® 26 28 JUL 2016 FOCUS GDS DÜSSELDORF,GERMANY June. 2016 Publisher:Messe Düsseldorf Japan Text by Tomoko OYA (Shoes Journalist) ブリック&モルタルにおける靴販売の 近未来を提示した 「Digital Craft♯2」 GDSは、情報発信型の新しい見本市を目指していることは、 重ねて伝えているが、その中心は、ファッショントレンド情報の 理)による情報に繋がり、顧客も共有することによって、買物の 楽しみが広がり、店は効率的な販売が可能になるという訳だ。 発信だ。従来からファッションショー、トレンドセミナーは行って またこのシステムで得た顧客が何を検索したかなどの情報は、 いたが、一昨年7月のリニューアル以降、トレンドテーマ・プレ マーチャンダイジングなどに活かすことも可能だ。 ゼンテーションの刷新、またマテリアルトレンド、前回2月展では 売場の在庫がどこにあるか、自分で探してくれるロボットも紹 ウエアとのコーディネートにフォーカスと多面的にトレンドをビジュア 介された。商品にICタグを取り付けなければならないが、 ル化して発信。来場者のトレンド理解を深めようとしている。 「Troy」と名付けられた自律型ロボットがICタグと交信し、一人 加えて2016年シーズンで取り上げたのが、デジタル技術だ。 で売場を動き回り、目的の在庫がどこにあるかを地図上に表示 「Digital Craft」というテーマの下、昨年7月展では、3Dプリン してくれるというものだ。 ターにフォーカス。3D技術による靴製造&デザインのイノベーシ ョンの現状を発信した。 フィッティングも3D 化「Scanblue」 そして続く2月展では、 「Digital Craft♯2」として、流通&小 実店舗の対面販売に利用されるデジタル機器としては、足型 売におけるデジタル技術活用にフォーカスした。 計測器が一般的だと思うが、これをさらに進化させた機器も紹 流通&小売ならば、eコマースと思うだろう。それが、違う。 介された。 ブリック&モルタル、つまり実店舗を営業ベースとする小売店のた 「Scanblue」は、3Dで足を計測するだけでなく、フィッティン めのデジタル技術を紹介している。 GDSの来場者には、ブリック グまで3Dで視覚化できるというシステムだ。ソフトを組み込んだ &モルタルの独立専門店が多い。そこに配慮した情報発信だ。 タブレットやスマートフォンを、写真を撮るように足にかざすと、3 Dで計測。次に履きたい靴をチョイスすると、その画像が3Dで Highlight Route上で14社がデジタルシステムや機器を展示した。 タブレットやスマートフォン上に現れ、足と靴とでどのくらいの違 POSと連携でショッピング「POSeidon」 いがあるかをビジュアルに見られるというものだ。 ドイツ・フライブルグの企業が開発した「POSeidon(ポセイド 靴はフィッティングが不可欠 ン) 」は、実 店 舗に置 だから、オンラインショッピン かれた端末、自分のス グなど一般化するはずがな マートフォンのどちらから い。つい10年 前には、そう でも、ショッピングが楽 考えていた人がほとんどだっ しめる。しかも顧客は、 たろう。しかし今、オンライン 実店舗販売では販売員 で靴を買うことは、特に若い にしか分からない詳細 消費者にとっては普通のこと な商品情報、さらに在 だ。スマフォで在庫検索し、フ 庫情報にもアクセスでき ィッティングもチェック。ロボット る。名前の最初の三文 にその在庫を探してもらう…と 字が大文字になってい いう日は、決して遠くないの るが、つまり「POS」 。 かもしれない。 POSeidon のブース 現在ではほとんどの小 eチケットショップが、既にオープンしています。こちらからダウンロ ードできます。初来場の方も、登録後にダウンロード可能です。 