デッキ長寿命化修繕計画 概要版(PDF:1919KB)

立川駅北口・南口デッキ長寿命化修繕計画
平成 28 年7月
立川市
まちづくり部
0
道路課
概要版
1.対象施設
対象施設は JR 立川駅の北口及び南口のペデストリアンデッキ(図 1-1、写 1-1、写 1-2)で、公共
交通や駅周辺の大型商業施設等を結び、多くの人々が利用する立川市のシンボル的な施設となってい
る。
北口ペデストリアンデッキ
JR 中央線
南口ペデストリアンデッキ
図 1-1 立川駅北口・南口のペデストリアンデッキの位置図
写 1-2 南口ペデストリアンデッキ
写 1-1 北口ペデストリアンデッキ
1
立川駅北口・南口ペデストリアンデッキ(以下、
「デッキ」という。
)は、多くのブロックから構成
されている(図 1-2、図 1-3、表 1-1)
。ブロックは、デッキの整備年度や構造単位で分割されている。
そのため、それぞれのブロックは同じ一つの構造物とみなし、定期点検及び判定の区分けをこのブロ
ック分けで行うこととする。
国営公園南線横断デッキ
国営公園南線横断デッキ
都市軸線スロープ
緑川横断デッキ
緑川横断デッキ
モノレール駅下デッキ
モノレール駅下デッキ
モノレール駅下デッキ
西地区デッキ
西地区デッキ
(Aブロック)
駅前広場デッキ
前広場デッキ
図 1-2 北口ペデストリアンデッキのブロック構成
準デッキ東
デッキ東側
駅前広場デッキ
前広場デッキ
センターデッキ
センターデッキ
準デッキ西側
デッキ西側
図 1-3 南口ペデストリアンデッキのブロック構成
2
表 1-1 デッキのブロック構成と整備諸元
北口
南口
デッキ名
ブロック名
A ブロック
B ブロック
駅前広場
デッキ
モノレール
駅下
デッキ
30.3
橋面積
m2
昇降設備
1134.0
階段含む
587.0
階段含む
116.3
2.7~
28.3
2625.0
階段
EV 含む
D ブロック
H11・H12 デッキ整備、H12 デッキ
屋根整備
26.3
6.8
225.0
階段含む
E ブロック
H13 デッキ・デッキ屋根整備
117.4
2.7~6.7
602.0
階段
ES 含む
1603.0
階段含む
241.0
階段含む
742.0
階段
EV 含む
C ブロック
H9・H10 デッキ整備、H12 デッキ屋
根整備・EV 整備
H9・H10 デッキ整備、H12 デッキ屋
根整備・EV 整備
H9・H10 デッキ整備、H12 デッキ屋
根整備・EV 整備
100.8
14.7
31.4
7.5~
21.0
8.7~
16.6
4.0~
16.0
緑川
ブロック
H13・H14 デッキ整備
68.3
3.6~5.1
294.0
階段含む
A ブロック
B ブロック
H14・H16 デッキ整備
H14・H16 デッキ整備
42.4
49.5
2.6~4.6
2.6
161.0
159.0
階段含む
C ブロック
D ブロック
H14・H16 デッキ整備
H17 デッキ整備
26.9
50.0
2.6
2.6
124.0
186.0
階段含む
階段含む
国営公園
南線横断
公園
ブロック
H23・H24 デッキ整備
63.7
2.6
174.0
都市軸線
スロープ
スロープ
ブロック
A ブロック
H14 スロープ整備
86.7
1.6
121.0
西地区
デッキ
駅前広場
デッキ
H11 デッキ整備
16.5
3.6
58.0
B ブロック
C ブロック
H11 デッキ整備
H9 基礎工事、H10 デッキ整備
51.8
24.2
3.6~5.1
8.5
296.0
255.0
階段含む
階段含む
D ブロック
H9 基礎工事、H10 デッキ整備
H9 基礎工事、H12 デッキ整備
H14ES 整備
H9 基礎工事、H10 デッキ整備
11.2
12.1
120.0
EV 含む
46.1
7.6
395.0
ES 含む
20.9
6.6
278.0
階段含む
CA ブロック
CB ブロック
H11 デッキ整備
H11 デッキ整備
16.6
23.2
4.1~6.4
