"""""""""""""""""" 解説3 CFRTP 成形技術の開発 小松技術士事務所 小松 勇* """""""""""""""""" """"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""" """"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""" ! CFRP と CFRTP と成形法 「航空機機体に大量に」はすでに始まっており、 「自動車車体に大量に」は間もなくという時代が 到来した。炭素繊維の原料は化学繊維で、これを 焼成して太さ数μm の炭素繊維原糸をつくると と称し、厚さは 0. 2∼0. 25 mm である。4 層重ね れば約 1 mm 厚の板材ができる。面積が広い板材 の場合、重ねた合わせ面に入り込む空気を排除し ないと「ボイド」と称する空気溜りが散在し、板 材品質と強度を低下させる。 板としてつくった素材は板厚方向に圧縮する成 形法が使われ、プレス加工も出番となる。 きに大量のエネルギーを使うことと、複合する樹 重ねられる樹脂材質には、1 度熱を加えると硬 脂への付着強度を高めるための特殊なコーティン 化する「熱硬化性樹脂」と再加熱によって軟化す グをすることもあって現在のところ普通鋼材の る「熱可塑性樹脂」とに大別され、本稿では後者 30∼50 倍の価格なのが最大の障壁となっている。 しかし、極めて軽いために重量当たりの強度で比 較すると魅力ある素材で、kg 当たり 3, 000 円を の熱可塑性樹脂と炭素繊維を複合した「CFRTP (T は熱可塑性を示す) 」をプレス加工する技術に ついて解説する。 切れば大量使用によるコスト低下というプラスの 樹脂が軟化すると形状が元に戻らなくなる可能 スパイラル時代に入り、 「自動車車体に大量に」の 性が高いので、高温にさらされる部位に使われる 時代になる。 CFRTP は高温特性のあるエンジニアリング・プ ドイツでの広がりは日本より急で、RTM(レ ジン・トランスファ・モールド)法、SM(シー ラスチックが多くなり、プレス成形温度も 250℃ ∼330℃ あるいはそれ以上となる。 ト・モールド)法、プレス・スタンプ法などでつ 鉄 鋼 材 料 の 場 合 は 薄 い 板 で あ れ ば 0. 1∼0. 2 くられた製品が実車に組み込まれ、一般道を走り mm 単位で得られるものが JIS 規格で定められて 始めている。 いるが、CFRTP 板材は JIS 規格もないし、板厚 炭素繊維原糸は太さ 5∼10μm であるから、そ のまま短く切って短繊維として樹脂に入れれば射 のバラエティーさも少なく、選択の余地は鋼板ほ どないのが現状である。 出成形も可能であるが、原糸を 3, 000 本(3 K)∼ CFRTP のプレス加工技術開発は日本の中でも 12, 000 本(12 K)集めて 1 本の糸とし、これを一 何カ所かあるが、石川県は日本の中で最も早くか 列に並べて樹脂フィルムで何層も重ねて接合した ら取り組んでいて、しかも石川県は繊維という地 板材、糸を縦・横に織った織物を樹脂フィルムで 場産業県でもあり谷本正憲石川県知事の旗振りの 何層も重ねて接合した板材がある。1 重ねを 1 層 下に複合板材の製造開発、プレス加工(当然、適 した金型づくりも) 、県立工業試験場による試験 * (こまつ いさむ):所長 技術士 〒252−0211 相模原市中央区宮下本町 1−24−9 TEL・FAX : 042−755−8927 30 評価技術開発も進んでおり、今後 7 年ほどの間に 総予算約 100 億円を投入して進む熱の入れようで プ レ ス 技 術
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