売店が導入しているP 在庫を見つけ出すロボットTroy(右端) Scanblue による3D 計測&フィッ ティング OS (販 売 時 点 情 報 管 1 「PRESS WALK」 が着目した ドイツにモカシンをもたらした 二つのヘリテージ・ブランド 「シオックス」 た新コンフォートシステム搭載シューズなど が提案された。 WALK」という企画を実施している。 GDSは、来場プレスに対して「PRESS 注目出展者や企画エリアを案内し、 GDSをアピールし理解してもらおうというものだ。 そして2月のPRESS WALKが着目した出展者は、二つのヘリテージ・ブランドだ った。 この名前を懐かしいと思う人は、かなり の靴業界通だ。30年くらい前まで、このブ ランドの靴が日本で製造され、流通してい たからだが、ここに紹介するシオックスとの 提携に基づくものだった。 USAヘリテージ「ティンバーランド」 シオックスは 「Sioux」 と綴るが、 英語では 「スー」 。 つまり、 スー族。 言わずと知れたアウトドア・ブランド。発祥は、ボストン。代 ネイティブ・アメリカンを代表する部族だが、その伝統的履物は、 表モデルは、イエローブーツ。アッパーの独特の色から、こう呼 モカシン。足によく馴染み機能的。靴を代表するスタイルとして ばれるが、そのアッパーはフルグレインのヌバックレザー、ソール 定着している。 はラバー製ラグソール。その機能もさることながら、1980年代の シオックス社は1954年、ドイツにモカシンをもたらすというビジ イタリアでファッションとして受け入れられたことで世界に広まっ ョンの下に創業したが、ビジョンを実現したのが57年に発売し た。今や、アパレルを含むトータルブランドとなり、85ヵ国で販 世界的ヒットとなった「グラスホッパー」 。そして2014年、創業 売されている。 60年を機に新たな打ち出しに挑戦。2016年シーズンは Feel GDSは、カムバック出展だ。理由は、5年前に遡る。2011年、 the Indian Spirit キャンペーンを展開。最新トレンドを取り入れ ティンバーランド社は、グローバルアパレル企業VFコーポレーシ た「グラスホッパー」をラインナップしている。 ョンの傘下に入った。それ によって多くのことが起こっ ているが、変化するティン バーランドを小売業者に伝 えるための再出展と言う。 商品は、ヘリテージとイ ノベーションから成るが、 ヘリテージでは定番の6イ ンチに代わる8インチブー ツ、イノベーションではクッ ション性、屈曲性に優れ ティンバーランド シオックス 日本人デザイナーブランドが初出展「Megumi Ochi」 「Megumi Ochi」は、日本人靴デザイ デザインは、シンプル。装飾は一切排 ナー越智恵さんのブランド。 され、デザインの意図は、 ラストのフォルム、 越智さんは、ロンドンの靴学校コード 細部のバランスによって表現される。 ウェイナーズカレッジで学び、卒業すると 1980年代のミニマリズムにも通じるが、 すぐに自身のブランドを発表する。 それは、 鋭角的な表現ではなくモデレート。しかし 父は画家、母は建築家というDNAの開 確実にモダニズムへの意識を感じる。 花だった。しかしロンドンは靴製造には パリのプルミエールクラス、ミカムに毎回 厳しい環境。メーカーを求め、スペイン 出展。ヨーロッパ各国はもとよりロシア、ア に渡り、現在は、靴産地エルダ&エルチ メリカ、香港、 そして日本にも販売している。 ェを後背に持つアリカンテをベースに活動 GDS出展は、北ヨーロッパへの販売 している。 強化が狙い。 もちろん受注成果を上げた。 「FOCUS GDS」の内容、またGDSについて、ご質問やご要望がありましたら、ご遠慮なく下記までお問い合わせください ■㈱メッセ・デュッセルドルフ・ジャパン 東京都千代田区紀尾井町 4-1 ニューオータニガーデンコート7F TEL:(03)5210-9951 FAX:(03)5210-9959 e-mail:[email protected] 担当=橋木雅弘 2
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