夢のまた夢 わかよたれぞ ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にPDF化したもので す。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作品を引用の範囲を 超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁じます。 ︻あらすじ︼ ユグドラシルと異世界のつながりとは 基本ストーリーは、原作に近いですが、ナザリックは思い出の中でしか登場しません。 オリ主が異世界で無双して、最終的にリアルに生還する物語です。 ? 目 次 プロローグ ││││││││││ 一日の終わり │││││││││ ピニスン │││││││││││ 1 13 32 なのに。 現代では、汚染された大気のために、実際に遠目に山を見ることなどありえないはず くに山のようなものが見える。 とても広い、広大な部屋の真ん中にいるようだ。起き上がって周りを見てみると、遠 何も、ディスプレイさえ見えない。というか、壁で仕切られているようにも見えない。 も見えない。 昨日までは、そこにはデジタルカレンダーと時計、メール等が表示されていたのに、何 ・・・・・ とりあえず時刻を知ろうと、首をもちあげ、壁にかかる複合ディスプレイをみる。 い。 俺の部屋は典型的な独身庶民のもの。光学系ギミックに金をかけられるものではな しかし、なぜこんなギミックが俺の部屋にあるのか不思議だった。 ユグドラシル最後の瞬間は寝落ちしてしまったようだ。 目を開くと、ライトブルーの天井が見えた。とてもまぶしい。 プロローグ 1 プロローグ 2 山など映像でしか見たことがなかった。 手元の奇妙な感触に目を落とせば、何か緑色のやわらかなものが布団から突き出しい る。密集しているので布団生地が見えない。 布団というよりは、床一面がはるかに目の届く限りまでこの緑色のもので覆われてい る。 山の手前には、盛り上がった緑の固まりもある。ところどころが茶色だ。 上流階級では、部屋の中に様々な光学系ギミックを展開する家庭もあるようだが、な ぜ突然おれの部屋が のにブーツを履き、長ズボンを履いている。 もしかして、今日は俺の誕生日か何かか おれが熟睡している間に妹のやつが忍び込 ? なんじゃこりゃあ 頬に風を感じる。そして翼にも風を感じる・・・翼に風を感じる んだ いったいなんだな 今更ながら、手足を覆う服を見れば、真っ黒な手甲に、真っ黒な長袖、室内だという る。 立ち上がってみると、ガチャガチャと音がするので、見下ろせば、腰に剣がついてい ? ?? 確かに肩越しに漆黒の翼を見ることが出来る。 ? ? 3 んできて、おれにコスプレさせているのか それで、ついでに光学系ギミックを仕掛けていったのか ・・・・・・ しかし、あまりにもバカバカしい想像だ。 ・・・・・・ これはもしかしたら、ユグドラシル2とかでも始まったのか シルの世界を思えば、足元のこの緑は、草か そういえば、ユグドラ ? なに広くないことはよく知っている。 慎重に歩を進めても、落ちるどころか、何ものにもぶつからない。おれの部屋がこん るとベッドを転げ落ちる可能性がある。 とりあえず、慎重に移動してみることにした。これが光学系ギミックなら、下手をす ? そういえば、この格好はまさに、おれのユグドラシルのアバターのものだ。 ? とりあえずは、コンソールを・・・でない。GMコール・・・でない。 美しいブルーが空であるとは信じられないのだが。 そして天井のライトブルーは、空なんだ・・・多分。自分でつぶやいていても、この ということは、遠くの緑と茶色は木だ。森というものだろう。 草というものの実物を見たことがないが、おそらく実物は、こんな感じなのだろう。 !? プロローグ 4 夢か。夢なんだ。 それになんか、腹が減ってきた。アバターが空腹を感じるはずがない・・・ そうだ さあ飛べ などと気負う必要もなく、人が歩くとき、無意識に足が出るように、自然 よし、まずは飛ぼう、飛んで食べ物を探そう。 夢なら夢でいいや。 なんだ夢なんだ。おどかすなよ。 ! 時速100Kmくらいは出ていそうだ。 ミューターの最大速に近い感じだだ。 しかし、速い。1度だけ乗ったことのあるリニアライナーには及ばないが、都市間コ とりあえずあそこまで行ってみるか。 距離感がいまいちつかみ難いが、遠くの森の近くに、人口建造物らしきものが見える。 かなりの高度まで飛び上がり、地上を俯瞰する。 