こちらからダウンロードできます - 静岡大学グリーン科学技術研究所

研究セミナー
イオンチャネルの構造機能相関研究と応用技術開発
平野 美奈子 博士
(光産業創成大学院大学・光バイオ部門)
日時: 2016 年 7 月 8 日(金)14:00-15:30
場所: 静岡大学 理学部 A 棟 2 階 大会義室
- 概要 イオンチャネルは生体膜を貫通するタンパク質で、細胞内外のイオンの出入りを調節
することにより細胞の多くの生理機能を調節している。イオンチャネルは、環境変化を
感知するセンサー領域とイオン透過に関わるポア領域を持っており、センサーによる環
境変化の感知が何らかの形でポア領域に伝達され、ポアの開閉が制御されると考えられ
ている。しかしながら、センサーからポアへの情報伝達の機構も含め、チャネルの活性
制御の分子機構の詳細は明らかにされていない。我々は、カリウムチャネルの一つであ
る KcsA チャネルでは、細胞内領域が環境変化の感知と活性制御に重要であることを明
らかにし、細胞内領域がチャネルの開閉に伴い膜方向へ構造変化することを見いだした。
これを確認するため、AFM の探針で細胞内領域を膜方向へ操作したところ、活性を著
しく変化させることができた。これらの知見から、細胞内領域による KcsA チャネルの
活性制御機構のモデルを提案する。
また、上記の研究から派生した 2 つの研究・開発についても紹介する。1 つ目はイオ
ンチャネルの活性を高効率・簡便に測定する方法の開発である。電気生理学的なイオン
チャネルの活性測定は時間がかかる上、煩雑な操作が必要であるが、それらの問題点を
解消した新しい手法を開発した。2 つ目は、KcsA チャネルの活性制御の知見を利用し
た新規光感受性イオンチャネルの創製の研究である。現在、KcsA チャネルの活性制御
に重要な細胞内領域を青色光感受性蛋白質・ドメインに置換し、それらの構造変化を用
いて KcsA チャネルの開閉を操作することに取り組んでいる。
問合先:静岡大 理学部 生物科学科 成川礼([email protected]