MIDORIKAI TIMES NO3 1993・7・20 ポート・スターボード又は借方・貸方 ヨットマンは右舷のことを“スターボード“と言い、左舷のことを“ポート“と言いま す。 “スターボード”は“ステアリングボード“(舵甲板)のなまりで昔々の舟はオールを 右舷につけてそれで舵をとりました。 で、舵をこわさないように接岸するときは、必ず左舷を港(ポート)につけるようにな り、左舷をポートと言うようになりました。 今でもこの習慣を守っている交通機関があります。そうです。旅客機です。どなたかジ ャンボジェットに右側から乗り込んだ人は名乗り出てください。 船にも飛行機にも夜間の衝突を避けるために、スターボード(右)には青燈、ポート(左) には赤燈がついています。(「ポートワイン イズ レッド」と覚えてください。) 夜空で飛行機を見たら、両翼端に赤青を点滅させて飛んでいます。決して装飾ではありま せん。どちらへとんでいるか、赤青の位置でわかります。一度確かめてみてください。 ブックキーパー(簿記屋…会計人)は仕訳をするときに左側を“借方“、右側を“貸方 “と言います。これも由来はありますが、興味のある方は巡回監査員に聞いて下さい。 さてTKCの三枚伝票をよくご覧下さい。“借方“(左)の伝票は赤色、“貸方“(右) の伝票は青色になっています。コクヨの入金伝票(現金の借方伝票)も赤色、出金伝票(現 金の貸方伝票)は青色です。船と飛行機の右・左、簿記の仕訳の右・左を識別する色が、 全く一緒だと言うことにお気づきでしょうか?これは単なる偶然でしょうか。私はそうで はないと考えています。理由は帆船の発達と簿記の伝播改良の歴史とはまさに時期を同じ くしているからなのです。 中世、地中海貿易の中心地ジェノバで簿記は誕生し、経済力の発展とともに帆船はどん どん大型化し、それに乗って複式簿記は世界中に伝わりました。ブックキ-パーが、“借 方“(左)“貸方“(右)を区別する色に帆船の舷燈の色を採用したとしても何の不思議 もありません。ただし、これは私の仮説で、未だ実証した訳ではありません。 皆さん、日々の起票ご苦労様ですが、ときには無味乾燥に見える仕事に、海と空のロマ ンを感じていただけませんか?
© Copyright 2024 ExpyDoc