既存装置による 高付加価値薄肉製品のダイカスト法 研究責任者 : 羽賀俊雄 (大阪工業大学 機械工学科 教授) コーディネータ: 乙武正文 (大阪工業大学 研究推進支援センター コーディネータ) 1 研究背景 厚さ1mm未満 ヒートスプレッダーやヒートシンクなど厚さが1mm 未満の薄肉ダイカスト製品の需要がある. 薄肉ダイカストには高速射出が可能な高額なダイカストマシンが必要である. しかし 低コスト化のためには,既存のダイカストマシンをそのまま使用することが望ましい. 既存の高速射出型ではないダイカストマシンを使用するためには 薄肉ダイカスト製品に適したアルミニウム合金を使用すれば良いのでは. そこで 薄肉ダイカストに適した材料を検討した. ただし,特別な元素を添加した高価な材料は使用しない. その結果,Al-25%Si合金を使用することを提案する. 2 Al-25%Si合金を使用することの利点 利点 流動性が良い.半凝固状態であっても良好な流動性を示す. 高熱伝動率,低線膨張係数 安価,破断チル層を発生しにくい,焼きつきが発生しにくい. 欠点 融点が高い(注湯温度,加熱費用,金型寿命) 高融点には半凝固ダイカストで対応! 3 従来の合金との比較 ADC12 Al-25%Si 製品厚さ t=0.3㎜の結果 熱伝導率 (W/mk) 線膨張係数(×10-6) 耐摩耗性(摩耗体積比較) 耐食性(中性塩水噴霧) ADC12 92 21.0 1 × Al-25%Si 133 16.7 0.75 △ 4 通常の半凝固ダイカスト(亜共晶)と 本研究の過共晶Al-25%Si半凝固ダイカストの比較 Al-25%Si 過共晶Al-Si合金 Al-7%Si 亜共晶Al-Si合金 通常のダイカスト 初晶Si 初晶Al 過熱度*100℃ *注湯温度の融点との差 半凝固ダイカスト 温度低下 スリーブ 過熱度20~50℃ 半凝固 処理 抜熱体 過熱度10℃以下 過熱度20~50℃ 湯流れ 湯流れ 過熱度10℃以下 過熱度100℃ 温度低下 湯流れ良好 5 射出温度とダイカスト製品の状態 20%Si 25%Si 30%Si 6 研究開発成果 割れ (a)溶湯から ダイカスト (b)半凝固スラリー からダイカスト 肉厚0.7mmのメガホン形状 プロセスの特徴 材質の特徴 〇半凝固スラリー作製装置は不要 〇高熱伝導率(放熱性に優れる) 〇型温度の調整不要 〇低線膨張係数(銅と等しい) 〇低速充填可能 〇安価 〇低温注湯不要 〇リサイクル材も使用可能 7 想定される用途 ヒートスプレッダ 厚さ0.7mm CPU CPU断面 CPU用ヒートスプレッダ 28mm 45mm ヒートスプレッダ フィンの厚さ0.7mm以下 Al基金属回路基板素材 厚さ1.5mm LED用ヒートシンク 90mm 110mm 回路基板 8 Al-25%Si半凝固ダイカストの実用化に向けた課題 ①様々な形状に関するデータの蓄積 ②リサイクル材の使用 Fe量が1%以下までは特性に影響がないことは確認 Mg量が4%以下までは特性に影響がないことは確認 Fe,Mg以外の添加元素の影響調査 9 本技術に関する知的財産権 ・発明の名称 :過共晶アルミニウム-シリコン 合金ダイカスト部材およびその製造方法 ・出願番号 :特願2012-211241 ・出願人 :学校法人常翔学園 ・発明者 :羽賀 俊雄、布施 宏 10 想定される技術移転 本技術の主な特徴 主な用途 1.高性能のアルミダイカスト 1.従来のアルミ合金の置換 ・良好な放熱特性(高熱伝導性) ・優れた耐摩耗性 ・軽量性 2.安価な製造コストと省エネ効果 ・一般のダイカストマシンで製造可能 (サーボ機能や金型の温度調整器が不要) 3.環境改善に貢献 ・余分な添加物がなくリサイクルが容易 ・自動車関連部品 ・通信機器 ・建築材料 ・産業機械 等 2.電子部品 ・ヒートシンク 等 3.新用途 ・複数部品の一体化 等 連携したい技術 1.中・大型化技術 2.製品化技術 3.電子部品等の精密製品への適用技術 11 お問い合わせ先 大阪工業大学 研究支援推進センター 大阪府大阪市旭区大宮5丁目16-1(大阪工業大学9号館2階) メール [email protected] TEL 06-6954-4140 FAX 06-6954-4066 12
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