6.6
104.0
198.0
CC ブロック
CD ブロック
H11 デッキ整備
H11 デッキ整備
28.8
48.8
6.6~7.1
6.9
292.0
365.0
MA(E)ブロック
MB(E)ブロック
H16 デッキ整備
H16 デッキ整備
52.3
58.2
3.4
3.4
176.0
214.0
MC(E)ブロック
ME(E)ブロック
H21・H22 デッキ整備
H21・H22 デッキ整備
19.9
30.2
3.4
3.4
47.0
106.0
MA(W)ブロック
MB(W)ブロック
H18 デッキ整備
H18 デッキ整備
44.1
11.7
3.4
3.4
147.0
40.0
MC(W)ブロック
H15 デッキ整備
58.8
3.4
190.0
MD(W)ブロック
H15 デッキ整備、H19EV 整備
46.1
3.4
218.0
E ブロック
G ブロック
南口
42.1
全幅員*
m
18.8~
27.2
17.0~
26.7
H11・H12 デッキ整備、H12 デッキ
屋根整備・EV 整備
D ブロック
緑川横断
デッキ
H11・H12 デッキ整備、H12・H13 デ
ッキ屋根整備、H14 仕上げ
H11・H12 デッキ整備、H12・H13 デ
ッキ屋根整備、H14 仕上げ
橋長*
m
C ブロック
B ブロック
北口
整備年度
センター
デッキ
準デッキ
東側
準デッキ
西側
*:橋長、全幅員は竣工図書、また橋面積は全体配置の CAD 図より求めている。
3
階段含む
階段含む
階段
EV 含む
2.計画期間
・短期
短期の修繕計画期間は、初年度の設計業務と補修期間5年間の6年間としている。点検結果の健
全性が区分Ⅱ(予防保全段階)以上と判定された変状に対応する。補修対象は、主桁の部分的な腐
食、桁カバーの腐食、路面のひび割れ、伸縮装置のひび割れ等である。
・中期
中期の修繕計画期間は、短期計画後4年間(計画策定後 10 年間に発生すると予想される変状)
としている。対象の変状は、過年度の補修実績から変状の再発が想定されるものとしている。補修
対象は、橋脚、シェルターの塗装等である。
・長期
長期の修繕計画期間は、将来的に発生する補修費を予防的修繕による補修費と対症療法的修繕
による補修費を推計し、予防的修繕による補修費の縮減効果を推計した。計画期間は、減価償却
資産の耐用年数等に関する省令 (昭和四十年三月三十一日大蔵省令第十五号)を参考に橋の寿命
を 60 年として、計画策定後 60 年間としている。
3.対策の優先順位の考え方
補修等の対策の優先順位は以下の 3 ステップで定める。
・第 1 ステップ
補修等の措置の緊急性を考慮して「健全性の判定区分」
(表 3-1)で順位付けを行う。
なお、健全性の判定は国土交通省の「道路橋定期点検要領、H26/6」に従って 4 段階(表 3-1)
で判定している。
表 3-1 部材単位の健全性の判定区分
4
・第 2 ステップ
第 1 ステップで健全性の判定区分が同じ場合、次の管理区分で順位付けを行う。
部材を要求される安全性・使用性等の機能別に 2 グループに分類し、またブロックを利用頻度・
規模等の重要度別に 2 グループに分類し、それぞれの組合せで得られる 4 グループを管理区分 A、
B、C、D とする(表 3-2)
。優先順位は安全性・第三者影響度に関わる部材での補修を優先とする。
優先順位の高い方から低い方に並べると以下のとおりである。
「管理区分 A」 ⇒ 「管理区分 B」⇒「管理区分 C」⇒「管理区分 D」
表 3-2 管理区分A~D
部材の機能
重要度
安全性
使用性
第三者影響度
美観・景観
管理区分A
管理区分C
管理区分B
管理区分D
利用頻度等の
重要度は高い
利用頻度等の
重要度は高くない
・第 3 ステップ
第 2 ステップで管理区分が同じ場合は、
施設の重要度要因を得点化した値で優先順位を定める。
重要度を定める要因は次の項目である。
経年に関わる整備年度/規模に関わる橋面積/利用頻度/EV・ES の有無/他
