天使の器と既視感と ID:91154

天使の器と既視感と
迫王
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︻あらすじ︼
新学期間近、なのに宿題やってなかった 何てヘマをおかすような何処にでもいる
襲われ、そして流されるままに親友五河 士道と共に精霊をデレさせる
!
高校生 舞風 楓斗はある日突然強烈な頭痛に襲われ、目がさめると様々なデジャヴに
!
目 次 頭痛と既視感と │││││││
十香デッドエンド
空間震と精霊と │││││││
1
対話 ││││││││││││
訓練と襲来と ││││││││
疑惑と信用と ││││││││
7
16
23
33
十香デッドエンド
﹂
!
ようなもっときつい何かだった。俺はすぐに立っていることも出来ず、アスファルトの
た。それは頭の外を鈍器で殴られるとかそんな頭の痛みじゃない。頭の内側から響く
頭が割るような痛みを感じ、そして湧き水が溢れるようにその感情が溢れ出してき
イタイイタイイタイイタイイタイイタイ⋮⋮
それに応じて向こうも手を振り返してくれた、その時だった。
をみて徹夜明けでふらふらながらも手を振った。
ツッコミなくなるようなカラフルな髪をした親友││五河 士道とその妹、五河 琴里
徹夜明けの朝、通学路の途中、久々に制服に身を包んだもう日本人じゃないだろ、と
﹁おーい、楓斗ー
新学期開始は⋮⋮そう、宿題の提出から始まると言えばわかるだろう。
新学期始まりの風、いや台風を見に浴びてきたところだ。まぁ、なんだ。学生としての
学生としては新学期、新学年、新生活など思いつくものは少なくない、かく言う俺も
春、それは始まりの季節。
頭痛と既視感と
1
楓斗
上に倒れ伏した。
﹁大丈夫か
﹂
!
﹂
?
だ﹂
﹁おう、バリバリ元気。モーマンタイだよ、寧ろ何で頭痛かったのかわからないくらい
に時計を見る。
そう言って、御見舞に持ってきたのだろう林檎を器用に剥いていく士道をみつつ横目
﹁病院だからな。後、大丈夫か
﹁⋮⋮んっ⋮⋮知らない天井だ⋮⋮﹂
けらしい、徹夜が祟ったのかな⋮⋮。
るように感じると共に痛みも抜けていったが、声⋮⋮出ない。どうやら、意識もとびか
俺に必死で呼びかけてくる士道の声が聞こえる⋮⋮が、声を返せない、スーッとぬけ
!
眠不足が解消されたお陰だろうか
時間は見たところお昼前⋮⋮お昼前
!?
?
少なくとも軽口が叩ける位には頭痛は引いて、体調は倒れる前よりいいぐらいだ。睡
﹁なら良かった﹂
頭痛と既視感と
2
﹂
﹁なあ、士道﹂
﹁ん
﹁学校ってさ、どうなった
﹂
ら。後、琴里は渋ったけど学校に行かせた、 後で琴里に感謝しておいた方がいいぞ
処置したの琴里だからな﹂
徹夜、無駄になったな⋮⋮。
﹁おう、了解ー﹂
﹁はい、林檎﹂
﹁おー、ありがと﹂
﹁と、見せかけて││﹂
士道が自分の口に入れた。
﹁ジョークだって、ほら﹂
﹁よろしい、ならば戦争だ﹂
空腹の俺の前で数少ない飯を食うなど言語道断。
状況と時間を考えて欲しい、まぁ、つまるところ飯食ってない。
いや、これは非常にしょうもないことでありながらよく効くことでもある、今の俺の
?
﹁休んだ、俺は救急車を待たないといけなかったし症状の説明しないといけなかったか
?
?
3
﹁いや、それ別のだし、ジョークじゃ⋮⋮いや、食うけど﹂
シャリシャリと音をたてながら糖度が高いだろうと思わせるような、林檎特有の水っ
ぽくて甘い果汁が溢れでくる⋮⋮うまい。
﹁琴里とファミレスでデラックスキッズプレート食べる約束してるか、俺もう帰るな﹂
何て他愛のない話ををしながら、俺は見送りをしようと立ち上がった、その時だった。
﹁琴里らしいな、送っていくよ﹂
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーー
突然、外から大音量のサイレンが聞こえてくる。
心配になって沢山の人が窓の外を見るが、そこにはただ青い空が変わらずそこには
あった。そして、機会越しの少し雑音の混じった声が続けざまに聞こえてきた。
﹃これは訓練では、ありません。これは訓練では、ありません。前震が、観測されました。
空間震の、発生が、予想されます。近隣住民の皆さんは、速やかに、最寄りのシェルター
に、避難してください。繰り返しますーーーーー﹄
いたからだ。やる事がわかっていれば怖くない。
年前の空間震で深刻な被害を受けてからしつこいほど避難訓練を繰り返しさせられて
俺が驚きで声を出すが士道は特に驚きはしていない、それもそうだ、この街では30
﹁マジか⋮⋮﹂
頭痛と既視感と
4
﹂
﹁確か病院にもシェルターが一つあったはずだ、早めに移動してしまった方がいいよな
﹂
﹁あぁ、そういうことか、わかったわかった、早くしろよ
﹁いや、待ってくれ。琴里が⋮⋮な﹂
?
﹂
来た時の顔色が優れない。
﹁琴里は
ここって⋮⋮﹂
!?
⋮⋮だな﹂
﹁あぁ、この交差点はお前の言ってた、デラックスキッズプレートが出てくるファミレス
﹁っ
アイコンが表示する、それを俺は横から覗き込んだ。
は琴里のGPSに対応した位置確認サービスを使い、画面に表示された街の地図と赤い
と、言いつつも何気に可愛がってきた妹分の様子が気になるのは俺も変わらず、士道
﹁うわ、過保護だな⋮⋮俺達天宮市民なら大丈夫だと思うけど﹂
あっ、そうだ﹂
て も 絶 対 約 束 と 言 っ て た が ⋮⋮ 流 石 に そ こ ま で バ カ じ ゃ な い よ な、そ う だ よ な ⋮⋮
?