わからないが、今のこの感覚が近いのかもしれないと思う。 鳥のように舞い飛ぶという言葉は知っているが、現実に空を飛ぶ鳥がいないのでよく きる。 これは気持ちがいいなあ。まるでゲームにダイブしている時のように自由に飛行で と体が浮き上がった。 ! 5 そして体感で10分程で、木で作った小屋のようなもの、以前見た映像ではログハウ スというのだったか、それが立ち並ぶ場所についた。 手前に着地し、様子を伺うと、ひとつの建物の陰から女の子が2人走り出て来た。 すぐに、その子達を追うように、剣を持ち、金属の鎧を身に着けた男が走ってくる。 鎧はユグドラシルでもよく目にしたのですぐにそれと分かった。設定では中世欧州 の防具だそうだ。 うーん、実にユグドラシルっぽい夢だ。などと思っていると、女の子の背中に剣が当 たり、血が出るのが見える。 しかし、いくら夢でも、否、おれが見ている夢だから、女子供を傷つけることは許さ ない。 反射的に足を踏み出した、次の一瞬に100mほどの距離を移動し、鎧野郎に体当た りした。 すると、年に1回ほどいく温浴施設でお湯をかぶった時のような音とともに、鎧野郎 はミンチになって飛んでいった。 気持ち悪い、汚い。なんじゃこりゃ。 そもそも弱すぎだろう。たかだか体当たりで人が死ぬかね。夢にしても手抜きがひ どいなあ。 ! かと思った。 先ほどのミンチはこりごりなので、足を軽く相手の胴体にそえて、あっちえ行け と なるほど、確かに金属ではあるのか、あまりやわらかいから、もしかしたら木刀なの 案の定、刃先はおれに触れることなく、足元に落ち、金属音が鳴った。 位物理無効化のパッシブスキルでよける必要もないと判断した。 切った刃先は、慣性でおれの顔面に飛んできたのが見えたが、ユグドラシル的には、上 うな感じで、金属を切ってしまった。 折ったのではない。あのくそまずいゼラチン状の栄養摂取物にスプーンを入れるよ 手の剣が切れてしまった。 余裕で剣を構えなおして、次は慎重に、相手の剣を受け止めると、驚いたことに、相 したんだが、相手の剣が余りにのろいので、空振りしてしまった。 した。 等と思っていたら、そいつが剣で切りかかって来たので,とっさに剣を抜き払おうと うーん、どう見てもこいつも弱そう、弱すぎ。ひどいなあ。 ああ、もう一人いたのか。 という声に顔を向ける。 ﹁ばっ、化け物﹂ プロローグ 6 ばかりに、押し出した。 軽く押し出したのだが、30m程も飛んでしまい、木に激突して、多分死んだ。 さすが夢だけに俺様、無双状態だな。 振り返って、声をかけた。 ﹁ウソ ﹂ もちろん、クリーニングも行ったさ。 今度は、反応が違った。 ﹁もう大丈夫だよ、痛くないでしょ﹂ まあいいや。とにかくヒールの魔法で彼女の傷を癒す。そしてもう一度言った。 それに、気がつけば、どうやら失禁してしまっているようだ。 いてくるとかの演出でいいじゃない。 なんなんだろう、この反応は。おれの夢なんだから、もっとこう、うれし涙で抱きつ ﹁どうか、どうか妹だけは助けてください﹂ なんだか、思いっきり泣きそうな顔をしてこっちを見ている。 女が、背に幼女を隠すように振り返った。 すると、こちらに傷ついた背を向けてより小さい子供を庇うようにしていた年上の少 ﹁もう大丈夫だよ﹂ 7 ! しばらく、自身の様子を確かめてから、静かに頭を下げた。 ﹁助けていただいてありがとうございます﹂ 後ろのちっこいのも、それに続いた。 ﹁いったい何があったのか、教えてくれるかな﹂ そう問いかけると、彼女の口から嗚咽がもれた。 ﹁なっ、なにもわかりません。気が付いたら突然追いかけられて・・・﹂ ﹁なるほど、それは大変だったね﹂ とは言ったものの、どうすりゃいいのさ、この状況。すごいな、おれの無意識の想像 力。自分でも全く予測がつかない。 んっ そうだ、村だよ、村。こういう集団住居って村っていうんだよな。と、この緊 ﹁あの、助けていただいたばかりなのに、申し訳ないのですが、村を助けてください﹂ と、胸をたたく。ただし少々気になるので、 ﹁えーっと、こういう翼のある人間を見るのは初めてなのかな ﹂ と、問いかけると、二人の目が、明らかにおれの翼に向いている。 ? ﹁ああ、かまわないよ。大丈夫、まっかせなさい﹂ ﹂ 迫した状況にまったく合わない頓珍漢な思いが浮かぶ。 ! ﹁そういえば、なんでさっきはあんなにおびえてたの プロローグ 8 ? ﹂ ﹂ すると、お姉さんの口が、まあるく、大きく開きながら、喉の奥から、えっという音 が漏れる。 