環境創生部門 斎藤研究室

首都圏北部4大学研究室紹介
●社会基盤
群馬大学大学院理工学府
サラ
イイ
エフ
ン
ス
環境創生部門 斎藤研究室
情
報
通
信
URL: http://civil.ees.st.gunma-u.ac.jp/ applmech/
図2:鋼材中の貫通横穴の可視化結果
■研究テーマ
●応用力学、計算力学、非破壊評価、環境振動・騒音
ん、
津波により様々な橋梁上部構造が流出する被
■キーワード
害が発生しました。
そのため、
橋梁上部構造が流
構造解析、波動解析、シミュレーション全般、超音波非破壊評価
図3:河川を 上してきた津波による橋梁上部構造の流
出シミュレーション結果
環
境
出したメカニズムを解明し、
今後の橋梁設計等に
■産業界の相談に対応できる技術分野
差分法、有限要素法、境界要素法、
粒子法等を用いた様々なシミュレーション手法の開発とその応用
斎藤隆泰 准教授
■主な設備
大型計算機、超音波探傷器
連 絡 先
環境創生部門 斎藤 隆泰 TEL&FAX:0277-30-1610 e-mail:t-saitoh@gunma-u.ac.jp
役立てることは有意義なことです。
図3より、
当研究
で、
無理のないシミュレーションを実施することがで
室で開発した津波遡上シミュレーターにより、
津波
きます。
近年では、
数値シミュレーションをブラック
の遡上と、
橋梁への作用を概ね再現できているこ
ボックス化して利用する技術者・研究者も少なくあり
とがわかります。
ません。
そのため、
本当に数値シミュレーションが正
このように、
数値シミュレーションは、
普段目に見
しく実行されているか、
扱う現象に対して忠実なモ
えないものを可視化し、
現象を理解するために役
デル化がなされているか、
それらを使い手が理解し
立つばかりか、
再現実験をするために莫大な費用
ているかが大変危惧されており、
土木学会や機械学
のCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)中を超音波
がかかる場合や、
それ自体が困難な場合にも重要
会でも、
シミュレーションに対するV&V(Verification &
がどのように伝搬するかを調べた結果です。 図1(
な役目を果たしています。
Validation)、
すなわち検証と妥当性の確認が重要視
左)の結果は、
当研究室で行った数値シミュレーシ
数値シミュレーションは、
土木、
機械、
電気、
材料
されています。
当研究室では、
数値解析と力学現象
ョン結果、
(右)はレーザー超音波可視化実験結果で
等、
様々な分野で利用されています。
そのため、
当
それぞれの特徴をしっかり把握し、
信頼できる数値
す。
CFRPは音響異方性を示す材料であるため、
超
研究室も、
土木工学という枠組みに支配されること
シミュレーションを実施しています。
その結果、
日本
ンを駆使した研究を行っています。
近年、
社会で
音波は複雑な挙動を示しますが、
結果は実験と良
なく研究を行っています。
実際、
これまで行った数
計算工学会論文賞、
日本シミュレーション学会奨励
は、
複雑な構造材料を扱う事が多く、
その力学現
く一致していることがわかります。
この結果は、
CFRP
値シミュレーションは、
構造解析、
地震、
津波、
超音
賞、
土木学会応用力学論文賞等、
数々の賞を受賞し
ています。
研究概要
数値シミュレーションを極めて工学の様々な
分野の を解き明かす!
◆
本研究室では、
力学理論と数値シミュレーショ
象の解明には難解な理論が基となる数値シミュ
のように強い音響異方性を示す材料に対する超音
波、
騒音、
鉄道振動等、
多岐に渡っています。
また、
レーションが必須です。
例えば、
この材料をどのよ
波非破壊評価の定量化に役立っています。
また、
図
新しい数値解析手法の開発に関する研究も合わ
うに組み合わせれば、
どの程度の耐力となるか、
2は鋼材内部の欠陥を3次元可視化した結果を表
せて行っておりますので、
様々なご専門の企業様と
そもそもこの材料をどのように活かして設計す
しています。
2012年の笹子トンネル天井板落下事
共同研究等を実施できる可能性がございます。
も
故により、
社会インフラ構造物の老朽化への対策
し、
興味がございましたら、
一度お声がけいだける
が求められていますが、
図2のように、
鋼材内部の
と幸いです。
様々な疑問を、
数値シミュレーションを駆使して
欠陥を画像化させることができれば、
現場の非破
解き明かすことに力を入れています。
例えば、
図1
壊技術者に対しても非常に有用であると言えます。
特徴と強み
し、
それに伴い理解すべき現象も複雑化しています。
こ
は、
近年様々な分野で注目を集めている新材料
そのような場合、
現場計測で得られる超音波の波
特徴の異なる様々な数値解析手法を開発し、
応用することができる!
のように対象が複雑になればなる程、
現象の理解も
図1:CFRP内部の超音波の伝搬(左)数値シミュレーション(右)
レーザー超音波計測実験による結果
4u 2016
社
会
基
盤
数値シミュレーションの重要性の発信と
広く利用されることを目指して
れば良いか、
超音波や地震波のように、
目に見え
は、
GPUと呼ばれる高速演算を利用して、
それらの
技製
術造
︵
も
の
づ
く
り
︶
今後の展開
ない波動はどのように伝わるのか等、工学の
形に対する数値的処理は必須です。
当研究室で
材
料
◆◆◆
近年は、
材料や構造物の様式等が多様化・複雑化
◆◆
城
大
学
宇
都
宮
大
学
複雑となり、
従来の理論や実験だけで現象の説明を
行うことが難しくなり、
数値シミュレーションの重要性
数値処理を高速化し画像化することも行っていま
当研究室では、
差分法、
有限要素法、
境界要素
は増すと考えられます。
群馬大学に着任し、
5年目とな
す。
法、
粒子法といった代表的な数値解析手法を全て
りました。
少しずつ環境も整い、
計算機や実験機器も
一方、
図3は、
河川を遡上してきた津波が橋梁に
開発・応用しています。
これらの数値解析手法に
整いつつあります。
数値シミュレーションの重要性を
作用する力を調べるために、
津波と橋梁の連成解
は、
本来、
得意・不得意な解析分野があります。
その
発信するためには、
広く利用して頂くことが一番です。
析を実施した結果を示しています。
2011年の東北
ため、
解析の対象となる現象を注意深く観察し、
使
様々な解析を実施し、
少しでも社会の役に立てるよう、
地方太平洋沖地震では、
家屋の被害等はもちろ
用する数値解析手法を決めて解析を実施しますの
研究を続けていきたいと思っています。
4u 2016
群
馬
大
学
埼
玉
大
学