?
﹁いや、電話に出なかった⋮⋮あいつ、ちゃんと避難してるよな⋮⋮
⋮⋮空間震が起き
そう言って少し離れたところで携帯を取り出して電話をかけだした士道だが、戻って
?
5
﹂
飛び出して行こうとする、士道の腕を咄嗟に捕まえたオレを褒めてやりたいくらい
だ。
⋮⋮俺も行く﹂
﹁早く琴里ところに行かないと、あいつ震えて泣いてるかもしれないんだぞ
﹁だから、落ち着けって
!?
て怖くて震えてるわけじゃない
﹁大丈夫、大丈夫。今は頭痛くないし、俺も危なくなったらすぐ逃げるからさ﹂
﹁だって、楓斗お前怪我が⋮⋮﹂
それに、行かないと後悔する、根拠はーー俺の勘だ。
!
手の平に汗が滲む、手が震えた。それは未知に突っ込む事に対する武者震いだ、決し
!
そうやって、人の好意を素直に受け入れられるお前のこと、俺は結構好き
﹁ーーありがとう﹂
﹂
﹁流石士道
だぜ
!
﹁茶化すなよ、放っていくぞ﹂
?
何故か、焦って走るその後ろ姿に既視感を感じた。
そう言って、走って行ってしまう士道の後を俺は追って走った。
﹁ちょっと、待てよー﹂
頭痛と既視感と
6
空間震と精霊と
﹂
俺達は市街地へとただひたすら足を進めた。
﹂
﹁なぁ、士道﹂
﹁なんだよ
?
ここにいるのは俺達だけだった。
﹁けど、ここに反応が⋮⋮﹂
﹁どうせ、携帯でも落としたんだろ
てシェルターに急ぐぞ﹂
﹁おっちょこちょいって⋮⋮きょうびきかないだろ⋮⋮﹂
伏せろ士道
!?
それでも頭の中の警鐘が鳴り止まない。そしてその事が選択が誤ったことだという
そう言って、俺は飛び込み式緊急回避をし、なるべく物がない場所に隠れた。
空気が揺れ、肌がそれをいち早く察知していた。そして今も尚突っ立っている士道に
!
?
﹁んな事はいいんだよ、ほら、とっとと││
﹂
おっちょこちょいだなー、ほら、とっとと回収し
俺達は既にファミレスの前まで来ていたが、既にそこに人の気配はなく、見渡す限り
﹁ほんとに、ここに琴里が居るんだよな
?
7
ことを告げている。
﹁ちょ、ミスった⋮⋮﹂
俺の中ではてっきり、空間震名の通り空間を揺らす振動、まあ地震のようなものと
思っていたが全然違う⋮⋮抉り取るようにその場にあったものを消し去る、もう空間破
壊、通称ディメイションブレーカーに名を改めたほうがいいんじゃないのかと思わなく
もない、というか思った。
﹁ギリギリセーフ、だな。しかし⋮⋮これが空間震の正体だっていうのか﹂
俺の目の前にコンクリート越しの土を抉りとるように存在している、クレーターに思
わず目を見開いてしまった。
それだけの破壊力を有する衝撃だった、というわけだ。
﹁士道は⋮⋮あそこか﹂
丁度自分の前、円に沿って百メートル先の地点に士道はいた。
なので、兎に角士道の方に行こうと歩き出したその時だった。目の前に、紫色の斬撃
が迫ってきたのは。
﹂
しかし、その斬撃は目の前で⋮⋮逸れた。
?
突然、何か横から力が加えられたように斬撃が曲がって、逸れた。
﹁え
空間震と精霊と
8
それは必然的に、もう一人この力を持っているやつがいる、ということに他ならない。
まぁ、それは兎も角見惚れてしまうだろう、その手に持つ身長程の大剣に身の恐
!
ういう反応をすればいいのだろうか、士道を庇うように前に立ったことから敵ではない
考えても仕方がない、が突然同年代の白髪の女の子が女の子が空から飛んできたらど
思えるのだろうか、最近既視感が多い。
なんだろうな、ほんとこんな状況見た事もないのになんでこんなに見たことある、と
﹁またかよ⋮⋮﹂
そして、何となく大丈夫と訴える俺の頭。
けど、その姿を見た瞬間俺の視界がぶれた。
﹁死ぬ気か⋮⋮士道のやつ⋮⋮﹂
そして、その足元には友人の姿が見えた。
怖を感じなければ、だが。
た
女が⋮⋮いや、昔の人は福笑いの顔みたいなのが美女だったらしいから⋮⋮残念、違っ
女少の言葉が相応しい、時代さえ違えば傾国の美少女と呼んでも過不足ないだろう美少
俺が視線を士道の方に戻すと、そこには同年代くらいの人とも思えぬまさに絶世の美
しかし、辺りを見回してもあるのはビルの残骸だけ、他には何もなかった。
﹁誰も、いないな﹂
9
ことはわかる。
しかし、その女の子がビームサーベルを取り出したてきたあたりで、どうもこの現実
を受け入れられそうにない。
そして、その女の子がビームサーベルを振りかざし、美少女の持つ大剣とかち合った
﹂
時砂が舞い、視界が崩壊した町並みではなく││船の中にいた。
﹁こ、琴里
はずの五河 琴里だった⋮⋮。
﹁全部が全部、そうなら苦労しないわ﹂
?
琴里からいま、精霊に関するレクチャーを受けている真っ最中だ。
﹁反対派か﹂
﹂
そこに偉そうに座っていたのは船の中には士道の妹で、尚且つシェルターの中にいる
﹁歓迎するわ、ようこそラタトスクへ﹂
?