そして ﹁翼のある、〟人間〟ですか と無邪気な言葉が続く。 ﹁おじさんは、悪魔じゃないの ? ﹁こちらの妹さんは、ネムちゃんでいいのかな。お姉ちゃんはなんていうの﹂ これを聞くと、二人ともむち打ち症になりそうな勢いで首を縦に振る。 な﹂ ﹁じゃあ,ほかの人が不安になるといけないから、あの翼のことは内緒にしてもらえるか と、問うおれに、二人は笑顔で答えた。 ﹁これで、どうかな﹂ 体は、ユグドラシルで獲得した指輪の機能だ。 それならばと、人化の魔法を展開する。まあ、夢だけに何でもありだ。人化の魔法自 のか。 なるほど、翼のある異形は人間とは認められない。それどころか、悪魔と認識される こら、ネム、失礼でしょ、と妹たしなめる声が続く。 ? 9 ﹁エンリ、エンリ・エモットです﹂ エンリに手を差し出して、助け起こす。 では、村を救いに行きますか。 立ち上がっても、エンリが手を離さない。むしろ両手でおれの左手を包み込んでい る。 その手の感触は、年相応の柔らかなものではなく、むしろ老人のゴツゴツしたような 手であった。 そう言うと、エンリはその意味に気が付いたのか、手を放して胸のまえで手を組む。 ﹁エンリは、働きものなんだね﹂ ﹁すいません、田舎娘の分際で・・・﹂ ﹁いや、そういう意味ではないよ。本当にいい手だ﹂ そういって、おれのほうからもう一度手を繋いだ。 エンリが、下を向いて赤くなっている。 かわいいんですけど おっと、こんなことをしている場合じゃないんだよね。 ! 何だか知らんが本当に出てきた。体高1.5mほどのかなり大きな狼だ。 村人を助けるというお願いを思い出し、シリウスを3頭召喚する。 おお ! プロローグ 10 ﹁この辺りに居る、この様に武装したものを無力化しろ﹂ という、かなりアバウトな指令に対して、3頭は軽く頭を下げてから、風の様に消え た。 ええ、あんな命令を理解して実行するのかあ、さすがは夢の世界だなあ。 だなあ・・・ この繋いだ手が、夢 風を感じる、匂いを感じる、腹がへる。 エンリの手の感触が、なにより事態を語っている。 夢 ? これが夢 しばし悩んでいると、頭の中に語りかける何かを感じた。 ? 人を殺してもなんとも思わない。 ? 2,3分しかたってないぞ。 それにしても、仕事早 ﹃仰せのままに﹄ ﹃そうか、ご苦労。ではそいつらを村の中心地に集めておいてくれ﹄ ﹄ ﹃それで、相手の人数は ! ﹃27人でございます﹄ ? これは、メッセージか、ますますユグドラシルっぽい。 ﹃主様、無力化を完了致しました﹄ 11 って、さあ。狼が﹁仰せのままに﹂とか、マジうけるんだけど。なにこれ。 一人でニヤニヤしていると、エンリが覗き込むように、こちらを見ているのに気がつ いた。 ﹁とりあえず、あの暴力集団は取り押さえた。もう大丈夫だよ﹂ その言葉を聞いたエンリの笑顔ときたらもう、すばらしい。生きててよかった。 ﹂ リアルで若い子に縁のないおれは、女の子の笑顔の魅力というものに浸りきった。 ﹁ところでエンリ、村の中心地ってどこ 上げていた。 手をつないで、村の中心に近くまで行くと、3頭に囲まれた鎧野郎どもがうめき声を ? それをやや遠めに見ながら固まる村人と思しき集団から、2人の男女がこちらに走っ ﹂ ! てくるのが見えた。 、お母さん ! てたんだろう。 頭良すぎ。リアルでおれのアシスタントにしたい ! よかったねえ、本当によかった。しかし、なんであの狼たちは村の中心地なんて知っ エンリとネムもおれから手を離し、そちらに走っていく。 ﹁お父さん プロローグ 12 一日の終わり 元々50人程度しかいなかった村人の内、働き盛りの男ばかりが10人も殺された。 鎧野郎共に抵抗し、女子供を逃がすために犠牲になったのだろう。 生き残ったものの内、治療が必要なものは全快させた。 葬儀の準備をする人々には申し訳ないが、おれは本来の目的である食事のために村長 の家にいる。 ﹁辺境の開拓村で、ろくなものがありませんが﹂ 今までの生涯で感じた そういいながら、村長夫人が何か具材が入ったスープ、おそらくはパン、茶色い干か らびた何かをテーブルに広げる。 まずは、スープを具材ごと口にいれてみる。 何だコリャ ことのない感覚が広がる。 ! うしたことか。 たかがものを食べるだけ、何か、こう幸せになるというか、快感がするとか、一体ど は味わえない。 リアルでは、快感なんてものは、男子たるもの誰でも経験するXXくらいでしが庶民 !!! 