資料6

資料6
平成27年度太田川産アユ・シジミの資源再生懇談会 第1回水管理部会における意見(課題)と検討結果(対応)について
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概要
平成25年度に策定した太田川再生方針のなかで、アユを増やすための長期的な方策として「アユの生態に応じた期間限定の利水運用」を掲げた。
平成26年度以降、2回の会議を重ね、本方策の実現に向け、取組を実施するための意見(課題)を抽出し、以下のとおり検討結果(対応)をとり
まとめた。
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意見(課題)と検討結果(対応)
意見(課題)
⑴ 試験的な利水運用の実施について、どのような試験をしてどのよう
な結果を得ようとしているのか。
検討結果(対応)
・当面は国土交通省が所管する堰やダムの利水運用の実現を目指す
・9~11月のアユ産卵期の平水時において、
①太田川放水路の干潟が仔魚の成育に適している可能性があることか
ら、可能な範囲で祇園水門側への放水量を増やし流下を促す。
②高瀬堰の昼間の放水を絞り、夜間(18~24時)の放水量を増や
すことで、発生直後のアユ仔魚をいち早く海域へ流下させる。
③②に伴い、高瀬堰より上流に生息する親アユを流下させ、海域へよ
り近い場所で産卵させる。
・手法の検討と決定は水管理部会で行う。国土交通省は堰の運転管理
者として決定した手法で取組みの試行と効果検証を実施する。効果検
証調査として、①、②については流下仔魚(稚魚ネット)調査を、③
については親魚採捕(定置網)調査を実施する。
・取組みスケジュール
平成28年度:具体的な手法を検討し、試行することを決定
平成29~31年度:取組みの試行と効果検証を実施
平成32年度~:効果が確認されれば、新たな運用規則として記載す
る
・中国電力株式会社が実施可能な取組についても、引き続き協議を実
施する。
(可部発電所の放水時間を上記②に併せる、発電量を増やし発電放水
を増やす、温井ダムから放水があった際に発電用に取水しない等)
⑵
⑶
流量増が⑴に寄与するのかどうか、科学的なデータがそろっていな
いので、例えば堰の運用で工夫するといった時に、何を工夫したらよ
いかというのが見えてこない。具体的にどの程度の量が必要なのか、
それは量が大切なのかあるいは流速が大切なのか、あるいは流速なり
量なりの変化量が重要なのか。
太田川放水路からのアユ遡上数が多いのは、結局、放水路河口の自
然的な条件、干潟環境が影響して遡上を促している可能性が考えられ
る。したがって、そういった環境プラス流量が加わった場合に、どの
くらい遡上の効果が上がるのかを仮説を立てて調べてみる価値がある
のではないか。
⑷ 利水運用といっても人為的にコントロール可能な部分というのは、
自然の流量変化に比べればごく一部であり、その限界や効果などにつ
いてよく検討してほしい。
⑸ 何の取組ができて、何の取組ができないか、もう少し踏み込んでい
ただきたい。何をやって何が得られるのかがもう少し具体的になった
時点で、できることできないことをはっきりしていければと思う。
⑹ 太田川のようにアユの漁獲量が急減したけれども、その後の色々な
取組の中で回復したという河川はたくさんあるので、もう少し他の河
川の取組も、事例として集めていただきたい。
⑺ 瀬戸法関係の新しい施策では、順応的管理はなかなかその通りに進
まないため、途中でチェックしながら、舵取りもありという形で進め
ようということになっている。だから、川でも当然分からないことが
あるので、順応的管理というマネージメントもある程度取り込まない
となかなか難しいかもしれない。
⑻ 科学的根拠を踏まえつつも根拠が無いことも多いので、実際にはこ
のプロジェクトで進める調査解析や試験的運用を含めながら、取組を
進めていくことになるだろう。取組の実施に際して、誰が音頭をとっ
て、どのように調整をして日にちや時間を決めて、何をするのかとい
ったアクションプログラムの策定が必要である。
⑼ 当初、この検討は「アユにとって望ましい」という観点から議論し
てきたが、川には色々な目的、多面的機能があるなかで、アユだけの
ため、漁業者だけに対する措置と考えずに、他の生物も含めた生物多
様性の観点から、あるいは地域住民の方の参加や、その人たちが受け
る恩恵を含めた生態系サービスという観点も含めて取組を進めていく
のが望ましい。
・取組の前例がなく、科学的根拠をもって示すことができない。
・横浜国立大学 松田教授よりアドバイスいただいた、アユ資源数理
モデルにより、アユを増やすための短・中期的取組を利水運用と併用
で進めなければ、大幅な資源回復が難しいことが示唆された。
⇒ 水量や流速について、具体的な数字を示すことができないので、
国土交通省に実施可能な最大限の堰、水門の操作を行っていただく。
・この考え方で進めさせていただきたい。
・限界はあるかもしれないが、取組事例もないため、実施しながら効
果判定をするしか方法はない。
・何の取組ができるかどうかは事務局で判断できない。逆に必要性が
説明できれば、実施可能な取組について御教授いただきたい。
・参考資料1 参照
・この考え方で進めさせていただきたい。
・以下のとおり、提案する。
実施主体:当水管理部会
アクションプログラムの策定:当水管理部会
関係機関との調整:当水管理部会(事務局)
・この考え方で進めさせていただきたい。
・太田川放水路河口周辺における藻場・干潟の造成など検討範囲を海
域まで拡大する。