﹁へー、じゃあこの機関は精霊愛護団体みたいなものなのか
空間震と精霊と
10
何でも精霊とはこの世界とは異なる隣界に存在する謎の生命体。その発生原因存在
理由ともに謎に包まれているが絶大な戦闘能力を有する上、こちらの世界に現れる際に
空間震という大爆発を引き起こすから特殊災害指定生命として指定されているらしい。
﹂
?
どういうことだよ、一体⋮⋮﹂
!?
﹁呼び捨て
﹂
俺の時と同じ言葉に俺はそうツッコミを入れずにはいられなかった。
?
!?
﹁それって、定型文なの
﹂
﹁歓迎するわ、士道。ようこそラタトスクへ﹂
﹁琴里
副司令である神無月恭平さんだ。
そう言って、士道を連れて来た人││解析官である村雨令音さんを労っているのが、
﹁ご苦労様です﹂
﹁無視かよ⋮⋮﹂
﹁⋮⋮﹃ 連れて来たよ﹄あら、遅かったじゃない令音﹂
たんだ
﹁まぁ、士道が必要な理由はわかった、けど、何で士道がその能力を持ってるってわかっ
11
﹂
﹁で、この精霊がさっきロスト、つまり消えちゃって、でこっちがーー﹂
﹁ちょ、ちょっと待てよ
﹂
﹁何よ、折角司令官直々に説明してあげてるのに、もっと光栄に咽び泣いたらどう
今なら特別に足の裏くらいの舐めさせてあげるわよ
士道が何とも言えない、表情を取っている中神無月恭平が口を開いた。
?
?
!
司令
﹂
この短い付き合いの中でわかったことがある、この人は良い人だっていうことと
﹁本当ですか
!
出来はしない。
﹁あら、妹の顔も忘れたの士道
?
﹂
呼び捨てにされることに慣れてないからだろう、士道が滅茶苦茶渋い顔してるが、そ
?
﹂
中学生の女の子に殴られて笑顔を向けられるその精神性、俺はとてもじゃないが真似
﹁あっ、ありがとうございます﹂
琴里の右ストレートが鳩尾に向かって振り抜かれた。
ーードの付くほどの変態だってことが。
﹁あんたじゃない﹂
!
﹁琴里⋮⋮だよな
空間震と精霊と
12
んなことお構い無しに琴里は言葉を続ける。
無視が一番酷いいじめなんだよ
でも、それがいい﹂
!
﹁頭悪いわね、つまり空間震と呼ばれている現象は精霊が現れた際の余波だって言って
﹁どんと⋮⋮﹂
﹁││精霊が出現するだけで辺りをどんと吹き飛ばす﹂
そんな話をしている間に俺を置いて、琴里は士道に精霊の話を進めていた。
神無月さんは美少女にドMじゃなくて無差別だった件、雑食ドMとはタチ悪い⋮⋮。
﹁辛辣っ
﹁いや、流石にあんたみたいな考えは無理だわ﹂
﹁まあまあ、楓斗君放置プレイだよ放置││﹂
その時、神無月さんが俺の肩に手を置いてこう言った。
!
﹁あっ、スルーですか、そうですか﹂
﹁はいはい、詳しい事はまた後で説明してあげるから兎に角次のことだけ理解しなさい﹂
﹁というか、琴里お前何やってんだ、ここ何処だ、それに││﹂
﹁さ、流石に早くても五十歳ぐらいからじゃ⋮⋮﹂
いかしら﹂
﹁物覚えが悪いとは思ってたけどここまでとわね、今から老人ホームを予約した方がい
13
俺の評価酷くないですかね
﹂
るのよ、あの楓斗でもいわれずとも理解してたわよ﹂
﹁えぇー
!?
﹂
る。ようはぶっ殺す
!
全部琴里の受け売りです。
いるだけ、そもそも武力で精霊を殺せた事例なんて殆ど存在していない⋮⋮らしい。
ただ、それを正当性や復讐心で暗示して心を押さえつけることによって無理に動いて
人が人を殺すことを禁忌することは間違ってはいない。
?
﹂
﹁これはAST陸自︵陸上自衛隊︶の対精霊部隊、精霊が現れたらその場に行って処理す
が載っている画像がモニターに表示される。
そういった時、モニターにはあの白髪の女の子が着てたメカメカしい装備をきた人達
﹁二つ目﹂
ドの末に涙を引っ込めた。
琴里の辛辣な評価に思わず涙目になるが、高校生にもなって泣けるか、というプライ
真顔で返されたら何も言えない⋮⋮泣いていいですかね。
﹁⋮⋮﹂
﹁妥当な評価よ﹂
!?
﹁こ、殺す
空間震と精霊と
14
﹁精霊の対処方にはAST以外のやり方以外にもう一つあるわ、それには士道の力が必
要不可欠なの﹂
﹂
﹁あぁ、それがあの力ってやつね﹂
﹁俺にそんな力が⋮⋮
﹂
昔、
﹃ 俺には封印されし力がある ﹄とか言ってたけどあな
がち間違えじゃなかったぞ
﹁良かったな、士道
?
言うなぁー
﹂
!! !
!
訓練ってなんだ それに力ってやつもよくわかんないしせめ
!
?
﹁つまり、拒否権はないんだぞ
士道
﹂
!
呆れた声を出しながらも士道はこれで一先ず納得した。
﹁いやいや、何で楓斗が偉そうなんだよ⋮⋮﹂
!
﹁あなたの意見なんて聞いてないわ、返事ははいかYesよ﹂
て詳細を││﹂
﹁ま、待ってくれよ
敢えず明日は普通に登校して﹂
﹁それは兎も角、早速明日から訓練に入るわ、手続き諸々は担当者の方にさせるから取り
朝とはまた違った意味で頭が痛く⋮⋮。
古傷を抉っていくスタイル、俺にもあったっけ⋮⋮そういや、アタタタタタタ⋮⋮今
﹁やめろぉー
!