13 そうか これが旨いってやつか 食べ物の、というか餌だな、の評価は、まずい、も ! うんうん、これが甘いという感覚か。 ﹁この赤いにんじんは、あまいでしょう﹂ そして、具材の特徴的味を教えてくれる。 答えてくれる。 スープの具材をいちいち取り出しては、名前を尋ねるおれに、婦人は親切にいちいち うまい、などどいう言葉は本で読んだことがあるだけだ。 しくはまずくないしか存在しなかった。 ! 味 覚 表 現 の 言 葉 が 少 な す ぎ て、う ま い と し か 思 え な い の が ! 楽しもう。 そうだよ、これが夢だろうが、ユグドラシル2だろうが、異世界転移だろうが、今を そして、おれに天啓が降りた。 ちょっと残念だ。 こ れ が ま た、う ま い 茶色の干からびたのは、動物の肉を塩漬けにして干したものだった。 という調子が続いた。 うんうん、これが苦いんだ。 ﹁セロリは苦いかな﹂ 一日の終わり 14 15 どうもおれはこの世界ではかなりの強者であるらしい。この世界は、みたところ暴力 的に強いことに価値がある社会であるのは間違いない。 そうであれば、おれが色々楽しめることは間違いない。まあ、おそらく異世界ってや つなんだろうな、とは思う。 ガツガツとマナーもなにもなく食べ終えて、なにかの葉っぱを煮出したものを飲みな がら、この世界のことをいろいろと聞いた。 それにしても、異世界だとは思うものの、なんか色々ご都合主義満載なのはなんでだ ろう。やはり夢ってほうが納得できるかも。 まず、言葉が通じる。 ただし、こちらの文字、文章を見せてもらうと、まったく違う言語を使用しているの がまるわかりだ。 どういう原理か不明だが、翻訳妖精みたいのが各人の頭に住んでいる感じか。まあ魔 法が使えること自体あれだし、考えてもしかたない。 文字は表音文字であるようだ。そして左から右への横書き。 文章を説明してもらうと、日本語とまったく文法が違う。 英語や中国語は、単語の語順と前置詞で文章の意味構造をつくるが、日本語は助詞を 使うことで語順というものに縛られない。 一日の終わり 16 こちらの言語も、語順に捉われないらしいが、助詞のようなものは無さそうだ。リア ルなら、ロシア語に近いのだろう。 ロシア語は、助詞の変わりに、単語の語尾が変化するのでチョー面倒な言語だ。 はじめは文字を覚えようとも思ったが、生の原語を知ることができないので、それは 不可能だ。 数字だけは、なぜかアラビア数字が使われている。 文字以外の部分は、ホントーに、ひどい。 体感で重力が地球とほぼ同じ。太陽と月が1つづつ存在している。 公転周期、自転周期が地球と一緒。だから1日の長さと一年365日が共通。 ただし、使っている暦はグレゴリオ暦ではなく、江戸時代の太陰太陽暦、つまりつき 始めが新月で、15日が満月になるように出来ている。 これは、四季がある農業中心の世界では妥当なものだと思う。明かりが貴重な世界で は満月の夜を知るのは大切なことなのだ。 また時刻の表し方も、江戸時代だ。不定時方と呼ばれる、昼と夜をそれぞれ6等分し てあらわす方法だ。 江戸時代では、九つ、八つ、七つ、六つ、五つ、四つ、そしてまた九つに戻る、へん な数え方だが、こちらでは素直に1,2,3のようだ。 17 厳密に1日を24時間であらわす方法もあるようだが、大都市でしか使わないそう だ。 方角の概念があり、磁石も存在している。 当然のように村長は天道説を信じている。この惑星がおそらくは丸いことも知らな い、というよりそもそも興味がないようだ。 ボディランゲージもほぼ日本と同じだ。首を縦に振れば肯定、横なら否定。子供の頭 を撫でることが親愛の表現。とか色々。 アインズ・ウール・ゴウンのグニャグニャの薀蓄は、聞いてる当時は苦痛だったが、こ んな所で役に立つとは驚きだ。 そういや、おれのフレンドは全部あのギルドのメンバーだったなあ。 その他、周辺国のこと、貨幣制度、取れる作物等々も聞いた。 途中トイレを借りたのだが、ちょっと背中がむずむずするようなものだった。 匂いもすごいし、跳ね返りが恐ろしい。 トイレットペーパーが、当然ない。 上位道具創造魔法でトイレットペーパーなんて作ったの、おれだけだろうな。 桶に水が入っているから、村人はあれで、あれするんだろう。 使用済みトイレットペーパーを捨ててはいけない気がしたので、小火力魔法で燃やし た。 やってみたら出来たので、アイテムボックスから水差しを取り出して、手を洗ってい ると ﹄ ﹃主様、武装した騎馬の集団がこちらに向かってきますが、無力化いたしますか﹄ ﹃人数は まくるのが普通なのか ﹃とりあえず、様子を見る。