地方債情勢:プエルトリコ最新状況(PDF/221KB)

地方債情勢:プエルトリコ最新状況
2016年 7月11日
救済法案が米国議会において土壇場で可決されるなか、 7 月 1 日にプエルトリコの一般財
源保証債の一部は債務不履行となる恐れがあります。
(本リサーチは当初 2016 年 6 月 30 日付けロードアベット・ドットコム(lordabettt.com)に掲載
されたものです)
プエルトリコ政府は 7 月 1 日、一般財源保証債とその他関連債務の一部について金利または元
本、もしくはその両方の支払を行わない形で憲法が定める義務を怠る可能性が高いと見られま
す。多くのアナリストたちは、同政府が少なくとも金利の一部を支払うと予想していますが、どのよ
うな結末となるかは全く定かではありません。こうした不履行の可能性はここしばらく予想されて
きており、またプエルトリコのアレハンドロ・ガルシア・バディーヤ知事も 1 年前から返済は不可能
との声明を発表してきてはいましたが、実際に返済が行われければ重大な事態となります。
ここ数日間、プエルトリコ情勢への対応に向けて多くの動きが見られています。6 月 30 日には米
議会がプエルトリコ監視・管理・経済安定化法(PROMESA)を可決し、大統領が同法に署名しまし
た。同法は、プエルトリコの財政状況を監視する財務監視管理委員会(「委員会」)の設置や今後
の債務再編、そして投資家に対して米国自治領(コモンウエルス)であるプエルトリコへの訴訟を
制限する猶予期間の設定等を定めています。
これまで、プエルトリコ政府と債権者との建設的な協議は行われてきませんでした。同法は、協
議開始への枠組みを策定するという点で役に立つ一方、委員会の最終目標が何であるかが明ら
かではないことから、依然として不透明感を招いています。債券保有者の主要な懸念事項は、委
員会が債券の取り扱いに対して年金債務をどのように扱うかという点にあります。加えて、もしも
プエルトリコ政府が債務支払を全て履行できなければ法的取り決めに違反することになるため、
訴訟猶予は債権者の訴訟を先送りすることになるとはいえ、最終的にそれを止めることはできな
いと考えられます。願わくは、情勢が進みプエルトリコ政府が財務諸表を公表して債権者への対
応を加速してほしいものです。
ここ数週間で、いくつかの理由からプエルトリコ債の多くが上昇しました。ひとつには、米国政府
の論調が非難するようなものからむしろ建設的なものに変わってきたことを受けて、市場参加者
たちが PROMESA の可決を予測し始めたことにあります。2 番目の理由は、プエルトリコ政府が
いくつかの債権者たちとの交渉内容を公表し、同政府がそれまでの発表で示唆してきた内容より
良い条件で合意する意向があると受け止められたことにあります。とはいえ、こうした明るい動き
にも関わらず、先行きの不透明感は残ることからプエルトリコ債の多くは依然として極めて破綻に
近い水準にあります。
この先に関しては、プエルトリコ政府が 7 月 1 日の債務返済をどのように取り扱うかが明らかに
なった後、その後の数カ月間に多くの行動が取られると予想されます。米国議会と大統領は委員
会のメンバーを選任する必要があり、これが論争の招くプロセスとなることは間違いありません。
委員会メンバーが選任された後には、委員会の調査が始まり、うまくいけば委員会の目標が明ら
かになるでしょう。プエルトリコ議会が水道・下水公社による新発債の承認に向けて動いている中
で、委員会が本格的に前進すれば、市場の反応を見定めることは興味深いものとなるでしょう。
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この先数カ月間にさらに多くの債務支払期限が到来することから、債権者たちはパディーヤ知事
と委員会の対応を注視することになるでしょう。加えて、知事の任期は今年末までであり、パディ
ーヤ知事には再出馬の意向がないことから、新たな候補者たちが選挙戦を戦うこととなり、それ
がプエルトリコの財政状況に関する法律の行く末に影響を与える可能性があります。候補者の一
部はパディーヤ知事に比べて債券保有者寄りの姿勢を取っています。多くは米国証券取引委員
会(SEC)がこのプロセスに関わる主な当事者たちの取る行動を精査することを望んでおり、した
がって SEC がプエルトリコ情勢にかかわっていくことになる可能性もあります。
リスクについての注記:債券投資の価値は市場情勢に応じて変化します。金利上昇時には債券価格
は下落する傾向にあり、逆に金利下落時には債券価格は上昇する傾向があります。債券の投資価値