!
15
疑惑と信用と
死にたかったの
﹂
﹂
?
﹁そういえば、士道も楓斗も何であんな所にいたわけ
空間震が起きても絶対何て言うから
!
?
﹁受けるだろ、お前の携帯の位置情報がファミレスから動かなかったんだから
﹂
やっぱりだ、そりゃ山に囲まれた山岳地帯の天宮市に艦を浮かべるような場所、元々
そう言われた瞬間、艦内の色が落ちていき透明になって足元が見えるようになった。
﹁フィルタ切って﹂
言われた言葉に俺も士道も目を丸くして、そして、俺の中である仮説が思い浮かんだ。
!
煽ってるようにしか見えない、というか馬鹿にしている。
そう言って口に手を当て、チュッパチャプスを俺らの方に振ってくる動作は完全に
﹁確かに言ったけど、真に受けるほど馬鹿だったなんて﹂
が響いた
話しが纏まって、既に解散する雰囲気が漂っていた静かな艦内の中で士道の大きな声
﹁お前を探してたんだろうが
!
あぁ、盲点わね。ここ、ファミレスの真上なの﹂
﹁携帯
?
﹂﹂
﹁﹁へ
?
疑惑と信用と
16
あるわけなかったんだ。
いや、死ぬ、マジで死ぬ誰か
?
﹂
﹁人間なの
﹁へ
?
病院に荷物置きっぱなしだから、取りにいかなきゃなんな
?
それとも精霊
?
﹂
琴里は一回言葉を区切り、そして言った。
﹁あんたは、﹂
いから手短にな﹂
﹁で、どうしたんだよ一体
そう言って、前を歩く令音さんに付いていこうとした時俺は琴里に止められた。
﹁あ、楓斗、あんたはちょっと残りなさい﹂
﹁あぁ、わかってる、こっちだ﹂
﹁さ、解散よ、令音﹂
﹁ふぅ⋮⋮生きた心地がしなかった⋮⋮﹂
そんな時、船員の人が気を効かせてくれたのかすぐに色が戻った。
﹁あぁ、そういえば楓斗は高いところ無理だったわね﹂
助けて⋮⋮﹂
﹁あ、あのー今すぐ元に戻してもらっていいですか⋮⋮
﹁ここは天宮市上空一万五千メートル、空中艦フラクシナスの中よ﹂
17
?
心外である、俺がそんな力を持っているようにみえるのだろうか
﹂
証拠
精霊といえば、紫色の斬撃を飛ばしたり、炎を操ったり、風を操ったりするあの精霊
だろうか
まだ何かあるの
﹁待ちなさい﹂
﹁ん
?
ているのか、それはわからない。
かつて夢見たこと
俺を引き止める琴里の姿は既に椅子に隠れて見えないから、琴里がどんな表情で喋っ
?
?
もう帰っていいか
と、なると俺も精霊みたいに力を振るえるということだろうか
で、話はそれだけか
?
だけにちょっとワクワクしたりもするが。
﹂
﹁生憎俺は人間のつもりだぞ、 琴里
?
?
﹁へぇ⋮⋮﹂
﹁紫色の斬撃の軌道がネジ曲がったとに確かに楓斗から霊力反応が出たわ﹂
を突き出すように説明を続けた。
?
そう言って、令音さんと士道が歩いて行った場所をなぞるように歩いていく
?
﹁そこで信頼が出てこないだけに、ちょっと悲しいかな、まぁ可愛い妹分を困らせない程
いなものよ、だから││信用してるわよ﹂
﹁これだけは言っておくわ、楓斗は昔から一緒、私にとってもうひとりのお兄ちゃんみた
疑惑と信用と
18
度に頑張るよ﹂
そう言って、手をひらひらと振って司令室を出た。
琴里の信用を裏切らないようにしよう、そう心に誓って。
二学期始まって二日目、俺にとっての一日目の今日。
﹁何でいきなり先生になってんですか、どういうことです、村雨解析官
﹂
と、俺は疑問に思ったことを口に出す。
﹁因みに、教員免許持ってるんですか
あってね﹂
﹁令音で構わんよ、シンタロウ、それとああ教員免許だったね
?
?
﹂
それに来てすぐに物理の準備室がモニターだらけの近代化魔改造されているとは、一
驚いた。
俺はてっきり、ラタトスクの謎の権力でてっきり潜り込んだものと思っていただけに
﹁いや、俺士道です﹂
それなら昔取ることが
突如、ラタトスク解析官である村雨令音さんが副担任として赴任して来たのである。
?
19
体どういう状況
のか
﹂
じゃなくて、そういうことじゃなくて⋮⋮﹂
﹁こんなバレるかもしれない学校の一室じゃなくてもフラクシナスの中とかじゃ駄目な
て気持ち悪いというのが俺の感想⋮⋮って、そんなことどうでもいい。
因みにミイデラゴミムシとは、黒と黄褐色の斑点があるゴミムシの一種、一言で言っ
﹁そんなこと、少し考えればわかるでしょ、このミイデラゴミムシ﹂
の為にもそれほうが都合がいいという事だろう。
そう言って、ちらりと俺の方にも目線を向けてくる理由は大体わかる、大方俺の監視
﹁教員として君の側にいた方が何かと都合がいいからね﹂
﹁直す気ゼロか
﹁はぁ⋮⋮そうかすまないシン﹂
!?
!
﹂
?
勧める。
んっ、と頷いて令音さんはキーボードを操作して目的の画面を映し出して見るように
﹁令音、アレ﹂
﹁やりづらい⋮⋮
﹁フラクシナスの中では君にこれはやりづらいだろから、それの配慮さ﹂
?
