2016 年度 推薦入試【11 月 14 日 経済学部 小論文】 例 思考や判断の基礎には確かに知識の習得がある。思考や判断の材料は知識なのである。何の知識も ない分野について、人間は何も思考もできないし何の判断も下せない。 「自分の力で考える」とはしばし ば言うが、これには思考材料となる膨大な知識を習得した後で初めて、という留保付きだ。 しかし、知識を習得する目的は何か。雑多な情報を収集するように知識を収集することが学習の目的 ではない。また、知識を習得する動機は何か。知識の修得それ自体が目的ではない。修得した知識に基 づいて複雑な現実を読み解き、具体的な問題を解決するために、私たちは知識を習得する。 最終的に求められる能力は、思考力や判断力、そしてそれらの表現力だ。繰り返すが、知識の習得が それらの土台にあることは確かである。同時に、知識の習得が学習の動機でも目的でもないことも確か である。したがって、知識の習得を学習目標に掲げているだけでは学習の動機にならない。よって、実 際には必要な知識さえ習得できない。 以上より、知識の習得を過度に重視した教育のあり方は、非効率的な学習方法として、改めなければ ならないと結論できる。 (474 字)
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