水泳訓練

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Title
水泳訓練
Author(s)
出野上, 良子; 奈良, 重幸
Citation
出野上良子ほか: 研究紀要(奈良女子大学文学部附属中・高等学校
), 1987, Vol. 28, pp. 63-66
Issue Date
1987-06
Description
URL
http://hdl.handle.net/10935/2150
Textversion
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奈良女子大学文学部附属
中・高等学校研究紀要卵28集
1987年6月
水泳訓練
出野上良子奈良重幸
水泳訓練については、6年一貫教育における学校行事のあり方についての特典(1974年、第16典)
で水泳訓練の目的、指導組織、指導内容、実施にともなうさまざまな問題について述べた。
ここでは、前回の発表との-部重複をまじえながらその後の、とりわけ安全確保の面からの指導の
実態、改轆点について報告する。
1.安全確保のための配慮と事故防止対策
(1)水上安全鋼習会
日本赤十字社に依頼し、7年前から2~3年に-回ずつ水上安全鋼習会を実施してもらってい
る。受鋼対象は本校の教官と水泳訓練に参加する助手(綱成は水泳部0.Bと卒業生)である。
内容は救助法、蘇生法、救急処掴などで、本校のプールを用い実施している。
この鋼習会の影響、および養護教諭の要請のもと本校では蘇生機を購入、以降、実際の遠泳の
場にも擬入している。
(2)リiii指導(プール指導)
教科指導での班別をもとに、生徒の泳力を上級(A)、中級(B)、初級(C)の3ランクに
わけ、海への出発前に3~4日間、プールで事前指導を行っていろ。この目的は、①、身体のコ
ンディションづくり、②、個々の泳力をアップすること、③、遠泳の際のペース配分と隊列づく
りの練習、④、遠泳の体力づくり、である。
A、B、C、3ランク別に時間帯をもうけ、海での遠泳を仮想して、隊列を組み、それぞれ1,000
~500mを毎回泳がせるが、概して、生徒は楽にとなしている。隊列を組んでの練習後、特別に
時lMlを取り、初級のCランクのものに教官と助手で個別指導を行うが、述動に関する適応能力に
すぐれた年ごろのこと、事前指導最後の日には対象者全員がランクアップしている現状である。
(3)先発グループによる現地海浜の事前チェック
水泳訓練本番1日iiiに先発隊として体育教官3名が現地に出向き、訓練場の海浜の棟子、特に
訓練場となる海底の様子、水温などのチェックと訓練に必要なiii其の単価・整備に当り、より安
全に訓練が実施できるよう努めている。
(4)ミーティング
まず、初日の訓練開始前に先発隊によりチェックされた報告を受け、訓練に際しての船上監視、
陸上IMi視、救助体制などの打あわせを引卒教官・助手全員で行っている。また機会あるごとに、
各班別に生徒の身体の調子のチェック、泳力、泳法などのチェックもfIl併しあい、岐後の遠泳前
のミーティングでは遠泳隊形(男女別)、監視体制(ポート10台、機動船1台)、陸上監視、救
助体制、教官・助手の伴泳などを図示し、さらに万全をこころがけている。
(5)海でのK111棟と遠泳指導
節1日目午後と2日目午前は、事前指導の隊列をもとに、約300mを小まわり遠泳のかたちで
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図3.遠泳時の監視、救助体制
〔女子)
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〔男子〕
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<Ⅱ
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⑦②
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<注>①船上監視、および伴泳者は□部分の6名を特に監視、救助にあたる。なお、監視しやすい
ように泳者の帽子を色わけする。
②船上監視の○印はとび込み要員。
③泳力の弱い者は後方の列に配世する。
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訓練をしている。特にペース配分、隊列のとり方、泳法、泳力のイ十分なものの再チェックなど
に注意し、男女別にA・B班別で2回程度(1回約300~400m)の練習を行っている。2日目
はさらに距離をのばして2~3回泳がせ、遠泳に倣えている。2日目の午後、約2hmIの遠泳を男
女別に実施している。監視、救助体制、隊形については(61に詳しく図示する。
(6)監視、および救助体制と遠泳隊形
訓練時、遠泳時の監視、救助体制、遠泳隊形については下図のとうりである。
図1.練習コース
PPFPPP
全木部
監視、救助体制(小まわり遠泳)練習時小まわり
図2
遠泳時の隊列と船上監視、伴泳者の位置
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<注> 【
Ⅲ>の①、③、⑤は沖側、②、④、@は陸側、
Ⅲ>には、救助用ヒモつきチューブ、メガホン、①、①、⑥にはトランシーバーをのせる。
船上監視はそれぞれ[.の部分の監視、救助を主として、①と②、③と④、。と⑥といった
具合にお互いに協力しあう。
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(7)緊急時の体制
遠泳時の緊急事態の発生を考え、ポートおよび機動船にトランシーバーをつみ、浜にある本
部の教官とたえず交信を行っている。もしもの際、本部と海上とを結ぶ交通の便は機動船である。
遠泳中は養護教諭と現地の医師に本部待機をお願いしている。現地の救急病院にも遠泳をする
旨事前に声をかけ、緊急事態発生の場合の対策を鋼じている。
ちなみに、引卒教官・助手に配布するプリントは以下のようなものである。
躯故発生の際の心得と処置の仕方
①事故発見者は、笛を長く、何回も連続して鳴らす。
(ピー、ピー、ピヘピー………)
②事故が発生したところの近くのポート、伴泳者、およびポートのとびこみ要員は、協力しチ
ューブを持ってすばやく救助にあたり、槌勤船(ポート)に上げる。機動船(ポート)のトラ
ンシーバーで本部に事故の様子を知らせ、本部の指示をあおぎながら陸にあげる。
③事故が発生すると連鎖反応で他の者がパニック状態になりやすいので冷静に事故に対処して
他の者をもまき込まないように十分配慮する。
④万一、函大事故が発生したときは、事故処置者以外の省は、パニック状態を引き起こさない
ように配晦しながら他の生徒の泳ぎを中止させ、全員を近くの陸にあげる。
⑤救助にあたっては、特別な場合以外は素手で救助にあたることのないようにil:怠し、また単
独での救助も危険が伴うので、できる限り近くの者がす速<協力して救助にあたり、万全を期
すように心がける。
⑥陸上の本部は、船上連絡、指示、医疲機関への連絡、救急車の要諦など必要な処置をすみや
かに行う。
2.安全確保上からみた問題点
以上、本校の安全確保のための配慮と事故防止対策を記してきた。これらに関しては、一応それ
なりの成果をあげてきてはいる。しかし、過去に事故がなかったのはたまたま幸迦だったといえる
のかも知れず、とと安全確保に関しては、十分すぎるというものがない以上、さらにすべての箇所
で改善の余地はあろう。例えば、水上安全講習会を毎年行うとか、救命具機器のさらなる充実を行
うとか、ポートこぎ、ポートからのとび込み、救命具投げの練習を行うなどである。これらの問題
は、今後、順をおって改善していくつもりであるし、実際、より改善できるものと考えている。
今回は述べなかったが、海が遠すぎることや助手人数確保の困難点、さらに引卒教官の高齢化な
ど、間接的な安全確保上の問題点も改善課題として残っている。さらに、本校の誰もが切実に感じ
ている水泳訓練行事そのもののマンネリ化からくる参加者の気持の上での安易な慣れというものに
たし、する対策もこうじなければならない。
毎回、水泳訓練後、反省会をもってはいるが、水泳訓練行事そのもののあり方についても、継続
審議の必要があろう。
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