﹁こ、これは⋮⋮﹂
疑惑と信用と
20
﹁ギャルゲ、だな﹂
そこに映し出されていたのは恋してリトル・マイ・シドーと書かれたタイトルだった。
これ、どこかで見たことあるやつのパクリじゃないのか⋮⋮。
盛大にフラグを立ててしまったらしい。
で、やってみたんだが
﹁おい、これセオリー無視が過ぎるだろ⋮⋮
!?
!
じゃない﹂
﹁予想外過ぎるわ
﹂
﹁精霊は人じゃないわ、予想外のことが起こることもありゆる、だからこその訓練ソフト
俺が文句を言ったところ
﹂
今度は俺声を出して、しまい士道に肩を叩かれた⋮⋮。
﹁げっ﹂
達がサポートするから﹂
﹁あぁ、それとサポート要員として誰かと一緒にやってもいいわよ、実際、実践の時も私
と、士道は嫌な顔をしたので俺は肩を叩いて諦めるように言った。
﹁え、﹂
﹁士道には、これからこの訓練ソフトをやってもらうわ﹂
21
好感度を高めて、デートイベントが起こり選択肢が出てきて
①手を引いて歩く
②隣を歩く
③後ろを歩く
どうみても、①か②俺が①を選ぶよう士道に言ってみると、実は背後から刺されて
バッドエンド⋮⋮正解は③でした。わかるか
き混ざっている。
なんて言われてログを見てみると、確かに⋮⋮そんな気がしなくもない言葉がときど
﹁乙女心は複雑よ、よく見れば殺害を暗示する言葉をも混ざってるはずよ﹂
!
どうやら、俺の夜は長そうだ。
﹁因みに期限は明日よ、それ程長いストーリーがある訳じゃないもの、頑張りなさい﹂
疑惑と信用と
22
﹂
訓練と襲来と
﹁お、終わったー
﹂﹂
!
学校が終わり、放課後。また、物理室に集まって例の宿題を提出しなければならな
││続行。
﹁﹁ふざけんなー
れないよな......。
頭をぶつけた衝撃で死んだらしい、精霊だもんね、力加減を間違える事もあるかも知
まった。
そうして、頭をぶつけてエンドスクロールが出ると思われたその時││画面が血に染
﹁寝ないよりマシだよな﹂
﹁仮眠、とるか﹂
﹃ありがとう、お兄ちゃん♪﹄
訓練ソフトであるギャルゲーと奮闘して、既に四時を回っていた。
﹁んー、疲れたな﹂
!
23
かった。
﹁ちゃんとクリアしてあるわね、合格よ﹂
﹁はぁ......酷い目にあった﹂
﹁情けないわね、ほら今日は訓練の第二段階実践よ﹂
耳に付けられたイヤホンに手を当てて尋ねる士道に、俺は何となく察しがついた。
﹁ギャルゲは恋愛の教科書、実践はテストだ。つまり......そういうことだ﹂
﹁あぁ......そういうことか﹂
士道が理解したように頷くのを見た、琴里は早速士道に物理室の外に出るように言
う。
﹁楓斗はここに残って﹂
﹂
﹁了解、手な訳で士道逝ってこい﹂
﹁字が違う
﹄
るという曰く付きの訓練だと言うことに......それを本人に伝えるのは酷だろう。
したようで理解していない、もしかしたら、余計なしがらみがこの高校生活に付いて回
生身の人間を攻略せよ、それが今回士道に与えられた訓練の内容だった。士道は理解
!
?
﹁感度は良好、後は相手を探すだけね﹂
﹃あっ、あー、聞こえてるか
訓練と襲来と
24
﹁なるほど、ナンパか﹂
﹂
校内でナンパなんて、お硬い生徒指導の先生に見つかれば即指導の物だな、なんて思
わず遠い目をしてしまう。
﹁あら、あれなんてどうかしら
﹃いや、あの、その......﹄
﹃あの、五河くん何か御用ですか
﹄
俺の焦りを置いて、既に士道は担任の岡峰先生と既に接触した模様。
だから、見つかれば即指導だと︵ry
﹁いきなり先生かよ......﹂
?
﹄
?
﹂
?
ですが、主に格ゲーのような駆け引きの感じに似てるなんてことは、この完全アウェー
ギャルゲをやった感じで言えばそれは完全に別ジャンルの領域に達してると思うん
人デレさせられないで精霊をデレさせられると思う
﹁精霊と対話する為の訓練だと言ってるでしょ、多少の危険は負うべきよ、それに人間一
﹃いや、だからって先生を口説くか
﹁ほら、何やってんの士道。いつまでもおどおどしてないで早く先生を口説きなさい﹂
せないな、そして何より琴里が許さないだろう事を察して、同情した。
マイク越しに士道のテンパった声が聞こえてくるのを耳にしてしまって俺は引き返
?
25
﹄
な空間では口に出すことすら出来そうになかった。
﹃で、どうすればいいんだ
﹄
靴も
出席簿も
ながみんなあんな偏見を持っているのだろうか。
﹃その服、似合ってます
髪型も
!
﹄
!
﹃本当ですか
!
!
﹃あと、そのネックレスも
﹄
どんな偏見なんだそれは......。中学生に高校生の印象を聞いてみたくなった、みん
﹁寧ろ、高校生にもなって一回もやってないって方が驚きだわ﹂
﹁あの士道がナンパね......﹂
そう言ってマイクのスイッチを切ったのを確認してから、俺は琴里に話しかけた。
﹁いざとなったら、こちらから指示を出すわ﹂
たが岡峰先生の性格的に大丈夫だという判断だろう。
これでギャルゲでは、癪に障ると好感度が落ちた経験があるんですがそれは、と思っ
﹁まずは無難に相手を褒めてみなさい﹂
?