無力化したやつらの様子は ? 可能です﹄ ﹄ ﹃間単に死ぬことはないと思われますし、両足の骨を砕いてありますので自立移動は不 ? ? うーん、なんだろう、この村って何か特別なのか それとも、どこでも村って襲われ ﹃35人です﹄ ? おれは小声で村長に、王国戦士長とは何か尋ねた。 騎乗のまま、先頭の男が名乗った。 村長とおれが並ぶ手前で馬が止まった。 村人の葬儀に行っていた村長と合流し、村の入り口に向った。 ・・・・・ ﹃では、もうしばらく待機していてくれ﹄ 一日の終わり 18 なんでも、庶民出身ながら強さを買われて戦士団を率いることになったらしい。 王国最強だそうだが、そんなに強そうには見えない。 本物かどうかは、分からないがこちらの言うことを聞いてくれれば、誰でもいいや。 変なやつなら騎士団ごと除去するまでだ。 おれに対する誰何があったので、村長にも説明したでっち上げを繰り返す。 ですか、村人が不安になるので出来るだけ早くどこかに連れて行っていただけます ? か﹂ 士 ﹁お礼は別にいりません。戦士長のためにやったわけじゃないですから。ただ、あの騎 お礼なにが出来ることがあったら言ってくれ﹂ ﹁村を救っていただいて、感謝の言葉もない。私が出来なかったことをしていただいた。 戦士長は馬を下りると、おれのすぐ前に来て頭を下げた。 た次第です。何者かは私にも分かりかねます﹂ ﹁私が此方に飛ばされてすぐに、この村を侵略していまして、見るに見かねて助けに入っ ﹁それで、その狼達に囲まれた騎士達は何者かね﹂ 魔法実験を行い、その時の事故でこちらに転移してしまいました﹂ ﹁はじまして、戦士長殿。バン・ドールと申します。この地よりはるかに遠い国で、ある 19 ﹂ 無論即座にと、部下に指示をだすが ﹁あの狼達は 理やり納得してもらった。 なかなか粘る村長に、暫く滞在する分の食事と宿泊代と思ってくれ、ということで無 しい食事だけで十分です﹂ ﹁いやいや、だって亡くなった方もいるし、色々修理も必要ですよね。わたしはあのおい ﹁とっ、とんでもないことです。お金はすべてバン・ドール様がお持ちください﹂ おお、戦士長気前いいね。村長さん、よかったね、などと話すと は帝国騎士の鎧だからそこそこの値がつくと思う﹂ ﹁証拠としていくつかは持ち帰りたいが、残りはそちらで処分しもらって結構だ。あれ と、戦士長にも聞こえるように問いかける。 か﹂ ﹁あっ、そう言えば、村長さん、あいつらの着ている鎧や剣は売ってお金になるものです ﹁村の周囲で哨戒を行え﹂ シリウスに向かい指示を出す。 ﹁ああ、大丈夫です、私が使役しているものですから害はありません﹂ ? ﹃主様、村に近づく戦闘集団があります。人数は100人。2手に分かれて展開中です。 一日の終わり 20 ホント、この村どうなってんの。 村を包囲する意図かと思われます﹄ またかよ 戦士長の部下からも同様の報告があがる。 まさか、と否定する村長とのやり取りをみて、 ﹁村長、この村ってなにか秘宝とかあるんですか ﹂ 前門の虎、後門の狼って言葉を実践で説明されているみたいだ。 ! 長を暗殺したいということか。 よく分からない話だな。自国の最高戦力を自ら消滅させるメリットってなんだ 首を捻っていると、戦士長が呟いた。 しい国なのだよ﹂ ﹁私利私欲のために民を殺し、民を守るものを排除する。そんな貴族がごろごろいる悲 ? ということは、王国側の人間、それもある程度高位の貴族が、帝国と手を組んで戦士 その際、妙な言いがかりをつけられて、通常装備を許されなかったらしい。 の一団が送り込まれたということだ。 最近、辺境の村々が武装手段に襲われているという報告を受けて、その討伐に戦士長 ね﹂ ﹁ということはバン・ドール殿でもないということか、やつ等は私が狙いということです ? 21 しかし、黙って殺されるわけにはいかないと ﹁バン・ドール殿、おれに雇われないか﹂ しての〟おれ〟ですか﹂ ﹁それは、王国戦士長である、〟おれ〟ですか、それとも、ガゼフ・ストロノーフ個人と 太刀をお願いする﹂ ﹁さすがに、こんな国につく気はないか。では一個の武人ガゼフ・ストロノーフとして助 使っている魔法も、弱っちいのばっかりだが、全部ユグドラシルの魔法だな。 それにしても、アークエンジェルフレイムが居るとは驚いた。 戦士長はさすがにがんばってるが、戦況を変えるには至らないか。 L10がLVL20になるだけじゃ駄目だな。 