4.個別施設の状態等
平成 27 年度にデッキの定期点検を実施している。点検内容は、国交省の「道路橋定期点検要領」
に準じて作成した「立川駅北口・南口デッキ定期点検要領(案)、H28/3」に基づいて実施している。
点検結果による主要部材の健全性の判定区分を図 4-1 に、主要部材以外の健全性の判定区分を図
4-2 に示す。
・主要部材の健全性の判定区分
主要部材(安全性・第三者影響度に関わる部材)の多くは健全であったが、緊急措置段階の部材が
一つ、早期措置段階や予防保全段階の部材が幾つかを確認した。緊急措置段階の変状は、桁カバーの
孔食であったため、テーピング等による緊急措置を施し、早期措置段階と判定した。その他の早期措
置段階の変状は、桁カバー内面の腐食及び孔食、主桁の局部的腐食、コンクリート床版の豆板である。
桁カバー内面の腐食及び孔食、主桁の局部的腐食は橋面等からの漏水によるものである。特に、桁カ
バーの腐食は南口に使用されているフッ素樹脂鋼板において著しい。
5
・主要部材以外の健全性の判定区分
主要部材以外(使用性・美観・景観に関わる部材)では、多くが健全であるが、予防保全段階の
部材を幾つか確認している。その主だった変状は、舗装のひび割れ、弾性伸縮装置のひび割れ、
排水管の詰まり、添架物の腐食等である。
6
・今後の予定
北口デッキと南口デッキの点検結果を比べると、北口デッキの方が変状の程度や割合が南口に比べ
て少ない。これは、北口デッキでは平成 22 年度の長寿命化修繕計画に基づいて平成 23 年度以降に
路面補修、塗替え塗装等の補修を行った結果と推測できる。
このため、これからの6年間は、南口デッキの補修等を重点的に行っていく。
5.対策内容と実施時期
対策は予防的修繕を行う。対策の対象とする変状は今回の点検で対策が必要と判断された変状(早
期措置段階、予防保全段階)、過年度に補修実績のある変状、今後想定される変状とする。
対策内容と実施時期の基本方針を表 5-1 に示す。
表 5-1 対策内容と実施時期の基本方針
補修対象の変状
具体的な変状
対策工
実施時期
・撤去工
・止水工
桁カバーの腐食
・点検口設置工
補修費の平準化を考慮し
・取付け工
て、次回の定期点検を交え
コンクリート床版の豆板
・断面修復工
て平成 28 年度から平成 33
主桁の局部腐食
・再塗装
年度に亘って実施する。
橋面のひび割れ
・路面補修工(再舗装)
ハトの糞害他
・清掃他
今回の点検より
補修する変状
シェルター、アーチの防食機
能の劣化・腐食
過年度に補修実績
のある変状
今後想定される変状
再塗装
橋面のひび割れ
再舗装
橋面のタイル剥がれ等
橋面改修工
桁内への漏水
止水工
橋脚類の防食機能の劣化・
再塗装
腐食
補修実績から得られる補修
サイクルで計画
塗装の耐用年数で計画
・短期対策
今回の点検で対策が必要とされた変状の補修は単年度に行うのが望ましいが、補修費の単年度集中
を避けるため、以下の事項を考慮して平成 29 年度から平成 33 年度に実施するものとする。
補修費の平準化:補修は、次回の定期点検(平成 32 年度)を交えて平成 29 年度から平成 33 年度
までに終了するよう 5 年間に分けて行う。補修設計は、平成 28 年度から行う。
補修の順番
:初年度(平成 29 年度)に腐食した桁カバーの撤去等を行い、次年度から優先順
位の高いブロック順に路面補修を行う。
補修効果の確認:定期点検を平成 32 年度に行い、路面補修等による止水効果を確認し、桁カバー
の取付けを行う。
7
・中期対策
過年度に補修実績のある変状、及び今後想定される変状については、補修サイクルを過年度の補修
実績サイクルや既往の資料で設定した。また、補修工法は実績のある工法、複数ある場合は(補修費
用/耐用年数)に優れた工法を選択している(表 5-2)。
表 5-2 変状の補修サイクル
変状の種類
対策の工法
対策の部位
補修サイクル
塗替え塗装工(Rc-Ⅲ)
シェルター
15年
塗替え塗装工(Rc-Ⅰ)
アーチ
45年