!
!
﹄
?
やりすぎはいけない、それがよくわかる一瞬だ、岡峰先生は士道の変な態度に疑問を
﹃五河くん......
﹁はぁ......あの馬鹿、何でも褒めればいいってものじゃないわよ﹂
訓練と襲来と
26
﹄
持ち始めてしまっていて、失敗という言葉が似合う状況だった。
﹃あの、先生もう行ってもいいですか
﹃いや、あの、その、えっと﹄
それはいい事です﹂
?
て、それこそ何か先生と関わりずらくなってしまう。
俺 の 頭 に は 〝 成 功 〝 の 文 字 が 横 切 り、顔 が 青 く な っ た。他 人 と 親 友 が 恋 人 な ん
﹁な、何言ってるんですか﹂
﹁﹃ずっと前から先生のことが﹄﹂
そこで一区切りを入れて、雰囲気を高めていく。
﹁﹃先生が、担任になってくれたから﹄﹂
﹁そうなんですか
﹁﹃ 実は俺、二年になって学校に来るのがすごく楽しいんです﹄﹂
ハイリスクノーリターンな気がしてならない。
けると士道の評価は地に落ちる。
勿論、訓練なので付き合いはしないだろうがその対処をどうするのか、下手に打ち明
て、これが成功すれば士道は付き合うのか否か、と。
そう言って、令音さんが話しかけるのをみて、ふと、疑問に思ってしまった。果たし
﹁仕方ないな、ではこれから私が言う通りに言ってみたまえ﹂
?
27
﹁駄目ですよ、気持ちは嬉しいですけど﹂
そんな顔を赤くしてデレデレで言われても信憑性全然ないですよね、とモニター越し
にみて思った。
あと一息押しちゃえば落ちちゃいソウデスネ。
私も││﹄
それでも
そう言い切った瞬間、先生の目の色が変わった。そう、肉食獣のようなぎらついな獲
﹁﹃本気で先生と、結婚したいんです﹄﹂
﹄
物を見るような目に......。
﹃本気......ですか
両親に挨拶してくれるんですか
﹁二十九独身女性への切り札を使ったが、少し効きすぎたか......﹂
﹂
?! !?
?
すまん、士道こうなる事は予想外だった。でも、俺じゃ止められないんだ、と俺は心
実験動物とかじゃないよな
え、士道って精霊に関する秘密兵器だよね 対女性の
﹁必要以上に絡まれても面倒ね、士道、目的は達したし適当に謝って逃げなさい﹂
?
﹃えっ......﹄
いいですか
﹃五河が結婚できる年齢になったら、私もう三十超えちゃうんですよ !?
!
?
士道は先生の剣幕に押されて、引き気味に話を聞いていたのをみて
?
﹁え、めっちゃ他人事じゃん
訓練と襲来と
28
の中で士道に謝った。
﹄
!?
﹄
!?
﹃お前、だからって......
﹄
すタイプでもなさそうだし﹂
﹄
﹁同年代のデータも欲しいじゃない、それに精霊とは言わずともAST要員よ、言いふら
﹃えぇ......
﹁丁度いいわ、彼女でも訓練しておきましょ﹂
けでああなるものなのだろうか......いや、なるんだろうきっと。
士道の目の前には、M字開脚をし、パンツが丸出しの鳶一の姿が......ぶつかっただ
﹃すまん、大丈夫││﹄
スの鳶一折紙と出会った。
士道が廊下を走っていると、ドンッとぶつかって、あの時の白髪の女の子、同じクラ
﹃うわ
琴里の言葉と始まりは同じなのに愉快と、不安......酷く対照的だった。
﹁いやー、俺これから先生をどういう目で見れば良いんだ......﹂
﹁いやー、中々個性的な先生ね﹂
全力ダッシュで逃げだす士道、それの片端自分の夢について語り続ける先生に
﹃ごめんなさい先生、やっぱりそれだけの覚悟はありませんでしたー
!
29
!?
﹃いいから、彼女を褒めなさい﹄
目に見えた困惑をする士道、俺的に同年代を相手にナンパするならまだ幾分か先程よ
その服可愛いな﹄
りマシではあるような気がする。
﹃あぁ......鳶一
﹃......制服﹄
るんだ﹂﹄
﹃﹁そうなんだ、で、二年で同じクラスになれて嬉しくてさ授業中ずっとお前のこと見て
﹃私も﹄
﹃﹁実は俺、前から鳶一のこと知ってたんだ﹂﹄
れる。
頭の中が真っ白になった、そう言いたげな士道の顔をみてまた、令音さんが助けを入
﹁手伝おう﹂
﹃だってつい......﹄
﹁まぁ、服を使うなら似合ってるって言った方が良かったのにな......﹂
﹁何でわざわざ制服なんて褒めるのよ﹂
?
﹃﹁俺、それだけじゃなくて放課後に鳶一の体操服のにおいを嗅いだりしてるんだ﹂﹄
﹃私も﹄
訓練と襲来と
30
﹃私も﹄
開過ぎんだろ
﹄
安心しろ、俺もそう思った。
というか、学年で彼女にしたいランキング三位の鳶一折紙の実態はああなのか
れとも、あまりの士道の変態度に思考放棄してるだけ......
﹄
﹃構わない﹄
﹃えぇ
﹃付き合っても構わない﹄
﹄
﹄
全然羨ましくとも何と
あぁ......何処かに出かけるのに付き合ってくれるという事だよな
やったね
﹃そういう意味、男女交際のことかと思っていた、違うの
﹄
?
﹃ハァ
?
!
﹃いややや、違わないけど......﹄
良かったね、士道 美少女の彼女持ちだよ
﹃え、何だ......
!
?
!
もないんだが、これは......。
!
?
?
!?
!?
