1.はじめに

1. は じ め に
山地河川における流砂量のデータは,砂防基本計画の精度向上,総
合的な土砂管理の推進,国土保全上の流域監視のために最も基礎的な
情報の 1 つである。しかしながら,山地河川においては,河床変動が
激しい,大粒径から細粒分まで幅広い粒径の流砂が混在する,電源の
確 保 等 観 測 に 必 要 な イ ン フ ラ の 整 備 に 多 く の 労 力・費 用 が か か る な ど ,
連続観測に数多くの困難を伴う。そのため,連続的に流砂量を観測し
た事例は必ずしも多くなかった。
一方,音響データや振動データなどを用いて間接的に流砂量を推定
す る 手 法 に つ い て 研 究 ・ 技 術 開 発 が 進 め ら れ て き た 1)。 特 に , 掃 流 砂
に関してはハイドロフォンを用いた間接的な手法について,様々な技
術 開 発 が 行 わ れ て き た 2)。 ま た , 濁 度 計 を 用 い た 浮 遊 砂 の 連 続 観 測 も
実 施 さ れ て き た 3 ) 。こ れ ら の 技 術 的 な 進 歩 を 踏 ま え て ,平 成 24 年 に 改
訂 さ れ た 河 川 砂 防 技 術 基 準( 調 査 編 )4 ) で は ,流 砂 観 測 を 実 施 し ,流 砂
量年表をとりまとめることとなっており,全国的に直轄砂防事務所に
おいて流砂観測が進められている。
そ こ で ,本 資 料 で は ,平 成 24 年 に 改 訂 さ れ た 河 川 砂 防 技 術 基 準( 調
査編)において位置づけられた「流砂量年表」として,近年取得され
た流砂水文観測のデータを取りまとめたものである。
【参考文献】
1) 例 え ば , Gray, J.R., Laronne, J.B. Marr, J.D.G. (2010): Bedload-surrogate
monitoring technologies. U.S. Geological Survey Scientific Investigations Report
2010–5091.
2) 例 え ば ,水 山 高 久・野 中 理 伸・野 中 伸 久( 1996)
:音 響 法( ハ イ ド ロ フ ォ ン )
に よ る 流 砂 量 の 連 続 計 測 , 砂 防 学 会 誌 , 49(4), 34-37.
3) 例 え ば , 藤 田 正 治 ・ 澤 田 豊 明 ・ 水 山 高 久 ( 2003): 山 地 小 流 域 に お け る 土 砂
動 態 の モ ニ タ リ ン グ 手 法 ,京 都 大 学 防 災 研 究 所 年 報 , 46(B), 34-37.
4) 河 川 砂 防 技 術 基 準 ( 調 査 編 )( 平 成 24 年 )
1