戦闘開始前に、支援魔法を広域に展開してみたものの、能力向上させても、所詮LV まあ、あとであそこのリーダーっぽいのを捕まえて聞いてみるとしよう。 結局、スレイン法国か。人類至上主義とガゼフ暗殺がどう繋がるのか全然見えない。 ・・・・・・ 村長に村人を一箇所に集めるように指示し、シリウス達に守らせる。 まあ、いざとなったら前に出ますがね。 ﹁では、雇われました。ただし、私は魔法詠唱者なので後方支援から入ります﹂ 一日の終わり 22 やっぱり、ユグドラシル2の線か。思いがどうも同じところをぐるぐる回ってしまう な。 戦士長以外は、皆へろへろだ。戦士長もそろそろダメか。 交代かな。 人型を取っていると能力全てに渡って3割減のペナリティーになるが、まあこのまま で大丈夫だろう。 戦士長の一団を集団転移し、交代に前にでる。 いの ? いやいや、そんな事言ってる場合じゃないでしょう。なんで部下に攻撃命令を出さな ﹁あっ、ありえない・・・貴様は一体何者だ。なぜ王国になど﹂ とりあえず、挨拶代わりにアークエンジェルフレイムを全て吹き飛ばした。楽勝。 から﹂ ﹁人の話を聞かない奴だなあ。まあいいや、後で嫌でもおれの言うことを聞かせてやる う﹂ ﹁あれほどの人数を転移させるなど聞いたこともない。どうせ隠形の目くらましであろ ﹁おいおい、初対面なんだからまず挨拶から入るのが社会人としての基本だろう﹂ ﹁貴様は何者だ、ガゼフ・ストロノーフをどこへやった﹂ 23 じゃあ、先にやっちゃうよ。 おれの周囲に魔法の矢が数十本出現する。 貴様は・・・﹂ 残ったのは、リーダーと思しき奴とその部下一人だけ。あとはみんな殺した。 おお、なんかきれいだな。ユグドドラシルで見た花火みたいだ。 決して目標をはずす事のない魔法の矢が一斉に飛び出す。 だーかーらー、そんな事言ってる場合じゃないでしょう。 ﹁馬鹿な、何だその数は ! おっ、なんかまだやる気だな。 魔封じの水晶 最高位天使 熾天使か ? の主天使。 !? でもまあ、それならこのままでいいか。 何のために魔封じの水晶が存在するのか小一時間説教してやりたい。 なんだそりゃ 。 さすがに、人型じゃまずそうだな、と指輪に手をかける間に、呼び出されたのは威光 ? ! ﹁最高位天使を召喚する﹂ 一日の終わり 24 万が一にも、村人やガゼフにおれの堕天使姿を見られるのはまずいから、とりあえず やせ我慢しよう。 堕天使だが、チートで神官でもあるから、威光の主天使の攻撃くらい耐えられるだろ うとたかをくくってみる。 ﹂ て思い切りボコボコされたときのような。 とにかく痛い。やっぱり夢じゃないの、確定 すばやくポーションを取り出し一気飲みする。 などと思っているうちに、攻撃はやんだ。 なぜか分からないがHPが激減していくのを感じる。やばい、これ死んだかも。 思わず両手を地面について倒れるのを堪えた。 ! 会社で倉庫整理の力仕事をさせられた翌日の全身筋肉痛のような、飲み屋でからまれ ﹁いってええええええええええ﹂ なんか、筋肉の内側まで刺さってる気がする。 れる。 光が粒粒で出来ているという光量子仮説が実感できる。粒粒が満遍なく叩きつけら 周囲が眩い光で満たされる。 ﹁ホーリースマイトを放て ! 25 その時、おれが無意識に展開している抗勢防壁に反応があった。 どうやら、こいつらを監視する目があったようだ。魔封じの水晶を使用したことが契 機になっているだろうか。 カウンター攻撃がこの世界ではどうなるのか見てみたいが、こいつらの脆弱性からす ると、ものすごいことになっているかもしれない。 それはさておき、この痛みの代償は払ってもらわなくてはハゲてしまうかもしれな い。 なった。 なんだこれは 三回尋問されると、4回目に死ぬ。ユグドラシルでは見ない魔法だな。注意しておこ スキルを使用している時に、妙な魔法の痕跡を見つけた。というより呪いの類か。 ? 相手の魔法を封じ込めるこの力はおれの特殊スキルだ。と、ある理由で使えるように 第七位階のロックをかけたので、こいつらのレベルでは解除できまい。 その機能を止めた。 次にほほに傷のあるおっさんに、まずは拘束の魔法を放つ、ついで魔力回路に介在し、 威光の主天使は、極大火力魔法ノバフレームで焼き尽くす。 ﹁くそ野郎がー、﹂ 一日の終わり 26 う。 戦士長に引き渡すにせよ、魔法を駆使する者が相手では、戦士では護送できないだろ うと思いもあり、魔力を封じた。 手足が動かなくても、詠唱で魔法を行使できるのだから、何をするかわからない。 るような目つきから一転、英雄を見る目になっている。 