパン
技術本部長
村山 雅彦 氏
※本記事は、2016年6月に掲載された
ビジネス+IT(http://www.sbbit.jp/)
からの転載です。
お問い合わせ先
行えます。使いやすいということは非常に重要で
ブロケード コミュニケーションズ システム株式会社
す」
(カサメント氏)
ブロケードでは、
「計測できなければ管理できな
〒100-0013 東京都千代田区霞ヶ関1-4-2 大同生命霞ヶ関ビル
TEL.03-6203-9100 FAX.03-6203-9101
e-mail [email protected]
い」という信念のもと、Gen5、Gen6製品でビジ
http://www.brocade.com/jp
BROCADEに関するより詳しい情報は、
以下のwebサイトをご覧ください。