橋面のひび割れ等
路面補修工(再舗装)
舗装タイプの路面
7年
橋面のタイル剥がれ等
橋面改修工(橋面タイルの補修等)
磁器タイルで
補修実績のある路面
15年
漏水
止水工(伸縮装置の改修、シーリング)
補修実績のある部位
14年
橋面のひび割れ等
路面補修工(再舗装)
南口デッキのセンターデッキ
及び準デッキの路面
7年
支承の土砂被り
支承周りのドライアップと上塗り塗装
アーチ
短期で処置*1
伸縮装置のひび割れ
ひび割れ補修
南口駅前広場・B-Cブロック間
〃
桁カバーの腐食
桁カバーの撤去
南口センターデッキ
〃
漏水
止水工(シーリング)
南口センターデッキCDブロック
〃
鳥の糞害
清掃
北口駅前広場デッキCブロック支承
〃
床版の豆板
左官工法による断面修復
北口駅前広場デッキCブロックケーブル
定着周り
〃
主桁の腐食
塗替え塗装工(常温亜鉛メッキ)
南口センターデッキCDブロックモノレー
ル橋脚近傍の主桁
〃
その他
点検口の設置
南口駅前広場・センターデッキ
〃
鋼部材の防食機能の
劣化・腐食
塗替え塗装工(Rc-Ⅲ)
橋脚・階段柱*2
25年
鋼部材の防食機能の
劣化・腐食
補修実績の
ある変状
点検により対策が
必要と判断された
変状
今後想定される
変状
*1:短期で処置とあるものは変状の内容と対策から補修サイクルを考慮しないものとする。
*2:柱カバーの付いている橋脚・階段柱は塗替え塗装の対象外とする。
短期及び中期の対策として、今後 10 年間の長寿命化修繕計画を表 5-3 に示す。
表 5-2 長寿命化修繕計画
H28
H29
H30
H31
補修(短期)
補修(中期)
補修設計(短期)
補修設計(中期)
定期点検
昇降施設の法定点検
8
H32
H33
H34
H35
H36
H37
6.対策費用
中期及び長期の長寿命化修繕計画に基づく修繕費について、今後 60 年間の修繕費のライフサイク
ルコスト(以下、LCC)を算出した。
なお、修繕費の構成内訳は以下のとおりである。
修繕費 = 補修費 + 定期点検費 + 補修設計費 + 昇降設備の法定点検費
算出結果を図 6-1 に示す。また、図中には予防的修繕の修繕費縮減効果を調べるために対症療法的
修繕の LCC を併記した。
これより、今後 60 年間の LCC において予防的修繕は対症療法的修繕に比べて約 7 億円の縮減効果
が期待できることが分かった。
予防的修繕 年度修繕費
予防的修繕 修繕費累計
対症療法的修繕 修繕費累計
120000
3600
110000
3200
約7億円
100000
2800
80000
2400
70000
2000
60000
1600
50000
40000
1200
修繕費累計 (百万円)
年度修繕費 (千円)
90000
30000
800
20000
400
10000
0
0
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
55
60
1 年次:平成 28 年度
年 次
図 6-1 修繕費の 60 年間推移
予防的修繕、対症療法的修繕の年平均修繕費等は表 6-1 のとおりである。
予防的修繕を実施した際の年平均の修繕費は約 40 百万円と推計する。
表 6-1 予防的修繕、対症療法的修繕の年平均修繕費 (単位:百万円)
60 年間の修繕費累計の内訳
維持管理
シナリオ
予防的
修繕
対症療法的
修繕
定期
補修
昇降設
点検
設計
備点検
1,154
132
353
1,690
132
507
補修
修繕費の年平均
定期
補修
昇降設
点検
設計
備点検
19
2
6
13
40
28
2
8
13
51
合計
補修
770
2,410
770
3,099
9
合計
7.計画策定担当部署および意見聴取した学識経験者
(1)計画策定担当部署
立川市 まちづくり部 道路課 東京都立川市泉町 1156 番地の 9
(2)意見聴取した学識経験者
法政大学 デザイン工学部 都市環境デザイン工学科 森 猛 教授
10
TEL:042-523-2111