戦士長がものすごく感謝してくれる。部下の兵士も、最初のころの胡散臭いものを見 村に着くとすぐに戦士長一団の治癒を行い、二人を引き渡した。 着くころにはまったく沈黙していた。 村につく途中までは、痛いだの、助けてだの、お金あげますだの言っていたが、村に 引きずっていく事にした。 そこで、二人とも後ろから軽く蹴り倒し、顔面が地面に接した状態で、足首を持って 拷問系の魔法なんてユグドラシルにも存在しなかったし。 だが、下手に攻撃するとすぐに死んでしまうから、どうしよう。 が、全然無視。 なんか、待ってくれだの、お金あげますだの、本国が黙まってないぞだの言っている ﹁さて、どうお礼をしてやろうか﹂ 27 ﹁お疲れのところ申し訳ないですが、さっきの場所にある死体の始末をお願いしてもい いですか﹂ なんでも、死体を放置するとアンデッドになる可能性があるそうなので、お願いした。 指示を受けた戦士達が帰ると、法国の一団の身に着けていた装備とお金を回収してき たと言って、とりあえずお金を渡してくれた。 それから、法国の侵略者の尋問に立ち合わせてもらう。もちろん、目的はあの妙な呪 いみたいな魔法の効果だ。 中でも一番の問題は その後、手早く食事を済ませ、村長の家で戦士長を交えて今後の話をした。 を抑えるのが大変だった。 さらに、お前はもう魔法は使えないというおれの言葉を聞いて、舌を噛もうとするの かいう、襲撃者のリーダーだった。 戦士長に説明するおれの言葉を聞いて、一番驚いていたのは、ニグンだかサングンだ という結果で終わった。 というおれの言葉で始まった、やや暴力有りの尋問は、見事に4問めで下っ端が死ぬ ﹁えーっと、まずは、そっちの下っ端から始めてもらえますか﹂ 一日の終わり 28 ﹁えーっと、では約束の報酬の件ですが、その前に﹂ と村長向かい、 すか﹂ ﹁いや、そのあたりの個人云々のことは構わないが、自治権というのはどのようなことで ますが、どうかお願いします﹂ して個人であるガゼフ・ストロノーフにお願いするのは筋違いであることは承知してい ﹁では戦士長、私は報酬として、このカルネ村の自治権を許可していただきたい。武人と 一呼吸おいておれは言った あまりない。むしろそこが王国の所領であると他国に見せ付ける意味が大きい﹂ ﹁このような辺境の開拓村は、当初10年は無税が原則。その後も税収を期待する事は ﹁金貨20枚程度の税収は、王国にとってどの程度価値がありますか﹂ おれは戦士長に聞いた。 ﹁ええーっと、なぜそのようなお話を今この場で・・・その﹂ ほう、物納ではなく貨幣で収めるのね。 ﹁その年によって変わるのは勿論ですが、おおよそ金貨20枚といったところです﹂ 村長は、なぜかガゼフの方をチラッと見てから答える ﹁この村が王国に支払う税金はどれほどですか﹂ 29 この世界では自治権という概念がないかもしれない。 ﹁簡単に言えば、この村に対する徴税、徴兵の免除です。もちろんこの地が王国領である ことまで否定はしません﹂ 戦士長はしばらく考えていたが 王を説得します﹂ ﹁いいでしょう。陛下にお願いしてみます。結果の保証はできませんが全力を尽くして ありがとうございます、というおれに向って村長が、目を見開いて言う ﹂ 毎年行われる帝 そりゃ、エンリとネムがかわいいから、などと言うわけにはいかないので ﹁バン・ドール様、なぜそこまでこの村を大事に思ってくださるのでしょう﹂ 国との戦争に人が出せますか ﹁村長、貴重な働き手が10人も死んだ、この状態で税金を払えますか ? ようだ 村長夫人が目を伏せている。村長も、その手を中途半端にあげて、言葉に迷っている 私が家と思えるところが、帰ることが出来る場所が欲しいのです。と説明をする。 遠い地から突然この地に飛ばされました。もう一度戻れるかもわからない。せめて ? もお帰りください。いつまでもこの村にいてください﹂ ﹁こっ、この村は、いつでもバン・ドール様をお迎え致します。貧しい村ですが、いつで 一日の終わり 30 31 こうしておれの超濃密な異世界転移第一日目がやっと終わった。 その後、2週間ほどで、律儀にも一番近いエ・ランテルという都市で武器を売った代 金が届けられた。 金貨200枚を見た村長は、腰を抜かしていた。 そして、一か月後、物々しい使者が到着し、玉璽御名入りの自治権を認める免状が届 けられた。 これで一安心したおれは、いよいよこの世界見聞の旅に出ることを決めた。 ただし、その前にもう少しこの村で出来事を語ることになるが。 