展示室5 空間への旅 2016年7月9日(土)~8月28日(日) 日本の現代美術における空間表現とは、いったいどのようなものであったのでしょうか。今回の展示の始まりは齋藤 義重。彼はそれまでの絵画の伝統でもあった二次元空間に三次元空間を表現することの欺瞞性を衝きます。つまり 立体を平面で描くという偽りを拒否したのです。そして続くもの派の作家たちは、セザンヌが言った「自然を円筒形と 球体と円錐体で捉えなさい」という命題に対して、異議申し立てを行います。たとえ空間や自然を円筒形とかで捉え てみても、そこにある本質は絵の具とキャンバスだと喝破したのは、李禹煥でした。しかし、80年代、今日「新抽象表 現主義」と呼ばれる潮流の中、かつて拒絶した絵画表現に李禹煥は回帰していきます。そんななか川俣正はインス タレーションという新しい空間表現手段を用いて、日本の現代美術の中にひとつの方向性を示していきます。そして 今世紀に入り、鬼頭健吾や名和晃平といった作家は、まるで重力から解放されたような空間表現を目指します。今 回の展示では世代的な空間表現の耐えられない重さから耐えられない軽さへといたる、空間表現の変遷をお楽しみ ください。 No. 作者名 (生没年) 作品名 制作年 技法・材質 1 鬼頭健吾 (1977- ) active galaxy 2014-15 無題(白井 晟一、奥田 邸) 2010 寄託作品 ポストカードスタンド、 (1) 178×52×52 アクリル板、鏡、モー cm、(2) 175×35× ター、チェーン (5台) 35 cm、(3) 156× 40×42 cm、(4) 152×42×42 cm、 (5) 130×34×34 個人蔵 プラスティックシート、 cm 52.6×62.5 無題(Mies、Neue Nationalgalerie ) 2011 プラスティックシート、 52.6×62.5 紙 個人蔵 寄託作品 2 3 寸法(㎝) 備考 紙 4 名和晃平 (1975- ) Direction #152 2015 ペンキ・カンヴァス 5 榎倉康二 (1942-1995) 干渉(STORY- No.45) 1992 アクリル塗料、アクリ 197×290.9×7.5 ル絵具、木材・綿布 6 李 禹煥 (1936- ) 風より 1986 油彩、岩絵具・カン ヴァス 218.0×291.0 7 斎藤義重 (1904-2001) 複合体501 1989 木、ラッカー、ボルト 340×800×420 8 川俣 正 (1953- ) デストロイド・チャーチ・ 1986 プロジェクト(カッセル、ド クメンタ8)、プラン・ド ローイング アクリル、鉛筆、バル 243.0×366.0× サ材、合板 10.0 (3点組) 寄託作品 デストロイド・チャーチ・ 1987 プロジェクト(カッセル、ド クメンタ8)、フォト・ドキュ メント カラー写真・パネル 寄託作品 9 180×360×7.5 125.0×200.0 寄託作品 ※都合により展示作品を変更する場合もございます。ご了承下さい。 群馬県立近代美術館
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