家族の絆:神に近づくために

東京ジャーミイ金曜日のホトバ
2016 年 7 月 15 日
家族の絆:神に近づくために
兄弟、姉妹の皆様! マッカを去ったのち、預言者(彼
もうでしょう」。
の上に平安あれ)は長く苦しい旅を経てようやくマデ
兄弟、姉妹の皆様! 私たちは毎日、生活をより簡便に
ィーナに到着しました。 彼は信仰者たちと共に、その
してくれる多くの新たな発明が登場するのを目にして
地を、イスラームを波のように広げてゆくための故郷
います。特にテクノロジーは、すばらしい発展を遂げ
とされました。マディーナの人々は、何日も前から、
ました。人々の間を隔てていた距離が消え去り、この
神のみ使いをひと目見たいと待ち望んでいました。彼
世界は、小さな村へと急速に変わりつつあります。そ
らの多くは、それまで彼に会ったこともなかったので
うと望めば、いつでもボタンを押すだけで、世界の向
す。「おお、私たちの中から選ばれたみ使いよ。あな
誰がそれをもたらしますか
たは、大いなる報せと共に現れた。あなたは、この地
こう側にいる人々に連絡することもできます。しかし
に栄誉をもたらした。ようこそ、愛されし者よ!」。
はずの人たちをないがしろにしてしまっています。
すべての人々が、男も女も、年老いた者も小さな子ど
日々、私たちは他人や、他人が抱えている問題につい
もも、すべての人々が彼に会おうと、こぞって駆けつ
て、ますます無関心になりつつあります。 何百万とい
けました。皆、彼の姿を近くから目にしたい、彼の最
う人々が生きる大都市に私たちは閉じこもり、その中
初の言葉をじかに耳にしたい、そのように願っていた
でのみ感じられる喜びや悲しみのなかで生きていきま
のです。彼の周囲に、興味深げに集まった群衆への、
す。私たちの両親の多くは、孤独の中に置き去りにさ
私たちの預言者(彼の上に平安あれ)からの最初の言
れています。最愛の息子や娘たちが、ある日訪ねてき
葉は、次の通りでありました。「おお、人々よ!あな
てくれるのを必死で待ち続けています。自分がどうし
たがたの間に、サラームを広めなさい。お互いに、親
ているのかを気にかけてくれる誰かからの電話を、じ
悲しいことに、私たちは時として、自分に最も近しい
っと待っている親戚たちが大勢います。胸の内にある
全体規則)
切を与えなさい。そして親族どうしの つながりを守り
なさい……」。
苦しさを、ほんの少しだけでも取り除くことができた
親愛なる兄弟、姉妹の皆様! 家族の絆とは、私たちの
OF ISLAM
ISならと願う、悲しみと孤独を抱えた人々が、私たちの
EASY
宗教における最も意義深い価値のひとつであります。
すぐ近くに大勢います。ちょっとした挨拶や心 からの
それは親類縁者どうしの関係を保つことを意味します。
ほほえみを、あたたかさや愛情を心の底から必要とし
自分たちと良好な関係にある親類とのみつながりを保
ている隣人が大勢いるのです。
つ、ということではありません。本当の家族の絆の真
兄弟、姉妹の皆様! 家族の絆を忘れないようにしまし
髄とは、向こうからは決して電話をかけてこない人々
ょう。それは楽園へと至る道であります。両親の心に、
にも電話をかけ、向こうからは決して訪ねてこない
喜びをもたらしましょう。私たちの子どもたち、近し
人々にも会いにゆける、ということであります。あな
い親戚や遠い親戚、そして隣人たちとのつながりを保
たに対し、これまでどのような好意も示さなかった
ちましょう。そして 自らにこう問いかけましょう。目
人々に好意を示すことこそが、本当の意味での気高い
上の人々を尊重し、彼らを支えるということの美しさ
ふるまいであります。これについては、次のような出
を、私たちが手本となって示さない限り、どうして私
来事によって示されています。 ある日、預言者の教友
たちの子どもが学べるでしょうか。家族と分かち合え
たちがやってきてこう言いました。「おお、神のみ使
ば喜びはより大きなものとなり、また家族と分かち合
いよ!私が親類たちとつながろうと話しかけても、彼
えば悲しみは和らぐということを、どうして私たちの
らの方からは決して私に話しかけてきてはくれません。
子どもたちが知ることができるでしょうか。 偉大なる
私が彼らの願いをきいてやって も、彼らは私にひどい
主のみ言葉をもって、本日の私のホトバを終わりたい
仕打ちをするのです」。すると神のみ使い(彼の上に
と思います。「……あなたがたはアッラーを畏れなさ
平安あれ)はこの教友に対し、彼の親類は間違ってい
い。かれの御名においてお互いに頼みごとをする御方
ると告げ、それからこう言われました。「しかしあな
であられる。また近親の絆を尊重しなさい。本当にア
たが良いふるまいを続ける限り、神 はあなたを助けた
ッラーはあなたがたを絶えず見守られる」婦人章1