そ
﹃﹁じゃあ、もし良かったら俺と付き合ってくれないか﹂......って、幾らなんでも急展
﹃合う﹄
﹃......﹁そうか、なんか気が合うな﹂﹄
31
﹃制服、好きなら﹄
思わず士道は目を丸くしているが、俺は反対に泣きそうだった、唯一ほぼまともだと
思っていた人間がこの態だ、うちのクラスにはこんなのしかいないらしい......。
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーー
空間震の、発生が、予想されます。近隣住民の皆さんは、速やかに、最寄りのシェルター
﹃これは訓練では、ありません。これは訓練では、ありません。前震が、観測されました。
に、避難してください。繰り返しますーーーーー﹄
﹄
﹃急用が出来た、また﹄
﹃お、おい鳶一
﹃やっぱり、精霊なのか
﹄
﹁士道、空間震よ一旦フラクシナスに移動するわ﹂
く実感する。
突如鳴り響く空間震警報に鳶一は走り去ってしまったのを見て精霊が現れた事を強
!
?
案外、近くに来るらしい。
﹃えぇ、出現場所はここ││来禅高校よ﹄
訓練と襲来と
32
対話
赤い夕日がこの空を照らすようになり、空は青から赤く染まっている事から警報が
鳴ってからの時間の経過を感じることが出来るだろう。
フラクシナスに移動した俺達は安全を確保出来るのを待ち、そして今士道は来禅高校
の前にいた。
モニター越しに見る、見慣れたはずの高校は空間震の影響でボロボロになり、ガラス
は砕け、校舎の一部は崩壊していた。
﹄
﹁これは士道にしかできないことよ、助けたいんでしょ
﹃琴里、俺になら出来るんだな
﹄
!
精霊を﹂
士道は覚悟を決めたような、表情を見せて前に歩いて行った。
﹃話をして、デートして、恋をさせる
﹁ええ、自信を持ちなさい殲滅とは違うもう一つの対処法、すなわち﹂
?
?
﹃だからって﹄
わ、プリンセスが校舎に入ったお陰でASTもそう簡単に突入出来なくなっているの﹂
﹁士道、あなたかなりラッキーよ、CRユニットは元々屋内での戦闘を目的としていない
33
ク ルー
﹁安心して士道、ラタトスクの誇るフラクシナスの船員が全力で貴方をサポートするわ﹂
ド
マ
リッ
ジ
﹂
﹂
そう言えば俺、神無月さんや令音さん以外のフラクシナスの船員知らないな、と思い
バッ
ネイルノッカー
早すぎた倦怠期川越
!
!
周りに目を向ける。
﹂
﹁結婚五回、離婚も五回まさに恋愛マスター
ショチョサン
それ、絶対カモにされてるよね
﹁夜の女性に絶大な人気を誇る社 長 幹本
!
午前二時の女 藁 人 形 椎崎
!
!?
ディメンションブレイカー
それ、絶対D一つ足りてないよね
﹂
フラクシナスっていうオーバーテクノロジーの前にしてかなり古風
﹁恋のライバルに次々と不幸が
丑の刻参り
過ぎだろ
!
﹁百人の嫁を持つ男次元を超える者中津川
!?
プ
ラ
ヴ
﹂
!
そう俺と士道は同時に呟いた。
﹃急に帰りたくなってきた......﹄
﹁最早、ツッコミ切れない......﹂
保護観察処分箕輪
ディー
﹁愛 が 深 さ ゆ え に 法 律 で 愛 す る 彼 の 半 径 5 0 0 メ ー ト ル 以 内 に 近 づ け な く な っ た 女、
!?
!
!
﹁大丈夫、皆腕は確かだ﹂
対話
34
﹂
﹂
﹁他にも見えない精鋭が付いてるわ、例えば楓斗とかね
﹁俺
﹃なら、大丈夫だな﹄
﹁どういう風の吹き回し
﹂
!
﹄
!
そこまで考えて俺は考えるのを止めた、だってそれは琴里が人間であることを否定す
だったことに微かな違和感を感じていた、だって士道の能力は精霊を││。
まるで、自分が一度経験があるかのような、そんな確かな自信に満ち溢れている声
その声には確かな期待と信頼があった。
﹁妹を信じなさい、彼女を頼むわよ﹂
ると、信じてる。幻聴だよな......。
俺は士道に声援を送ってるだけだから、俺と士道で掛け算してるのは聞き間違いであ
﹃おう
﹁士道ー、頑張れー﹂
﹃気楽に言ってくれるよな......﹄
﹁安心して、士道なら一回くらい死んでもすぐにニューゲーム出来るから﹂
がおかしいのだろうか。
令音さんと琴里がフォローを入れてくるがギャクだろうか、それとも俺が突っ込む方
!?
!?
35
ることと同義なのだから。
取り敢えず、落ち着いて﹄
一方、士道は既に目標の部屋の中に入り、彼女と遭遇していた。
ザザザザザザ......
﹃待ってくれ、俺は敵じゃない
お前は何者だ﹄
!
﹁待ちなさい士道
﹂
①俺は五河 士道、君を救いに来た
③人に名前を聞く時はまず自分から名乗れ
②通りすがりの一般人です、やめて殺さないで
!
その時、モニターに選択肢が表示された。
咄嗟に答えようとした士道を琴里が静止させる。
!
﹃俺は││﹄
的な距離でもあり、心の距離でもある。
士道が近づこうとした時、彼女は明確な線を引いた。それが、今の士道と彼女の物理
﹃止まれ
!
俺何か言ったのか、口を動かし何かを言ったという覚えはあるんのだけど無意識
?
だったから内容までは思い出せなかった。
﹁││⋮⋮﹂
対話
36
﹁出たわね、各自選択
﹂ この場合は、これか。
い、あながち百人の嫁も嘘じゃないかもしれないな、なんて考えてしまいそうになる。
現実まで選択肢が出てくるなんて、とうとう現実にまで二次元が侵略してきたらし
る。
状況は常に変化するもので、俺の目の前に現れたモニターにも選択肢が表示されてい
!
