『Human Welfare』第2巻第1号 2010 ■ 学生活動の紹介 人間福祉学部学生は、日々の学びや友人・教員との交わりの中で、様々な活動をしていますが、 その中から人間福祉学部教員から紹介のあった活動につきご紹介します。ここに登場されない 活動をされている方もいると思いますが、ご了承ください。 なお、ここに掲載されている活動については、人間福祉学部が公認している正式の団体では なく、任意の活動・団体であることを申し添えます。 日本手話サークル「はなまる」は、2008年に人 間福祉学部で「日本手話」を受講していた学生の 有志を中心につくられました。現在は、他学部の 学生を含め30名弱で活動しています。通常の活動 は、火曜日の夜と水曜日の昼間に行われ、ろう者 から日本手話を学んだり絵本の手話語りの練習な どをしています。 このサークルが、一般の手話サークルと異なる ところは、ただ日本手話を学習するという事に留 まらず、それを用いてろうの方々、特にろうの子 ども達のための企画をすすめている面です。 夏にはろうの子ども達やその家族とのキャンプ を行い、学園祭の際には日本手話で学内を案内す る企画(はなまるツアー) 、秋にはろうの子ども 達との味覚狩りなどを行っています。来春には、 ろうの子ども達を招いての出店など、 「はなまる 祭り」を企画しています。 大学で学んだものを用いて、地域に貢献してい くという、マスタリー・フォアー・サービスが実 践されています。 76 関西学院大学初の「学生による企画」に寄せら れた応募71件のうちの19件のひとつとして、社会 福祉学科の学生たちで創設されたこの団体が選ば れた。「K-ciss-G(ケイ・キス・ジー)」は、関西 学院大学学生の国際ソーシャルワーク・コミュ ニティの略である。現在、この団体が取り組んで いる主なプロジェクトには、日本の経済連携協定 (EPA)で来日しているインドネシアの介護福祉 士・看護師志望者の国家資格取得へのソーシャル サポート(社会的支援)の提供がある。異国の地 で彼(女)らのために、大阪梅田キャンパスの教 室を使って、他の支援団体と共催で国家試験の勉 強会を開いている。また、このような勉強の支援 のほかに、インドネシアの人たちが自国の言語で 会話できる茶話会も行っている。将来的には、イ ンドネシアの人たちに、日本の文化を理解してい ただくため、または日本での生活を楽しんでいた だくために一日・半日の遠足や日本文化を紹介す るワークショップやセミナー、受け入れ先の病院 や施設関係者間のための情報交換の手段の一つと してニューズレターの作成も行う予定である。 ク料理を提供するケータリング事業や屋台事業を 展開してきた。 当該活動は、次年度の夏に本格的に事業展開す るための企画の段階にあるプロジェクトである。 関学の正規留学生の90% 以上はアジア系の学生 であり、中でも中国、韓国からの学生が圧倒的に 多い。その学生のほとんどはアルバイトで貯蓄を して自身で入学金、授業料、生活費を支払ってい る状況である。また、同郷の留学生同士だけで集 まり、日本人学生と交友関係を持ちながら交流を 深める機会もまだまだ少ないのが現状である。 そこで、BLB はまだ小さいグループであるが、 日本人学生と留学生がともに学生生活を充実した ものにしていくために文化交流の機会を創出し、 お互いに助け合い楽しめる活動を展開することを 目標にしている。現在取り組んでいる活動の一つ では、中国留学生が文化交流を図ることとアルバ イトの両立をできるように、夏から IT 技術を活 用した手ごろな価格の中国語レッスンを日本人学 社会福祉や社会起業をキーワードに学生の自主 生向けに提供する事業を計画している。 企画のもと運営されている勉強会である。学内の 学生や外部講師を招いた講演とディスカッション で構成されている。学部を問わず参加できる勉強 会でチラシの作成なども学生が行っている。2009 年5月から月1回のペースで開催されている。こ れまで、下記の内容で実施されてきた。 5月「フィリピン・スタディーツアー報告」ツ アー参加学生 この活動は、差別、偏見、病気、言葉の壁など 6月「私が見た、モンゴルの大学生」 藤川義 の複雑な問題を抱え日本で就労することが困難な (人間福祉学部人間科学科1回生) 滞日外国人、特にアジア人女性を対象に日本での 7月「バングラデシュを訪問して」 乾眞理子 就労の機会を創出し、女性の社会参加や自立を 促すためのエンパワメントを目的としている。