そして何より危険であるとの判断でなにも対応していない。 本来であれぼ、その魔法詠唱者にも監視要員を出すべきところであるが、要員の不足、 女は爆散、土の神殿そのものもほぼ全壊した。 土の神殿に一瞬映し出された第七位階魔法の使い手によるカウンターにより、土の巫 人類の結束を急ぐために、王国の戦士長を抹殺する指令を受けた陽光聖典の最後。 漆黒聖典第一席次という資格を持つ身であるからこそ知りえた悲劇。 殿で起きた大破壊により、巫女姫の運用は慎重の上にも慎重に行うと沙汰が出ている。 本来であれば、大儀式を伴う巫女による遠隔監視が妥当であるが、先日土の巫女の神 あれが、占星千里の予言した破滅の竜王である可能性は高い。 らかの災厄に抵抗したことで、巨大樹は枯れ木となったのか。 その巨大樹から吐き出される瘴気によりそのような場所ができたのか、さもなくば何 その中央に巨大な枯れ木が立っている。 かりと穴が開き、まるで生命の存在を感じない。 鬱蒼と茂る大森林の中、目の前に広がる禍々しいむき出しの大地。その部分だけぽっ ピニスン ピニスン 32 それよりも緊急度の高い、破滅の竜王復活を監視するために、まず漆黒聖典第一席次 たるこの身が派遣された。 土の巫女とともに、最早二度と作ることが出来ない叡者の額冠も失われた。 裏切り者により、闇の巫女の叡者の額冠も行方不明。しかもその捜索のために風花聖 典が当てられている。現在の法国はギリギリの状態で運営されている。かの魔法詠唱 者が法国に与してくれればよいのだが、最初の出会いが最悪だ。 だが、今はそのような事を嘆いている場合ではない。破滅の竜王への対処こそが最重 要課題である。 場所を特定した以上、今後は、水明聖典に監視任務は引き継がれることになる。 とりあえずは、帰国することにしましょう。 と、振り返ると、少女が立っていた。 森精霊か。 とっさに、後方に飛び下がり、槍を構える。私が気が付かないうちに、これ程近くま で接近するとは只者ではない。 よく見ると、まったく衣服を身に着けいない。 ? ﹁お願いですか ﹂ 拍子抜けするほど緊張感のない声をかけられた。 ﹁こんにちは、わたしはピニスン。あなたにお願いがあるのだけれど﹂ 33 ? ﹁ああ、良かった。話が通じそうだね。初めまして人間の方。気が付かないのも無理は ないです、私の本体はもう少しだけ奥にある木に宿っているから﹂ 落ち着いて答えてはいるものの、私とて年若い男子、その恰好は勘弁してほしいもの ﹁さようでしたか、それで森精霊がお願いとは何でしょう﹂ だ。幾ら森精霊だといっても、その体は反則でしょう。 ﹁昔ここに来た7人の人間を連れてきて欲しいの﹂ ﹂ 一体何を言っているのだろう。破滅の竜王に関係することなのだろうか。 ﹁どのような方々なのですか ということは、復活も近いということですね。 の﹂ せてくれたの。それでね、また起きそうになったら来るからって言ってどこかに行った ﹁すこしまえに、それが起きそうになったんだけど、7人の人間が来て、また眠りにつか なるほど、破滅の竜王で確定ですね。 持っているらしいの。今は眠っているけど﹂ ﹁あそこに居る大きな木は、昔天から降ってきたらしいの。それで、世界を滅ぼす力を ? の﹂ ﹁最近、周りの生気を吸い取って目を覚ましそうなの。だから、彼らを連れてきて欲しい ピニスン 34 ﹁それはどれくらい前のお話でしょうか﹂ 情報は多ければ多いほど良い。この森精霊は役に立ってくれそうです。 たのことを話しておきますので、その人とも仲良くしてあげてください﹂ ﹁私は今からここを離れますが、しばらくすると私の代わりに人がやってきます。あな ﹁そうなんだ。ああ、良かった﹂ ﹁大丈夫ですよ。そのために私がここに来たのですから﹂ ら。僕も死んじゃう﹂ ﹁じゃあさ、だれかあの魔樹を眠らせることが出来る人を知らないかな。あれが起きた 森精霊は、うーん、といって頭を抱えている。 ころには死んでしまいます﹂ ﹁われわれ人間は、あなた方に比べて非常に短命なのです。葉が落ちる冬が60回来る ﹁生きてはいないって、どうゆうことなの﹂ ﹁残念ながら、その方たちはもう生きてはいないと思います﹂ もしかしたら13英雄のことかもしれない。 ほぼ不死に等しい森精霊にとって時間というものはあまり意味がないかもしれない。 ない﹂ ﹁うーんとね、だくさん日が昇って、たくさん雪が降って、雨が降って・・・よくわかん 35
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