私の言う通りに答えなさい﹂
﹁そうね、③は理に適っているし会話の主導権を握ることが出来る。士道、聞こえるわね
ともかく考えはマトモで出来る人達なんだよなぁ......。
幹本さんの答えに繋げて、神無月さんが②の案の否定的部分を上げる、本当、性格は
﹁②は論外ですね、この場を逃れることが出来たとしてもそれで終わりです﹂
﹁①は王道ですが、この状況では胡散臭いでしょう、それに少々鼻につく﹂
が①、緑が②、青が③、なので多数決的に考えると青が答えになる。
モニターの集計には青が六割緑が三割赤が一割程度に分けられた円グラフだった、赤
﹁なるほど、私と同意見ね﹂
37
彼女は痺れを切らして、問いかけてくる。
﹃もう一度聞こう、お前は何者だ﹄
?
﹂﹄
そして、士道は目を瞑り息を大きく吸って、吐き出す息に声を乗せた。
﹃ ﹁人に名を尋ねる時はまず自分から名乗れ
﹂
!
可笑しいな﹂
﹃可笑しいなじゃねぇ、殺す気か
﹁あれ
﹄
半場やけくそに、言った士道が気に入らなかったのか士道は拳圧で吹き飛ばされた。
﹁やっぱり
!?
﹂
?
すっきりしたところで、俺は急いで司令室に戻った。
﹁ふー、すっきりした﹂
町宏人っていうクラスでいつもつるんでる友人とかにな。
俺は映画のいいシーンでトイレに行きたくなる男とよく言われる、主に士道とか、殿
﹁司令室を出てすぐ右よ﹂
﹁⋮⋮すまん、琴里トイレ何処だ
﹃これが最後だ、答える気がないなら敵と判断する﹄
いうやつだろう。
の前に紫色の光の玉を突きつけられていた、精霊の力を霊力と呼ぶのだから、霊力弾と
琴里の惚けた声に士道は怒って声をあげるが、彼女は既に目の前に迫ってきており目
!?
?
﹁││総員すぐに名前を考えなさい﹂
対話
38
﹁ん
どういう状況
﹂
?
﹁何よその手﹂
が名前を付けるべきだ、はい﹂
﹁だって、彼女は士道に決めて欲しいって、頼んできたんだろ
﹁なんでよ﹂
﹁それってさ、やっぱり士道に決めさせたほうが良くないか
﹂
俺のトイレに行っている間に凄い進んだな、と思ったが同時にこんなことも思った。
い。
話を聞くと、彼女には名前がなくて会話に不便なので士道に名前を付けて欲しいらし
﹁来たわね楓斗あんたも早く名前を考えなさい﹂
?
﹃楓斗、お前⋮⋮﹄
?
﹂
じゃあ、やっぱり士道
﹁そんな士道君に俺からのアドバイスだ、四季とか月とかで考えてみたらどうだ 今
﹃そんなこと急に言われても﹄
﹁話は聞いてたよな
?
というわけで士道お前が決めろ﹂
﹁おーい、士道聞こえてる
そう言って俺はもう一度琴里に手を突き出すと渋々俺にインカムを渡してくれた。
﹁インカム貸して﹂
?
?
39
?
は四月だし卯月とか﹂
﹁ちょっと、楓斗何勝手に決めてるのよ
﹂
﹁じゃあ琴里、具体的に一個案出してみなよ
﹁んー、トメ⋮⋮﹂
﹂
﹁アウトー﹂
﹁なんでよ
﹂
?
!?
﹄
?
?
良いじゃないトメでも﹂
!
﹂
?
今、絶対に俺の顔はニヤニヤと笑っていることだろう。
﹁五月蝿いわね
﹁いやー、なかなかいい名前じゃないか、なぁ琴里
そういうと士道は黒板に小さく、十香と書いて見せた。 ﹃まぁいい﹄
﹃⋮⋮とおか、とおかだ、どうだ
ネーミングセンスはないのだろうか
どう考えても今時の女の子に付ける名前じゃないだろう⋮⋮もしかして、実は琴里に
!?
伏せなさい士道
﹂
正直、ここまで面白いネタを見付けて俺は頬の緩みを止められる自信がない。
!?
!
俺の手にあるインカムに向かって声を荒げる琴里に、俺は何事かと思いモニターを見
﹁⋮⋮ッ
対話
40
﹄
た。すると、ASTが既に攻撃を開始してしまっている最中だった。
﹃士道、早く逃げろ﹄
﹄
﹁士道、言われた通りにしたほうが⋮⋮﹂
﹃知ったことか
﹁士道⋮⋮﹂
﹁琴里、お前のお兄ちゃん随分イケメンだな⋮⋮﹂
そう言って、俺はインカムを机に置いた。
﹁ここまできてもう野暮な事は言わねえよ﹂
﹃これは俺と十香のお喋りなんだ、あんな奴ら何て関係ないだろ
!
込んだ。
そんなこと、聞きたくもないだろう。
﹁楓斗はさきに帰りなさい、今日ってバイトがあるんでしょ
?
ちの役目、それでもまだ信じられない
﹂
﹁楓斗ばかり正解を出されてたら私たちの立つ瀬がないわ、士道を正解に導くのが私た
﹁そう言えば......忘れてたな、いや⋮⋮でも﹂
﹂
少なくとも、俺ならあの場で退却している、そんな言葉が喉にまででかかって、飲み
﹁当たり前よ、私のお兄ちゃんなんだから﹂
?
41
?
そう言ってすぐにラタトスクを出た。
﹁いや、おとなしくバイトに行くことにするよ﹂
対話
42