就 労の場の意義は、 「収入」と「社会的役割」を生 (人間福祉学部社会起業学科2回生) 10月「中国について」 曾釋心(人間福祉学部 社会起業学科1回生) み出すことにある。アジア人女性には文化的背景 11月「障害者の就労について」 柴田多恵氏 などから、調理スキルが非常に高いという共通点 (アビリティーズデイサービス和泉府中総 があり、また「母国料理」を作ることは自身の国 施設長、ポリオネットワーク代表) のアイデンティティを取り戻すことにもつながる。 そのため、カフェの常設化を目指し、1年6ヵ月 の間、女性たちがシェフとなり学生が販売スタッ フとしてパートナーシップを持ちながらエスニッ 77 『Human Welfare』第2巻第1号 2010 当活動は、次世代や発展途上国の食糧問題につ いて学び改善するための啓発活動に発展させるた めに取り組まれている。 現在、 世界人口60億人のうちおよそ8億人の人々 が栄養不足で、7人に1人は飢えている状態であ る。世界には多くの飢えに苦しむ人たちがいる中 で、日本では簡単に食べ物を捨ててしまうほどた くさんの食糧を余らせている。世界には食糧事情 に大きな格差がある。給食で食べ残しを減らす工 夫をするなど、身近なところから一人でも多くの 人に知ってもらうことでこの飽食問題を解決に繋 げることを目標に、現在は、地域の学校に出前講 座などの啓発活動を計画している。 RING は、学内募金活動を通して、発展途上国 に寄付を送金する活動を展開している。現在、関 西学院大学生協の協力を受けて学内での募金活動 を行っている。 関学生協が販売しているお弁当の中にリサイク ポリグルプロジェクトとは、日本ポリグル社と のパートナーシップを基盤として、自社製品であ る「ポリグル製剤」を使用し、汚水を改善するこ とを目的に活動を実施している。汚水を日常生活 の中で使用することを余儀なくされている発展途 上国の地域に製剤を届け、使用に必要な簡易井戸 を制作し、地元住民の参加のもと運用のノウハウ を伝える活動を展開している。学生たちは、チー ル容器を使用し、指定の回収ボックスに返却すれ ば10円を購入者に還元されるデポジット制の容器 がある。そこで、RING が独自に回収箱を設置し、 そこに集まったお弁当容器をリサイクルしてい る。デポジットにより回収した10円は、WFP(国 連世界食糧計画)を通して発展途上国へ寄付して いる。学生への関心と支援参加への啓発とともに、 環境改善にも役立つ活動だといえる。 ムを編成し、日本ポリグル社の技術研究員の指導 を受け、製剤の管理・使用方法や井戸の作り方の 研修を受けている。 今年度は、ニーズ調査のため現地 NGO のコー ディネートのもとフィリピンのマニラ近郊への現 地視察を行い、次回、ポリグル本社技術員ととも に再度訪問し活動を展開する予定となっている。 生活用水をはじめ水を取り扱うことは、疾病など をはじめ生命にかかわる活動であるため、日本ポ リグル社とのパートナーシップが不可欠な条件と なっている。 78 SHIPs は、発展途上国に対する物質的な支援に 取り組んでいる。足りないものを届けるというこ とで、ニーズの把握から実施までを展開すること にコンセプトに活動の計画を立てている。初めて の取り組みでは、衣料品メーカーの CSR 活動の 一環で、発展途上国の子どもたちに衣料品を届け る事業に賛同する形で、学生たちに呼びかけ、衣 料品リサイクルボックスを設置し回収活動を行っ た。 今後は、学習と実践の双方を同時に高めるため、 また、ニーズ調査を兼ねて、発展途上国の貧困地 域へのスタディツアーを企画している。 東海地方にある限界集落をフィールドに現地の 特産物を活かしたまちづくり活動を展開している。 限界集落というネガティブなイメージではなく、 元気に開かれるという意味を込めて「元開」集落 に変えていくことを目指して活動に取り組んでい る。現在フィールドとなっている限界集落におい ては、休耕田を活用して生産された特産品である 野菜のクレソンを地元住民とともに商品化を進め ており、市街地での販売ルートを開拓している段 階である。 この活動は、所在市の社会福祉協議会のコミュ ニティワーカーの支援のもと実施されているもの で、経済的な効果とともに住民参加をもとに地域 福祉を推進させる目的も同時に持っている。 79
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