は金利変動により、また市場動向に応じて、変化します。金利が下落する局面で債券価格は上昇する
傾向があり、金利が上昇する局面で債券価格は下落する傾向にあります。債券市場投資には市場リ
スク、金利リスク、発行体リスク、信用リスク、インフレリスク、そして流動性リスクといったリスクが伴い
ます。地方債は不利な立法や政治情勢、州、地方債発行体、あるいは連邦政府が地方自治体に財政
支援を行っている場合には連邦政府の財務情勢におけるマイナスの変化によって、影響を受ける恐
れがあります。地方債からのインカム収入は税法改正により課税される可能性があります。地方債市
場の特定のセクターには特別なリスクがあり、それが市場全体に比べて大きな影響をもたらす恐れが
あります。多くの地方債は似たようなプロジェクトの資金調達のため発行されることから、そうした業界
の情勢が投資に大きく影響をもたらす可能性があります。地方債のインカム収入は代替ミニマム税の
対象となる可能性があり、また連邦、州、地方税が課される可能性があります。高利回りの低格付け
債には高格付け債より大きなリスクが伴います。つまり高利回りの低格付け債に投資するポートフォリ
オはそれらに投資しないポートフォリオより高い信用リスク、流動性リスクを伴います。低格付け投資
には高格付け投資に比べて大きな価格変動にさらされる可能性があります。地方債によるインカム収
入の一部は代替ミニマム税の対象となる可能性があります。売却益は課税対象となる恐れがあり、ま
た連邦、州、地方税が課される可能性があります。非課税債として発行された債券が米国国税庁
(IRS)により課税債として分類し直される可能性があり、インカムが非課税ではなく課税対象となる恐
れがあります。債券には期限前償還リスク、信用リスク、流動性リスク、金利リスク、そして市場全般
のリスクといった他のリスクを伴います。プエルトリコや他の領土、自治領、領地への投資は地方、州、
地域的要因による影響を受ける可能性があります。それらには経済、政治情勢、税基盤の衰退、信
用力における問題などが含まれます。いかなる投資戦略も全ての市場変動を克服することはできす、
将来の成果を保証することはできません。
一般財源保証債は発行体の一般財源から支払われる州、地方債を指すことが一般的ですが、同債
券の正確な財源や支払い順位は、適用される州、地方法により、発行体間で大きく異なります。一般
財源保証債の多くは、対象となる州、地方法に基づき、発行体の十分な信頼と信用(そして多くの場
合徴税権)を保持していると捉えられています。地方自治体によって発行される一般財源保証債は発
行体の従価税から(多くの場合それのみから)支払われる場合が多く、一方で州政府が発行する一般
財源保証債は州法による歳出予算から支払われる場合が多いと言えます。
バークレイズハイイールド地方債指数は非投資適格債、非格付け債、あるいは Ba1 格以下の債券か
らなる非マネージド型指数です。
バークレイズ地方債指数は長期非課税債市場のために設計され、ルールに基づいて計算される時価
加重指数です。同指数は残存期間が 1 年以上の地方債市場を幅広く測定しています。この指数への
組入れには、格付け機関であるムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ、フィッチのうち少なくとも
2 社から、投資適格(Baa3/BBB-以上)の格付けを得なければなりません。 格付け機関 3 社のうち 2
社からしか格付けを得ていない場合は、低いほうの格付けを使用して指数への組入れを判断します。
格付け機関 3 社のうち 1 社からしか格付けを得ていない場合は、その格付けが投資適格でなければ
なりません。対象債券は、額面での発行残高が 700 万米ドル以上で、7,500 万米ドル以上の案件の
一部として発行されたものでなければなりません。利息は固定金利で、1990 年 12 月 31 日以降を利
息起算日とし、残存期間は 1 年以上でなければなりません。
前述の経済レポートで示された見解は発表日現在のものであり、今後その内容が変更となる可能性
があります。また弊社の見解を表明するものではありません。本資料は特定の投資または一般的な
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市場に関する予測、リサーチ、投資アドバイスとしての利用を目的として作成されておらず、また法的・
税務上の助言を提供するものでもありません。本資料は当社が信頼できると思われる情報に基づい
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